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さすがは宮坂先生、内容的には、新型コロナについてこれまで分かっていることと、まだ分かっていないこと、仮説はあるが検証が待たれることの総まとめ。特にご専門の「免疫」機能の働き方については当然ながら解説が非常に詳しい。(一般向け書籍としてギリギリまでの詳しさかと) また、ワクチンについても網羅的に解説されており…要は、「新型コロナとは何か?」について、現時点で分かっていることを良心的に網羅的に解説した本として基本書として持っておいて損はないであろう内容かと。
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12月2日新着図書 【新型コロナ感染の流行が始まって以来、さまざまな情報があふれていて、取捨選択の見極めが難しくなっている状況の中で、現時点での新型コロナの事実と憶測をはっきりとわかりやすく示してくれます。】
タイトル : 新型コロナ7つの謎 : 最新免疫学からわかった病原体の正体
請求記号 ブルー490 : Mi
https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB28177956
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免疫学者である著者が新型コロナを題材として書いたもので,免疫の仕組みや分子生物学を理解するのに良い本である.
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(Amazonより)
新型コロナウイルスが中国で発生したのは、2019年12月。それからわずか半年の間に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は瞬く間に世界に伝播し、10月末には全世界の感染者数は4400万人を突破し、死者は120万に迫ろうとしている。このウイルスは過去にパンデミックを引き起こしたインフルエンザウイルスとは明らかに違う性質を持っており、得体の知れない様々な謎を秘めている。「あり触れた風邪ウイルスがなぜパンデミックを起こしたのか?」「幼児は、感染しても軽症が多いのに対して、高齢者が感染すると重症化しやすい。なぜかくも症状に差が出るのか?」「なぜ獲得免疫のない日本人の多くが感染を免れたのか?」「有効なワクチンは本当に開発できるのか?」など誰も知りたい新型ウイルスの7つの謎に、最新の科学的知見に精通した免疫学の第一人者が果敢に挑む。本格的流行期を前に必ず読んでおきたい「読むワクチン」。
日本を騒がす風説を一刀両断!
●「実は日本人の大半はコロナに感染。集団免疫はすで確立している」は本当か?
●「コロナはただの風邪。恐るるに足らず」は、危険で間違っている!
●徹底的なPCR検査でも、コロナウイルスの封じ込めができない理由とは
●インフルエンザにすぐ感染する子どもたちが、コロナに罹りにくいのはなぜ?
●BCG接種にコロナウイルス感染を防ぐ力があるは本当か?
●トランプ大統領を救った?人工的中和抗体は「ゲームチェンジャー」になるのか
●抗体には、症状を悪化させる悪玉抗体、何の役にもたたない役なし抗体もある
ブクログの献本企画で初めて当たっていただいた本なのでとても嬉しかったです。
発行日は11月、書かれていたのは10月頃のようなので もう3ヶ月くらい経っていて状況も変わりつつありますよね。
感染力の強い変異株が入ってきているようなので 持病持ちとしてはとても怖いです。
内容は専門的過ぎて私には難しい部分もありましたが その部分は読み飛ばしてくださいとちゃんと書かれてあり その他の部分はとてもわかりやすく丁寧にかかれていると思いました。
自然免疫と獲得免疫について、ヘルパーT細胞とB細胞とキラーT細胞について、善玉抗体と悪玉抗体と役なし抗体について、などとても勉強になりました。
ワクチンについて書かれている部分は とても興味深いものでした。
ワクチンの認可に関わる問題についても読んでみると それまで疑問に思っていたことが更に強い疑問に変わりました。
私が住んでいる地域では 死亡数が東京より多い気がしていて とても気になる部分なのです。
たまに若い人が重症になっていたり 死亡していたりすると 身につまされる思いです。
自分に出来ることをやるしかなく 余計なことを考える暇を作らないよう、本を読んだり映画を観たりと何かしらするようにしていますが この状況がいつまで続くのか...子供達の将来も不安ですね...
