ブッカー賞の中のブッカー賞なんだって
2020/12/11 23:27
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ブッカー賞を受賞した作品で、おまけに1993年に「ブッカー賞の中のブッカー賞」、2008年にも「ベストオブブッカー賞」を受賞し、ザ・タイムズに「(ガルシアマルケスの)百年の孤独以来の衝撃」と評されたという書店の煽りに、権威というものに横を向いているふりをしながら実は権威というものに弱い私が負けないわけがなく、上下巻で1000ページを超え、税込み2500円を超える大作を買わないわけがない。
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ノルウェー・ブック・クラブによる「世界最高の文学100冊」にあがっていた一冊。折り良く岩波文庫に入ったので、読んでみた。
本作の主人公で語り手であるサリーム・シナイは、インド独立の日である1947年8月15日の真夜中きっかりに、ボンベイで生まれた。この暗合により、「歴史と手錠でつながれ、私の運命は祖国の運命にしっかりと結びつけられてしまった」私が、祖父の代からの一族にまつわる出来事を、千夜一夜物語のように、聞き手のパドマに語っていく。父と母の結婚、妊娠中の母になされた占い師による不思議な託宣、父の事業の崩壊による両親のボンベイへの引越し、そして、新生インド誕生の瞬間、語り手が誕生する。ーここまでが第一巻
首相ネルーからは「出生時間の幸福な偶然を、…お慶び申し上げます。貴君は年老いた、しかし永遠に若くあり続けるインドという国を担ういちばん新しい顔なのです」とのメッセージをもらう。
そして9歳のとき、あることがきっかけで主人公はテレパシー能力に開花し、世界を創造している想念に憑かれる。そして、自転車事故の衝撃をきっかけに、主人公の能力は更に高まり、〈真夜中の子供たち〉を知ることになる。彼ら、彼女らは、1947年8月15日の真夜中と午前1時の間に、主権国家インドの国境内に生まれ落ちた1001人のうち、1957年までに生き残った581人の子供たちであり、不思議な特徴、才能、能力を授かっていた。主人公は、自らがハブとなって、真夜中の子供たち会議を作る。
そんな中、主人公は友人に追いかけられ指を切断する大怪我を負ってしまい病院に運ばれたところ、思わぬ事実が明らかになる。(ここまでが文庫上巻)
語り手の語りが、語っている現在と、祖父、祖母、父、母等の出会いや関係、出来事が起こった過去との間を行き来するので、いつのことの話なのか慣れてくるまでに少し時間がかかる。一つひとつのエピソードは現実離れしているようでいて、あの底知れぬインドならばあり得そうにも思えてとても面白い。その辺りが、本書がマジック・リアリズムと評されている所以であろう。
ここからどうなっていくのか。占い師の予言が実現していくのだろうが、予言の常で、あの言い回しでは何だか分からない。
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チラチラ出しては隠される人物や出来事、散らかって進む話に不思議と苛立つこともなくひきこまれる。たびたび横やりを入れるパドマが読者を代弁していると思う。主人公のパドマへの眼差しは温かくて、そこに著者の読者への眼差しを重ねた。
緊迫したラストに、三巻構成だったのを上下巻にした意図が窺える。
現実感のあるところも無いところも、抽象的な記述でさえとにかく画面の浮かんでくる文章で、映画を観ているようだった。
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ブクログでフォローしている人が絶賛していたので、気になって買ってみた。
実際に購入してみると、帯コメントまでもが絶賛している。
> 刊行当時「『百年の孤独』以来の衝撃」とも言われた、20世紀小説を代表する一作
なるほど、20世紀小説を代表する一作…。これはすごそうだと、期待値が跳ね上がる。
しかし読み始めると大きな違和感が。話の世界観に入っていけない。
自分の知識不足だろうか。当時のインドの情勢を知っておかないと楽しめないのだろうか。
よく分からない世界観の中で、よく分からない話が進んでいくという。そのような感覚を持った。しかもやたら冗長で、翻訳された文章にも魅力的な部分はなかった。
ああ、ブッカー賞ってこういう感じだよなと。読み始めてから思い出す。
150ページほど読んでみたものの、ただ苦痛でしかなかったため、読むのを断念。端的に言うと、何が面白いのか一切分からなかった。
上下巻とのことで、我慢して読み進めれば何か見えたのかもしれない。下巻からは面白かったのかもしれない。けれど、上巻の150ページでさえ苦痛なのだから、個人的にはそれは期待しなかった。
(書評ブログの方もよろしくお願いします)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E8%8B%A6%E7%97%9B%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%8D%E6%96%AD%E5%BF%B5_%E7%9C%9F%E5%A4%9C%E4%B8%AD%E3%81%AE%E5%AD%90%E4%BE%9B%E3%81%9F%E3%81%A1_%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%B7
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1947年、イギリスから独立したインドで誕生した作家であるサルマン・ラシュディが作家として注目を集めた長編小説。ラシュディといえば、イスラム教から名指しで命を狙われることになった『悪魔の詩』(特に日本においては邦訳を担った筑波大学助教授がキャンパス内で暗殺された点で有名でもある)が有名であるが、本作『真夜中の子供たち』は著者の出世作として圧倒的な物語世界が描かれている。
著者の作品を読むのはこれが初めてであったが、ガルシア・マルケスなどに代表されるマジック・リアリズムのインド版とでも言おうか、濃厚な物語である。1947年8月15日の深夜0時、独立を果たす瞬間のインドで生まれた500人もの”真夜中の子供たち”は、それぞれが特異な能力を持ってこの世に生を受ける。主人公のサリームもその代表格であり、彼がその特異な能力と共に苦労しながら成長する様が描かれる。
驚かされるのは、同じく0歳で誕生したインドという国家と、サリームという一人の人間を半ばDNAの二重螺旋のように相互の関係性を描き、双方にとっての希望ある未来を描くというこの途方もないコンセプト(誰が国家と人間を相似形にあるものとして描くだろうか?)と、それを取り巻く圧倒的な物語の面白さである。
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地名とかはインドだが、全然オリエンタルさとか、アジアっぽさ、物騒さなど感じられず、作者が元々イギリス人で色々な庇護の中、植民地先に生まれて育ってるからなのか(よく知りません)なんつーのかな、スピリットというのかなー、ガッツ、反骨心、危険さ、それによる殺伐さ、みたいのが全然感じられなくて、そうねー、おもしくなくはないけど、うーん、期待していた感じと違った。けっこう、肉体の描写(あんまないけど)は生々しい感じがした。
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どんなおどろおどろしい話なのかな…と思ったけど、しょっちゅう冗談や自虐が出てくるので、割と気軽に読めた。
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とてつもない天才が、あっと閃いたアイディアを頼りに、毎日つらつらと文章を書いていったらできた物語、とでもいうようなのらりくらりとした読み味。
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悪魔の詩を読んで、この作家の本をもっと読みたくなったので借りた。
借りてはみたものの、こういう小説の感想は本当は好きじゃないんだけど、余りに難解すぎて半分くらい読んでギブアップ…これは上巻なので、全体の四分の一しか読んでない。主人公がまだ生まれたばかりで、これから育とうという時なんだけど。
インドの歴史をわかっていたら、この小説をもっと理解しやすいのかな?
悪魔の詩のほうがとっつきやすかったよ…いつか再挑戦したい。