平和に感謝せずにはいられない
2021/09/16 17:40
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:future4227 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の続編。胸がキュンキュンしてしまう話だった。目を合わせるだけでドキドキしてしまうようなピュアな恋愛。でも、ただの恋愛話でないのは、そこに生まれ変わりというテイストが加わっていること。そして、平和を願う作者の強い思いが、前作で戦時中にタイムスリップした百合のひと言ひと言に託されていることも単なる恋愛小説とはひと味違う。期待通りの結末でホッとした。ただ、前作を読んでいないと百合が時折見せる驚きの表情が、なんでなのかがわからないかもしれない。やはり前作から読むべき作品。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ランディ・B/M - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作の終わりに彰の生まれ変わりの涼とのめぐり逢いを書いたことに一部の読者から批判があったと作者のあとがきに書かれていたが、あのまま彰と会えなくなってしまう切ない結末より、現代に戻っての涼との続編があって、良かったと思った。ただ、自分が涼だったら涼のように彰と百合を受け入れられるかは自信がないが。でもよい結末だったと思う。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
先に、あの花が咲く丘、を読まないと、なぜこんな感情に百合がなるのがわからないと思います。それでは感動が半減。ぜひ、こちらは、後からお読みください!どちらもいいお話です!
基本的にはキレイないい話
2022/08/27 12:11
3人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Aki - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作が有り、続編であると言う事をもう少しわかりやすくして欲しいです。
前作と併せて思ったのですが、遺された展示されている遺書の内容を信用しているのでしょうか?
原則的には検閲が入っている以上全てを信用する事はできません。
また前作の知人達の遺書も公的な物ではなかったと思うのですがなぜ資料館に?
投稿元:
レビューを見る
「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の続編です。前作の最後に百合の通う中学校で転校生の男の子に出会ったところから、物語が始まります。本作の主人公の涼は転校先の中学校で大人びた感じの百合に出会います。凛として真っ直ぐで正義感の強い百合に惹かれていく涼ですが、距離が近くなった百合から、過去の悲しくて忘れられない恋の話を聞かされます。
前作の号泣したシーンを思い出し、また泣いてしまいました。命の大切さ、普通に夢を追いかけることができる世の中の幸せさを教えてくれます。
投稿元:
レビューを見る
娘のレビューです。
中2の涼は転校先の学校で百合と出会う。百合は周りよりもどこか大人びていて、なぜか初めて会った感じがしない。
涼は百合にどんどん惹かれ、ついに告白する。
しかし百合から聞かされたのは過去の恋物語であった。会えなくなっても消えない百合の彰への思い。さらに百合は、涼が彰の生まれ変わりに違いないと言う。
百合が愛しているのは自分に重ねた彰であって自分ではない、と感じてしまった涼はごめん、と伝える。
その後大学生になった涼は、百合と再び会い、一緒に生きていくことを決意する。
.............
「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の続編。
個人的には前作の方が感動しました。私は相手に忘れられない過去の恋があったら、思いは貫けないです、、。別人ならまだしも本作では生まれ変わりで、難しい設定だと思いました。中学生ならではの葛藤も描かれていました。前作を読んでから、是非。
【オススメ年齢 中学生以上】
投稿元:
レビューを見る
やっぱり戦争の時を生きた人は強くてかっこいい人ばかりだったのね。
TikTokでもよく遺書や録音された特攻隊の人の声が流れてくるけど、この本と重なることが多くて胸が苦しい
今の私が当時を生き残ることは出来ないだろう。
昔の時代と今の時代。
彰と涼。
2人とも時代にあった人物像でわかりやすい。
特攻資料館、百合畑に行きたくなりました!
この本を読む前に『 あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』を読んでいたら夢中になって呼んでしまう。
そんな私は3時間かけて2冊連続で読んでしまった。
汐見夏江さんの虜( ˘˘̥ )
投稿元:
レビューを見る
前作から読んでいたので、すごく期待して読みました!戦争にタイムスリップしていた女の子に惚れる男の子の話ですが、命の大切さを戦争の辛さを描かれていることもあり、読みながらも、当たり前の大切な事を気づかされる事があります。ただ前作の方が感情移入や、ストーリーがすごく面白かったので、それを越えてはなかったというのです星4です。前作は是非読んでほしい!心がふるえます!
