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素晴らしい本。紙の本で購入。装丁もなんとも言えず雰囲気出ている。
異形 アンチテーゼ 理解出来ない 文中での落合博満を形容する言葉。
人は理解できないものを、怖がり、遠ざけようとする。
日本人初の一億円プレイヤー、3度の三冠王、選手としては歴代トップクラス。イチローと並び称される素晴らしいバッターだった落合博満が中日ドラゴンズの監督になる。
期待されてもいいはずなのに、ざわつく周囲。
選手時代に番記者だったデスクは、オチアイと呼び捨てにし、開幕投手を当日まで教えてもらえないピッチングコーチ。生え抜きのスラッガー福留を中日に行きたいと思わせた球団職員をアッサリとクビにする。
優勝したのに解任されるコーチ。
落合博満に関わった選手、フロントを一章づつ描いていく中で、多面的に落合を見せるのだが、ほとんど綻びが無い。言葉や表情での表現が少なく、何を考えているのかを読ませない。感情のゆらぎがないのだ。
人間関係構築、やる気をみせる。一般的に組織では必要とされるスキルを全く評価しない落合。
心配するな、好きとか嫌いでレギュラーを決めない。監督に嫌われても使わざるを得ない選手になれ。
私自身はテレビや文章ででしゃばる落合夫人に好感を持っていなかったが、とこへ行っても孤独になってしまう落合博満にとって、夫人の明るさがとても重要なのだと知った。
最終年もペナントレースは逆転でものにするのだが、読者である私も落合監督に感化されており、そこまで感動しない。やる事をやったら勝つのは当たり前だろと、ボソッと呟いてしまいそうだった。
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恐ろしい本でした。現在11刷、12万部の大ベストセラーらしいですが、12万人もこの恐ろしさに立ち向かえているのでしょうか…と心配してしまいます。余計なお世話か。なにが恐ろしいか?これからきっと来る「契約社会」の預言書だから、です。いま「働き方改革」の流れの中で、終身雇用型モデルは崩壊し、一時、一世を風靡した成果報酬型も行き詰まりが語られ、企業はジョブ型雇用を求め始めています。「NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く」で語られるように、企業の人事もファミリーアナロジーから、スポーツチームアナロジーへの転換が、流行になっている感じです。しかし、企業がそもそものジョブの設定を適切に出来るか、そしてそれに見合うプロ人材がどれだけ人材市場にいるのか、などの問題もいっぱい。日本では、そのスポーツチームこそが、家族主義、いやマスコミも含めた村社会型になっていることが中日をサンプルに描かれます。そこに個によるプロフェッショナル論と好き嫌いを排した契約論を持ち込んだ落合博満の栄光と孤独が、これでもかこれでもか、と描かれます。一匹オオカミの厳しさが、恐ろしい…のです。我々は落合のように強くいられるのか?って言うか我々って言ってる段階で脱落だよね。あくまで個人じゃなくちゃ。秋田工業の野球部の全体主義に嫌気がさしてすぐ退部して映画館に入り浸ったというキャリアにスタートからして、もう圧倒的。でも12万部、12万人のプロフェッショナルが生まれるとしたら、日本の会社も変わるかも…。鈴木忠平、素晴らしい仕事です。
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落合という人は本当のプロフェッショナルだ。
野球が好きな人は是非読んでほしい。
これだけの孤独に耐えられる心が欲しいな。
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落合がいなくなって中日は元に戻った。偉大な監督でも恒久的に変えるのは難しいのね。打ち上げ花火に終わったのは残念、巨人ファンとしては楽になったけど。原は落合の前では蛇に睨まれたカエルだった。落合には巨人の監督もやってもらいたかった。
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落合監督を軸に、様々なチーム関係者の視点を交えてのエピソードはどれも濃いものでした。
