紙の本
時代小説は世相と共に。
2022/02/15 13:26
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後の昭和を彩った時代小説の旗手たち、柴田錬三郎、五味康祐、山田風太郎、隆慶一郎の四人の評論。戦時中の体験や私生活の影響が作品に表れている。そんな考察が描かれる。
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第一章 柴田錬三郎の偽悪
大衆作家、柴錬の誕生
バシー海峡の漂流体験
不滅のヒーロー登場前の主人公たち
「眠狂四郎」までの道のり
円月殺法と混血児
同時代作家、石原慎太郎との違い
三島由紀夫自決に対する解答
戦中派の責任の取り方
第二章 五味康祐の懊悩
「おれはいちばん大事なものを売った」
「新潮」編集長、斎藤十一との運命の出会い
芥川賞受賞作『喪神』
紙の上で自殺
神、長嶋茂雄と英霊たちへの鎮魂
剣豪小説の才能
『柳生武芸帳』の「目に見えないテーマ」
『薄桜記』に描かれた妻への贖罪
二度の自動車事故と一生背負わねばならぬ十字架贖罪と鎮魂、慟哭譜である三篇の傑作
第三章 山田風太郎の憧憬
「私の人生は決して幸福ではなかった」
“天下の奇書”風太郎忍法帖
何故『柳生忍法帖』なのか
『戦中派不戦日記』の“電流のようなもの”
『魔界転生』のアイデア
忍法帖最高傑作誕生の裏には
完結篇『柳生十兵衛死す』
〈柳生十兵衛〉三部作と母の死
第四章 隆慶一郎の超克
昭和という時代の終焉に
『葉隠』は面白くてはいけないのか?
規格外の男たちの抗争『死ぬことと見つけたり』
補陀落渡海というモチーフ
坦々として、而も己を売らないこと
「海」という自由を愛す
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柴田錬三郎、五味康祐、山田風太郎、隆慶一郎の時代小説の元は、苛烈な戦争体験だった。興味深い小説家論。