紙の本
『文部科学省』
2021/04/26 22:07
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
文部省と科学技術庁が統合して2001年に発足した“三流官庁”文部科学省
その特徴を「内弁慶の外地蔵」という二面性であると捉え、各種研究・データに基づき描き出す
・霞が関最小の定員
・キャリアとノンキャリアのキャリアパス
・減り続ける予算
・ゆとり教育の失敗と教員の多忙化
・頓挫した大学入試改革
統合により変容した教育政策、学術政策、科学技術政策を見れば、文科省は旧文部省の延長線上にはなく、まったく異なる組織となっており、弱体化した文科省を「間接統治」により官邸と経産省が支配するようになっている
著者は教育行政学を専門とする研究者
国立教育政策研究所在職中に身近で観察できたアドバンテージをもとに、文科省20年の歴史と現在を解説する
センセーショナルな暴露本ではなく、冷静な筆致で実態に迫った骨太の労作
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
文部科学省の実態が、詳しく分析されていて、興味を持ちました。日本の教育と学術が心配になってくることが、多かったです。
紙の本
文科省についてよく分かる
2022/02/21 19:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
数ある官庁の中で、学校や教育に絡んで、私たち市民に身近なのは文科省かもしれない。しかし、「教育改革」と名のつくものに、およそろくなものはないような気がする。なぜか―。
この本は文部省と科学技術省が統合してできた文部科学省の成り立ちから、その予算をめぐる攻防、教育をめぐる構造的問題など実情に迫っている。
すべてはここには書けないが、ああなるほどね、と思うことがたくさん書かれている。
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様々な面から文部科学省の実態を解説。
財務省や官邸には弱く、教育委員会や国立大学には強気な「内弁慶の外地蔵」という文科省の二面性を指摘している。前半の組織、職員、予算面からの分析が非常に興味深かった。科技庁との合併は、思っていた以上に文部省を変質させたようだ。
また、本書で紹介されていた曽我謙悟京大教授の各省庁の採用戦略の研究が面白かった。各省庁の採用者における法律・経済区分比率、教養区分比率、院卒比率の変化を分析し、各省庁をジェネラリスト重視か、専門性重視かなどで分類するというもの。財務省や経産省はやはりジェネラリスト指向で、文科省は中間だったとのこと。
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過労死ラインを超えて働く教員たち、学術研究の弱体化――。文部科学省の実態を描き、教育や学術をめぐる危機の構造を明らかにする。
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【282冊目】教育行政学を専門とする東北大准教授の筆者が、公開資料とこれまでの研究成果の分析から文部科学省の解剖学を展開する書。教育行政や学術行政、科学行政の内実を知れただけでなく、役所勤めの身としても勉強になった。
文科省は、
◯ ロジスティクス軽視、前線依存
◯ 内弁慶、外地蔵
であるから、
これからは、
◯ 「金目の議論から逃げない」
◯ 「ロビイング活動から逃げない」
◯ 「政治闘争から逃げるべきではない」「政治的支持連合づくりから逃げない」
という姿勢を持つべきとのこと。
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日本の教育行政はかなり苦境に立たされている現実を知ることができる一冊
子供の学力の低下や研究力の低下がニュースなどで問題視されています。国の教育行政のトップである文部科学省はどういう組織か知りたくて読んでみました。世間からの教育への期待が高まる一方で予算が減らされていく現実を知り、袋小路に入った気分になりました。でも知らないと公的な教育に過剰に期待することにもなり冷静になるためにも教育に興味がある方は読むことをオススメします。未来について考えさせてくれる有名な本「シン・ニホン」との記述と比較しつつ印象に残った点を書きます。
●文部科学省は3流官庁
一般人には官庁のなかに優劣があることの意味がわかりませんが、「シン・ニホン」で教育が日本の存亡を左右することが主張されているのにそのトップが3流扱いになっていることに驚きました。また3流官庁ゆえに「高校無償化」や「コロナによる学校休業」は官邸の政治的圧力で行わざるを得なかったことも驚きました。
1流官庁になれるかは族議員が票を取れる政策の管轄かどうかも影響しているという闇深い事も知ることができました。つまり子供を産むのは1流官庁の厚労省の管轄でその後の教育は3流官庁の文部科学省の管轄。なんか騙された感ありませんか?でもこの構造を一朝一夕で変えることはできなさそうなのは素人でもわかり、国に今後の教育行政を期待していいのかと感じました。
●財務省には弱く、教育委員会や国立大には強い