文中で筆者が「落合のことを好きでも嫌いでもない」と当時感じていたと言うように中立的な目線で、チームや落合監督を定点観測していたスポーツ新聞番記者の方だからこその、8年間の変化が感じ取られるような作品でした。
筆者は8年間で落合監督ではなく周りが変化したと言っていますが、筆者が直接取材した落合監督の言葉からは自身が変化しているというか、揺れ動いている様子が伝わると思いました。戦いから感情などの不確実性を排そうとしていても、漏れ出てくる感情の揺らぎが見えるようでした。
自分は2018年のお正月に太地町の記念館のカフェで、同じように訪れていたファンの方4人程と一緒に落合さんとお話しさせてもらいました。現役時代や監督時代のこと、野球と関係ない話も気さくに話してくれて忘れられない時間だったので、今はコロナ禍で難しいかもしれないですがまたいつか行きたいなあと改めて思いました。そういえばそこにいたファンの方もみんな1人で来ていたなあと思い出しました。
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野球にはあまり興味がなかった、ドラゴンズには関心もなかった。
谷繁のことを「たにしげる」という氏名だと思っていたくらいの無知さだ。
この本の主役落合博満がドラゴンズの監督だったことはなんとなく覚えているし、多分テレビで見たこともあるだろう。でもその頃のことはほとんど知らないし、この本に出てくる12人の男たちのことも全く知らなかった。
それが、この本を読んだ誰も彼もが大声で「面白い!」というものだから、つい買ってしまったのである。
そして、分厚いなぁ、タイトルからして不穏だなぁ、と思いながら読み始めたら、これがもう、なんなんだこれ面白いの面白くないのって面白すぎるじゃないかってんだ。
スポーツマンたちのさわやかな汗や、チームのための自己犠牲や、晴れやかでカッコいい魅せるプレーは、落合のチームには必要ない。確かな理とゆるぎない個、そして勝利とその為の技術だけがそこにはあった。
球団のため、監督のため、そのために自分を殺し、今ではないもっと先の勝利のために闘う、そんな野球は求められなかったのだ。びっくりだ。私が知っていく「スポーツ」ではない、これはいったい何なんだ。
その答えが知りたくて次へ次へとページをめくる。
最後の最後まで答えは見えなかった。落合が求めたもの、ドラゴンズが求めたもの、その乖離。汗と涙とさわやかな笑顔を心地よいと感じてきたスポーツウォッチャーを叩きのめすほどの冷徹さ。
嫌われた監督が、8年間で作り上げたもの。
凍える熱さとまぶしいほどの闇。
一時期よくテレビで目にしたド派手な衣装の落合夫人だけが知っている落合博満の長い長い戦いの果て。
読み終わった後のこのドキドキは何だろう。あこがれか、あこがれなのか。そうかあこがれなのか。
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2014年から8年間、セリーグの覇者として君臨し続けた落合ドラゴンズ。文句のつけようのない実績を残しながら、ファン(実際は好きかそうじゃないか意見は分かれるところ)・フロント・ドラ番記者から讃えられるどころか、むしろ嫌われた。本書は川崎憲次郎・福留孝介、荒木雅博…12名の男たちの眼を通して語られる異端の将 落合博満の実像とドラゴンズの変貌を迫ったドキュメント。
著者は日刊スポーツの元ドラゴンズ担当記者。ドラゴンズの次期監督として噂されはじめた直後に、上司命令で〈落合氏監督招聘〉の記事掲載の断りを入れてこい!とパシリとして接触。以降、監督辞任までの8年間、落合から片時も目を離さず追い続けた。終始、番記者を寄せ付けない姿勢を取り続ける一方で、ひとりで取材にやってきた記者にはちゃんと向き合う落合。ならば、近づいてやる!と徐々にその距離も縮まっていき、禅問答ようなやりとりの中に隠された真意を見出すまでの関係に至る。落合をリスペクトはしていても、筆はオマージュには走らず偏らず、常に緊張をともなった距離感を保ちつつの筆致が清々しい。
