チバニアンと地磁気逆転
2021/12/03 15:42
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
地磁気逆転という不思議な現象が発見され認められるまでさまざまな学者たちが活躍した様がわかって面白かった。地磁気逆転が大陸移動説と結びついたり(海底の残留磁気が縞々になってる)したことが知れた。
奇跡の地層チバニアン
2020/09/03 10:17
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投稿者:nobita - この投稿者のレビュー一覧を見る
地球科学を理解するには良い本だと思う。 地磁気逆転のメカニズムについては理解できた。地磁気の弱化に対しては、対応策がないように思える。ただネアンデルタール人は絶滅?したかもしれないが、クロマニョン人は生存している。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
確か十年以上前に.かなり、大々的にニュースになりました。チバニアンについても……。こうして、書物で読むと、なるほど、と思うことあったり、ちょっと論理が飛躍し過ぎではないかと考えたり……。
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地球史に初めて日本の地名が刻まれた地質年代「チバニアン」をニュースで耳にしたことがあるかもしれない.実は,その決め手となったのは千葉の地層から見つかった「地磁気逆転」の痕跡だった.地磁気という言葉は知っているだろうがそれが逆転する,つまり,かつての地球には磁石が南を指す時代があったというのだ.本書を通してなぜ地磁気は逆転するのか,次はいつなのか,そのとき地球はどうなってしまうのかなどの地球科学の謎に迫りつつ,研究者ら(著者も含む)によるチバニアン申請から誕生に至るまでの過程を知ることができる.
本書を読んで私の印象に残ったことは,地磁気強度低下と地磁気エクスカーション,ベリリウム10の関係性に関する内容である.地磁気逆転はそれだけが単純に起こるのではなく,溶岩や海底堆積物に残留磁化として逆転した証拠を残している.なぜ地磁気が逆転するかは本書をよく読むことをお薦めするが,地磁気が逆転するときにはその強度が段階的に低下する.そのとき同時に,地磁気エクスカーションと呼ばれる地磁気極の位置が北極または南極より45度以上離れるダイナミックな動きが地質学的にはかなり短い期間で起きており,さらに銀河宇宙線と大気が反応して生成されるベリリウム10の量がより多く氷床や海底に蓄積されるのだ.ここに全てを記すことはできないが,目では見えない地磁気の証拠が様々な形で地球上に記録されており,そこから過去の地球の姿も知ることができる.
古地磁気を明らかにすることで,海洋底拡大説やプレートテクトニクス,ネアンデルタール人の絶滅などに根拠を加えることができる上に,気候変動の将来予測までできるのだ.その最先端の研究が行われているのが「チバニアン」であり,本書を読むことで環境問題や地球科学全般に対する深い理解や新たな視点を導入できるだろう. (地球惑星科学コース 3年)
地質年代のうち初めて日本の地名が刻まれることになった「チバニアン」。私は地球惑星科学を学習する日本人学生として、ぜひともそのことを知っておきたかった。
チバニアンは78.1 万年前から12.6 万年前までの期間を指し、46 億年の地球の歴史から見ればごく最近であり、千葉県房総半島の地層(以降、千葉セレクション)に登録された。しかし、この期間において千葉セクションの持つ最も重要なことは地球史上最後の地磁気の逆転が克明に刻まれていることである。地磁気の逆転とは文字通り地球を一つの磁石だと考えるとN 極とS 極がひっくり返ることで、この現象は長い地球の歴史で何度も起こっており、世界の様々な場所の地層からその記録は残されている。その中でも千葉セクションが特別な理由は地磁気が逆転する過程が1000 年分の土砂が約2 m の厚さで堆積している点である。一般的な地層では1000 年分の土砂は数10 cm の厚さであり、この期間に起こる詳細な環境変動を解析するのは難しい。千葉セクションを詳しく解析することで地磁気が逆転する様子を綿密に推定できる。
本書では、地磁気の発見から地球環境と地磁気の関係、そして地磁気の逆転とはいったい何かまで基本から書いてあり、また科学用語があまり使われていないため地球惑星科学に従事していない一般の人々にも本書の意を理解しやすいと考える。ぜひ、興味をもった方は読んで欲しい。 (地球惑星科学コース 4年)
