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投稿者:なみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治・大正を生きる、4人のタイプの異なる女性が登場する。
美しく、陽気で奔放、華のあるふじ乃は、身内だったら少々迷惑だが、とても魅力的な女性だった。我を張る人かと思いきや、自分の罪をずっと悔いて、でもまた過ちを犯してしまう弱い面も多々あれば、物事に動じない、肝の座った面もある。
夫の順平、息子の新太郎共に、ふじ乃の罪に絡め取られてしまった。一度疑惑をもったら、もうどうしようもないのかな。
むかーしに読んだはずだが、すっかり忘れてしまっていた。
むかーしの私は、どんな感想を持ったのだろう、と思うと、なんだか感慨深かった。
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久しぶりに三浦綾子作品を読んだ。
なんだか昼メロみたいな話だった。
展開が早く、読むのが止まらなくなってしまった。
今の時代ならDNA鑑定とかして、父親が誰なんか分かるんだけど。
あれ?どっかでこんなことあったなぁ、と思ったら、三浦綾子作品の代表作「氷点」に主演された内藤洋子の娘夫婦(元)のお子さんの件と同じじゃないか!すごい偶然でびっくりだ。
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旭川三浦綾子記念館で記念購入。
話が動いたと思ったらまだ2/3も残っていた。というくらいに、何度も情勢と時期が動く。
にもかかわらず、登場人物は冒頭の一覧で確かにほぼ足り、それでいて無理がない。
総じて人間の罪についての話であるが、キリスト教的罪とこの物語にいう罪とが同じなのかは分からない。
北の大地で、皆が必死に成長し、生きていく中で、少しのボタンのかけ違いが色々な人を動かしていくという少し悲しい話だったが、飽きは来ないので一気に読めた。
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久しぶりの三浦作品
そのストーリーのうまさに 一気に読まされた
それにしても40年近く前の作品なのに、全くそれを感じさせない
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三浦作品のおもしろさにハマってるらしい
人間の中にあるずるくて自己中心的な一面を
むき出してくるあの人間臭さがたまらない!
個性的で嫌悪さえおぼえる人物がなぜか愛おしい
そして作品の舞台が地元だったりするのもリアル
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ゆっくりと時間を掛けて―と言うより、他地域へ出るという場面が生じる等、読書をしなかった日が幾分生じていたというだけなのかもしれないが…―読了に至った一冊である。
雑誌連載で本作が世に出た後、単行本が初めて登場したのは1986(昭和61)年だという。作者である三浦綾子の長い執筆活動を想うと、その半ばとも、後半に入っている辺りとも言えるかもしれない。作者自身が伝え聞く「一族の物語」に着想を得ているという作品だ。
本作の単行本が登場した年が既に38年も前ということになる。それでも「38年前」という旧さを全く感じさせない。様々な作中人物が躍動し、明治時代の後期から大正時代、物語の末尾の方はもう直ぐ昭和になって行くような時期と見受けられるのだが、「或る一族の物語」として説得力が在って引き込まれる。他方に、作者が長く綴り続けた、「人の罪?」、「許し?」というような事柄が織り込まれながら物語は展開している。
三浦綾子の父は苫前町で生れていて、祖父母は苫前町で商店を営んだらしい。そういう事柄を反映し、物語は「苫幌村」という架空名の集落で起こっている。後段に、「直ぐ傍の別な集落」として「苫前」という名も登場するのだが。
苫幌にカネナカ商店(「¬」(かね)に「中」(なか)の文字の組合せで「カネナカ」としている。)が在る。佐渡の出である順平が主で、同じく佐渡からやって来た妻のふじ乃が居る。2人の間に娘の志津代が在る。
同じく苫幌には山形屋旅館が在る。夫に先立たれたキワが旅館を営んでいる。キワには恭一、文治、哲三の3人の息子達が在る。
物語はこの2つの家の人達が主要な視点人物になって展開している。順平とふじ乃との間の色々な事柄、その狭間の志津代の事柄が在る。志津代とは幼馴染の文治の事柄、そしてその兄の恭一の事柄が在る。この辺の人達に、周辺の色々な人達が関わって行くことになる。
作中人物達は、年を経た様々な展開の中で各々の人生を生き、互いに関わって行く。志津代にとって「年が離れた弟」ということになる新太郎が生れるのだが、この新太郎を巡る様々な事柄が、物語の中で少し太い柱ということになるのかもしれない。物語は「苫幌」での展開から、主要作中人物達が移り住む旭川での展開が主になり、終盤には順平とふじ乃との出身地である佐渡での展開も在る。
作中世界の年月の中、作中人物達のやることによって拡がる波紋が在る訳だが、そうした波紋を描くというのが本作の中心なのだとも思った。更に「或る人の言動」の「影響」のようなモノが存外に長く尾を引くという場合も意外に多いので、作中の挿話が全て酷く説得力が在るとも思った。
三浦綾子作品の中には、揺れ動いた時代の情況が深く関わるという例も在るが、そういう要素の濃淡は別にして「或る家族が過ごす年月の中での様々な出来事が織り成す物語」という作品は多い。本作もそうした作品の一つであろう。
作品は新しくもないのだが、入手した文庫本は未だ新しい。そこで未読の方も多いかもしれないと考え、敢えて作品の細かい中身には触れていない。作中の順平とふじ乃との孫に相当する子ども達が出て来る。もしかすると、この中に三浦綾子に相当する人物が幼い子ということで出��いるのかもしれない。
作者の一族の話しに着想を得ているということではあるが、或いは「北海道に暮らす多くの人達の家族の物語」に通じるかもしれない。そういうようなことも感じながら興味深く読んだ作品だ。広く御薦めしたい。