紙の本
大人にこそ勧めたい本
2021/06/03 01:45
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投稿者:つきたまご - この投稿者のレビュー一覧を見る
キャクストン私設図書館と、その関連のホームズのお話は、楽しく読めました。楽しいといっても、コミカルな話というわけではなく、そこには登場人物の葛藤や、世界の救いのなさも描かれていて、考えさせられる話でした。
この本の中に出てくる有名なお話(アンナ・カレーニナやハムレットなど)を、これまでにきちんと読んでいなかったので、それらのお話をちゃんと知っていたら、もっと深く理解できただろうと感じます。
シャーロック・ホームズの話は、ミステリ好きが思っていそうなことに対する1つの答え(提案?)のようなものも出している物語になっていて、楽しめました。ただ、こちらの方も、ホームズシリーズを読んでいたほうがより楽しめる物語になっていたと感じます。
この本を手に取ったときには、「キャクストン私設図書館」を目当てにしていたのですが、私には「虚ろな王」と「裂かれた地図書」が予想以上の大当たりでした。虚ろな王は、著者の他の本からのスピンオフということでしたが、そちらを読んでいなくても問題なく今作を読めました。
この2つは、物語の不条理さをひしひしと感じ、正直、救いのない話ではありました。何が正解なのかよくわからず、何回も戻りながら、繰り返して読んでしまいました。決して分かりやすくはない物語なのですが、だからこそ、繰り返しじっくり考えて読むからこそ、そこに面白さがある本なのだと思います。(性質上、人を選ぶ本だとは思うのですが。)
この著者の本は読んだことがなかったのですが、かなり好きでした。他の本もぜひ読みたいです。
電子書籍
本好きさん、いらっしゃい!
2023/02/18 22:07
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投稿者:Robin - この投稿者のレビュー一覧を見る
物凄い想像力。ひさしぶりに夢中になって読んだ。これほど巧みな作家が、日本ではさほど知られていないのが不思議。物語の構成もだが、それを語る筆さばきも鮮やかである。
この本には、キャクストン私設図書館、虚ろな王(短編)、裂かれた地図書、ホームズの活動(キャクストンのおまけ話)の4話が収められているが、“本好きの本好きによる本好きのための本”である。
“地図書”には、古書に纏わるおどろおどろしい描写が多々ある。書物の魔力を強烈に表現していると思うが、肝心の筋がかなり難解なまま終わり、残念。
まずはキャクストンから楽しんでいただきたい。“地図書”とは違い、ここでは作者のウィットも遺憾なく発揮されていて、何度もくすりと笑わせてもらった。何の予備知識もなくこの本を手に取ったのだが、“キャクストン”の話の核で扱われた書物が、私の敬愛してやまないトマス・ハーディの名作たちだったことから、私もこの幻想の図書館に呼び込まれたひとりなのかと思えて、怖くなったり 笑
本棚の持つ魔力を改めて感じた。
以下、裂かれた地図書からの引用☆☆☆
書物には力があるのを知っていた。実在するものの言葉では説明できず、しかし個人や社会、はては国家をも変容させるほどの力である。
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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
キャクストンみたいな図書館、夢のやつですね!
私だったら誰に会いたいかなぁと妄想していました。
ホールデン・コールフィールドくんに出合えたら素敵だな。
紙の本
物語の登場人物たちの住処
2021/08/01 17:16
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人々に広く知れ渡った物語から実体化した登場人物が住まわってるのが「キャクストン私設図書館」。
ある晩、女性の飛び込み自殺を目撃したことから件の図書館にたどり着きます。
登場人物と語り合うことも出来る、ステキな設定。ただしドラキュラ伯爵には要注意(笑)
ここに現れる登場人物は、作者が死亡したのちに現れる。そして、初版本や自筆稿が届けられ、保管されます。
運営資金のことなどの説明もあり、奇想天外な設定ながら現実的な問題もクリアしてあるというのも面白い。
『キャクストン私設図書館』のお話に挟まれた『裂かれた地図書』は幻想的でミステリーで、かなりオカルト。思いもよらない展開に面食らいます。
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本にまつわる不思議な物語が4篇。
ファンタジー小説集と思って読み始めたら怪奇小説だった。
本に魅了されたが故に巻き起こるネガティブな事件について書かれているため、楽しむというよりは終始落ち着かない気持ちだった。
特に『裂かれた地図書』の不気味さは凄まじい。
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本にまつわる奇譚を描いた4篇を収録した作品集。存在すら知られていない私設図書館の秘密が明かされる表題作、『失われたものたちの本』(未読)のスピンオフ小品、クトゥルー神話を髣髴とさせる中篇、シャーロック・ホームズが登場するもう1つの私設図書館ものと、バラエティーに富んだ内容で楽しめた。が、訳者あとがきにもあるように、読みやすい・わかりやすいとは決して言えない。翻訳物特有のみっちり詰まった文章を読みこなすと溢れ出すイメージは素晴らしいのだが。
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本や文学をテーマにした短編・中編集。
久しぶりに海外小説をしっかり読んだ、と手応えを感じるほど。
とはいえ、面白くて一気に読みました。
世界観がはっきりしていて、ストーリーが骨太で歯応え充分。
他の作品も読みたくなりました。
