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投稿者:Masaru_F - この投稿者のレビュー一覧を見る
600ページ近い大作。ウッドワード作品の読後感に近い作品になっているように感じる。日本の同調圧力や、1970年代の時代感などを合体させて事件に光を当てている点が新鮮。
分厚いけど、読み応えあり
2021/04/15 15:39
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投稿者:真太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
錚々たる名前の人物たちの、歴史物語。これは現実に起こった事件だけど、フィクションなのかもと思わされることだらけ。本当の黒幕は誰なのか、真相はすべて死人に口なし。戦後の政治家の豪腕ぶりが、現代には通じないのが残念だけど、ただもっと日本のリーダーには必要な部分は見習ってほしい気もした。
素晴らしい現代史
2021/03/13 09:29
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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔東京札幌を往復していたことがあった。その頃トライスターが好きだった。すでに主流は747になっていたが時刻表を調べてわざわざトライスターを選んで乗っていた。なにしろ静かだったのだ。そしてなんでこんないい飛行機を買うのに賄賂を使わなければならないのか不思議だった。
で,このノンフィクション。著者の仮定(想像)が正しければ,検察官はとんだピエロだ。なんで一番性能がよくて安全性の高い飛行機を買うのに賄賂や総理大臣の口利きが必要なんだ?子供でもわかろう。それを無理やり有罪にもっていった検察とマスコミ。頭の悪い文系人間は恐ろしい。要は東大出てないのに偉くなった田中が憎らしいということなのではないか。
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【誰が田中角栄を葬ったのか?】検察捜査の金字塔といわれる元総理の逮捕。発生から40年、いま明らかになる真実とは。人気作家が初めて挑む巨弾ノンフィクション。
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世界を揺るがせたロッキード事件。世代ではないので詳しくは知らなかったが、この本を読んで当時の事件を理解することができた。本が分厚過ぎて読むのに時間がかかった。
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元総理でありながら田中角栄が逮捕されることとなったロッキード事件。本当に田中角栄は”クロ”だったのか?その問いに答えるために、『ハゲタカ』などの経済小説で知られる真山仁が数年の歳月をかけて記したノンフィクション大作。
通説ではロッキード事件は、ロッキード社が製造した民間航空機を全日空に売り込むために、5億円をロッキード社から受け取った田中角栄が全日空に圧力をかけた、と理解されている。本書では本事件に関する膨大な関係者・記者らの出版物や、関係者へのインタビューに基づき、その真実に迫ろうとする。
その全てが完全に検証されたわけではないにせよ、本書が提示する仮説は、
・ロッキードが本当に売り込みたかったのは民間航空機ではなく、軍事用哨戒機である
・その売り込みに関与したのは、田中角栄ではなく通商産業大臣に地位にあった中曽根康弘ではないか
というものである。
そうした事実を眩ませ田中角栄が逮捕されたのは、平民出身の宰相として大衆から絶大な人気を誇りつつも、経済政策が失敗する中で期待が失望に代わっていったというふわっとした”世論”、そしてその”世論”に乗りかかり事実調査を曖昧にごまかしながら調査を進めた検察にある、というのが著者の主張である。
本書は、年代的にロッキード事件という歴史的な出来事の詳細を知らない私のような人間にとって何が起きていたのかを詳らかに理解することができるという点はもちろんのこと、ふわっとした”世論”がますますSNS等での拡散で影響力を持ち始めた現代を考える上でも意義深い。