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「チバニアン」の名前は話題になったが、その意義は本書で初めて理解した。意外だったのは、今から77万年あまり前という地学的スケールではつい最近、ジュラ紀とか白亜紀よりずっと現在に近い時期を示すものということと、そこに地磁気逆転と氷期・間氷期の境を含んでるということ。
本書は、地磁気逆転の発見やその調査方法について詳しく描かれている。ただ、本書のサブタイトルを見て地磁気逆転のメカニズムが知りたかったのだが、それはまだよく分かっていなのか、あまり触れられていないのが残念。いずれにせよ、岩石や氷床に含まれる微小な情報を読み取るという極めて高い感度の技術に驚かされる。
それにしても、地磁気があるからこそ地球に大気や生命が存在しているのだと思うと、あらためて地球という存在の絶妙さに感慨を覚える。
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地磁気逆転の本は何冊か読んでいるが、その痕跡が千葉の地層から見つかったというのは凄いことです。
チバニアンという名称は何となくゆるキャラを連想するのでそのうちイメージキャラクターとか出来るかもしれませんね。
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◯この本は一言でまとめるとプロジェクトX。いつものブルーバックスよろしく、噛み砕いた説明で、地学の歴史から最新の研究まで網羅しているものの、読み物として面白いのである。
◯地学に対する知的好奇心を満たすように読み進めていたが、終盤に至って、それまでとは異なり、不穏な空気に包まれる。「団体」の登場である(調べてみると、どうも個人のようだ)。なんのことだと二度見した。注釈がここまでに記載されていたいわゆる注釈ではなく、筆者の思いが溢れている。団体からの抗議、妨害活動が語られ始めるのだ。
◯学術的なものがどのように合意されていくのか、過程を知らない者にとっては、様々な紆余曲折やよく分からない拘りの元に遅々として進まぬことがあることを知る。とりわけ驚いたのは、地学において地中海近辺でなければならないという主張。もはや近代以前の発想である。科学とは平等ではないのか、、
◯国際地質学連合における審査の二度にわたる延期、団体からの妨害、様々な困難を乗り越えて選定されたチバニアン。見に行ってみるのも感慨深いのかもしれない。
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千葉県市原市地層の GSSP 認定と、更新世「チバニアン」期命名のニュースは記憶に新しいところ。その旬を逃さずに、地磁気研究の歴史、基礎から最新の研究成果までを網羅した著作を出版に漕ぎつけたブルーバックス編集部の手腕は驚きを通り越して、人外の何かを見ているようだ。池谷裕二、中川毅などの著者発掘に続く快挙で、最近のブルーバックスは本当に元気だ。
惜しむらくは本書にも触れられている「団体」の存在だが、論理と理性が主体的役割を果たす学術研究の世界と言えども、こういった障害を乗り越えられなければ、事は成せないのだと思ってあきらめるしかない。そういう障害をものともせず、GSSP認定と地磁気の謎の究明に邁進した(している)著者や関係各者に最大限の賛辞を送りたい。
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いやあ、おもしろかった。磁気の研究の歴史から始まっているのも良かった。勉強になった。それにしても、チビアンにしなくて本当に良かったですね。なんかちょっと安物のミネラルウォーターみたいですし。さて、このチバニアン決定までにはいろいろな障害があったようで、なんかドラマみたいでした。池井戸潤あたりが小説の題材に使うのではないかなんて。地磁気逆転についてはいくつかの本で読んでいるし、その影響は伊与原新さんの小説などでなんとなくイメージしていた。しかし、その原因について、大きな間違いをおかしていた。マントルの対流による電流で磁界ができると思っていた。実際には外殻の中で溶けた鉄が移動し、電流が流れて磁界ができるようだ。そんなに詳しく授業で扱うわけではないが、磁界が反転することがあるという事実、そしてそこから起こりうる影響、また磁界がある理由、地球内部が未だ冷えて固体になっているわけではないという事実などなど、小中学生でも十分に興味を持ってもらえる内容ではないだろうか。そう思って話をしてきたのだけれど、間違っていました。申し訳ありません。でも、どこでどう間違ったのだろう? ところで、P.220の人類世というのは人新世の間違いだろうか?
