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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦国時代の三好一族の動向について、面白く読むことができました。天下人に近づいていった過程が、興味深かったです。
義興が健在ならば
2022/10/22 12:11
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投稿者:K2 - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦国期三好氏の「天下人」への歩みを段階的に捉える。足利義輝への、著者の低い評価が印象的である。おそらくそれが、足利将軍を必要としない畿内支配実現の背景なのだろう。織田信長に代表される地方の大名の方が、かえって足利的秩序に対して保守的であったとする指摘は面白い。義興の早い死がなければ、三好幕府ができていたことだろう。
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近再注目され始めた三好長慶を中心に三好家を発祥から江戸時代までの経緯を追う。知名度が低かったためにあまり知られていない事実が浮き彫りにされる。
「三好一族」を初めて知りました
2021/12/03 10:35
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「三好一族」という人々が日本の戦国時代にいたことを、私は当書を読んではじめて知りました。
織田信長、豊臣秀吉といった戦国時代のキーパーソンたちに、三好一族が深くかかわっていたことを知り、読み進めて驚きの連続でした。大変勉強になりました。
目次直後に当時の近畿地方を中心とした日本地図と三好氏の略系図、末尾に三好氏に関連する略年表が掲載されています。本文を読む際に参考になるでしょう。
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三好長慶は有能な弟たちや重臣松永久秀とともに勢力を拡大し、畿内近国に覇を唱えた。織田信長に先駆けて天下に号令した一族の軌跡。
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最近の中公新書は、歴史好きにはたまらないラインナップが続いている。2021年10月刊の一冊は、近年織田信長の先駆けといった評価もされている三好長慶を始めとする三好一族を扱った、タイトルもそのものずばり『三好一族』。
明応の政変以降の足利将軍家の分裂、加えて細川政元暗殺後の細川京兆家の後継者を巡る争い、敵味方が入れ替わり、信長登場以前のこの時代の歴史は人名を追うのに精一杯で、あまり良く分かっていなかった。
本書は、細川家の家来として台頭してきた、三好之長(長慶の曽祖父)、元長(長慶の父)、長慶とつながる三好本宗家を軸に、三好一族の動向を叙述していく。
将軍義輝を京から追い、将軍不在の中、将軍になり代わって禁裏の修理費用や改元費用を負担したり天皇の直轄領を回復したり、明使へ対応するなど、正に「天下」を制した長慶の時代、本書120ページに「最盛期の三好氏領国」の地図が載せられているが、大阪湾を挟んで近畿側の摂津・山城・河内・和泉・大和・丹波・淡路・播磨東部と、四国側の阿波・讃岐・伊予東部に及んでいる。
こうして地図で見ると、近畿と四国とが距離的に近いし、実は繋がりが深いことを感じさせられた。
長慶がもう少し長命であったならば歴史はまた違っていたかもしれないが、長慶死後、将軍義輝が三好三人衆によって殺害される(永禄の変)。なぜ義輝を殺したのか?将軍側近の排除を求める御所巻だったとする説があるが、著者はこれを排し、長慶の家督継承者、養子の義継が将軍家にとって代わろうとしたことが目的だった
とする。長慶から家督を譲られた子の義興が長慶に先立って亡くなり、甥に当たる義継が本宗家を継承したのだが、将軍を討つことでその存在にふさわしいと主張したかったのではないかと言う。義継の存在はこれまであまり焦点が当たってこなかったのではないだろうか、興味深い説である。
三好三人衆と松永久秀の対立、義昭を擁した信長の畿内進出。この辺りからは信長包囲網と、関係者間の足並みの乱れ等、お馴染みの話となってくる。結局、三好氏は大名としては残れなかったが、一部は名族として旗本として残った者もいた。
終章は「先駆者としての三好一族」という標題で、足利将軍家の軛をいち早く断ち切ったこと、山城を居城とし、城下町を設けなかったことが城郭の発展段階として遅れた段階とのマイナス評価もあったが、大阪平野全体での発展を志向していたことなどの見解が語られる。
著者の捉え方自体も一つの見方だろうが、とても面白い考え方だ。
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信長以前の畿内において最初の「天下人」とも目される勢力を築いた三好一族の事績を、本宗家滅亡後の動向までを含めて辿る内容。三好氏の視点から見る長慶没後の情勢が新鮮。戦国時代の終焉に向かう嚆矢としての位置付けがよく分かる。
