被災地の人々の底力に勇気づけられました
2023/08/08 11:57
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投稿者:higassi - この投稿者のレビュー一覧を見る
震災からの復興のダークな側面を描いたドラマで、被災地のことを思うと読み進めるのが辛くもなりましたが、姫乃の真っ直ぐさや来未の無垢さ、何よりも打ちひしがれても希望を忘れない被災地の人々の底力に勇気づけられました。初読みの作家さんでしたが、他の作品も読んでみたいです。
絶望するしかないのか
2021/12/18 19:47
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
東日本大震災後の復興を巡り、救世主の顔をした詐欺師が、津波の跡をさらに荒らす。復興を目指す人々の心を弄ぶように、確信犯として詐欺師はヒーローとして、復興そのものを主導する。心を弄ばれた人々を想うと、絶望してしまう。読み終えるために、確かに覚悟がいるようだ。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
実際にありそうだなと思ったら、本当に詐欺の団体があって、それを、モデルにしたと聞いて、すごくいやな気分になりました。他人の不幸をカネ儲けに……なんて!この小説では、4億2000万円の横領疑惑が発覚し、地元の新聞記者、菊池一朗が、奔走します。
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東日本大震災により甚大な被害を受けた天ノ島で、NPO法人の代表が復興支援金を使い込む横領疑惑が発覚。命の金がひとりの男の私利私欲で消えてしまったのだ。10年後、被災地の海から黄金のインゴットが見つかり、事件は動き始める。圧倒的な筆致で人間の闇に迫る、絶望と再生のミステリー。
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染井さんの待望の新作は東日本大震災と真っ向から向き合った書き下ろし作品だった。10年の時が流れ自分の中では気持ちの整理ができたと思っていたが、震災直後の生々しい描写には目頭が熱くなってしまった。
そんな大災害を金のネタにする鬼畜が本書には登場する。震災からの数年と現在(2021年3月)とを交互に描き、震災からの復興を願う人々と彼らを食い物にする男達がせめぎ合う。
期待値MAXを超える作品だった。
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2021年3月、東北の小さな島の海岸で少女が見つけたアタッシュケース。その中身はたくさんのインゴットだった。それをきっかけに再び悪夢が訪れた。2011年3月に発生した東日本大震災。地震とともに津波も襲われた小さな島。そこでは、本島からの応援も来ず、多くの死者が出たりと大変な状況だった。そこに現れた救世主の遠田。彼は被災者を救うべく、島のリーダーとなって活躍し、島民から感謝されていた。しかし、その裏で遠田は、復興支援金を私利私欲のために使っていた。後に横領疑惑として、逮捕に踏み切ろうとしていたが、遠田は失踪してしまった。
大震災から現在までに何が起きていたのか?そしてインゴットとのつながりとは?
インゴットの発見をきっかけに大震災の記憶と人間の欲望やそれに翻弄される人たちが描かれていましたが、一番印象深かったのは、大震災直後の描写でした。とにかく生々しく目を背けたくなるばかりで胸が痛かったです。
次々と打ち上げられる死者の数々。想像するだけで、精神が崩壊してしまいそうでした。
一番のメインとなる人物が遠田です。救世主として現れた男で、始めは良い人だと思っていたのにその裏では、とんでもないことをしています。金をいいように使う姿には、言葉もありませんでした。
物語の構成としては、2021年、2013年、2011年の3つの年代が同時進行として進んでいきます。新聞記者・菊池とボランティアとして島に来た椎名が主にメインの視点となって、あの日あの時、何をしていたのかが語られます。
2021年のパートでは、ある養護施設の職員の視点が中心となって、過去の出来事と絡めながら、インゴットの謎に迫っていきます。
同時進行なので、大震災から現在までの空白の時間に徐々に埋めていくかのようにわかっていきます。
遠田の行方は?インゴットは誰のなのか?当時何が起きていたのか?