また、個人的にはおそらく小説とは全く違った難しさがあり、小説ほどは儲からないであろうノンフィクションという媒体に対する著者の熱意にも敬意を持った。
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真実とは常にひとつの事象ではあるが、人間から見るとそこには思惑があり、多面的な解釈でその思惑や意図を実現しようとする。政治の性質がそうである以上、ロッキード事件も様々な思惑に左右されてしまう、ということなのだろう。あと、当時の世論背景がこれを後押しした、とあるが現代とは全く違う、ある意味今の時代の成熟や清廉さ?を認識できた。
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個人的に田中角栄は戦後宰相の中でも、尊敬している一人である。「政治とは生活だ。国民の生活を向上させることだ」というのが口癖だったという。しかし角栄氏の正統な流れを汲む政治家も小沢一郎氏だけになってしまったようだ。
1948年芦田内閣が総辞職し、当然民自党総裁の吉田茂が首相になるべきだが、日本を統治していたGHQは何かと楯突く吉田を嫌っており、山崎幹事長にしろと介入した。吉田も総裁辞任に傾いたが、それに異を唱えたのが一年生議員の角栄であった。「いくら占領下でも許されない」この一言で吉田は辞任せず、第二次吉田内閣が発足した。更には蔵相に初当選の池田勇人を推薦し大臣にするなど、自民党内で強力な影響力を発揮する。
総理になってからは、アメリカより先に中国と国交回復し、アラブとイスラエルの中東戦争では日本の石油を守るため、アラブ支持の声明を発表した。当時のキッシンジャー国務長官は激怒したが、角栄は曲げなかった。今は米国の意のままに動く総理ばかりとなってしまったが...
ロッキード事件は非常に不可解。事件は全日空がダグラスDC-10を購入するはずが、ロッキードトライスターを購入したのは賄賂を受け取った角栄から指示されたためというもの。当初JALがDC-10を購入するはずが、これを白紙撤回。代理店の三井物産は困り果てたが、JALの松尾社長は運輸省時代の子買いであった全日空の大庭社長にこれを押し付けた。
しかし大庭がM資金詐欺に引っ掛かり解任。後任の若狭社長はDC-10を買わなかった。なぜなら技術方面からDC-10の危険性を指摘されていたから。実際このキャンセルされた機体は飛行中に貨物室ドアが吹き飛び、パリ郊外に墜落。日本人団体ツアー客を含む300人全員が死亡した。
取り調べでも検察は否認する被告に「壁を見て立っとれ」と延々と一人で立たされたり(別の被告も「思い出すまで壁に向かって立ってろ」と言われた。検察の常套手段の様だ)、角栄自白の捏造記事をサンケイ新聞に書かせ、筆頭秘書の榎本の取り調べで記事を見せ、「オヤジさんが認めた以上、それに沿うべきでは」と脅して自白させ、また検面調書には「これにサインしても裁判では、あなたの意見と検面調書のどちらが正しいか裁判長が判断する。そんなに神経質になることはない」と言ってサインさせた。しかし、裁判ではこの検面調書が決定的となり有罪になった。かように北朝鮮並み(知らんけど)の拷問やインチキが、この国では罷り通っている。そもそも総理側はDC-10の方を買わせようとしていたことなど様々な状況からこの事件の嘘臭さをこの本は立証している。
今となっては証言も証拠がなければどうしようもないが、最高裁の判決が世論に左右されたり、有罪率が99%だったりするのは勘弁してもらいたいものだ。
こんな司法が成り立っている国の国民はどれ程のものを失っているのだろうか。
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p43 嘱託尋問 刑訴法に記載なし 不起訴宣明
p57 家の前 バス停 小坂下 西山町坂田
p79 大蔵大臣に池田を推したが 佐藤派 選ぶ
p117 73年予算 老人医療費 無料 小中学校 教員の 待遇 改善
p153 越山会 会費制 金は必要に応じて集め 不足分は役員が拠出 集金システムではない
