紙の本
十条青羽のあのシーンは読むのが怖い。
2006/07/25 15:05
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ISH - この投稿者のレビュー一覧を見る
結婚して安らかな日常を得…日毎にその思いは強まって行く。
「死が迫りつつある祖母は、今安らかなのでしょうか。とても気になります」
…そして読んでしまったこれ。最終巻の十条青羽のあれ。二度と見たくないと思うほどに揺さぶられる。
そして思う。「それは、幸福な思いですか」。
彼女はどうか知らん。自分のことは自分に聞いてみる。
…幸福。親を思う親の思いを美しく感じていた。そして思われるその人を素晴らしく思っていた。
それは振り回される子供の心ではない。自分自身で思い決断したこと。幼い子供にだって自分一人で考えられることはある。
関わってはならぬという制限を振り切って感謝と案じる思いを伝えると…「私も孫達に対し同じことを思っていた」と…。
痛みを思う痛みが引き継がれているからでしょう。
けれど、それのどこが不幸なのか。闇。痛み。孤独。恐怖。病。
初めにそれなくして彼女はあの悲しいほどに幸せな夢を思い描けたでしょうか、と。
紙の本
想像の世界を表現できる素晴しさ
2003/06/28 15:08
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:綿雲ヒツジ - この投稿者のレビュー一覧を見る
待ちに待った萩尾 望都さんの新作です。前作は重いテーマの長編でしたが今作はファンタジーテイストではあるので比較的軽く読めるかと思いきや、謎が謎を呼ぶミステリーでもあります。
ポンポンポンっと軽快にストーリーが流れていくので一度読んだだけでは判らない。けど何度も繰り返し読みたくなる。萩尾さんの作品は何回読んでもあきる事なく、読者自身にも想像する力を与えてくれます。
そして劣ることのない作者の想像力は凄いです。なによりも凄いのは自分の像像したヴィジョンをしっかりと漫画にできる画力。登場人物の体のしなやかな動きはキャラクター達をひときわ生き生きと感じます。
ストーリーでは、少年少女達の永遠の楽園「バルバラ」は夢先案内人によってどう変化していくのかが気になります。期待を裏切らない作者ですから安心してこれからの怒涛の展開を楽しみにしてます。
電子書籍
不思議
2021/02/24 21:22
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投稿者:がんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
オムニバス作品かと思うぐらい、各話で印象が違っている。
この先、パズルが少しずつ埋まっていくような感覚を味わえるのか。
電子書籍
数多くの謎が現れる第一巻
2017/11/24 20:40
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投稿者:かんけつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
夢に潜る夢前案内人渡会。夢の世界バルバラ。2052年が舞台。渡会の息子キリヤが島をコンピュータ内で作ったという。さまざまなバルバラが登場してくる。
電子書籍
ファンタジーだと思ってました
2017/02/16 14:21
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投稿者:わらび - この投稿者のレビュー一覧を見る
さわりだけ読んで、ファンタジー世界の話かと思っていたら
SFミステリー的な話だったのでびっくり。
ファンタジックな話に、精神医学や心理学なんかが合わさって
独特な世界観と魅力が生まれています。
電子書籍
まさに異次元!
2017/01/31 19:13
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投稿者:ルーシー - この投稿者のレビュー一覧を見る
萩尾望都先生は、中学生の頃ハマって憧れていた方です。
11人いる!が大好きでしたが、年齢とともに漫画からは距離を置くようになっていきました。
あれから40年。
きみまろさんじゃありませんが、随分と時がたって、再び萩尾先生の漫画に巡り合いました。
やっぱり好きです。この世界観。宇宙観。人生観。
のめり込んでしまいます。ヤバイ!
優しい。暖かい。厳しい。冷たい。緊張感。心を動かされます。
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「残酷~」ですこし離れてたけど、やはりこの先生はSFが似合う。着眼点が人とちがう。ストーリーもすんなり入る。ネームがやたらうまい。これ以降SF描かれていないのかしら。残念。
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親子関係を子供の側から描き続けた萩尾望都が、ついに親の視点からの親子関係を描いた作品。それぞれの親たち、そして未来への不気味な予感の中で、子を思うトキオの祈りが切ない。また、SFは常に未来への不気味な警告である、と感じさせてくれる作品でもある。
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バルバラ世界の青羽がかわいい。こうなってほしいなっていう自分で作った世界にいる。それって幸せ…なはずだよね?萩尾望都ってなんでいつまでも絵がうまくて勉強家で自分の世界を統率し続けられるのか不思議。どうやるのかしらん。
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萩尾さんはきっと、私たちには入り込めないできないパラレルワールドを自在に行き来して、実際にその目で見てきている人だと思います。これを読んで、確信しました。
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「残酷な神が支配する」全17巻、1993.4-2001.9でついていけなくなって、萩尾離れを起こして人が多数いるのではないだろうか。僕は最後まで付き合ったけど、うちのカミさんやカミさんのお友達は、テーマの気持ち悪さについていけず脱落してしまった。
「バルバラ異界」でどれぐらいの望都ファンが戻ってくるだろうか?