本書は初年度の開幕戦から始まる。故障で1軍マウンドに立ていない川崎憲次郎を開幕投手に抜擢したあの試合。以降、生え抜きの立浪を控えに、優勝に貢献した投手コーチを情報漏洩の嫌疑で解任、大記録を目前にした山井の交代、名二遊間アライバのコンバート等物議を醸したあれこれに対しメディアは狂騒するも、どこ吹く風を言わんばかりにダンマリを決め込む落合。親会社が新聞社であろうが忖度せず、徹底した情報管制を敷き、また当該選手にも扱いをめぐっての説明も行わず、目指す野球の確立と目の前の試合の勝利だけに傾注する姿を活写していく。
落合が何よりも大事にしたのは契約時に交わしたオーナーとの約束と契約書。とにかく優勝の大号令と成績に応じて支払われるインセンティブ。『勝つことが最大のファンサービス、勝てばスタジアムに客は来る』と信じて疑わず、勝利に向けてひたすら確実性の高い戦法を取る。落合は自著『アドバイス』〈ダイヤモンド社〉の中で、監督在任中『なぜベテラン中心の起用だったのか?』『ドラフト会議で何故即戦力の投手に偏った指名をしたのか?』について訊かれたことについて述べている。理由は明白。監督就任を打診された際、オーナーから「毎年優勝を狙えるチームにしてほしい」と懇願されたから。もし、5年間下位でもいいから育成を…と、言われていればまったく違ったと。
選手の起用はゲームに必要なピースであるかどうか。ヘッドスライディングは禁止。低目には絶対手を出すなと徹底。相手投手に1球でも多く投げさせ、リーグトップの毎年年間450個以上の四球を取り、自滅を誘い、それに乗じて得点を重ね、計算のできる投手リレーで守り切る。打撃は良くて3割、守備なら10割を目指せると考え、打撃にロマンを求めず、ヒットやホームランを連ねなくても得点できる仕掛けを打線に施した。偶然性に頼らない、限りなく勝利の可能性を高める野球。
勝つことに徹した落合は4回の優勝をもたらす。野村克也5回、星野仙一4回と比べても何ら遜色の無い成績に加え、全てAクラスはふたりを凌ぐ。にもかかわらず名将という冠は授けられない。そこに明らかに授けたくない、意趣返しにも似た意思が働いているように思えてならない。
結局行く着くところ、著者も選手もファンも、こぞって〈落合博満とは一体何者なのか?〉という大疑問にぶち当たる。落合は常にベンチの決まった場所から無表情で試合を眺め、感情を露わにすることはまずない。投手交代時にマウンドで見せる笑顔に、温かみを感じ救われた気分になる。
2011年、監督最終の年、見事優勝を飾るも球団は首を切る。ようやくこれで呪縛から解き放たられると言わんばかりに。そう、球団は〈落合嫌い組〉の筆頭であった。著者は落合と球団の暗闘をほどほどに、筆は落合と関わった選手・コーチ・裏方…との骨太ドラマに向かう。中でも川崎と荒木の章は鼻の奥がツーンとなったほど深い愛情が溢れる。
選手は落合からかけられた短い言葉の裏に潜む『真意』をつかもうともがき、懊悩する。落合はノックで、打撃指導を通してプロ意識の注入も行う。『俺は好き嫌いで起用はしない、必要かどうかで判断。ただ必ずしもそうではない。嫌われても使わざるを得ない、圧倒的な力を持った選手になれ!』
落合は無言でプロフェッショナルとは?金をもらってプレイ(仕事)することとは?と常に問いかけたが、それをフロントにも記者にも求めた。
著者は、8年前カメラマン席にやってきた落合からかけられた言葉を思い出す。『ここから毎日バッターを見ててみな。同じ場所から同じ人間を見るんだ。それを毎日続けてはじめて、昨日と今日、そのバッターがどう違うのか、わかるはずだ。そうしたら、俺に話なんか訊かなくても記事が書けるじゃねぇか』。本書の帯の惹句〈落合がなぜ語らないのか、いつも独りなのか〉の理由がそこにあったのか…合点がいく。
本書はプロ野球というジャンルを超え、コーチングやリーダー論のテキストとしても十分に値する好著。それだけに、現在胸突き八丁の真っ只中にいる矢野くんに読んでもらいたいと切望する一冊。
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落合監督時代に何が起こっていたかを知ることができた。プロフェッショナリズムとは契約であり、技術であり、自分のことは自分で考える姿勢であり、小さな変化を見逃さない観察であり、勝つためのある意味非情な戦略のことでもあろう。極めて高いレベルの集団での戦い続けることの真摯さを学ぶことができた。落合監督の見せてくれたことがどのくらい継承されているのであろうか?
