電撃文庫版を読めた人が羨ましい
2020/07/01 17:37
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Nagi - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は、作者の甲田さんが本作品でデビューを果たした2001年に電撃文庫として発行されたものを大幅改稿したもの、だそうです。
ジャンルはオカルト学園ミステリー。(だと思います)
作者さん曰く、
「時代が当時よりますますデジタル化したので、例えば今でいうところのガラケーをスマホに変えたりなど、今の時代に違和感なく読めるように改稿した部分もある」
とのこと。
シリーズ全13巻の第1作目だそうです。
神隠しの噂がある地域に広がる学園都市を舞台にしたお話。
聖創学院大付属高校に在籍する学生、空目(うつめ)恭一が学友3人に「彼女」を紹介した後、忽然と消えてしまいます。
空目と同じサークルで友人として仲が良かった3人の学生は、彼のことをそれぞれが
「カリスマ」「初恋相手」「幼馴染」と位置付けており、彼の失踪やその直前の「彼女紹介」という彼らしからぬ行動に疑念を抱き、
「神隠しでは…?」
と彼の捜索に奔走する、というお話です。
冒頭は、この町に伝わる伝承と空目と「彼女」の出会いのシーンから始まるので、空目が主人公かな、と思ったのですが、4人全員がメインキャスト。
電撃文庫版読了の知り合いによると、このあとシリーズでは主に「あちらの世界」と繋がりやすい(らしい?)空目の活躍が際立つそうで、シリーズ1作目として見ると、空目の活躍が地味(実は一番すごいことをやってのけているんですが)でも納得、という感じでした。
メインキャストの4人+異界からの攻撃を阻止する「組織」のエージェント・基城氏と一緒に疾走していく感覚で、あっという間に読了してしまいました。
あっという間と感じながらも、密度がすごい。
読み進めれば読み進めるほど、主に空目の行動が謎過ぎて、途中で休憩を挟めませんでした。
読む側にずっと気にならせるストーリー展開がとにかくすごかったです。
メディアワークス文庫版を読む今の私は、基城氏に近い年齢、彼が「こちら」の世界を守るために、大切な家族を守るために家族を捨てて異界と戦うのだ、という下りに切なくなってしまい、彼の結末に「作者さん、助けて欲しかった(無理なのは分かっている)」と思ってしまいます。汗
まだ高校生だったころからそれほど経っていない2001年にこの作品と出会えていたら、もっと違う読み方や感想があったんじゃないかと思うと、リアルタイムで作者さんのデビュー作品を読めなかったことが悔しいです。
そのくらい、空気が現在と2001年当時、同時に物語の中独特のものが絶妙な匙加減で溶け込んでおり、ぐいぐいとラストまで引っ張られていくお話でした。
twitterにて、作者さんを始め多くの作家さんが「初動大事なので予約や発売1-2週間以内に購入お願いします」と仰っています。
シリーズ1作目の初動が芳しくないと続刊を出せないとのこと。
全13作品を読破したいので、伝承モノ伝奇が好きな方には、ぜひ購入のご協力をお願いしたいと思っています。
全作を読みたいと思わせる大好きな世界観と空気のお話でした。
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過去に電撃版を読んでいたので新装版が出ると知って迷わず手に取りました、空目が令和の学生になっている…
彼らを取り巻いているのは怪異なんだけどもやっぱり印象が強いのは「空目がいるからなんとか成り立っている少年と少女の集団」だなと。4人(空目をいれて5人)、割と電撃版読んでた当時からあんまり仲良くないよなと思っていたけど新装版でも円滑な人間関係には見えなくて、そこが逆に学生らしく生々しくてずっと覚えていたところがあります。大体亜紀が皆に心を許していないのが原因だろうな、というのと俊也があそこまで空目に心を砕いているのに空目本人は俊也のそういう心中を知ってか知らずか、少なくとも彼が必死に空目を守っているところを目の当たりにしておいて、生の欲求が大幅に傾かないところが相当ずるいひとだな…と思う。
辰巳くん相当頑張ったはずなのに全く褒められないで終わってしまったね、でも彼は空目の信者なので彼が現実に帰って来ただけで辰巳くんからしたら十分かもしれない。
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神隠し――それは突如として人を消し去る恐るべき怪異。
学園には関わった者を消し去る少女の噂が広がっていた。
魔王陛下と呼ばれる高校生、空目恭一は自らこの少女に関わり、姿を消してしまう。
空目に対して恋心、憧れ、殺意――様々な思いを抱えた者達が彼を取り戻すため動き出す。
複雑に絡み合う彼らに待ち受けるおぞましき結末とは?
