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才能ある絵本作家の日本デビュー作
2009/11/04 14:11
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のはら そらこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
絵本の作家紹介によれば、画家の今井彩乃さんは、ボローニャ国際原画展で2003年から5度も入選されていて、海外では出版されているのに、日本では、この作品がデビュー作という。繊細なタッチ、やさしい色使い、効果的な構図、そして背景や小道具など隅々までゆきとどいている。
原話はよく知られたイソップ寓話だ。田舎のネズミが家に、町のネズミを招待するところからはじまる。
田舎のネズミの家には、切り株のテーブルがあり、そのまわりをシロツメグサやナズナなどの雑草が囲んでいる。さわやかな緑の風が吹いていそうだ。町のネズミは木の実をふるまわれて、ちょっとかじり、目をつりあげて舌をだしている。いかにもまずそうな表情が面白い。
田舎のネズミは町のネズミにつれられて町へ。通ったのはきっと路地裏だろう。洗濯物がぶらさがり、空き瓶がころがり、配水管からは水がたれている。オオバコがはえているけれど、なんだか妙に白っぽい。背景は白っぽいグレーで、寂寞とした印象を与える。
ネズミたちを脅かす人間の描き方は、とくに見事だ。人間は、あいたドアからもれる光に浮かびあがるシルエットと、ネズミたちの目の高さから見上げた巨大な2本の脚で描かれる。びくっと震え上がるネズミたちの鼓動が聞こえてきそうだ。そしてテーブルに並ぶ食べ物はおいしそうで美しいが、どこか毒々しい。
2匹のネズミが別れる場面では、町と田舎を、見開きの1ページで巧みに描き分けている。左側は先がグレーの道。高い家や煙突の並ぶ町にむかう。右側は先が茶色の道。木々が立ちならび鳥が飛ぶ田舎へと向う。町への道の脇には鉄製のフェンスがたち、田舎への道の脇には白木のフェンスが続いて、野原に小さな花がひっそり咲いている。町のネズミと田舎のネズミは、それぞれ自分の選んだ道を確かな足取りで歩いていくように見える。町と田舎、どちらがいいかはそれぞれだけれど、選んだ道が正しいと確信できる。
ラストのページは、田舎のネズミが家に帰りついて一休みしている場面で終わる。穏やかな田舎のネズミの表情に読むものもほっと安堵感を感じる。
一見かわいいけれど、シビアな現実がきっちり描かれている。そしてなにより、独特の雰囲気がある。こんな素敵な絵本作家がどうして今まで日本で紹介されなかったのか不思議だ。今作に続いてどんどん紹介されることを期待する。
現代人に通じるお話
2016/04/04 20:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:honyomi - この投稿者のレビュー一覧を見る
いなかのネズミとまちのネズミ、
それぞれがお互いを食事に招待します。
いなかはのどかですが、食事が今ひとつ、
まちは食事は豪華ですが、人間の影に怯えながらの生活。
どちらも一長一短で、今の暮らしに通じるものがあります。
イソップさんの考え
2010/07/14 19:34
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
いなかのネズミとまちのネズミ イソップえほん 蜂飼耳 今井彩乃
わたしがこの物語をはじめて読んだのは、8歳ぐらいのときでした。いなかのねずみととかいのねずみというタイトルで覚えています。都会ではなく、町が正しいようです。また、8歳のとき、舞台は日本という設定で理解しましたが、この本ではイギリスの風景です。
赤いネズミがいなかのネズミ、黒いネズミがまちのネズミです。いなかは粗食(収入が少ない)、まちは美食(収入が多い)、人間社会のありようについて、ネズミをとおして擬人化してあります。年収が少なくても気楽な生活がいいのか、(逃げ回るのに)忙しくても豪華な生活がいいのかという対比の面があります。長い人生を通して、どちらか一方の暮らし方をするということは少ない。若い頃はまちに出たい。老齢になってくると田舎暮らしをしたいということもあります。
いなかのネズミにしてもまちのネズミにしても、世界が狭いということに変わりはありません。このふたりがどこで出会ったのかの説明はありません。縁があったのでしょう。それとも最初はふたりともいなかにいたのかもしれません。あるいは、親子なのかもしれません。もうひとつの共通点として、両者に「生産性」がありません。他者の食べ物に依存します。自らが食べ物を育てるという知恵がありません。
イソップさん(2600年ぐらい前のギリシャの作家さん)が、いなかとまちの暮らし、どちらがいいかという単純な選択を目的としてこのお話をつくったのか、それとも解決不可能な人間の欲望について深い考察をされたのかは、今となっては知る由もありません。
イソップ
2025/05/10 12:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamu - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔に読んだ記憶があります。今読んでみると子供のころに読んだ時とは違った感想や感情になって面白かったです。
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