濃い人間模様に引き込まれた
2023/07/14 17:26
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投稿者:さくら - この投稿者のレビュー一覧を見る
腐女子のゆかりんとキャバ嬢のライが新宿歌舞伎町の路上で出会う所から始まる共同生活。登場人物たちの個性か丁寧に描かれた良い作品だった。
ダイバーシティなんて表面的な言葉じゃなくて、、、
2023/05/06 00:30
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投稿者:カメのふっきん - この投稿者のレビュー一覧を見る
芥川賞の蛇にピアス以来、手に取りました。林真理子さんが著書でお薦めされてたのがきっかけですが、物事を画一的に捉えがちな、妻から男尊女卑野郎と思われている男性にはお薦めしたいです。とても刺さる言葉があちこちに使われていて、自分の輪郭を少し見直してみたくなりました
死生感に否定も肯定もいらない。
2022/04/20 12:24
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投稿者:moon - この投稿者のレビュー一覧を見る
すごく良かったです。私自身省みる切っ掛けにもなったし、もやっとしていた言葉にできていなかった部分の霧が晴れたようです。
腐女子の由嘉里視点で進む歌舞伎町の街とそこで生きる人々、自分は消えなきゃいけないと語るライの側で恋愛や結婚観を滔々と思考する物語。否定するには浅はかで、肯定すると言えば烏滸がましい。水族館に例えるところが特に分かりやすかったです。
冒頭からずっと心を掴まれて刺さりまくりでした。吸収して吐き出して凭れて、生きるとは食べることのようだ。ホストのアサヒとの会話も面白かったし、由嘉里との関係性も良かったです。人にお薦めしたい。
昭和な価値観は悪いのか?
2022/03/24 12:28
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
どちらかと言えばお母さんの考え方に近く、そういう価値観で生きてきた私がいる。
一家の大黒柱として家族を養って、自分なりに生きていく価値を信じていく生き方。
結婚をして、子供を育てて、家を建てて、それが当たり前と信じていた時代。
ある意味生きやすい生き方。
自ら考えず、人や会社が決めてくれた目標に向かって進んでいく。
今の社会は、生きる事が辛くて喜びも少なく、何を希望にしてよいか分からない人が多い。
そんな時代だからこそ、本作のような物語が描かれるのだろう。
これからも本作のような物語を吸収できる私でありたい。
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こんなに情緒が乱れる作品を描き続ける作家さんをわたしはまだ知らない、、大丈夫かな、と余計なお世話ですが心配になる程。読者からみたら、ライとかユキみたいなイメージです、金原さん。いつも死にたがってて、痛くて、消えてしまいそうで、酒に溺れてて。本当にいつか死んじゃうんじゃないかと錯覚させるような作品ばかりで心配になってしまう。けど!ずっとずっと、デビュー作から推してますがこれから先もずっと読み続けたい。振り回され続けたいですね。
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分かり合えなさに正面からぶつかって砕けて倒れてそれでも立ち上がってまたぶつかって、そうして自分が何者であるかということもまた発見する。
結局自分は誰かにはなれないしこの自分で生きるしかないけれど、それでも人を思えることは希望。金原ひとみの書く女女本だった。
真っ先に「焼肉が食べたくなった」と書こうとしてやめたんだけどでもめちゃくちゃ焼肉が食べたくなる本。と言うのも主人公が推してるのが焼肉擬人化漫画でオタ活の中に焼肉も含まれているから。そんな発想どこから出てくるんだよ…と思いつつこの漫画の作り込みもすごくてちょっと笑ってしまった。
金原ひとみは初期と今でおそらく真反対のことを書いているんだけど疾走感しかない文章はずっとそのままで、そうだよこれが金原ひとみなんだよ…と思うその文体の強度に圧倒されて惚れ惚れしてしまう。
今作の疾走感は初期に近くて、テイストは全く違うけど『アッシュベイビー』の怒濤感があった。好き。
『ミーツ・ザ・ワールド』のミーツってmeetsじゃなくてmeatsなんか…?と思ってしまうくらいには焼肉擬人化漫画が出しゃばってくるのでなんかもうもはや『ミート・イズ・マイン』(焼肉擬人化漫画のタイトル)読んでみたいんですけど…?という感じです この漫画で推しカプ見つけてみたい
