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北条家の内紛 吾妻鏡にない争い
2022/03/08 08:42
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投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は伊東潤が描く鎌倉時代前期の歴史小説である。鎌倉時代は今から約900年も前の時代であるが、所謂伝説としての逸話などは吾妻鏡、愚管抄などの古文書が遺されている。伊東はそれほど前ではなかったが、頼朝を中心とした武家社会の在り様『修羅の都』を描いたことがあった。しかし、あまり良い出来ではなかったと記憶している。
つまり鎌倉時代とは言え、かなり多様な物語が描けるにもかかわらず、焦点がぼけていて何を描きたかったのかについて霞がかかっていて、判然とはしなかった。伊東は小説を描く際はかなり入念に調査をする作家だと思うのだが、前作の『修羅の都』は描く以前に情報整理が不十分で、散漫になっていた。
本書はその不備を取り返すかのように、描き方が溌溂としている。鎌倉時代前期にも独特の伝説、あるいは逸話があるが、それはかなり本書に網羅されている。NHKの大河ドラマに合わせるとすれば、難しいのは頼朝ではなく、北条義時であろう。頼朝に付き従う義時は、徐々に頭角を表わし、最後には姉の政子を凌ぐリーダーシップを発揮しているのだが、自己主張が弱いのか、歴史上のリーダーとしてはもう一歩であろう。
歴史小説は史上有名な逸話は逃せないが、有名なものについて創作は無用であろう。却って読者に受け入れてもらえず、違和感を抱かれるのがオチである。この時代もこの逸話を連ねていけば、相当な部分は出来上がってしまうが、それでは作家の主張が通らない。どうにも難しいところである。
北条家の力は承久の変の頃には義時、泰時と著名な武家が執権に就き、いよいよ時頼、時宗と充実するが、面白いのは代替わりしていくと、親族同士の覇権争いが必ず起こる点である。この物語はその部分の続編に読者を楽しませる要素が残っていそうである。
紙の本
北条政子の悲しい人生
2022/01/30 14:50
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
源頼朝の遺志を引き継いだ北条政子には、武士の府を守るために、弟義時とともに政敵を滅ぼし続けるしかなかった。そして、その過程で、自分の息子を、孫を失うことになる皮肉。そこにこそ、気づけば夜叉のごとく生きる人生になっていた。良く知られた物語とはいえ、読んでいて、自分の血族を次々と失うつらさを感じていた。
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【2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の世界を描く!】頼朝亡き後も政子は武士の府を守るため、弟の義時とともに政敵を排除する謀略を次々と仕掛け、修羅の道を進む。圧巻の歴史巨編。
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NHK「鎌倉殿の13人」の広報PR番組で、
小栗旬さんが、この時代を何も知らない人として見られたら、良いよね。
と、意味が分かりました。
世界史受験生だったから、日本史の知識を予習しましょ。と軽い気持ちで読んだら、
あ~あ!
参考文献の題名を見るだけで、この時代の数奇さを感じます。
鶴岡八幡宮のカフェには、公暁が隠れていた?銀杏の切り株がドーンと置かれています
歴史を感じながら、お茶しに行こうかしら。
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◎面白い。前作と同様はまりました。大河の勉強と思い読みました。決して北条一族が楽して執権になれなかったのを理解しました。
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夫・頼朝と作り上げた武士の府「鎌倉」を守った北条政子の話。それを守るために、朝廷からの圧力だけでなく、有力な御家人、身近な子や親、兄弟すらも排除していく。
結局、彼女が守りたかったものとは、何だったのか。「夫と共に作り上げたもの」という感傷的なものなのか。私には、貴族から虐げられてきた「武士」たちが、ようやく手に入れることができた「尊厳」なのではないか、と思っている。
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陰謀、謀略だらけ。
幕府や武家支配を守ると言いながら、守るのは北条家支配のみ。
源家も3代30年ほどしか続かず、その後は形式的な親王将軍となるが、この脆弱な体制がさらに百年以上も続くのは驚きでもある。
公家支配の時代に戻りたくないという武士達の思いの強さか。
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頼朝の死後、承久の変後の義時の死までを北条政子視点で描いた歴史小説。
すっかり忘れていましたが「修羅の都」の続編でした。
自分で、頼朝の死後の幕内闘争が面白いので描いてほしいと言っていたのに・・・。
で、現在この時代を大河ドラマで扱っていますが、この物語の政子は小池さんというより、「草燃える」の岩下さんのイメージでした。
他の登場人物は現在の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」出演者に脳内自動変換されてしまいました。
前作が頼朝の晩年の病気などの新説を丁寧に描いていたので納得感がありましたが、本作のラストは唐突感がありました。
ただ、義時の死因は諸説あるようなので、これもありだとは思いますが、このタイミングという理由付がちょっと甘い感じでした。
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頼朝亡き後、政子と義時がいかにして、北条家の独裁制とも言える世の中を作り上げていったのかを描く。
恐るべきは北条義時であろう。北条政子は、頼朝と作り上げた武士の世を守るべく、夜叉の道へと突き進んでいく。
頼朝亡き後に焦点を絞り、政子と義時の非情とも言える生き様が、うまく表現されています。
素晴らしい。
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政子の内面が弱い、頼りない女性として書いてあり、周りに押されて強くあろうとしているようにみえる。今まで読んだ政子とは全然タイプが違うが、人間らしい政子となっている。義時は晩年、輪をかけて独走していて権力を勝ち取った行く末が横暴な老人と成り果てて大河の義時を観てる自分は義時に肩入れしているのでショックが大きかった
前の修羅の都は復習だったので読みやすいが今回はまだ放映されていないのでかなり時間がかかった。
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すさまじい、人間の欲、権力欲の権化たち。いやいやおそろしい。
嘘を一つつくと、それを繕うためにまた嘘を重ねる。鎌倉府(武士の体制)を守るためといいつつ、皆自分のことばかり。
修羅の都から続けて読むと、かなり精神力を奪われます。
大河ドラマ 鎌倉殿が面白かった方、おすすめです。
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面白かったけど、いろいろ詰め込み過ぎな感じもした。
鎌倉殿と13人を観てなかったら、ついていけなかったかも。
しかし、義時って、こんなに悪だったのか?