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投稿者:じゅんべぇ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまで過去の人物を知るために、かなり「実名」にこだわって調べてきていたけど、当時の価値観を学んで、納得!本人すら覚えていないのに後世に伝わるはずがない。。。
そして、今の「名前の概念」もたかだか150年ということか。。。
人名に関する疑問が解消
2021/08/15 16:03
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投稿者:Sherfit Baker - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまでの、江戸・明治の人物名に関するさまざま疑問が解消した。
自分の名をどう認識していたのか、他人をどう呼んでいたのか、「~守」の国名は何の意味があるのか、「~右衛門」とは何なのか・なぜ消えたのか、など。
現在の(男性の)名前が、どう分類でき、江戸以来のどの流れに位置づけられるかなどもわかり、まさに目からウロコであった。
身近な事象について説明する歴史書で、ここまで読みやすく面白いというのはすばらしい。
江戸から明治にかけて、名前の概念が変更していくさまが、ストーリー仕立てのように語られ、このあとどうなっていくか、引き込まれるように読んだ。
紙幅があれば、西郷隆盛・後藤象二郎など、維新期の著名人がどのように自分の氏名を選択したかについても書いてほしかった。
また、中世の人名はどうであったかなども今後書いて欲しい。
楽しく知識を得られる本
2021/12/29 15:52
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投稿者:トリコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『刀の明治維新』『壱人両名』に続く、3冊目の概説書。
著者は、常に「なぜ」という感覚をゆるがせにせず、圧倒的な知識と筆力で歴史を学ぶ楽しさを教えてくれる。
なぜ、江戸時代のままでは通用しなくなったのか、明治維新を迎えてどのように「氏名」が誕生したのか。人間のアイデンティティに深くかかわるテーマを鋭く考察する。
時代が変わると名前も変わる
2021/05/04 10:52
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代を通じて存在していた秩序が大政奉還によって崩壊し、明治国家という新しい秩序の中で今に至る氏名が生まれたという点や江戸時代の人名の由来については大いに参考になる。
しかし、明治維新によって崩壊した秩序に由来する人名の世界が新しい秩序の形成の中で通用しなくなるし、また天皇を中心とした家族国家を擬態した明治国家では新しい氏名に移行したのは必然的だと思うが、そうではないようだ。
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<目次>
プロローグ 人名の常識をめぐって
第1章 「名前」の一般常識
第2章 「名前」にあらざる「姓名」
第3章 古代を夢見る常識
第4章 揺らぐ常識
第5章 王政復古のはじまり
第6章 名を正した結末
第7章 「氏名」と国民管理
エピローグ 人名のゆくえ
<内容>
2年前に『壱人両名』(NHK生活新書)の著者が、幕末から明治初めの「氏名」をめぐる混乱を解きながら、われわれの知る「氏名」はたかだか明治初めに始まっただけであり、それ以前(江戸時代)は、武家と庶民と朝廷(貴族)では、この捉え方が全く違っていて、揃える気などさらさらなく、それで通っていたこと。そこには『壱人両名』の使い方があったこと(武士や庶民)。明治になり(正確には「王政復古の大号令」以降)、朝廷(貴族)の常識を日本全体に振りかざしたが、混乱が生じ、殊に軍隊は、その混乱のままでは困るところだったので、現在のシステムが生まれ、庶民に押し付け、そのままになっている状況がよく分かった。こういう生活史は研究も少なく、なかなか把握できない。
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<紹介>
「本日発売! 尾脇秀和『氏名の誕生――江戸時代の名前はなぜ消えたのか』。
明治新政府の政策により江戸時代の名前は大混乱の末破綻、更に政府の場当たり的対応の果てに「氏名」が爆誕。国民管理の道具へと変貌してゆく。
約150年前の「氏名誕生」の背景にある知られざる悲喜劇を気鋭の研究者が活写する。
https://twitter.com/ChikumaShinsho/status/1380126161083133954
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江戸時代以降の人名の変遷をまとめたもの。
名前でも氏名でもなく、人名と書いたのにも理由があって、名前、氏名は本書内で定義づけされた言葉なので、混ざって使うと混乱をきたすから。
江戸時代と明治以降で人名の取扱いが変わる上、武士・庶民と朝廷でも扱いが違うおかげで、本書はとても読みにくい。節立ても論旨展開も掴みにくいが、内容は概ね理解できたと思う。