国立大学への予算が年1%ずつ減っており小さい予算をめぐって国立大学が争っていることをご存知でしょうか?高齢化による社会保障費の激増で年々国としての予算は増えているのに教育への予算は減っているのです。「シン・ニホン」では高齢者への予算をほんの少し科学や教育に回すだけで大きな成果が見込めることが提案されています。また「シン・ニホン」著者の安宅和人さんは国の会議の委員を歴任していて色々提案されているそうです。でも実現しないのは文部科学省の会議が多いからでしょうか・・。
●国立大の自立
今まで頼ってきた国からの補助金が減少する中で従来の教育サービスを実現するにはどうすればよいか?それは国立大学自身がお金を稼ぐ力をつけるべきとのこと。海外のトップ大学は寄付金や特許収入などが日本とケタ違いなことが紹介されています。自己収入の増加は国立大学全体に言える喫緊の課題といえます。今後の動きに注目したいと思います。なお、「シン・ニホン」でも国立大学が自己収入を増やすべきだということは提案されています。
●他に気になった点
・PTAは専業主婦が学校のためにお金ではなく時間を差し出してきた経緯があり時代にそぐわなくなってきている。
・博士号を持つ人材など付加価値のある人材に見合った賃金を出せない日本企業
●本書のオススメの読み方
3から5章を読むだけで今まで書いてきた文科省の教育行政の課題について読むことができます。
1から2章は文部科学省という組織の成り立ちやどんな部署があるかに興味がない方は飛ばせるので早く読めます。わたしは読んでいて結構冗長だなと感じてしまいました。逆に就活で文部科学省を目指す方にとってはどのパンフレットよりも詳しい文部科学省の組織の説明なので絶対に読んだほうがよいです。
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共通テストの手戻りは、民間企業相手に教育委員会や大学と同じように善処するであろう期待を持って丸投げしたことが大きな要因に思えました。教育には誰もが一家言あり、政治家のスローガンになりやすいものの、教育の機会均等など、文科省は忘れていなかったはずの目的・理念を死守しなくてはいけないのだと思いました。
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これを読んで『失われた30年』の原因の一端が見えた気がする。日本は公教育に人もカネもかけなさすぎ。自分さえ良ければの老害民主主義と、支配階層を自分達のお仲間で固定したいエスタブリッシュメントの意図的な政策誘導によるものと考えるが、本来なら長期展望、即ち著者の言う組織哲学を持った官僚がその流れを変えていく使命があるのに、全くスルーされてしまっている。結局官僚自身がエスタブリッシュメント階級の出身だからだろう。
著者は文科省のロビー活動や政策研究能力、意思の問題だと指摘するが、そもそもそも文科省に「初等教育の機会均等」以外の組織哲学があるのか疑わしい。
そうなるとそのような組織哲学はどうやって形成されていくのかが知りたい所である。
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2021年3月初版。当時読むのを思いとどまった本書を読もうと思ったのは、教育改革に熱心だった安倍元総理の逝去によるところが大きい。21世紀の幕開けとともに誕生した文科省の組織、職員、様々な政策とその評価と課題を内外の視点から紹介、分析されている。
20世紀後半の文部省時に3年間在籍した国立大学職員としては、「三流官庁」「内弁慶の外地蔵」と揶揄される文科省を“保護者”としてリスペクトしつつ、一刻も早く独立しなければと思った。そのためにも、今担当しているファンドレイジングを頑張ろうと。
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教育行政学が専門による文部科学省の分析である。教育行政学について研究する場合には必読書であろう。
また、教員養成大学の学生にとっても、文部科学省について知る必要があるので、この本を読むことは必要と考える。
文部科学省について最も詳細にかかれかつ読みやすい本である。
第5章は大学改革について、他書でもよく扱われる内容であるが、ポスドクの問題を文科省と企業と絡めて、さらに収入と関連させて説明しているところが新しい。
電子書籍と間違って登録したので書き直した。
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読書会の歴代レポート(1冊がA4用紙2枚+αにまとまっています)は、PortalⅣの電子ファイルサイトから誰でも閲覧できます。
「この本に興味はある!けど、読む時間はない…」という方は、ぜひそちらにアクセスしてみてください。
KC>経営企画室>全グループ会社>05.読書会
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●地味だが何かと話題の文科省の今を解説した良書。オフィスの階数やら組織名での分析は面白い。
●教育は金にならないから、逆に選挙に強い議員が文教族になるのはなるほどと感心した。
●文科省のマンパワー低下も大変だが、大学の産業界からの振り回され方も不憫。
●なんだかんだ、教育はみんな経験があるわけで、素人考えでバンバン意見が出てきてしまうのが大変だと思う。
●腐ってもまだまだ日本はやれると思うし、地道でいいから改革を進めて欲しいな。