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重要な論点がきちんとまとまっており、感服いたしました。あまりに進行が早くて、すでに陳腐化しつつある部分もありますが、そういった部分を理解しておくと、これからの展開を見ていく上で、きっと役に立つことでしょう。
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ウイルスとは一体何でどのように増殖するのか、そしてそれを排除する人免疫システムとはどのようなものなのか?ワクチンとはどのようなものなのでどんな種類があるのか?新型コロナウイルスについては何が不明でどのようなことが分かってきたのか?最新の免疫学に基づいてかなり詳しく解説してくれています。また、「6割が感染しないと集団免疫が達成されない」といったような専門家も含めた新型コロナウイルスに関する種々の発言・意見や、巷間に流布する噂や謎について解説してくれます。最新生物学に疎い一般読者にとってはやや専門的すぎる説明がありますが、そこは読み飛ばししても良いと思う。昨年10月に脱稿されたものだから、日本では年末年始の大きな第3波もやってきたしワクチンも世界的に既に接種が行われ状況は変わっているが、本書がその辺をどう予測していたか、現在の状況が実はどんな状態なのかを理解するにも役立ちそう。
本書を読んだからといって新型コロナウイルスにどう向かい合うかがハッキリするものではないのかもしれないが、ここに説明されていることぐらいはある程度は理解して判断したい。
本書を読んで自分なりにまとめると、新型コロナウイルスの問題は潜伏期間が長い上に重症化して長期入院治療が必用な人が多くなることにありそうです。だから、重症化に至らないような治療法が確立されて医療機関への長期入院者が増えないようになり、有効なワクチンで感染の拡がりも抑えられ、一般の医療機関で処方できる有効な薬ができれば、ようやくインフルエンザ並の扱いになり社会が正常化する、ということでしょうか。
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免疫に関する知らなかった事が、たくさん書かれていて、非常に面白い内容でした。
新型コロナに関する内容もですが、自然免疫に関する「訓練免疫」や「オフターゲット効果」あたりの話が、一番興味を惹かれました。
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2019年末に中国の武漢で発生したとされる新型コロナウイルス感染症COVID-19は,世界に拡散し2021年夏になっても収束の目処がたっていない.
本書は2020年11月の時点での最新情報を含めてウイルスによる感染症と人の免疫システムに関する研究を紹介している.基本免疫と獲得免疫のメカニズムやその相違についての教科書的な定説を学ぶことができるだろう.
本書はまだワクチンが実用化される前のものであり,社会状況も変わってきている.世界中で研究が行われ新しい研究成果も増えているので,本書の内容(最新の研究を紹介したとされる箇所など)で正しくないところもあるかもしれない.そこはあまり真剣に受け取らず大学の先生が講義のあいだにする雑談だと思えばよかろう.
いずれにしても新型コロナウイルス特有の性質については現在も解決していない謎もあるので今後の研究が待たれる.
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書かれたのはおそらく1年位前と思われるし、その後の経過を知った上では、訂正されるべき内容も少なくない。でも、この時点での情報を基に、これだけの考察がなされているのは素晴らしい。重症化の基本的な機序とか、それを押さえるためにはどの部分をどういった薬剤で抑えればよいとか、図解もされているし、とても分かりやすい。おそらくこれからもまだまだ登場するであろう新しい治療法を理解するためにも、必携の一冊。
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【琉球大学附属図書館OPACリンク】
https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC0390853X
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宮坂昌之「新型コロナ 7つの謎」、最新免疫学からわかった病原体の正体、2020.11発行。一読しました。私には専門的過ぎたのか、分かりにくかったです。
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コロナウイルスについての報道は抽象的な表現が多く、もやっとしていたので勉強の為に読んだ。