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三好長慶に代表される三好一族の興亡を描いているが、三好氏や松永久秀に対する印象がガラリと変わる好著。足利将軍を擁さない初の政権という位置づけに驚かされる。「信長の野望」的なイメージが一新されて、戦国時代史をさらに楽しめそう。
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編集の段階での文章の入れ替えが激しかったのか、とにかくすっと入ってきにくい。そして教科書的であんまり面白くない。
でも三好氏、特に長慶の革新性や、畿内から東国の大名の動きがどう見えるかといったところは新しいと思った。足利将軍家の権威によらず畿内を支配したのは長慶が初とか、足利義尋はただの人質だと思っていたが信長は擁立しようとしており、最後まで信長は義昭との戦いを終わらせられなかったとか、松永久秀や浅井長政の謀叛が信長の彼らへの扱いをミスったことによるとか、足利義輝が改元や外国との折衝といった職務を放棄して権威を失ってたとか。
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室町時代の後半の側が戦国時代ということになる。一般的な理解として?室町幕府の威光が方々に届き悪くなって、争いが各地で繰り返されたというような状況が戦国時代ということであろうか。そしてその戦国時代というモノの収束は織田信長の登場を契機に始まって、彼が本能寺に斃れた後は豊臣秀吉が全国統一政権を実現し、やがて江戸幕府という体制が築かれて行く。
上述のような「一般的な理解」に対して、室町幕府の権威が揺らいだ時代と、新たに権威を持った体制が構築されて行く過程を「連結するような存在」に着目し、それを掘り下げながら考えるというのが本書の内容であろう。
室町幕府の権威が揺らいだ時代と、新たに権威を持った体制が構築されて行く過程を連結する存在が、本書の主役ということになる「三好一族」であるということなのだ。
室町幕府というモノは、複雑な生い立ちを持っていて、色々な経過を経た。<応仁の乱>を経た後の16世紀頃になると、室町幕府は北朝の権威を支える軍事力、北朝の正当性を支えて補うべく慣例に基づいた様々な事務を行う機関、将軍は「朝廷が起こす軍の最高司令官」という立場を占める場合が在る存在、加えて地方で地域支配を行う諸勢力の正当性を公認する存在というような具合になっていて、それが負う“権威”が或る程度「絶対視」されるかのようになっていた。
この「絶対視」というような“権威”に関して、「疑義を唱えるかのようにして、“相対化”」を図ろうとしたのが織豊政権であり、それを完成させたのが豊臣秀吉である訳だが、「“相対化”もまた可能」と一部の人々を啓蒙する動きを見せ、実際に「“権威”の“相対化”」をやって見せたのは、実は三好一族であった。それが本書の副題になっている「戦国最初の“天下人”」という意味なのである。
その「戦国最初の“天下人”」というような地位を掴み取ったと見受けられる人物が三好長慶であり、そしてその地位の下で活動しようとしたのが後継者の三好義継―この人物はかなり不運だったのかもしれない…―である。本書はこの三好長慶が登場する以前、そして三好長慶が活動した時期、三好長慶が他界してしまった後に至るまでを概観するようになっている。そういう中で三好一族による、室町幕府の“権威”について「“相対化”もまた可能」と啓蒙するかのような動きや、少し下った時代の展開の故に何となく思っている「領主の居城や町というものとの関係」というようなこと等を丁寧に説くのが本書である。
或いは、自身も含めた多くの人達の認識の中に「長く続いた江戸幕府の体制が否定されて近代日本が在って現在に至る。その江戸幕府の体制への道筋は、織田信長の覇業とそれを継いで一定の完成に至った豊臣秀吉の政権というモノが在って…」というようなことが在って、それが「強過ぎる?」のかもしれない。虚実入り混じった娯楽的コンテンツに至るまで、織田信長以降の事柄を採り入れている例は多々在って、「“歴史”…苦手!」というような方でも織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という程度の名は知っている。が、三好長慶とでも言い出すと、寧ろ「何?」という方の方が多いのではないかと思う。
そういうように見受���られる中、本書が説く種々の話題は「もっと知られても好い」という内容ばかりだと思う。
上述の、「織田信長以降…」のイメージが強い中で三好一族や、それに連なっている実力者とされた人達等は、殊に虚実入り混じった娯楽的コンテンツに在っては、安寧を乱すややこしいことを仕出かす勢力とか、面倒な謀略を巡らす輩というような「悪役的…」な登場例が多いような気がしないでもない。しかし、実際はそうでもないということが本書を読むとよく判る。
本書によれば、三好一族は室町幕府の権威が揺らいだ時代と、新たに権威を持った体制が構築されて行く過程を「連結するような存在」で、方々で様々な意味で“絶対視”されていた室町幕府や将軍の“権威”の“相対化”を試みて、一定程度成功したという人達だ。そういう内容を踏まえて、「織田信長以降…」の状況に関して、それらの状況に触れる後の時代の現代人も少々“相対化”すべきなのかもしれない。