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2020/12/01読了
大学の講義で地球磁気学をとっていて
少しずつ興味を持ち
テスト勉強がてらに購入
やはりブルーバックスは図や写真などが豊富で
非常に分かりやすい
講義を全て受けてからの本であったので
内容がすらすら入ってきた
しかし前半の内容(地磁気逆転)などは
初学者には少し難しいのかもしれない
星4の理由は
後半の内容に少し失速を感じたからである
前半は逆転の詳細や時期の説明など
非常に詳しく書いてあった
後半はチバニアンの内容だったが
チバニアンがどんなにすごいものか
というよりも、
コレ登録めちゃめちゃ大変だったわ~
というような内容
夢やロマンのある古地磁気学
もっとアピールしてもいいのではないか
と思いました
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チバニアンが報道されていた時、何か素晴らしい発見が日本であったんだという程度で地磁気逆転も名前を知っている程度だったが、基本知識から丁寧に説明がありわかりやすかった。地球科学の分野はまだまだ理論が大きく変わり得る発展途上な学問なのだと感じた。
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地球の地磁気が過去に逆転した痕跡を観察できる地層として、千葉県の市原市の地層が一躍有名になったのはつい最近のことですが、本書ではそもそもなぜ地球に地磁気があって、その果たしている役割や、環境に与える影響について解説してくれています。
地磁気や磁石に関する歴史の紹介では、中国が都市建設に際して風水のために磁石で方位を測ったことから真北を基準としていないのに対して、日本の都が真北を基準としているのは、とても興味深い対比でした。また方位には偏角と伏角があることも知りました。地磁気の方向や強弱により、こうした角度も影響を受けるとのことです。興味深かったのは、体内に磁性鉄をもつ生物が、地磁気を感知して行動するということでした。地磁気逆転現象は、フランス人のブルンと日本の松山が発見者として名高く、直近の地磁気逆転は77万年前だそうです。市原の地層でもこの痕跡が観察できる、とのことですから一度是非見に行ってみたいと思いました。そもそも地層から地磁気の逆転が観察できるのは、岩石や溶岩が磁性を固定するからですが、当時の地磁気の方向がこうして判明する、というのは大変神秘的な現象だと感じました。地磁気が大きく北極や南極からずれることをエクスカーションというそうですが、直近では4万1千年前に起こったそうです。フランスの地名からラシャン・エクスカーションと名付けられていますが、この時期がネアンデルタール人の絶滅と時期的に重なるため、影響があったのではと推測されているようです。エクスカーションで地磁気が弱まり、オゾン層が破壊され紫外線が強まったことによる影響と考えられているようです。地球の地磁気が太陽風から生物を守っているのです。1859年に太陽のフレアが突発的に発生すると、プラズマと磁場が一緒になって宇宙に放出され、その影響が地球に及んだことが紹介されています。この時、電化されていた国、例えばアメリカでは磁気嵐で電信ネットワークがダウンしたのですが、同様のイベントが今発生した場合の社会、経済への影響は甚大でしょう。地磁気がない火星では太陽風の影響によって大気や水がなくなってしまったようです。地磁気が地球上の生命に及ぼす影響の大きさを認識させられた良書でした。
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地磁気が逆転するということを高校で習ってぼんやり知ってはいたものの、なぜそんなことが起きるのか、どうなるのかなどちゃんとわかってなかったなーと。レーマン不連続面のレーマンは女性だと初めて知った。
地磁気が全く逆転しなくなるスーパークロン、北極または南極から北磁極、南磁極がはずれる地磁気エクスカーション、そしてチバニアンが年代を特定した松山ーブルン境界などなど、知らないことがたくさんありました。
学問のへりでこそ面白い研究があるものだなぁとしみじみ。たまにこういう本も大事です。
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2020年に地質年代の名称として決定したチバニアン。
審査から決定に至る過程において重要なファクターとなった、地磁気逆転。
地磁気の発見からなぜ地球には地磁気が存在するのか、地磁気逆転とプレートテクトニクスが深く関わったことなど、歴史からその検証に至る過程を解説。
そして、地磁気逆転のうち最も最近の松山-ブルン境界の時期を特定するのに千葉の地層が大きく貢献する。
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ある「団体」の妨害行為でも有名になったチバニアンだが、国際的に認められるための当事者たちの奮闘には胸が熱くなる。