投稿元:
レビューを見る
前作から読んでいる作品で個人的には前作の方が感動しました。
しかし、今回の作品もとても面白く、感じることのできる作品、前作同様、戦争について特攻隊について考えること作品。
夢を見れること、将来の夢があることはすごく幸せなことである。その夢を叶えるために、諦めずに努力し続ける義務がある。そうすることでいつか他の誰かに夢を見せることができる。有名選手が僕たちに夢を与えてくれるように。
最初から逃げることを考えていたらら努力する気持ちが鈍ってしまう、人間は弱い生き物だから、追い詰められると苦しさに耐えきれなくて、どうしても逃げ負けしまう、その時のために逃げ道は塞いでおかなければならないのである。全身全霊で挑む。
恩送り、過去のことを悔やむ時間があったら、そのぶん未来のことを考えよう。他の人のために今できることをやろう、この世界から戦争をなくすことだと思った。
結末には賛否両論あると思いますが、私はこのまま孤独に暮らしていく百合を見たくなかったのでこの結末は僕にとって最高なものとなりました。
投稿元:
レビューを見る
「あの花が咲く丘で君とまた出会えたら」の続編と言うことで読了しましたが、私的には結末に少し物足りなさがありました。
これには、賛否両論あると思いますが彰の生まれ変わりが涼だと言うことは凄く良かったのですが、最終的には涼が1945年の記憶を思い出した、など彰として百合を戦争がない時代で愛して欲しかったなと思いました。
序盤や中盤ら辺は戦争を体験して分かった命の重みについて百合が話しているところは、凄く感情移入してしまいどれだけ百合が辛い思いをしたかを知ることが続編で更に分かることが出来ました。
投稿元:
レビューを見る
前作に続いてとてもいい内容でした。
あきらが涼に生まれ変わって今度は愛し合うことができたという結末が感動しました。
ただ、百合がいつまでも涼の中に明を思い出してしまうことがしょうがないけど悲しいなと思いました
投稿元:
レビューを見る
「あの花が咲く丘で君とまた出会えたら。」の続編として読みましたがとても良かった。最後の方は涙しました。彰と涼2人を愛することが出来た百合、ハッピーエンド好きの私からしたら結末が最高だったと言える。また読みたい
投稿元:
レビューを見る
前作で終わっていいと思う方もいるかもしれないが、
個人的に今作は今作であって良かったと思う。
涼がダメというわけではないのだが、、、
彰が完璧すぎた。
投稿元:
レビューを見る
『どんなに必死に自分の考えを訴えても、ちっとも分かってもらえなかったりする。おんなじ言葉を使ってても、それまでの環境とか生き方とかが違うと、まるで外国語みたいに伝わらないこともある』
特攻に行って欲しくない、生きていて欲しいという強い気持ちがありながらも、愛する人の決断を変えることのできなかった百合の後悔する気持ちがひしひしと伝わってくる1文だなと思った。
この2作を読んで、現代の人達は『死』という言葉を軽々しく使いすぎだ思った。嫌なことがあったら当たり前のように『〇ね』と言うことの出来る感覚って普通じゃない。
今はありがたいことに戦争がなくて、命を落とすことに対する恐怖が無いかもしれないけど、いつ何があるか分からない。たまたま戦争のない時代、国に生まれただけ。
SNSで気軽に言葉を発信することの出来る今だからこそ、言葉の使い方についてもっと慎重になるべきだと思う。
投稿元:
レビューを見る
あなたは、『死ね』という言葉を発したり、心の中で思ったりしたことはないでしょうか?
あなたは、仕事や何かの練習に疲れて『死にそう』とか『死ぬほど』という言葉を発したことはないでしょうか?