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新型コロナについて、免疫学の観点から解説するもの。一部専門的で難しい点も含むので、他のものと合わせて理解したい。免疫って複雑ですね…
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新型コロナに関する報道は本当に多いですが、玉石混交で何が正しいのか、何が間違っているのか、私自身も分からなくなることが多いです。テレビやネットではなく、ちゃんとエビデンスに基づいた情報が欲しいと思い本屋に行っても新型コロナを扱う書籍もまた玉石混交。そんな中、ブルーバックスなら間違いないだろうと思い、11月に発売になったばかりの本書を読んでみました。詳しい内容は、本書をお読み頂きたいのですが、トピックスとして私が「なるほど!」と思えたのは次のような項目でした。
1)PCR検査、抗原検査、抗体検査の違いとそれぞれのメリット、デメリット
2)新型コロナの症状は風邪やインフルエンザとは違うのかどうか
3)なぜ子供は重症化する事例が少ないのか
4)集団免疫に関するマスコミの大きな誤解と、実行再生産数の意味
5)なぜ重症化する人と、軽症で済む人の違いが出るのか
6)ヒトの免疫の仕組みの概略
7)ワクチンの効果が長期間持続するケースとそうでないケースの違い
8)中和抗体、役なし抗体、悪玉抗体の3種類の抗体の違い
9)DNAワクチン、RNAワクチン、不活化ワクチン、弱毒生ワクチンなどワクチンのタイプ別の違い
10)ワクチン開発のプロセスの概略
11)著者がゲームチェンジャーと位置付ける人工抗体とは
著者は免疫学者でいらっしゃるので、免疫のメカニズムの解説は少し難解で、著者自身も「ここは読み飛ばしてもらってもOK」と述べられています。しかし、それ以外の大部分は医学の知識が無くても理解できますし、日々の報道を理解する上でも非常に役立つ情報が満載でした。
本書が発売されて以降も第3波の感染拡大など局面がどんどん変化していますし、新しい知見も次々と発見れています。でも本書出版時点における新型コロナの”正しい”知識を得られるという意味で、非常に充実した1冊だと思います。
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第1章 風邪ウイルスがなぜパンデミックを引き起こしたのか
感染症の広がりを示す用語:エンデミック、エピデミック、パンデミック。
歴史的パンデミック:天然痘、インフルエンザ、SARS等。
パンデミックの原因としては、グローバルの環境変化とウイルスの易変異性の二つが挙げられる。その意味でパンデミックは不可避である。
第2章 ウイルスはどのようにして感染・増殖していくのか
ウイルスの性質。単独では生きられず、宿主細胞に入って増殖する。SARS-CoVはACE2受容体経由で細胞内に侵入する。SARS-CoV侵入後には細胞内でIFNが作られにくいため、増殖されやすい。感染細胞はアポトーシスを起こすことでウイルス排除を行っている。ウイルスの侵入〜増殖の経路ごとに抗ウイルス剤の作用点がある。ウイルス検査には抗原検査、抗体検査、PCR検査があり、PCR検査が決定的である。
第3章 免疫vs.ウイルス なぜかくも症状に個人差があるのか
新型コロナウイルスの症状や流行の様子は風邪やインフルエンザとは異なり、多岐にわたる。免疫のメカニズムには自然免疫と獲得免疫がある。自然免疫は特異性が低いが立ちあがりが早く、獲得免疫は免疫記憶を持ち特異性が高いが応答に時間がかかる。自然免疫が作動するとサイトカインが産生され、獲得免疫が起動する。その場合通常は炎症反応が生じるが、COVID-19の場合サイトカイン産生が遅れる傾向があり、そのため感染しても無症状期間が長く、流行し易い。免疫反応の強さには個人差があるが、自然免疫の強さ、個別HLAの違いなどが一つの要因である。感染しても抗体が産生されるとは限らない。
第4章 なぜ獲得免疫のない日本人が感染を免れたのか
日本の感染者数が少ない理由はいくつか仮説があるが、いずれも決定的ではない。各種ワクチンなどにより訓練免疫が強まっているという説もある。BCGの特定株の接種が有利に働く可能性もある。類似ウイルスに既に感染していることで交叉免疫を得ている可能性もある。生活習慣などの影響は考えにくい。
第5章 集団免疫でパンデミックを収束させることはできるのか
集団免疫を得ることでCOVID-19感染を収束させることは難しい。免疫に抗体以外の要素が関わっていること、人口は免疫学的にムラがあること、免疫記憶が永続的とは限らないこと等を考えると、集団免疫の形成に大きな期待はできない。
第6章 免疫の暴走はなぜ起きるのか
COVID-19感染者が重症化する原因としてサイトカインストームによる広範な組織障害が挙げられる。ウイルス感染後にインターフェロン産生が抑制されるが、ある時点で急激にサイトカイン産生がリバウンドして、炎症反応が劇症化する(経路A)。さらに血管内皮細胞に感染して血栓を生じる(経路B)、ACE2を経由した炎症の劇症化(経路C)などのメカニズムが考えられる。悪化要因は高齢、慢性炎症疾患など複数である。サイトカインストームを止めるためにはアクテムラなど抗体製剤が有効である。
第7章 有効なワクチンを短期間に開発できるのか
ワクチン接種により単に抗体が産生されるだけでは不十分であり、善玉抗体が主に産生されなければならない。開発には第三相試験が必要であり本来は十数年以上の時間を要する。副反応も十分なモニタリングが必要である。反応効果の持続性も予測が難しい。開発スピード面からDNAワクチンの実用化が有望視されているが、許認可には拙速にならぬよう十分な目配りが必要である。また人工抗体の投与で重症化を防ぐ方法も開発されており、今後有望である。
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新型コロナに対する知識を少しでも付けることは大事だと感じられる本。
マスコミがコロナは怖いから気をつけないといけないとか逆にコロナなんてインフル以下のウイルスだから自粛なんていらない!という両極端の考え方ではいけないと感じた。