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中日ドラゴンズで監督を務めた8年間、ペナントレースですべてAクラスに入り、日本シリーズには5度進出、2007年には日本一にも輝いた。それでもなぜ、落合博満はフロントや野球ファン、マスコミから厳しい目線を浴び続けたのか。秘密主義的な取材ルールを設け、マスコミには黙して語らず、そして日本シリーズで完全試合達成目前の投手を替える非情な采配……。そこに込められた深謀遠慮に影響を受け、真のプロフェッショナルへと変貌を遂げていった12人の男たちの証言から、異端の名将の実像に迫る。
ただ、自分自身のポリシーを貫いた8年間だったことが分かる。力作であった。
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途轍もなく面白いです。面白い、というか、興味深い。勿論、落合博満というプロ野球界の稀代の傑物を描いたノンフィクションとして、大変に面白い。そうではない目線として、この一冊を書き切った、鈴木忠平という一個人の作品としても、大変に面白い。あの時代の、中日ドラゴンズの選手たちの物語としても、大変に面白い。面白い箇所が多すぎる。なんというお得な内容なんだ、とね。驚嘆します。
自分は、この本を読む前から、落合博満という野球人の完全な大ファンでした。ですので、その大の落合ファンがこれほどの力作を読んだら面白いと思うのは当然、という気もします。
それならば、落合博満という人物を一切知らなかった人が、なにかのきっかけでこの本を手に取り、読了し、果たしてどのような感想を抱くのか?ということには、興味はありますね。
落合さんファン以外の方々に、この本は、どういう存在となりうるのか?うーむ。気になる。気になるなあ。ま、自分にとっては、墓場まで持って行くレベルの超名著です。
本当に些細な瑕疵(かし)をいうならば。これは本当に些細なものです。この作品の素晴らしさを損なうものでは決してありません。あくまでも、個人的な思いです。本当にわずかな瑕疵。玉に瑕(きず)。
それは、あまりにもハードボイルドに過ぎる。あまりにもトーンが暗い。あまりにもドラマチックさを強調しすぎている。あまりにも落合さんがヘヴィーなキャラすぎる。というところ、でしょうか。これはあくまでも、僕個人が勝手に思ったことです。個人の好みですね。
落合さんという人物を描いた書籍としては、テリー伊藤さんの「なぜ日本人は落合博満が嫌いか」2010年刊行、が、どちらかというと硬軟織り交ぜた絶妙の落合博満人物論だと思います。それと比べると、鈴木忠平さんのこちらはマジでガチの硬派。がっちがち。ダイヤモンド。金剛石。剛よく更にガンガンに剛を制す、みたいな感じ。
両方読むと、バランスよく、落合さんってどんな人?ってのが分かるかなあ?とかね、思った次第ですね。
まあとりあえず、ホンマに面白い本です。超素晴らしいです。今後、じっくりと、この本の素晴らしさを書き加えていきたいなあ、とかね、思う次第ですね。
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Cool head、Warm Heart
■概要
勝負に徹して嫌われた落合。リーダーとして当然のことであり、プロフェッショナルである。
一方でそれが本当に正解なのか?落合自身にも葛藤があったのではないか?落合とはどういう人間なのか?最後まで真相は分からず、それが嫌で落合を遠ざける人は多い。それに対し、落合政権8年間の密な取材を通し、落合の考えや言動そのものと、それが組織に与えた影響を解き明かしていく。
(抜粋)
04年日本シリーズの情と失敗
07年日本シリーズの完全リレー
11年のアライバコンバート…
実は情に厚い落合が徐々に徹底的に合理的な判断をする経緯が分かる。
06年リーグ優勝と涙
11年ヘッスラ荒木への声かけ
一方で、勝負所や最後には情が残っていることも分かる。
■所感
人生の師から贈られたこの言葉。
くしくも私が師と過ごしたころ、落合がそれを最も体現していた時期だったとは。
中日ファンにとっては、黄金期の回顧録やドキュメンタリーとして読んでも面白い。しかし、それ以上に得るものというか伝わってくる何かがあった。落合だけでなく、当時の選手の心情を深く取材し、編成担当やスカウトの声もあり、当時のチーム状況と個々の心理がよく伝わってきた。
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人をくったような顔で愛想の無いコメントしか言わない独特のキャラクターが私の顔が似ていると言われていたこともあっていつも気になる存在だった。週刊文春の連載が時々ネットに流れてきて、その文章を読んだりしていたが単行本になっているのを知らずにいた。アマゾンで売り切れているのを知ってから近くの書店で探してもらったが在庫はなかった。翌週購入することができ、早速読んだ。ものすごく面白く、時には涙を流しながら読んだ。落合は不世出の選手でかつ無二の監督だった。再読に耐える傑作だと思う。