佐藤は越山会という後援会の 金庫番ではなく 複数あった 角栄の 政治資金団体を管理していた
p170 DC-10を白紙化したのは 安全面 全日空自ら 決断
売国 真山真
p187 旧二田小学校跡地 田中角栄記念館
p193 5億円ははした金 エントリーフィー 204
p230 榎本 金はもらったけど ロッキードの金でない 単なる政治資金だったと 検事新潟言ったが相手にされず
弁護団は 角栄は 賄賂を一切受け取っていないを貫くことで一致団結していたので 誰も相手にしてくれず
p239 嘱託尋問の違法性
p241 刑訴法321条 検事面調書 証拠能力なし 法廷での証言に基づき事実認定
p245 冤罪田中角栄とロッキード事件の真相
p247 嘱託尋問は証人が居住する国の司法機関を通じて行われなければならない。ただし、このやり方が可能なのは民事訴訟だけであって、刑訴法にはきていがない。つまり、刑事事件での嘱託人音は認められないという意見が強い
p248 嘱託尋問の問題点 対象者が刑事免責を求めた
p262 坂上凌 ロッキード秘録 吉永祐介と47人の特捜検事たち
p277 影の権力者の昭和史 本所次郎
p279 麒麟おとりと遊ぶ 若狭得治の軌跡
p291 若狭は克己でなく捨己を貫いていた(草柳大蔵)
p357 2007 ジョージ・クルーニー主演 フィクサー
p448 裏金が必要な相手は、むしろ武器の国産開発を強く訴えていたごく一部の日本の政治家や官僚 中曽根康弘
p506 角栄を犠牲にしなければならない必然的理由があったのではないだろうか
p510 どこの世界に賄賂のチャートを作る贈賄者がいるのだ
p517 米国にとって大事なことは、ロッキード社を守ることだったのではないか
p526 政治家田中角栄の息の根を止めたのは、別にあった。世論だ
p530 角栄には角栄がいない 佐藤昭
p533 世論が突然コントロール不能になって、社会を突き動かし、誰も止められなくなるような事態は、あの時が最初で最後であるという保証はない
p537 トライスターの購入額を考えると、児玉に流れたとされる21億円もの工作資金は高額すぎる。それよりも、最終的には総額1兆円のビジネスとなったPXLの選定に、カネが流れたと考えるほうが自然だ
p550 2019/4 映画 バイス
p560 カネ以外ならどうだろう。佐藤がどうしても手に入れたい見返りがあるじゃないかと。私の妄想は止まらなくなる。沖縄返還だ
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真山氏渾身のノンフィクション作品。週刊文春連載時にサラッとは見ていたが、今回腰を据えて拝読。事件当時は小学生で、ピーナッツと「記憶にございません」と手が震えて署名できないニュース映像が記憶に残っている。同時代で都度都度ニュースは興味をもってみてきたが、まとまって疑惑の論点が並べられると、色々な複雑な状況と社会情勢、70年代という世相が連関していることがよくわかる。法解釈が時代と世相と世論でここまで大きく振れるんだなあ。オイルショックを期に角栄のアラブに対する独自路線がアメリカの尾を踏んだという単純な構図ではないこともよくわかった。5冊分くらい読み終えた感じ。。
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ロッキード事件とは何だったのか? なぜ田中角栄は葬られたのか。新しく公開された資料や、関係者への最新の取材から明らかにしていく・・・・。
しかし、結局のところはわからない。ただ、アメリカには僕らの見ることができない、知ることが出来ない「闇」というか「力」があり、それが現実の政治、国際政治を「操っている」「牛耳っている」のではないかと推測させる。
書かれてはいないが、トランプを大統領へ押し上げた勢力はその「闇」や「力」に半発した者たちで、真の支配者たちは今回の選挙でこれを取り戻した・・・なんてまるで陰謀論のようだけど、この本から感じられるのはそんなこと。民主党がうまくやれなかったのは結局そんな「闇」「力」を知らなかった、無視しようとしたことにあるんじゃないのかなと、それもこの本から感じられること。
著者はたくさんの疑問、疑惑が残されたと書く。それは40年経っても検証できない。おそらく100年経っても真実は闇に葬られたままなんだろう。些細なモリカケだって多分そうなんだから。
