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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中学生のミアには小学生の弟チャーリーがいて、毎日ミアが小学校に迎えに行く。父親はいない。母親はいるがなにもしない。だからミアが食うや食わず生活の中、一人弟の面倒を見ている。
どこの国も福祉政策は切り詰められ、貧しい家庭で奮闘する子どもがいる。
ミアが無料の娯楽と図書館に通いつめ、そこで出会った男性から教えられたとある日本人アナーキストの本。
金子文子とミアの人生が平行して描かれ、生きる道筋を示そうとする。
貧困への連鎖を描く
2022/08/29 16:57
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
1世紀前の日本・朝鮮に存在した階層化を伴う貧困や、抜け出せない生活の悪循環や、ネグレクトなどが、現在がなにも改善されずに、世界中に存在することが悲しい。作中の子供たちは、自分で親を選ぶことも境遇を選ぶこともできないのに、人間たちの非対称的な関係を彼らに押し付ける。不幸を受け入れるのではなく、押しのける勇気が必要なのかもしれない。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
多感な14歳の少女の、これはフィクションの方……みたいです。この作者のノンフィクションは、読んだことがありましたがー。そのときほどの印象は、無いですねぇ……もう少し、深いかなと期待していました。
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投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る
もう少し深い話かな?と思ってただけに
多少期待はずれに感じてしまいました。
でもこんな生活を現実に送っている人たちがいるんだと思うと
どれだけ日本は恵まれているんだろうと感じてしまいますね。
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ブレンディみかこさんのノンフィクションでなく14歳の少女を主人公にした長編小説との事でもう期待大です。カネコフミコの自伝とミアとの対比がみごとに表現されたと思います。フミコの自伝の中で特に印象に残ったのがたみちゃんの形見の裁縫箱の件で怒るシーンの表現がすごかった。ミアとチャーリーの逃避行のシーンは本当に泣けてきます。カネコフミコの自伝の続きが知りたかった。
この感動作をぜひ読んでください。
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金子文子の事を全く知らなかった。映画になっていたのは知っていたが何も考えず見過ごしていた。
最後にはハッピーエンドになったものの、重い問題を少しロックに描いている感じで一気に読める作品。
何より金子文子について、もっと知りたくなった。
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一気に読んでしまった。
子供という小さくて弱い生き物。貧困、大人の勝手な都合で振り回され、なんとも言えない気分になった。
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ブレイディみかこはホンモノだ。
弱者への捨て身のエンパシー。
父に捨てられたカネコフミコ。
「邪魔者を見る目つき。あのとき、彼はそんな顔をしていた。私たちさえ自分の人生からいなくなればと強烈に願っていた。
大人はあんな目をして子どもを見てはいけない。私はここにいてはいけないのだと子どもが考えるようになるから。そんな目をされたところで、私はもう生まれていたのに。私の不在を願う人がいたとしても、私はすでにこの世界に存在してしまっていたのに。」
子どもに寄り添う、という言葉は使い古された感があるが、言葉を尽くして、私たち読者に語りかける。こんな子どもたちを存在させているのは誰?こんな大人を存在させているのはあなたたちではないの?
小さいアジア人の中年の女性が、イギリスの地で、生きづらさを抱えている人たちにこんなにも深く心を寄せ、こんなにも彼ら彼女らを洞察しているのを、おそらくそこにいる人たちは誰も知らないのだろうなと思うと、不思議な気がする。
こんなふうに、じっと見ていてくれる人は存在するのだ。それが、人間社会というものだ。
だから、きっと私たちの周りにも、そんな人たちは潜んでいるのだろうと思う。そして、知らないふりで手を差し伸べてくれていたりするのだろう。
ああ、人間ってすごい、と思う。同時に、人間って愚かだとも思う。
伊藤野枝と金子文子は境遇と思想、似たもの同士だが、金子文子のことを考えるときは悲しくて胸が苦しくなる。
おそらくブレイディみかこもそうなんじゃないか?