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表題作他4篇の短編集。でも実際はキャクストン私設図書館の短編が二つ、掌編が一つ、中編が一つかな。キャクストンの短編二つは設定がすごく良くてめちゃくちゃ楽しく読めた。“アンナ・カレーニナ”読みたくなるなー。ホームズシリーズも→
→それに対して掌編は“失われたものたちの本”のスピンオフみたいでよく分からず。
で、問題の中編よ。裂かれた地図書よ。めちゃくちゃ怖い。怖すぎる。表題作とと同じ本に入れるには怖すぎん?(笑)でも面白かった!!ラストの解釈がいまいちうまくできんのやけど。あれはどう取ればいいんだろう。
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キャクストン私設図書館には、世に名作と言われている小説の初版本と手稿本が収められるともに、その登場人物たちがひっそりと暮らしている。そして時々その登場人物が現実の世の中に出ていってしまい、小さないざこざが起こったりする。そんな設定の表題作とキャクストン図書館のもう一つの逸話。他にも、本をテーマにしたちょっと怖い短編がいくつか。
キャクストン私設図書館の話は、二つとも面白かったが、その他は本当に怖かったし、あまり得意なジャンルではなかった。
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アンナ・カレーニナと同じ行動を繰り返す女性を見かけた読書家のバーナー氏。追いかけた先はキャクストン私設図書館、そこでは実態を持った名著のキャラクターたちが暮らしていた。
表題のキャクストン私設図書館、裂かれた地図書からなる短編集。本からのポジティブなパワーを感じるキャクストン図書館とは逆に、裂かれた地図書はどの話もホラー要素満載で恐ろしかった。
本から受ける影響力はどちらの力にも作用し世界をも変えてしまう。言葉の持つ力は魔法に等しい。
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表題作は有名小説の登場人物が実在する不思議な図書館のお話。
個人的には咲かれた地図書が面白かった。話に入り込むまで時間がかかるが、入り込むと一気に読まずにはいられない。地図書の秘密が知りたくてページをめくる手がとまらない。
「わからない」を楽しむ作品だと感じた
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何話か収録されている短編集。キャクストン私設図書館の話が2本と他はダークファンタジーな感じ。本から飛び出てきた実在しない小説のキャラクターたちが暮らし、初版本が保管されている私設図書館という設定の表題作が一番好きかな。
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物凄い想像力。ひさしぶりに夢中になって読んだ。これほど巧みな作家が、日本ではさほど知られていないのが不思議。物語の構成もだが、それを語る筆さばきも鮮やかである。
この本には、キャクストン私設図書館、虚ろな王(短編)、裂かれた地図書、ホームズの活動(キャクストンのおまけ話)の4話が収められているが、“本好きの本好きによる本好きのための本”である。
“地図書”には、古書に纏わるおどろおどろしい描写が多々ある。書物の魔力を強烈に表現していると思うが、肝心の筋がかなり難解なまま終わり、残念。
まずはキャクストンから楽しんでいただきたい。“地図書”とは違い、ここでは作者のウィットも遺憾なく発揮されていて、何度もくすりと笑わせてもらった。何の予備知識もなくこの本を手に取ったのだが、“キャクストン”の話の核で扱われた書物が、私の敬愛してやまないトマス・ハーディの名作たちだったことから、私もこの幻想の図書館に呼び込まれたひとりなのかと思えて、怖くなったり 笑
本棚の持つ魔力を改めて感じた。
以下、裂かれた地図書からの引用☆☆☆
書物には力があるのを知っていた。実在するものの言葉では説明できず、しかし個人や社会、はては国家をも変容させるほどの力である。
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本好きに贈る作品集とあるけど、本好きじゃなかったら、ちょっと楽しみが減っちゃうかなぁ。俺自身、一時小説から離れていた時期があって、そういうときに本書を読んでいたら、「他に読むべき本があるんじゃないか」と思って、やめていたかもしれない。この本を読んで、何かの役に立つというわけじゃない。読後、かしこくなるわけでもないだろう。ただ、読んでいる最中、楽しかったんだよね。なんか、物語に浸りきる喜びを味わった気がする。
キャクストン私設図書館という図書館にまつわる中編2つに、他の話が挟まれている形になっている。
本の大部分を占める『裂かれた地図書ー五つの断片』というのは、たぶんいわゆるクトゥルー神話の系譜に入る物語だろうね。時代も微妙にずれることもあったけど、裂かれた地図書をめぐる5つの物語が続いていく。本によって、世界が再構成されるというホラーというか、オカルトチックな本。こういうド直球のホラーの、しかも海外翻訳ってあんまり読んでなかったし、そもそもクトゥルー神話の関係ってほとんど読んでなかったんだけど、それでも引き込まれた。続きが気になって、読んで行ってしまうんだよね。読み終えて、どうこうという話じゃないんだけどさ。なんか、本に魅入られるということ自体が、この物語の魅力なのかもしれない。
キャクストン私設図書館というのは、本の中の人物たちが闊歩する図書館の話だ。どこかユーモラスで、また読みたくなる。
ジョン・コナリーの本ってあまり翻訳されていないようだけど、こういう系統のものをもう少し読んでみたいな。
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「失われたものたちの本」の著者による中編を集めたのが本書。タイトルの"キャクストン私設図書館"を舞台とした2編で他の作品がサンドイッチ状に挟み込まれている構成。内容はいずれも不条理でダーク。何が真実で何が虚構なのか分からない混沌とした世界が描かれる。今風の"分かりやすさ"を求めるなら無駄です。「アンナ•カレーニナ」や「シャーロック•ホームズ」にも精通しているといいのでしょうが、どちらも私好みではないんだよなぁ。よって⭐︎二つとしました。