明治維新を経て、人名に対する考え方が大きく変わった。自分の氏名というものが、つい最近、国の事情で決められた制度で、それ以前は全く異なるものだった。
敷衍すれば、今議論されている夫婦別姓論だって、こういった歴史を勉強すれば、前に進めることになる気がする。
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なんか大昔から、日本人の名前は”苗字”+"名前"でできていて、苗字が”家”を表していて、名前は親がつける一生ものの貴重なもので、どちらも勝手にしかも状況に応じて変えて使うなんてまかりならん、と何となく思っているが、少なくとも江戸時代には全然どれも当てはまらない、ということ。確かに、”個人”なんて概念が確立されるのがもう近現代なわけで、江戸以前に間違いなくそんな考え方はない以上、”個人”に紐づいた”名前”という概念の中身はまったく違っているのはおかしなことではない。
”ネット右翼”の大きな問題は、いま自分にとってなじみのあるものがそのまま大昔から変わらずにあったものだと無邪気に信じ込み、それを人に強要することなんだと思う。
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明治政府による現在の氏名制度までの成り立ちと背景
1-4章は江戸時代の慣習
5-6章で明治維新による変化と新制度発足まで
新書ながらなかなか分量あり
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非常に興味深く読みました。江戸時代の名前の常識が現在と全く異なることや、明治初年の氏名をめぐるドタバタ劇、苗字公称の認可が国民国家の創設と関連していたことなど、知らなかったことがたくさんありました。
瑣末な点ですが、大宝律令制定(701年)はさすがに平安時代ではない…
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敬愛する作家の先生がツイッターで紹介していたので、買ってみた本。買ってから気づいたが、この本の著者は『壱人両名』と同じだった。
自分の研究の成果を、出来る限り平易な言葉で解きほぐしてくれる、その姿勢にとても好感が持てる。
名前を巡る考え方の変化そのものも、(少し難解ではあるが、)読み応え抜群。ただそれ以上に、「我々の常識で、過去の事象を判断してはいけない」という、著者の考え方に共感した。
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とても勉強になった。
本書に書かれた名前の前提を知らないと、明治維新は理解できないのではないか。
詳細は同じ著者の「壱人両名」に書かれているようだが、同一人物が複数の身分、職業、名前を使い分けることが許容されるとはと、江戸時代の社会の柔軟さに驚いた。
傍筋となるが、当時の既婚女性の姓は場面により実家と夫のものをこちらも柔軟に使い分けていたらしく、どちらかに統一することになるのは明治民法以降と知ると、夫婦別姓問題も見え方が変わる。
しかし現代というのはがんじがらめで生きづらい世の中だと思ってしまう。
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久しぶりに「そういうことだったのか!」と目から鱗がポロポロ落ちる快感を得られた。江戸時代の人物の名前について、なんとなく「なぜコロコロと変わるんだろう」「やけに~兵衛や~衛門が多いな」と思ってた疑問がすべて解けた。
本書は「名前」にまつわるこの難解で複雑な状況を丁寧に説明してくれる。そのため新書にしてはややボリュームが大きめだが、その分具体例が多くて理解しやすいし、後ろの章で何度も前の章のサマリを繰り返してくれるのでいちいち戻って読み直す必要がなくてありがたかった。
当時の「名前」の考え方は現代とはまったく異なる。そこで「現代から見た当時の常識」といった目線だと退屈な教科書のようになりがちだが、本書は逆に当時の人々の目線を大事にして説明してくれているので、物語としての面白さを感じながら読むことができた。
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一度読むだけでは全て理解するのは難しいけれど、近世から近代にかけての氏名の成り立ちを知る上ではコンパクトにまとまった書籍だと思う。
『氏名の誕生』を読む前に、『壱人両名』を読んでおくことをオススメする。
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江戸時代の公家・武家・庶民の名前について理解するための好著。ある程度は知っていても細かいところはわかっていなかったのでこの本は大変参考になる。まだざっと読んだだけなので「名乗り」とか「姓名」等々現在の感覚とは違う用語をちゃんと理解した上でもう一度読む必要はありそうだ。
ただし、古代については著者の理解が行き届いていないようにも感じられる「位階は平安時代に定められた」とか「平安時代(大宝元年〔七〇一〕)制定」とかあきらかな誤りも見受けられる。本姓&名についても当初は現代に通じる氏名と同様だったはず。その辺についてももう少し触れてほしかった。