ウイルスは人間達が日々行っている環境破壊から未知のウイルスが作られているという考えも腑に落ちた。だから最近言われているSDGsを達成させることもこのようなことにつながる。個々人の環境を守る行動も将来につながる。そういう視点も大事だと感じた。
コロナは人によって出る症状が大きく違う。またインフルのようにわかりやすい症状が出ないからやっかい。などコロナに対する基本的な知識や専門的な内容を素人でもわかりやすく説明してくれる本。
今まで何冊かコロナ関係の本を読んだが、1番腑に落ちる内容でとても勉強になった。
これからコロナに対して、正しく怖がって感染防止に努めていきたいと感じた。
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何かと情報が入り乱れているコロナウイルス。本書はウイルスに関する基本的な知識から免疫のシステム、有効なワクチンの開発まで網羅的に言及している。
ブルーバックス らしく一部専門的な部分もあるが、全体を通して分かりやすいので、「コロナはただの風邪」と言う人も、日々のニュース過敏になってる人も、まずは本書で基本的な知識を身につけてみてはどうだろうか。
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新型コロナウイルスに対して、専門家が、真正面から丁寧に解説した本。このウイルスが、とにかく複雑な反応を人体に起こし、とても厄介なことがよくわかります。とにかく断片的な知識で、簡単に物事を判断しないことが大事だと思いました。
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ブルーバックスで免疫についての著書を持つ著者が、新型コロナウイルスと免疫の働きの関係に焦点を絞って解説した新書。2020年10月脱稿、11月発行。
急いで発行する必要のある一冊、ということもあり、著者の前著からイラストを引用したりする部分もある。おそらく、すでに免疫学についての基礎知識がある人は冗長さも感じる一冊だと思われる。しかし、それがない人間にとっては、今一番の関心事を縦軸に免疫機構の基本を学ぶことができる一冊。
個人的に興味深かったのは「新型コロナウイルス感染ではⅠ型インターフェロンがうまく作られない(p.98)」という話。
ウイルスが感染した時、細胞はⅠ型インターフェロンを出す。それは他の細胞の対ウイルス活性を高めるし、いわゆる「風邪」の症状を起こして体の免疫力を高める働きがある。
新型コロナウイルスがある程度まとまった数で体内に入ると、このⅠ型インターフェロンを細胞に出させない。それは新型コロナウイルスの増殖には有利であり、一方で「風邪」の症状が出ないので人は通常通りの活動をするため結果的にウイルスを他者に感染させがちになるのだとか。
「症状が軽い」と聞くと大したことないウイルスのように感じてしまいがちなんだけど、新型コロナウイルスがそのように「見せかけている」ところがあるらしい。
ただ、炎症を起こしてウイルスにやられた細胞を殺す形でウイルスをやっつける機構(この機構の伝達物質は炎症性サイトカイン)は働いていて。これが暴走することで、肺だけではなく血管や多臓器での多発的な炎症が起き重症化する。それが基礎疾患を持つ人ほど起きやすいらしい。
新型コロナウイルスにかかわる話を広く扱っているため、正直なところたくさんある言葉を消化しきれていない感はある。
ただ…新型コロナに限らず免疫とウイルスの関係はとても複雑。その複雑さをこの本を通読することで垣間見られるのではないか、と思う。
この本の本題ではないのですが…糖尿病や肥満症を「慢性炎症」に伴う症状とみる見方があり、この慢性炎症の諸症状と新型コロナウイルスの重症化は関連が深いのだとか。そちらの方の本も読んだ方がいいのかな、と。
「人の興味」と「興味深い現象の仕組みについての知識」とうまくつなぐ一冊だと感じた。
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わかりやすくてあっという間に読めます。
アニメ「はたらく細胞」とあわせてみると更にイメージしやすいと思います。
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気楽に読めない部分もありますが、前作と同様、極めて平易に、素人にも分かりやすく、冷静に説明頂きました。一方的でなく、煽ったりせず、信頼が置けます。重症化の仕組み、ワクチンには悪玉もいること、人工抗体という普段あまり耳にしない方法。それにしても、人間の身体やウィルスの仕組みって神秘的ですね。
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ウイルス、ウイルスに対する人間の体の反応、ワクチン、抗体など、日常の報道では曖昧な憶測や情報が飛び交っているので、事実を把握したいと思い本著を手に取った。
敵を正しく知り、無闇に恐れるのではなく、正しく付き合うことが大切だと学んだ。一方で、進みつつあるワクチン開発は朗報ではあるが、その安全性が本当に照明されたわけではないことから、接種する場合は一定リスクは承知の上で接種する必要があると感じた。
重篤化の可能性がある高齢者ならともかく、30代40代は重症化も少ないため、ワクチンの安全性が明確に示されるまで、積極的な接種は避けたいと思う。
同時に、ワクチン開発や抗体の開発に励んでいる人間の力強さに頼もしさを感じた。私個人はちっぽけでただ不安に感じること以外何も出来ないけど、医療従事者や開発者など、人間ってホントすごいんだなという衝撃を本著を通じてあらためて感じた。武力に力を注ぐのではなく、コロナを通じて世界が手を取り合って人間の本当の意味での力強さを示してほしいと感じる。
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体系的に書かれたものを一回読むとあちこちで出てきていた情報が収まりどころができるのが感じられてよかった。一年でこれだけわかるのね。