昨今の少子高齢化によって私たちは直接誰かの”死”と接することが少なくなりました。例えセレモニーとしてのお葬式に出席したとしても、人が死にゆくリアルな瞬間を見ることは稀です。しかもそんなお葬式にさえ参列する機会も減ってきている状況もあります。そんな中で私たちが“死”というものを考える時、それはTVドラマや映画の中の作り物のイメージとしての理解に置き換わっていっているように思います。そんな中で、”死”という言葉が重みを持たなくなるのはある意味当然のことなのかもしれません。
しかし、そんな“死”というものを身近に体験した瞬間にはそんな思いも一変する可能性があります。一つの命が消え失せていくことを体験することになると、人の意識は嫌が上にも引っ張られるでしょう。この作品は、そんな風に”死“というものに何かしら強い思いを持つ女の子を好きになった一人の男の子の物語。『彼女にこれほどまでに”死”の重みを植えつけたのは、誰だったんだろう』とそんな彼女に隠された想いを感じる男の子の物語。そして、それは、『俺と百合は、惹かれ合う運命だったのだ』と、『魂に刻みつけられ』た運命に向かって惹かれあっていく二人の物語です。
『物心ついたころから、繰り返し見る夢があった』と、『飛行機を操縦してい』る夢のことを思い出すのは主人公の宮原涼。『パイロットになりたい』という作文を書いたこともある涼は、一方で『咲き乱れる百合の花に囲まれてこちらに背を向け、星空を見上げている女の子』の夢も同じように見て、『どうしようもなく懐かしいような、泣きそうに切ないような』気持ちになるのを不思議に思ってきました。そんな涼は、父親が『急に県外転勤が決まった』こともあって『夏休みの直前に』『前に住んでいた街から電車で三時間』という街の中学校に転校してきました。そして『学校の案内や説明など』をもらいに新しい中学校へと赴くことになった涼。サッカーが好きという涼は、グラウンドで『いくつかの部が』練習しているのを見て転入後のことを楽しみに思います。そんな時、『ふいに背後から小さな足音が聞こえ』、振り向くと『ひとりの女の子が立ってい』ました。『視線が静かに絡まり合う』二人。『なんて印象的な子なんだろう』と感じた涼は、あの夢の中に出てくる少女を思い出し『やっと見つけた』と、『自分でも意味不明な思い』に囚われます。『君、ここの中学の子?』『何年生?』と思わず尋ねると『に…二年生』と囁くように答える彼女。『じゃあ、同じ学年だ…二年に編入するんだ。よろしく』と言いながら『無意識に』手を伸ばす涼。『軽く目を瞠り』手を出した彼女と握手した涼は、『どん引き』な行為をしたと思いましたが、彼女は『…よろしくね』と小さく呟きました。そして、『初めまして、宮原涼と言います』と転校初日に教室で挨拶した涼は、『窓際の席に彼女の姿』を見つけ『驚きと興奮で』心臓がぎゅっと���まるのを感じます。『頬杖をついて、ぼんやりと外を眺めて』いる彼女は、加納百合という名前でした。『俺の新しい学校生活は始まった』という日々の中、涼はサッカー部に入部し祐輔と聡太という友達ができます。ある日『何気ないふうを装って』、『加納さんってさ、どんな子なの?』と訊くと『なんか、ちょっと変わってるよな?』と話す二人は、『先生に対する態度とか… 超反抗的なの、びっくりするくらい』、『不良っつうか、ヤンキー』のようと予想外な彼女の素顔を伝えられ驚きます。しかし、『最近、急に大人しくっつうか、反抗しなくなった』とも話します。今の彼女を見て『ヤンキーという言葉の響きとはかけ離れている』と感じる涼は、『加納さんになにがあったんだろう。どうして変わったんだろう』と考えます。そして、『それまでよりもさらに、彼女のことが気にな』っていく涼は、『ときどき彼女が俺のほうをじっと見ているような気がする』と感じています。一方で『社会科見学の発表の準備』が進み始めました。彼女と同じグループになった涼は、 転入前だった社会科見学のことを知りません。そんな中、行った場所が『特攻資料館』だったことを彼女が説明してくれます。そんな彼女の顔を見て、どうして『あんなに悲しそうな顔をしているんだろう』と思う涼。そんな涼に隠された過去との繋がりの中で、彼女・加納百合との運命の出会いの様が描かれていきます。