初期作ではあんなに「食」を忌避していた金原ひとみが今やデブ飯だのデブ活だの焼肉だの激ヤバ煮干しラーメンだのスタバのグランデフラペチーノだのめちゃくちゃ食を謳歌する人々を書くようになったのは本当に感慨深いものがある
私も元気にご飯食べようで、焼肉食べたら腹壊すけど
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焼き肉擬人化漫画ミート・イズ・マインを愛する腐女子(由嘉里)と希死念慮を抱くキャバ嬢ライが出会ったことで始まる奇妙な同居生活にまつわる小説。芥川賞作家金原ひとみが描く現代の20代オタク女の解像度描写(オタ活に傾ける情熱と、実家からの結婚に対する圧力・それに対する主人公の恋愛に対する憧れと諦念)が何と300頁程度にコンパクトに纏められたやべえ作品である。主人公の傾倒するミート・イズ・マインというのはこの作品内の架空の物語なのだが、まずその無駄に作り込まれた設定が面白い。例えば内臓系と正肉系に別れて何となく苦手意識があるだとか、主人公の推しカプは牛の中でも希少部位であるウルテとトモサンカクだとか、2.5次元を初めて遠征して見に行った時の感動だとか、薄い本(同人誌)を集めてるだとかとかく巨大ジャンル(徳に擬人化系)にハマったことのあるオタクが実体験として経験してきたことが主人公を構成しているオタ活の経験としてハチャメチャに濃縮されている。一方で現実の男を前にしたときの冷め方とか、難癖をつけて婚活相手から距離をとっていく様(LINEの文章のダメ出しが死ぬほど細かい)までありとあらゆることがいわゆる「面倒臭いタイプのオタク」として表現されており、個人的には中盤くらいまでその要素だけでかなり楽しめてて金原ひとみマジで天才なんじゃないかと思った。
オタク女が抱くであろう感情を濃縮した文には例えば以下がある。
「例えば大恋愛の末に結婚した人々には、この人と一緒にいる幸福と引き換えにそれだけのものを抱いて生きていくモチベーションがあるかもしれない。でも私のように「結婚してみたいな恋愛してみたいなだってみんなしてるししてみたらなんかちょっと世界観変わるかもしれないし揺るぎなく愛されて人生楽しいだろうし」くらいの気持ちで婚活を始めた女が、実際の恋愛の始まり的なものに直面した時感じるのは、自由を喪失する恐ろしさと、このままこの重荷を背負ってしまったら、私自身というものは押しつぶされて消失してしまうのではないかという不安だった。」
あまりに長すぎるので全部引用できないが、このように主人公が抱く感情のあらゆる部分がオタ女子(特に恋愛したことがなく自由に生きてる人)に刺さることは間違いなく、そうした人たちには是非とも一読して感想を聞かせてほしい本の一冊である。
調べてみると金原ひとみがこの本を書くに辺り参考にしたのはヘタリアにハマっていた友人であるというのだからまた大爆笑、何ならミートイズマインについては「オタクものを書くなら自分が興味持てるものにしようと思って、じゃあ肉かなって(笑)」などと語っていたのがさらに面白い。そんな題材の選定のしかたでここまで書けるのが本当にプロである。おそるべし現代まで書き続けている芥川賞作家...!そんなこんなで非常に楽しめたので久々に採点して☆5を付与したくなった。
何となく金原ひとみはオタクではないだろうと思っていただけにインタビュー記事を読んで、この作品での彼女自身の立ち位置にあたるのは、ライやユキの方なのかなと思った。特にユキの設定に関しては小説家だったりアタラクシアに出てくる登場人物と類似してそうなところがあり、作者の形らしきものが感��取れる。
途中で出てきた、「ライにとっての恋愛は世の中に生きるにあたる実験である」という話は希死念慮を抱く人が得る人生の核なのかなとか、とにかくぼんやりとしたライという存在に主人公が乱されていく様子はなんとも見ていて気の毒になるほどだが、そんな彼女もライという概念を自らの中に取り込んだと認識し、周囲に支えられて一歩前進する力を得られたのは無事にゴールできて良かったと思った。(何より由嘉里が己の信念であるオタ活を捨てて婚活()に専念するとかいう展開にならなくてよかった/終盤のライのこと思いすぎな彼女にはちょっと驚いたがまあこの展開ならそうだよなと納得できた)
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私の思ってた幸せが、あなたの幸せじゃない。
離れてわかり合えることもある。
遺体で見つかるまではかすり傷。
消えた相手は想い続けることができる。