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文章のリズムが最高。
観察により、数字に現れない真実をつかむ。
自分で考えさせる。そのきっかけを作る。
契約と、自分がその履行をすることが最優先。でも、自分の判断とチームの勝利が重なったときに一番強いことを知ってる。
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入手後に暫く置いて在って、何となく紐解き始めてみれば、頁を繰る手が全然停まらないという感じになってしまう。非常に魅力的な一冊になっていると思った。
本書の『嫌われた監督-落合博満は中日をどう変えたのか』という題名自体、何やら苦笑いが洩れるような感じである…
北海道内に在って、(主にテレビ中継ながら)プロ野球観戦も時々愉しむ個人の目線では「ファイターズと<日本シリーズ>で対戦した経過の在るドラゴンズ」という記憶が在って、そのドラゴンズを率いる監督であった落合というイメージは酷く強い。そして、落合監督の指揮下で毎年のようにリーグ優勝を争って、<日本シリーズ>への進出も何回か果たしている。「監督が辞める」という理由が見当たらないような感の中で、落合監督は去った。そういうのは少々「謎」でもある…
落合は選手としては、「華々しい主流」を歩むのでもないキャリアを重ねながら、プロ野球界で打者としての確固たる実績を残し、キャリアの後半は「バットを持って、優勝請負人のように幾つかのチームを渡り歩いた」というようなイメージも在る。自身の確かな技術を駆使した実績を有する他方、プロとして他選手のプレーや試合の状況等を見詰める確かな眼も備えていたのかもしれない。
そういう落合は8シーズンの間、ドラゴンズの監督を務め続けて、その8シーズンの間には全て3位以上、リーグ優勝は4回、日本シリーズ出場は5回、“クライマックスシリーズ”で勝ち上がって日本シリーズに出場した2007年には「日本一」を掴み取った。これは凄い実績であろう。これだけの実績を上げた監督は、御本人の個人的な事情でも無ければ、解任ということにはなり悪い筈だ。が、それでも2011年の日本シリーズで敗れてしまった後、時季以降の契約をしないことになったのだった。そうなると“嫌われた監督”ということになるのだろうか?
本書は、名古屋に拠点を有するスポーツ新聞で、ドラゴンズの話題を綴る記者として活動した経過が在るライターが、落合監督自身や、落合監督がドラゴンズの指揮を執った時期に活動した選手や球団関係者の同時代の、または後年に振り返っての証言も挟みながら、更に筆者自身の当時の記者としての活動の事も加えながら「“嫌われた監督”たる落合が目指したモノは?落合が生きた価値観は如何いうモノだった?」ということを綴っている内容だ。雑誌に連載した内容を、単行本として世に送り出す際に、少し手が入っているようではあるのだが、一寸だけ夢中にしてくれる何かが秘められている一冊だった…
本書は、落合がドラゴンズの監督を務めていた期間の出来事を、ドラゴンズの取材をしていた立場で、色々な人達の挿話を多く織り込みながら綴っていて、「一つの時代を綴る一つの物語」として巧く纏まっていて、そういう辺りに引き込まれて素早く読了に至った。
「強いチームというより勝てるチーム」、「勝つ試合を観たいのがファンではないか」というような考え方が一貫、徹底していたのが落合がドラゴンズの監督を務めていた時代だ。それを“嫌う”というような人達は確かに在ったのであろう。が、本書で描かれる「落合監督」、本書に出て来る様々な関係者が語る落合��率いたチームの人達の様子は、何か魅力的であるような気もする。
少し面白い出遭いを経験する一冊ということになった。
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大学のときに落合の采配を読んで、野球のこと読みたいのになんでこんなにサラリーマン(社会人)のことばっか書いてんやろ?おもんないな。って思ったけど、この本読んで落合のこと少しは知れた気がする。球団と色々あったのは知っていたけど、思っている以上に壮絶やったと思うけど、自分の軸がずっとブレへんのは、プロフェッショナルとしてめっちゃかっこいいと思った。自分に真似できるとは全く思われへんけど。
最終盤は中日ファンでもないけどめっちゃ胸が熱くなった。
采配ももう1回読んでみたいな。この本読んでから読むから色々気づくことがありそう。