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歴史をかえた誤訳(新潮文庫) みんなのレビュー

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一般書

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みんなのレビュー28件

みんなの評価3.7

評価内訳

28 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

通訳者としての職責を果たさんとする著者の強い自覚と覚悟

2008/07/06 15:30

15人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者(町田玖美子)は東京都生まれ。69年学部卒業(上智大学外国語学部)という事実から引き算すると,1946年生まれ。高三のとき,英検1級特別賞(?)を受賞した。会議通訳は大学2年から。国広正雄とならんで,同時通訳者の草分けの一人。『同時通訳の女神』(命名はBCKTさん)。コロンビア大学大学院修士課程(ティーチャーズ・カレッジ,英語教授法専攻)修了(90年,44歳)。Ph.D(サウサンプトン大学,2006年,60歳)。『百万人の英語』講師(71-92年,25-46歳)。東洋英和女学院大学(89-97年),現在は立教大学(教授,97-年)。著書に『危うし!小学校英語』,『TOEFL・TOEICと日本人の英語力』など。本書は,『ことばが招く国際摩擦』(98年)の文庫化。


どこかでも述べたが,書く訓練を受けていないのか,エッセイ的な文章を出版社から求められているからか,ほかの通訳者・異文化コミュニケーター(胡散臭い・・・)の文章はダラダラである一方,鳥飼のは分析的で説得力を感じる。目次だけではわからないが,政治(経済)と文化までテーマを多岐に渡らせようとしている姿勢は感じられる(さすがに理系のはない)。参考文献一覧があり,翻訳・通訳の理論書とメディア(新聞・雑誌)から採られているところからして,理論と実践を意識しているところも模範的。素晴らしい。


通訳は,発言者の表現を重視すべきか,それとも受取り手の理解を援けるべきかで悩む。私には通訳の経験はないが,翻訳でも似たようなもんだ。原文の「幕藩体制」を“Bakuhu-Han System”とやって九州大学の日本史の研究者に提出したら,“Baku-Han System”に化けさせられて抜き刷りが送られてきた。古文書ばっかりやってると,英語までの距離観ってわからなくなるんだろうか? 僕なりに受取り手の理解を尊重した姿勢だったんだけどなぁ。


歴代の首相が斬られています。自称英語得意の中曽根やら宮沢やらも,斬られてます。東大法学部きってのスーパーエリートにして選民意識丸出しの宮沢は意外ですが,逆に言うと,東大出ててもこの程度なのかと少し安心いたします(いやいや安心はできないよ,むしろ不安だよ)。「黙殺」で原爆投下からはじまって,「善処」で日米繊維摩擦,「不沈空母」問題,「オーク」と楢,「白足袋」と白手袋など,単語一つでその後の展開がガラリと変わる事例を列挙しております。なかなかに面白いです。


ただこれは経済決定主義が叩かれるのと同じように,言語決定主義,コミュニケーション決定主義で,筋は通るが,これだけじゃあ歴史は変わってませんよ,という批判はあるでしょうね。


通訳者としての職責を果たさんとする著者の強い自覚と覚悟が感じられて,とても好印象です。(1172字)

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紙の本

ちょっと英語を齧った人なら、戸田奈津子の字幕の翻訳ってのがかなりの意訳であることはわかる、でもまさか外交での通訳がもっと脱線したものであろうとは、シンジラレナイ

2004/04/05 20:41

11人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

《総理大臣の海外での発言。現地の新聞で騒がれるながら、何故か日本では全く異なる言葉が。何が訳され、なにが失われたのか》

この本を人に薦められたとき、そんなに凄い内容の本じゃあないだろうなあ、だって鳥飼さんて一昔前の英語アイドルだった人でしょ、一種のタレント本だよねと思った。その予想は見事に外れた。そして友人に教えたとき、これほど感謝されるとは想像もしなかった。

エッセイというにはあまりに重い内容で、単なる誤訳をネタにした本とは大違い。文字に書かれた情報を、異なった言語の文章に書き換える翻訳、口頭で表現されたメッセージを他の言語に変換し口頭で発表する通訳。翻訳にも、字幕のスーパーから最近流行の超訳など様々あるが、翻訳も会議通訳、放送通訳、通訳案内業、法廷通訳などがある。技術面からは一般通訳、逐次通訳、同時通訳がある。