自分の場合は大学時代に生化学を学んでいたり慢性炎症の辺りが研究分野だったので基礎知識を思い出しながら読んだ。簡潔で分かりやすく的確に書かれているので、基礎知識のある人にとってはさくさく読めると思う。
一方で文系だったり基礎知識のない人にとってどの位分かりやすいのかはちょっと分からなかった。
コロナウイルスによる重症化事例がなぜ多臓器不全などなのか、各感染者検査の内容、コロナウイルスが何故パンデミックを起こす特徴を持っているのかがよく理解できた。
やや免疫の基礎知識を持っている分、報道の伝え方から異なる推測の仕方をしてしまっていた所もあったので、正しく理解する事は重要だと思った。
2020年時点での内容なので、最新の情報については書かれていないがコロナウイルスについて正しく警戒する為には読んでおいて良い1冊だった。
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ブルーバックスなので、感染や免疫のメカニズムがメイン。基本的なウイルス感染と新型コロナの違いが説明されているが、まだわからないことも少なくない。ワクチン接種が始まる前に出版された本で、デルタ株やオミクロン株への変異といった状況の変化もあり、もうすでに古くなってしまった部分もある。
新型コロナは、ウイルスに抵抗する能力を持つI型インターフェロンというサイトカインの産生や活性化を抑えるタンパク質を作る。I型インターフェロンの産生が抑制されることによって、炎症性サイトカインも産生されなくなるために、ウイルスが排除されにくく、風邪症状も出にくい。症状が出にくいために、感染者が社会の中を動き回り、感染が広がる結果となる。
しかし、感染が進むと炎症性サイトカインが作られ過ぎて免疫の暴走が起こり、重症化につながる。特に、肥満、動脈硬化、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患などの持病がある人では、それぞれの組織の炎症が悪化し、全身状態の悪化にもつながる。
PCR検査では、感染後数日間はウイルスが検体の中に出てこないことが多く、陽性にならない。従って、PCR検査は陰性証明にはならないため、必要な人に必要な回数行うことが望ましい。抗原検査はPCR検査より感度が低いが、迅速、安価、容易にできるので、頻度を上げて行うことで空白を埋めることができる。
免疫には、生まれた時から存在する自然免疫と、感染によって発達する獲得免疫の2つがある。自然免疫系の食細胞には、マクロファージ、単球、樹状細胞、好中球などがあり、異物を細胞内に取り込んで分解あるいは殺菌する。また、サイトカインを作ることによってリンパ球による獲得免疫の働きを増強する。自然免疫が働かないとワクチンの獲得免疫も動かないため、免疫増強物質のアジュバントが入れられている。
獲得免疫の主役で、白血球の1つであるリンパ球にはT細胞とB細胞があり、T細胞にはヘルパーT細胞とキラーT細胞がある。ヘルパーT細胞はウイルスを感知すると指令を出して、B細胞に抗体を作らせて血液や体液中のウイルスを殺し、キラーT細胞を活性化させてウイルスに感染した細胞を殺す。
T細胞の機能は、各個人が持つヒト白血球抗原(HLA)の型によって変わり、1万種類以上ある。抗原提示細胞の代表である樹状細胞は、細胞内に取り込んだ抗原の一部を細胞膜の上に提示して、T細胞がそれを認識する。ワクチンに対しても、結合できるHLAを持たない人は抗体を作ることができないが、別のワクチンでは抗体を作ることができる場合もある。
BCGや結核菌の菌体成分は自然免疫を強く刺激する。BCGが広範に接種された日本などの東アジアでは新型コロナによる死者数が少ないが、南米では死者数が多く、死者数が少ないオーストラリアやニュージーランドでは広範なBCG接種が行われていない。新型コロナの持つ特定のアミノ酸配列に反応するT細胞は、鼻風邪コロナウイルス由来の抗原で活性化するとの研究結果もある。
抗体には、ウイルス感染を抑える中和抗体、ウイルスを殺せない役なし抗体、感染を促進させる悪玉抗体がある。不活化ワクチンでは、どの抗体���できる可能性がある。
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ウイルス感染の基本的な知識を踏まえて、新型コロナウイルスが持つ特徴について科学的に解説した本。
個人的には、自然免疫に対する訓練免疫の話が興味深かったです。免疫システムはとても複雑で、まだまだ未解明な部分があることを改めて実感しました。 2020年11月に出版された本なので、現時点ではすでに古くなっている情報もありましたが、「敵を正しく知り、正しく恐れる」ための基礎知識が簡潔にまとめられた良書だと思いました。