本書の内容と直接には無関係なことだが…
以前に『じんかん』という小説を愉しく読んだ。これは本書にも三好長慶や後継者の三好義継を支える要人として登場している松永久秀(“弾正”という官位名の通称を使って「松永弾正」としても知られていると思う…)が主人公の小説だ。
『じんかん』に登場する松永久秀は、作家が想像の翼を大いに羽ばたかせるような生い立ちを負った、出自が不詳な部分が在りながらも三好家に仕えるようになると、色々な経過で身に着けて行く文化的な知識や技芸に加えて、軍略や政務で才能を発揮し、更に好人物でもあって人望も高まり、家中で台頭する。そして色々なことに関わる。何やら「悪名…」のようになっている幾つかの事件に関しては、行掛りで名前が出て来たに過ぎないということになっている。松永久秀は、飽くまでも三好家の恩義に報いようと、軍略や政務で力を尽くし、三好長慶が逝去した後は、幼少の頃に随分と懐いて慕ってくれた後継者の三好義継を懸命に支えようとするのだ。
『じんかん』を思い出したのは、本書に在る松永久秀や三好一族の人達の姿が、作中に在る様子に大いに通じると思ったからだ。
三好一族は畿内(現在の近畿地方)で権勢を振るうようになって影響力を拡大し続ける中、その本営と言うべく有力者の居城として“山城”を択んでいる。これは「山城から、領内の経済振興の上で優位な平城になって、城下町が形成され…」という観方に照らすと「前時代的?」な感じがしないでもない。
しかし“山城”を本営とする姿が「前時代的?」に視えるのは、江戸時代に「領主の居館で領内の様々な政務を執り行う政庁、更に領主による文化的行事の場になる場合や、有力な客を迎える迎賓館の役目を担う場合も在る」というような城が在って、城下町が形成されるという“全国標準”を「見慣れ過ぎている?」からなのかもしれない。というように本書にも指摘されていた。
この指摘には頷いた。三好一族は山の城を本営とし、そこから睥睨する勢力圏の中に点在する、様々な起りや発展経過を有する色々な町が各々に活動して栄えるよう促し、域内の産業を育てて軍事力も涵養しようとしていた訳である。現在、関西方面は「少し動けば、一味違う経過の様々な街が在って、それが多く連なっている」というよう���感じになっていると思うのだが、それは三好一族の活躍した16世紀頃から見受けられたのかもしれない。
何れにしても本書を愉しく読了した。そして広く薦めたいと思った。
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16世紀において日本では天下とは畿内を意味していた。その前提で、確かに三好一族はサブタイトル通り戦国最初の「天下人」言えるかもしれない。でも詭弁だよね。そうとも言えるよねっていうレベルだと思う。単に地理的に畿内を掌握していただけだし、畿内を中央集権的に治めていたわけでもない。それよりも応仁の乱にケリをつけたのが三好一族なんだと思う。
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戦国三好氏の軌跡を丁寧に描いたもの。
細川氏の被官として畿内を転戦しつつ、足利将軍家の権威に服さない秩序を作り出した。
三好長慶の没後も畿内から四国では大きな勢力であり続け、信長の前に大きく立ちはだかっていた。
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三好義賢も三好政康も岩成友通も、一次資料の名前ではなかったのか。“信長の野望”で色々と憶えた人間にとっては驚きの連続。
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織田信長が主役となる歴史においては、三好一族は近畿地方の土豪で足利義輝を殺害した三好三人衆が印象にあるくらいだが、本書によれば三好一族は信長や秀吉に先んじて京の都を含む畿内を統一し、将軍の責を果たさない義輝に成り代わって征夷大将軍の役目を果たしていたという。
いわば室町幕府後の世界を先取りした、当時の政治状況を踏まえると極めて先進的な勢力だったらしい。
楽市楽座や馬揃えといった信長の実績として知られる事柄も、実は三好政権が先んじて実施していたものが大半という。
本書は応仁の乱以後の複雑怪奇、有為転変な政治状況を追うのに忙しく、三好一族の先進性についてはごく控えめに総括されているに留まる。
三好も織田も豊臣も内紛や不運で敗れる中、徳川が天下を取ったのは示唆的。
奸物とされる松永久秀も本書によれば一貫した行動原理を貫いたように思える。
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三好は三好であろうとした。十河や安宅などは利用したが、三好の上位になろうとはしなかった。その後の信長や秀吉は三好の名を用いた。江戸時代も浅野家の家臣などとして残ったことで事績が語り継がれた。三好の立場から見る歴史は非常に新鮮。
足利義輝の印象もだいぶ違ってみえた。
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