そして、自ら神隠しに巻き込まれた空目の真の目的とは?
鬼才、甲田学人が放つ伝奇ホラーの超傑作が装いを新たに登場。
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以前の電撃文庫版も持っていたけど、引っ越しの際にどこかへ紛失してしまったので、新装版としてでもまた手元にあって読めて嬉しい。
改訂した箇所はなんとなく予想はつくが確認出来ないのが残念…。
できれば全巻揃って発刊して欲しい!
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神隠しの噂が伝わる町で、いわくありげな少女を連れてきたのは、高校でも随一の変わり者でありいろんな意味で一目置かれている空目という少年。通称「魔王」とも呼ばれる彼はしかし、少女とともにこの世から姿を消したのだった…
まず通称が魔王とは!?と思わなくもありませんでしたが、複雑な過去を持つ空目を中心に、一癖ある仲間たちが彼を取り戻そうと四苦八苦する展開は無駄なくスッキリ読ませてくれますし、なおかつゾッとさせる冷たい雰囲気も湛えていて、まっすぐに十代を描いた小説として楽しめました。
クライマックスの桜舞う場面は美しくおそろしく、そして最終盤のさらりとした救いの描きかたには温かみとほっと息のつけるやさしさを感じました。
謎めいた存在が出てきたり、まだ解明されていないことも多いので、続編の復刊も期待したいです。
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異界の匂いを思い出すと同時に、電撃文庫で読んでいたあの当時の空気も思い出した。
物語はこうやって易々と年月の隔たりを飛び越えて、当時の感覚をこうも鮮明に蘇らせてくれるのかと。
登場人物たちのその後のことも分かった上で改めて読む一作目は色々な意味で感慨深かった。
そう言えば一作目は魔王陛下は囚われのお姫様状態であまり出番がなかったなと懐かしく思い出しつつの読書。
存在感ありありの人が存在感皆無になるという。
あやめちゃんの能力のせいでもあるけれど。
メインキャラたちの背景が本当に色々濃いから、一作目からかなりの情報量である。
また神隠しに対してのアプローチの仕方が異なるから、多方向から攻めていき、最後に合流するのもまた面白い。
まだ血生臭さは少なめ。
今後はどんどんえげつない話にもなってくるから、できることならメディアワークス文庫でも追いかけていきたい。
売り上げ次第だが一応一巻予定とのことだが、覆ってくれることを願う。
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中学だったか高校だったかに読んで、今回再読。
改稿されてるらしいが全く内容を覚えていなかったので、初読の気持ちで読んだ。
淡々としてるというか、キャラクターの性格を地の文で説明してるのが多いな~という印象。学生時代に読んだときはもっと面白かった気がするのだけど。
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わたしが中学生のときに夢中で読んでいた伝奇シリーズの改訂版。
小野不由美さんの「残穢」のような、
伝染する怪異のお話です。
民俗文学や伝承文学、都市伝説を基盤としたホラーで、
とにかく怖かった記憶がある。
伝承文学、昔話や説話が大好きなので、
それを使ったライトノベルということで、まあそれは夢中になりました。本屋で改訂版を見つけた時は思わず二度見。この歳になってこのシリーズをまた楽しめるとは、嬉しい限りです。
シリーズ1作目の怪異は「神隠し」。
神隠しが「伝染」していくのを説明していくのが面白いのだけれど、1作目はキャラクタの説明が多くて、良くも悪くもライトノベルという感じ。
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学生時代にハマっていたシリーズの新装版ということで購入。
学校都市という閉鎖空間で変化していく人間関係の生々しさ、怪異によって引き起こされる事件の残酷さや解決しても残る後味の悪さ、五感全てに訴えかけてくる恐怖や嫌悪感。リアルタイムで読んでいた頃の感覚が鮮明に思い出され、怖いのに続きが見たくて一気に読んでしまいました。派手なホラー演出はありませんが、ふとした瞬間にざわざわと蘇るような怖さがあって私は好きです。