夫であった大杉栄と朴烈の違いかもしれない。(二人とも妻たちと比べたらいい加減な男なのだが。)
伊藤野枝は寂しい「女」であり、金子文子はさみしい「人」だからかも。
小説という形でしか書けないものを炙り出したい、という作者の意図は、見事に達成できている。
ブレイディみかこという作家が今存在していることに感謝したい。
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記念すべき2022年読了100冊目。やった〜。
以前からずーっと読みたいと思っていた本。
たまたま知人が貸してくれることになり、たまたま100冊目のタイミングで読み終わることができて嬉しい。
軽々しく「面白かった」で片付けてはならない、あらゆる社会問題に光を当てた一冊でした。
根強く階級社会が残るイギリスで、不安定な母親を持ち経済的に困窮している中学生ミア。
100年前の日本を生きた1人の少女、金子文子。
ミアは、自分と重なる部分が多い文子の自叙伝に夢中になる。
作品では、文子とミアの世界が交互に描かれていく。
短期間イギリスに住んでいたことがあるが、その深刻さは全く伝わってこなかった。
でもこれがリアルなんだろう。
きっと華やかなイギリスの裏に、日本以上に逼迫した日々を生きる人たちがいるんだろう。
第9章の「子どもであるという牢獄」というタイトルは胸に刺さるものがあった。
子どもだという理由で守られることがたくさんあるのと同時に、逃げられない、避けられないことも多すぎる。
あまり明るみになることはないが、日本でも子どもの貧困は7人に1人に上ると言われている。精神的な病に罹る人が多く、自殺大国と言われる日本にも、きっと私たちが知らないだけでミアのように苦しんでいる子どもは多くいるのだろう。ヤングケアラーという言葉も近年よく耳にするようになった。
自分たちのことを親切で礼儀正しい国民性と信じてやまない日本人は多くいるが、本当にそうだろうか?
実際に困っている人がいた時、手を差し伸べられる人はどれだけいるだろう。作中に登場する、ゾーイのような人はどれだけいるだろう。
正直、私自身も自信がない。
そして多くの原因は、精神的・時間的なゆとりのなさだと思えて仕方がない。
今の日本は、児童相談所などの施設に従事している人や、親以外の大人たちが子供を救う手立ても、余裕も殆どない。
子供を救うためにも、大人の働く環境や、社会全体の経済状況を改善してほしいと心から願ってやまない。
周りを気遣えるゆとりが欲しいです、切実に。
金子文子の自叙伝は、いつか手に取りたいと思った。
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イエローブルーでは深く書かれていなかったよりシビアな子供達の現実。
ハッピーエンドすぎるとみかこさんは悩んだみたいだけど、個人的にはこの本の終わりみたいに希望ある未来が沢山起こってほしい。
そして今苦しんでいる子にこの本が渡った時、
希望の1冊になればいい。
そう思った。
本を読むって自分もそうだったけど、
現実が苦しい時に助けになってくれたり、
心の平穏を与えてくれたり、
勇気をもらえたりするから。
確かにご都合主義すぎて萎えてしまうと言う時もあるけど、それでも現実が過酷だから小説も絶対シビアじゃないとダメと言うのも違う気がする。
この本の主人公ミアみたいに、苦しんでいる子供がこの本をきっかけに希望を見出して欲しいという願いが篭っていると個人的には感じたので絶対この終わり方でいいと思った。
それに、シビアな子供達の現実があると知る事で、世界の見え方、行動の仕方、向かう目標は変わっていくと思うから。
こう言う現実があるんだと知れただけでも凄く重要な読書の時間だった。
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大正時代の日本に生まれた少女との出会いがイギリスの今を生きる少女の明日を照らす。
生まれた家で、育ててくれる親で、子どもの人生は変わる。
裕福な家で、優しい家族に囲まれて育つ子どもと、貧しい家で子育てさえできない親の元で育つ子ども。