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前に立花隆の田中角栄研究という本を読みました。
そちらの方が自分は面白いと思いました。
田中角栄は今迄に一杯書かれているから今更という感じですね。
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私の中でのローキードといえば、小学校の謝恩会で国会証人尋問の劇を行ったこと。
完全懲悪のストーリーとして台本が作られていたのだから、子どもながらに当時のマスコミをそのまま信じていたのであろう。
今となっては、そんな劇がなんの問題もなくできたことの方が感慨深いが・・・(笑)
改めて読んでみると、実際には知らないことばかりで、アメリカとのパワーバランスが未だに脈々と続いているのである。
というものの、政治に無関心な私が、著者が好きだからということもあり、読んでみたのであるが・・・
他の関係本も読んでみたい気になっている。
これを元に、史実に限りなく近いフィクション大作を期待したい。
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小さな頃から気になっている未解決事件とか、大事件とか、いくつもあるけれど、ロッキード事件はその一つ。日本の総理大臣が賄賂をもらってアメリカから飛行機を買ったって、本当に本当?って、ずっと思っていた。それに、田中角栄、小佐野賢治、児玉誉士夫、佐藤栄作、中曽根康弘という大物が絡んだ複雑な事件、アメリカの陰謀説も根強い本件に、真山仁が膨大な資料の読み込みや存命の関係者へのヒアリングを行い、冷静に読み解いてくれる。アメリカでは政治家や意思決定権者に賄賂を送ることは犯罪ではない。田中首相は五億円を受け取ったとされているが決定的な証拠はなく、そもそも一国の総理への賄賂として五億円は安い。ロッキード社の資料に「Tanaka」の文字があったそうだが、賄賂であるなら相手の氏名を残すなんてあり得ない。挨拶代(当時一般的な商習慣)と考えるのが妥当。一方、日本の検察はそれまでの政治的な疑惑を全く解明できず、眠れる獅子と揶揄されていた状況で手柄が欲しい。小物の逮捕では国民の嘲りは解消できない。裁判所も同様。今なら証拠になり得ないものや検察の調書(誘導尋問や自白の強要満載)を証拠として採用する一方、本人の証言は一切否認。国民も一時は今太閤とか非エリートの星と言って持ち上げる一方で、急に手のひら返しで庶民の敵として血祭りにあげる。今でいう炎上である。私の解釈としては、全く不法行為がなかったわけではないが、世論やムード、空気によって有罪が確定した事件であると理解した。
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手に取ってそのボリュームに怯む。総ページ数600弱、元総理大臣が逮捕された昭和最大の疑獄事件「ロッキード事件」の再検証ノンフィクションに期待が高まる。
「コーチャン」「丸紅ルート」「全日空ルート」「ハチの一刺し」などなど、子供の頃に聞いたことのある単語が並ぶ。ただ、事件の印象は朧げながらあるものの、恥ずかしながら詳細を知らずにここまできた自分が初めて読むロッキード本としてこの本が相応しいのか。それには?マークがつく。
ロッキード事件に対する大方の見方に異を唱えるいくつものドキュメンタリーを参考文献に、作者独自の取材も加味して書かれた作品は、やはりそれらの切り貼りの感が否めない。
新事実?新たな証言?それらも証拠に裏付けされたものではなく、「推測される」「否定できない」「あり得る」と言った不確かな推理のオンパレード。
終盤に至っては自ら「妄想」と呼ぶほどのこじつけ全開。読んでいてモヤモヤしたものがどんどん広がって、むしろフィクションにして妄想爆発させた方が良かったのでは?とまで思った。
それでも、ストーリー作って強引に進めていく検察のやり方、日米関係を取り巻く深い闇についてはさもありなんという感じ。敗戦国の悲哀を感じる。
「世界で最も自己中心的な国を挙げるとすれば、米国だと思う」という作者の意見には深く同意です。