容姿はお金で交換できるかもしれない。
「知り合った日に言われたんです。ライさんのこと綺麗だって言ったら、整形して私になれば?って。三百万あればなれるんじゃない?って」
ユキがド辛辣なことを言うけれど反論のしようが一ミリもない。「顔が整ったダサい奴って、いいじゃない。太宰っぽくてキャラ的に魅力的じゃない?私は別にいいと思うわよ、センスのない美人て、アンバランスで素敵だと思うわよ。しかも整形してるなんて何だかミステリアスだし、人物像に奥行きが出るんじゃないかしら」
恋愛に前向きになって欲しかったし結婚して子供をつくって欲しかった。友達をたくさんつくって欲しかった。私の思ってた幸せが、あなたの幸せじゃないことは分かってたのに押し付けていたことに気がついた。あなたがいなくなってくれたから」
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「ミーツ・ザ・ワールド」の「ミーツ」はmeetsでmeatsか。
婚活を始めた腐女子と死を希求するキャバ嬢とホストの3つの生きる時間。
人が一人で生きていくこと。そこに必要なもの。
誰かにそばにいてもらうこと、誰かのそばにいること、大切な何かがあること、自分を大切に思えること。
期待するから絶望がある。絶望したくないから求めなくなる。そんな中で人はどうやって生きていくのか。
誰かに優しくするのは、自分が優しくされたことがあるからなのか、あるいは自分が優しくされたいからなのか。
分かり合いたいと思いながら分かり合うことが怖いと思う。だったら分かり合えないままそばにいればいい。
たとえいつかその人がいなくなったとしても、そばにいたという事実は消えない。一緒にいたその時間は一つの祈りとなって重なっていく。
うっすらと灯る優しい光のような小説。
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金原ひとみが最近書く、「普通」の世界にとらわれた頭でっかちに生きる人も、あらゆるエネルギーに満ちているのに寂しさを抱える人も、退廃的で世界への適合できなさを受け入れている人も、やっぱり他人との関わりを諦めてなくてそこが魅力だと思う
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初、金原作品。
暗いお話かと思っていたけど、全然暗くなく。
新宿に住む生きるのに疲れた人たちって、人を巻き込むことが好きなイメージだったけどそれとは違く。
とても強い人たちのお話。
もう少し若い時に出会っていたら、私も少し楽に生きられたんじゃ無いかなぁと思いました…
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分かり合えなくてもいいんだと、少しだけ心がホッとなるような作品でした。
初の金原ひとみ作品で、映画では、「蛇にピアス」を観たのですが、小説としては初見でした。
とてもいい作品でした。オタクの腐女子と死にたい願望を持つキャバ嬢、全く正反対な2人が、あるキッカケで、ルームシェアをするところから物語が始まります。文章が読みやすくて、すぐ読んでしまいました。正反対な2人の成長物語です。
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毎年のように金原ひとみさんの小説が読めていて嬉しい。
分かり合えない相手と分かり合うことの難しさ、それでも分かろうとすることの痛み、そして仮令分からなくたって築けるものが、痛切に書かれていた。人間は本当はもっと相手を理解できるのかもしれない。滑稽な表現になってしまうけど、でももっと仲良くなれるのかもしれないと思わせてくれた。人間同士の関係を諦めてしまうには、まだまだ早いのかもしれない。
私も友人と爆発的エネルギー摂取のため焼肉食べに出かけたい。
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何頁も付箋を貼って読みました。今の私には刺さる言葉が多すぎて、みんなの感情がわかってしまう、そうだよな、生きづらいよな、苦しいよなって。その全てを言葉にし、物語としてこの世に送り出してくれた金原ひとみ先生に感謝申し上げたい。
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金原さんの文章が好き。
ミート・イズ・マインが好きなゆかり。
ライはどこに行ったの?
会いたい。
ライと会えたから出会えた友人達。アサヒとかオシンとかユキとか。
もう家族みたいな人達。
また、ライに会えることを期待したい。