温かい寝床で寝ること、一日三食食べること、成長にあった洋服を着ること。そんな当たり前が当たり前じゃない生活。
この二人だけじゃない。世界中にフミコもミアもいる。親も環境も選べない、自分が子どもであることを悔しいという子どもたち。自分をあきらめている子どもたち。
子どもという牢獄を生きている彼らを、どうしたら救えるのか。
わからないことをわかるようになりながら生きていく。まだ知らないたくさんのことを知るまで生きていく。
この空の下で泣いている誰かに、そこじゃない世界はいまここにあり、ここから広がっていくんだ、と伝えるために生きていく。
フミコとミアの涙の向こうにある光が、今もどこかで泣いている子どもたちに届きますように。
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今生きている世界とは別の世界がある、という考えは確かに救いになり得るけど、ここではない世界という意識が強くなりすぎると、何かを否定したり無下にしたりする気持ちが意図しない形で自分の中で育ってしまう可能性もあるような気がしました。
「ここじゃない世界はいまここにあり、ここから広がっている」という言葉は心に奥にスッと落ちてく表現でした。
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リアルな言葉の銃弾で、見事に撃ち抜かれる!
「空(ソラ)」を「空(カラ)」としか感じられないような
そんな世の中を這いつくばる人へ届くと信じたい、
希望の世界がここにあります。
悲しみに暮れ、苦悩し、
絶望で光を失ったその眼に、
どんな時も昇りくる太陽が光を放つ。
頭上にある空の、続いていくその先の世界を、
自らの意志で、心の眼で見開いていけるように。
うなだれた人たちが
ふと顔を上げられるようなきっかけを紡ぎ出していきたい。
自分には何もできないと諦めたくない。
その目に映したい
その耳に届けたい
その声に耳を傾けたい
その手を握りたい
生きてくために必要なものをたらふく味わせたい。
全てが塞ぎ込みそうでも
五感のどこかで
この世界に広がっている可能性を
感じ取ってほしい。
この世界に生まれたすべての人たちに
自分が自分らしく生きていく居場所がありますように。
どんな国でも、どんな時代でも
人は希望を見出せる。
そこに空がある限り。
そう信じさせてくれる作品です。
ブレイディみかこさんの
底から突き上げてくるようなパワーを
ひしひしと感じながら一気読みでした!
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良かった。ラストは胸に込み上げてくるものがあり、涙がこぼれた。
アルコール依存の母と弟の三人で暮らす中学生のミアは、貧困家庭で日々の食べ物にも困る暮らし。さらに、ネグレクトの母に変わり弟のお世話をするヤングケアラーでもある。
母に変わって弟のお世話をするために、何もかも我慢して、気を張って頑張り続けているミアが痛々しい。
図書館で出会った不幸な境遇のカネコフミコの自伝に、自分を重ね合わせて読まずにはいられないミア。
現実は、子どもだけではどうにもならないことが沢山あってやりきれない。
ブレイディさんの作品には、いつも思考と感情の両方を刺激される。
祈るような気持ちで読み、迎えたラストに希望があって良かった。
ミアのような思いをする子どもがいない未来であって欲しいと切に思う。
図書館期限切れからのリベンジですが、読めて良かったです。
『「本」と「違う世界」は、繋がっている』
『祈ったところで何も変わらない。起きたことはもう変えられない。だったら、自分でこれから起きることを変えるしかない。』
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大正期、日本のアナキスト、金子文子の生き様とイギリスの貧困層で暮らすミアを照らし合わせた一冊。
半分は金子文子の物語で構成されていて、ブレディ氏のテーマのようなイギリスの階層社会をフィクション化している、映画化でも狙っているのだろうか…
深いようで、浅い気もする… 力強さは感じるがなんだろ、多分すぐ忘れてしまう一冊かもしれない。
ぼくはイエロー、の方が好きかも。