それらにつきものといわれる誤訳。しかし未熟さゆえの誤訳はともかく、そこには奥深い問題、コミュニケーション・ギャップがあった。ポツダム宣言で連合国からわが国に求められた無条件降伏。それに鈴木貫太郎首相が応えた言葉が「黙殺する」。それがignoreと翻訳された時、連合国は原爆投下に踏み切ったという。その言葉を選んだ背景と、それに反発した国々の解釈。そのギャップの大きさを知れば、簡潔な一言よりも、不器用でも苦渋に満ちた生の言葉のほうが正しいときもあることに気付く。

中曽根総理が発言したとされる「浮沈空母」。しかし、実際にはそのような言葉は語られていなかった。なにがその言葉に化けたのか。反戦歌手ジョーン・バエズのコンサートで、彼女のことば「ナガサキ・ヒロシマ・・・」に通訳の高崎一郎があてた言葉は「この公演はテレビ中継されます」。凄いなあ、権力もだけれど、それに屈する姿が見事というか。

戦争のことに触れるたびに繰り返される、関係のない言葉への通訳というより創作、まさに超訳である。村山首相がマレーシアで一言も語らなかったのに、日本では重大な発言があったと報道される。外交官が、首相の言葉を勝手に変えることから始まり、政治家が、海外では通りのいいことを言いながら、日本人記者団には全く違うことを語る。

この本にはそのような驚くような、しかしさも在りなんと思わせる話が、たくさん紹介されている。通訳者は自分が立ち会った現場のことは、死ぬまで外に漏らさないという暗黙の了解の下に生きているらしい。本当にそれが正しいことなのだろうか。そんな愚劣な政治家たちに自分たちの運命を翻弄されながら、私たちには知る権利さえないというのだろうか。通訳をする人たちの主人は、国民ではないのか。

戦後の日本をゆがめ、捻じ曲げてきた一端に、プロとしての潔いモラルをお題目にした、しかし結局は時の権力者たちの擁護にしかならない、このような通訳たちの姿勢がなかったとはいえない。元首相の孫の離婚話を追いかけながら、言論の自由を叫ぶくらいなら、マスコミはこういった方角を追いかけてはどうだろう、それこそ使命だと思うのだが。

ともかく、読んでじっくり考えて欲しい一冊。

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紙の本

言語とは

2020/05/24 11:24

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

通訳とは何か。その難しさ、影響の大きさなどについて歴史事件を題材にとって具体的に解説している。通訳は単に言語間の置き換えというだけではなく、一つの言葉にもその言語を使う夫々の民族、国の文化や習慣や宗教などが深く関係していることが改めてわかる。異文化コミュニケーションの道具として必要不可欠な言語能力だが、言葉の背景や深層を理解しないで対応することは緊迫した場面では国家の安全にとって本当に命取りになりかねない。
 「第六章 通訳者の使命」の最後の文章に、「願わくは、英語だけでなく多様な言語の通訳者が今後さらに増え、異質さを大切にしながら、文化の通訳(cultural interpreter)としての役割を創造的に果たしていってほしい。」と述べている。AIを使った機械翻訳が流布する時代になっても、人間の通訳者、翻訳者がいなければ真のコミュニケーションは難しいと思う。

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電子書籍

誤訳

2023/03/03 20:19

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る

誤訳が、こんなに影響してきたのですね、過去には……。たしかに「多くの日本人は……」→メニィピープルmany peapleと、訳されて、日本政府が抗議した話は聞いておりましたが。それにしても、外交などの政治がからむ局面において、圧力がかかり、故意に誤訳ねえー

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2004/12/18 18:18

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2006/02/15 20:40

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2009/03/29 01:26

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2010/05/26 21:31

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2010/07/03 12:53

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2011/01/09 12:36

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2011/03/10 12:03

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2011/08/23 17:07

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2011/12/29 12:14

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2012/02/19 22:40

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2012/04/15 00:02

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