全てがわかった瞬間、もどかしさや哀しさなどが込みあげてきました。その背景にある、誰かを想う愛情や人のために奔走する情熱などあらゆる感情が渦巻いていて、読み応えがありました。
人々の心理描写が、特に色んな怒りの感情が丁寧に描かれていて、胸を打たれました。
余談ですが、染井さんの別の作品「正体」が映像化されるということで楽しみです。
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あれ?これ、なんのカラクリ?
悪い人の正体を無口な江村くんは知っていた。
アレキシサイミア→失感情症。
嬉しいのか?悲しいのか?訊ねてもそれを表情に出したり言葉にすることができない。
江村くん。どうして?
姫乃はずっと思っていたけど、なぜかいつも、きちんと聞けずに諦めてしまう。
でも、信頼し合えて良かった。
ラストのあのシーンで、ボートが揺れて、?ってなった時、地震を起こしたのは海神だったということかな?
天の島と本土に橋がかかるといいなぁ。
映画になりそう。
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05月-02。3.5点。
東北の離島、震災からの復興詐欺の被害、補助金数億を男が横領。
10年後、島の子供がアタッシュケースに入った金塊を見つけ。。。
ありそうな詐欺ストーリー。時系列で人物たちを追う物語。ボランティアの女子大生と、詐欺師の腹心の関係が面白い。
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弱っている人につけ込むのは許せんね!!!2011.3.11。東日本大震災が起きた時、被災した東北の小さな島に復興の救世主が現れた。その名は遠田。リーダーシップとパフォーマンスで島民の心を掴んだが、裏で遠田は支援金を横領し、大金を私利私欲に使い込んでいたのだ。率直に言えば前作『正体』よりも文章が上手くなっていてレベルアップした印象。主要メンバーの遠田、姫乃、江村の人物描写もよく伝わったし、ミステリーというより人間ドラマとして興味深く読んだ。プロローグとエピローグも良い。でも被災した方が読むと辛い内容かな…
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元気な時に読むべき。ひとつひとつの章が重くてなかなか読み進めることができなかった。特に歪んだ性に対しては読む手が進まず苦労した。染井為人の小説は重いけれどテンポ良く読めるところや後味がいいところが好きだけれど、重いままの話も書くのだなと作者の新天地を見た気分。伏線回収に甘い箇所がいくつかあったので★3
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染井さんがドキュメンタリー?と思って手にしたら、やっぱりミステリーだった。しかもオウム風オヤジにコロナにとてんこ盛り。東日本大震災舞台にしたミステリーは初めてでは。事実はミステリーより奇なりで火事場泥棒や復興詐欺横行したが、10年の歳月を経て被災地の負の面描くのもタブーてはなくなった?
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染井さんの「人は二度死ぬと言われている。一度は命を落としたとき、二度目は記憶から忘れられたとき。ならば、自分は震災の本を書く」というお言葉聞いてからの読了にこそ意味があったと思っています。
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東北のある島を舞台に、東日本大震災時に起こった復興支援金の詐欺事件の様相が、コロナ禍でありかつ「震災後」である現在とふたつの時系列で描かれる。
とにかくテンポがいい。視点の変化も分かりにくくなく面白い。期待以上だった。
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本当にあった詐欺団体を題材に書かれているとの事で
あの震災の最中こんな事を出来る人間って本当に嫌な生き物。
心の綺麗な純粋な人ほど、騙されたり利用されたりして人生を棒に振るなんてあってはいけない。
詐欺を働く人間は、頭も良くて人の心を掴むのに長けている人。別の道で活かせたら素晴らしい人になるかもしれないのに。
江村もヒメも島の人々も、いい人たちが騙されて心をズタズタにされて辛かった。
島の子供の未来ちゃんの未来に光が見えたところだけが救われた。
染井さんの本はとても読みやすくて好きです。
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以前にネットで見てザワッとした事件が題材でした。
小説化により、悪い人間の悪業とともに、周辺人物の描写がとても上手く表現されており読み応えがありました。
他の作品も興味深いですね。