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甲田学人さんのデビュー作が装い新たに登場とのことで購入。学生だった当時のことを思い出しつつ読了。
当時としては新しいが、今では古い情報テクノロジーの面などに修正が入っているとのことで、そこまで違和感なく読むことができた。
筆者の最近の作品を読んでいた場合、処女作たるミッシング1巻は文章などに物足りなさを感じるかもしれないが、あくまで『デビュー作』であり『新装版』なのだということをお忘れなく。
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中学生の頃にハマって読んでいたシリーズ。
旧版をどうにか揃えたまま放置していたら、新装版が出版!ということで、旧版と新装版を読み比べる。やはり懐かしさを感じる。
話の流れに変わりはないが、ネット環境や表現の仕方、色、登場人物の雰囲気が少しだけ変わっている。登場人物の雰囲気が変化するとは思っていなかったが、これもありと思える。
授業が週6日制のままになっていたことには驚き。今の学生が読んで不思議に思うかもしれない。
携帯を持っていないという設定も、現代人は驚くかもしれないが、こういう人がいてもいいと思う。
変わらず厨二病心をそそられる作品。
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学生時代にはまって読んでいたラノベの新装版ということで購入。イラストがだいぶ現代寄りに。空目のキャラデザは以前のほうが好みかもしれない。
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文章が不思議で、物語の世界に入り込みやすかった。
不気味だけど、なぜか「美しい」と感じる。
美しい文章が好きな人、ファンタジー・ミステリー好きな人におすすめ!!
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「魔王陛下はかく語る」
突然現れた二人。
態と無視しているなら分かるが、同じ空間に居て話題に出ている人物が傍に居るのに気付かない事は違和感しかないだろ。
何一つ自分の口から情報を語らない時点で、何かしら訳ありだと考えたりしないのだろうか。
「幽霊少女はかく語る」
目覚めた場所は。
興味本位で追い続けていたのだろうが、明らかに景色がおかしくなった時点でやめていたら消えたと考えなかったかもな。
会話の内容や最後に見た表情を見た時の印象から、害ある者なのか分からなくなったのかも。
「夜の魔神はかく語る」
居なくなった者。
大切にしていた子供の方が無事に帰宅していたら、家庭は壊れることなく何も無かったかのように日常が過ぎてたのかもな。
自ら望んで行ったといえど、助けたいと言う者たちが居る限りは簡単には行けないだろうな。
「魔狩人はかく語る」
特別な診察券を。
自分の手札は開示せず相手から情報を得るばかりの状態で、まず信じろと言われても難しいだろうし余計に怪しく思うだろ。
虐めている人間は忘れるだろうが、された者は一生傷を負ったまま過ごす事を知るべきだろ。
「日常」
繋がってしまう。
考えてみれば直ぐに感じるであろう疑問に誰も気付かなかったのは、あまりにも浮世離れしている状況のせいなんだろうな。
連絡をとる手段があれば頼りたくなるだろうが、相手が現世に居ない事を忘れてはダメだろ。
「そして彼等はかく語る」
パチンと消えた。
干渉しなかった世界を無理矢理繋ぐ者が現れたら、犠牲者が出ないよう務めるのは当たり前だが目の前でやるのは酷だろう。
怪我人がいる以上仕方ないが、この状況を素直に全て話す訳にもいかないから大変だろうな。
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主人公ほとんど出てこない(笑)
怪奇系のお話、ホラー要素はない。
友人のためにみんなで協力するところは良い。
弟戻ってくるかと思った…けど、来ないのね。
これはシリーズものなの…?それならちょっと楽しそう。