「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」というこの書名、どこかで聞いたことがある?という印象の通り、この作品は汐見夏衛さんの代表作「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の続編です。小説に続編ものは多々ありますが、その位置付けは前作がいかにも”つづく”で終わっているものと、前作の人気を背景に、”おしまい”だった物語に後から続編として追加されたものの二つに分けられると思います。この作品はその中間点に位置するような続編です。前作には『私は、七十年前の日本に、タイムスリップしてしまったのだ』と、主人公の加納百合がまさかの戦時下を体験することになる物語が描かれていました。そんな物語は、現代に戻った百合が目の前にある元いた世界のことを『新しい世界だ』と感じ、『あなたたちが命を懸けて守った未来を、私は精いっぱいに生きます』と力強く誓う中に感動的な結末を迎えました。まさしく前作として完全に完結した物語と言えます。しかし、そんな中に違和感のある数行が存在しました。それが現代に戻った百合が、学校の正門で『見慣れない制服の男の子』と出会うシーンでした。その男の子の顔を見て『この男の子は ー 彰だ』と感じ『あきら、と心の中で叫ぶ』百合。まるで”転生”を想起させるようなその内容は感動的な物語の中に、”少しの違和感”を感じさせるものでした。そんなシーンについて、『前作で百合が恋をした相手・彰の生まれ変わりが現れたことを、快く思われなかった読者様もいらっしゃいました』、『不愉快な思いをさせてしまって申し訳』ないとおっしゃる汐見さん。実際、汐見さんの手元には賛否両論の声が届いたそうです。しかし、この続編を読んでそのシーンが、”必然”として挿入されたことがよくわかります。そう、この続編は、一見完結したかに見える物語の中に残された『愛する人を理���尽な形で失ったあと、百合がどうやって生きていくのか』という視点の決着へ向けて、汐見さんが意図的に前作の結末に埋め込んだシーンを起点にするものです。そんな表現を綺麗に受け継ぎながら今を生きるそれからの百合が描かれていくこの続編は、その点からも前作とは決して切り離せないものです。続編と知らずにこの作品をまず手にした方は、この作品は一旦読まずに横に置いて、まずは前作を先に読むことをお勧めします。読中に味わえる二冊分の物語を同時に味わう感覚は、この作品を先に読むことでは決して得られないと思います。
そんなこの作品の前作となる「あの花が咲く丘で」では、戦時中の『特攻隊』の存在に光が当たりました。それは、現代人である百合がタイムスリップによって自らの目でそんな『特攻隊員』とのリアルな関わりを持つことによって、読者である私たちもそんな彼らの考え、想い、そして生き方をリアルに感じることのできる物語でした。この続編では、”飛び道具”とも言えるタイムスリップが再度登場することはありません。この作品で『特攻隊』は、資料館の中に残された写真や遺書、そして参考書籍の中からその存在を知るという、私たちの普段の関わりと同じです。そんな『特攻隊』について調べ、『俺たちとそんなに変わらない年の人たちが、死を覚悟して何ヶ月も訓練して、死ぬと分かって飛び立って、自分から敵に飛び込むとか… 現代の俺たちには絶対に真似できないし、敵わない』と率直な感想を抱く涼。この感想は決して特異なものではなく、私たちが『特攻隊』という存在に対して抱く代表的な感情の一つとも言えます。それは、”死”というものと身近に接する機会が極めて少なくなった現代社会に暮らす私たちの結果論としての感覚だと思います。しかし、前作で描かれた通り、今の平和な世の中に暮らす私たちは、未来へと時間を繋げてくれた『特攻隊』の隊員たちの存在を決して忘れてはならないと思います。この作品も前作同様の感覚の上に描かれている物語だとは思いますが、リアルな戦時下の描写がない分、その印象はどうしても薄くなってしまいます。そのため、百合が抱く”死”というものに対する強い感覚を理解するには、この作品だけではもの足りないと思います。物語に深く感情移入するためにも、やはり前作、そして、本作という読む順番はとても大切だと思いました。