この本の主人公はいったい誰なのだろうか?眠り続ける十条青羽、他人の夢に入り込むことの出来る渡会時夫、渡会時夫の息子のキリヤ。物語の時代は、2052年。
瀬戸内海に浮かぶ幻の島バルバラ。右手の形をしている。この島は、キリヤがパソコンの中に作った架空の島だという。
2045年に何者かにより十条勝一、茶菜夫妻が殺害され、その娘青羽9歳は地下のピアノ室で意識不明の状態で見つかった。その事件以来今日まで7年間眠り続けているという。その青羽の眠りの原因を探るため、渡会時夫は、青羽の夢に入り込むことを依頼された。
脳内イメージングスキャナーという機械があって、パソコンに夢を取り込んでみることができるようになっているのだが、青羽の夢は、ノイズが多くてうまく取り込めないのだという。渡会時夫が青羽の夢に入り込むと、青羽は幻の島バルバラで、幼いまま暮らしている。パインとタカちゃんというお兄さんがいる?バルバラでは、養子をもらって育てるというのが一般的らしい。母親は、ダイヤさん。女優さんで、テレビのコマーシャルの出演とかしている。家には、ダイヤの姉さんのマーちゃんがいて子どもたちの面倒を見ている。
この世界では、普通の人は身軽で、空中に浮いてしまう。でも、青羽は浮かばない。浮かないのは死人だけというのだが・・・。
青羽の祖母の十条菜々実に話を聞くと、青羽は父と母を殺害し、心臓を取り出して食べてしまった。それで満足して眠り込んでいるのだという。
十条家は、十条製薬という会社を経営しており、若返りの薬の名前がバルバラシリーズだという。
渡会時夫は、学生結婚し、キリヤが生まれたのだが、妻の明美さんは、夢の中を覗かれるのはいやだといって、離婚してしまったという。ところが明美さんは、衰弱して死にそうになってしまう。前世治療によって判明した、前世の恋人ヨハネの励ましで、元気を取り戻す。キリヤは、「世界は僕を捨てた。世界は僕を愛していない。なのにそんな世界で僕は成長し学校に行き勉強し成人しやがて社会に出て働かねばならない」と悩んでいる。
キリヤの夢に青羽が現れ、父親に私の夢に入ってこないでといってくれ、又は、彼を殺してくれ、そしたら、あなたを捨てた世界をあなたお手に取り戻してあげる、という。
「残酷な神が支配する」を書くことによって、SFも一段とパワーアップしてしまったようだ。恐怖の予感がいっぱいちりばめられている。
(2004年6月17日・記)
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えーと、「残酷な神が支配する」から後、この「バルバラ異界」は、購入はしていたけれど、ずっと未読のままでした。
まあ、1番の理由は、萩尾望都は、読むのに体力と根性がいるからなのでした。
そのくせ、泥沼のように(?)一気に読ませようとするからねぇ。そして、一気に読みたいたぐいのお話だし。
ということで、夏で仕事も一段落した今の体力のある時期に、読んで置こうということで読み始めました。
えーと、凄い。
これは、あんまりにも陳腐な表現ですねぇ。
前作の「残酷な神が支配する」は、リアルな理解しやすい物語だったと思います。まあ、劇的なドラマの連続が、リアルといっていいのかどうかという問題はありますが。
エンターテイメントと人物の心の動きを両方バランス良くかいた物語でした。
それ以前の物語は、どっちかというとSF以外は、心理面にウェイトがおかれていたと思います*1。
それが、変化してきたのが、多分わたしは、「あぶない丘の家」あたりだった気がします。
この作品は、日本舞台で、エンターテイメントで、登場人物がどう見たって日本人に見えなくて、でも面白くて、いろんな意味で「凄い」作品でした。
萩尾望都のターニングポイントだったかも。
でも、ウケたかどうかはわからないので、
それから、一連のバレエシリーズがあったのかな。バレエシリーズあたりは、そのまま「残酷な神が支配する」の流れに続いている気がします。
短編なので、あれほどドラマチックではないけれど。
で、今回の「バルバラ異界」なのですが、近未来設定のSFです。そして、舞台は、日本です。
そうなんか、「あぶない丘の家」の流れを感じる。
というよりも、萩尾望都の今までの作品の総決算な感じがします。
全4巻。
どんな話になっていくんでしょう?
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幸せな夢に浸っている人を起こすことは、果たして援助的かどうか。起こすことは壊すことにもつながることに気付かされる。
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もー様の世界は、いろんな点が存在してどんどんつながって頭のなかで紐解かれていくような、そういう感じをずっとずっと受け続ける世界です。
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萩尾作品では、折りに触れて取り上げられている気がする「精神の感応」を、また新たな知識から、違った角度で描いた作品。
全4巻で完結してしまった時には驚いたけれども、時間がたって通して読み直してみると、全4巻で充分まとまっていたと思う。
でも、一読だけではかなり混乱する気がする。少々言葉で説明的な部分も多い気がするけれども、流石の手腕で心理深層描写がとても美しい。
日本には、多くの素晴らしいSFがあるんだぞ!!と、声を大にして言いたい時に思い出すのはまず萩尾望都。