そして、そんな物語の軸足となるのは前作の主人公・加納百合と、この作品で視点の主となる宮原涼の関係を描く物語です。その描かれ方は、この物語の中の登場人物は二人だけと言って良いくらいに凝縮された恋の物語が展開していきます。そんな物語の冒頭は上記した通り学期途中で転校してきた涼が百合との偶然の出会いを経て、新しい学校に馴染んでいく様子が描かれていきます。前作の結末で百合視点で描かれた二人の偶然の出会いが、今度は涼の視点から描かれるこの作品。『小さいころからとにかくサッカーが好き』という主人公の涼。そんな涼は、転校してきた新しい学校でもサッカー部へと入部し、サッカーを中心とした生活を生きています。そして、そんなサッカー少年なら誰でも一度は口にするであろう『俺、プロになりたいんだ。プロのサッカー選手に』という言葉が語られます。そして、これもお決まりの���うに『そんな、夢みたいなこと言って。プロなんて、選ばれたほんの一握りの人しかなれないのよ?…プロになれなかったらどうするつもりなの?』という両親と、進路を巡っての意見のぶつかり、葛藤も描かれていきます。こんな風に内容の一部を切り取ると、この作品はよくある”青春もの”の一つという印象を受けられるかもしれません。しかし、前作を読んだ人間には、幾らそんな描写があろうとそんな”青春もの”な展開に気持ちが向くことはありません。冒頭にまるで一編の詩の如く提示される『こんなにも君に惹かれてしまうのは、どうしてなんだろう。なぜだか、ずっと昔から知っていたような気がする』という涼の独白に隠された真実。涼とはいったい何者なのか。この一点に読者の想いは集約されていくと思います。そんな涼と百合の恋心が描かれるこの作品。〈中学二年、夏〉から始まった物語は、空白期間を置いて〈大学二年、冬〉〈大学三年、春〉と章が進んで結末という体裁を取っています。この空白期間の意味合いが後半の物語に非常に複雑な”三角関係”の恋物語を形作っていきます。まさかの想いに囚われる涼と百合。『好きな人に好きだと言えるのは、本当に本当に幸せなことなんだ… 自分の気持ちを正直に口にできるというのは、平和な世の中だからこそなんだ』と感じる涼。そこには、『特攻隊』の存在に光を当てた汐見さんの熱い想いを感じました。この続編を『どうしても描かなければいけない』と強い決意を持って取り組まれた汐見さん。二つの作品を読み終えてそんな汐見さんがこの作品に込められた”その先に続く百合の人生の物語”への熱い想いを感じることができたように思います。
『みんなが当たり前のように「死にそう」とか「死ぬほど」とか言ったり、冗談で「死ね」とか言うのを聞くたびに、なんていうか、息が苦しくなる…』。
私たちは日々の暮らしで何気なく”死”という言葉を使いがちです。少子高齢化の流れもあって”死”というものをどこか自分とは関係のない別世界のものとして考えがちです。しかし、そんなこの国でもほんの七十数年前には、”死”と隣あわせに生きるしかない暮らしがあり、”死”を迎えることがわかった上で、それでもこの国の未来のためにと思い、散っていった命がありました。
『今の俺は、国のために死ねと言われて死ねるだろうか。死ぬために戦闘機を操縦することができるだろうか』。
私たちは日々の暮らしの中でこんなことを考えることはありません。しかし、たまには、一度くらいは、いっ時だけでも、先の大戦の中を生きた人たちのことについて思いを巡らす時間を持つことがあっても良いのではないか、この作品を読んで改めてそう思いました。
書名と装丁に惹かれてたまたま手にしたこの作品。図らずもこの作品はとても大切な時間を私に与えてくれました。とても読みやすい物語の中に色んなことを考えさせてくれたこの作品。前作に涙した方には是非とも読んでいただきたい、百合のその後を是非見届けていただきたい、そう強く感じた作品でした。