SFコミックの金字塔
2022/07/17 18:59
13人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
光瀬龍のたいへん入り組んだ原作を見事に視覚化した文字通りSFコミックの金字塔である。原作の持つ 宗教的 哲学的 物理学的な論述を、大変にわかりやすく視覚化している。登場人物たちも皆生き生きとしているが、特に阿修羅王の造形は素晴らしい。萩尾望都が創造したキャラクターの中でも屈指の名作と思う。
やっぱりタイトルが素晴らしい
2025/01/02 11:35
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投稿者:忍 - この投稿者のレビュー一覧を見る
難解な原作が視覚化されており、それを通して読むことで、ようやくストーリーが理解できるようになりました。
細部では原作と異なる部分もありますが、小説でしか表現できないことを漫画で表現されているのが素晴らしい。特に阿修羅王の造詣が素晴らしい。
ただ、全体を見渡して考えると、結局は何をやろうと、釈迦の手のひらの上で遊んでいるだけではないか、という虚しさを感じてしまいます。
思い返すと、本作が週刊少年チャンピオンに掲載されていたころは、ドカベンやマカロニほうれん荘などが連載されたチャンピオン全盛期、そんな人気作品に比べて線が細くて地味、しかも場面が頻繁に変わるのに説明が少なく、断片的に見ていただけだったので、全く理解できていませんでした。
それでも、子供心にも印象的なタイトル名には引っかかるところがあり、頭の片隅に記憶された場面がいくつかありました。
特に覚えているが、登場人物によるの「神は裁くものなのか」という問いかけで、宗教というものに対する基本的な考え方が自分の中に生まれたように感じています。
また、遠未来都市では人は仮想現実空間(当時はそんな言葉はありませんでしたが)で生きているという場面も記憶に残っており、映画「マトリックス」のようなちょっと危ない世界の考え方が植え付けられた気がします。
なお、萩尾望都による漫画の完全版なので、いろんなメディアに発表されたことが分かる年表が充実してはいるのですが、原作のことも少しくらいは掲載されていてもよいかと思います(雑誌掲載や書籍発表、また後年の追記などを)。
また、原作との差異、作家自身やSF関係における位置づけなどの解説があるとよいと思います。
輪廻は繰り返されるのか?
2023/04/21 12:17
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幻の文明、宗教の開祖、そういったモチーフがちりばめられ、どうして命や思想が生まれて行ったか、その根源を問う。
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『百億の昼と千億の夜 完全版』を読み終わってしまったわ…。阿修羅王の戦いは果てしなく続く…つづ…く……。
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実はこの作品、萩尾望都作品集第II期の1巻2巻を持っている。[完全版]と銘打っているので、読まずににはいられず図書館で借りてきた。
雑誌掲載時のページ建てを再現し、全ページを作者自身が見直し、微細な修正を施したとある。それで完全版。
光瀬龍氏の傑作であるこの難解な物語を、よくぞまあ少年誌に連載したものだと感嘆する。今作品では原作から少々設定を変えている。特に阿修羅王を少女にしたのは、物語の特に絵的に深みを与えている。まさに萩尾望都版「百億の昼と千億の夜」。
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光瀬さんの、読んでないエッセイが収録されてた~(イメージアルバムとか出てたのね)。
原作も読み返したいな~~
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三浦しをんさんの「乙女なげやり」から、よしながふみさんの「愛すべき娘たち」を知り、
その繋がりで萩尾望都さんを知り、本作品を読むに至っている。
萩尾望都さんは手塚治虫さんの影響を強く受けていて、漫画の雰囲気(根底にある思想とか)も似ていると感じる。
この本は、2022年に再編集されて出版された [完全版] であり綺麗な状態で読むことができる。
しかもA5判のサイズなので文字も大きく見やすい。
[完全版]とした意味は最終ページに記載があった。
「百億の昼と千億の夜」とは、どういう意味なのだろうと思いながら読み始めた。
読み終えた時に、きっと意味が分かる…。
プラトンが1日で消滅してしまったアトランティスの謎を探る旅から物語が始まる。
少女の姿をした阿修羅王が戦っている敵の名は "シ" … それは生命が必ず出会う運命の存在。
ある星雲の千億の恒星…全て消滅
百億の星雲…全て死滅
終末に向かう宇宙
エネルギーの完全な平衡状態 = 完全な熱的死。
その後にはどんな変化も起こらない。
どんな生命も生きられない。
なにゆえに宇宙があり、生命があるのか。
「火の鳥」と「ブッダ」を合わせたような壮大な物語だった。
仏教の持つ宇宙観を描いた物語で、その思想は難解だ。
これを少年チャンピオンで全21回に渡り連載したという事実が凄い(子供たち、たぶん読めていないと思う)。
少女フレンドには馴染まない作品だし、大人のマンガにはあまりSFがないとも言ってるので、相応しい雑誌がなかったのだろう。
人間社会を風刺する発言も出てくる。
「繰り返される戦争 絶えざる経済危機 ――人間は高度な文明を持ち得ても 何一つ解決できなかった」
「進化 発展が人間に何を与えたか」 「破壊につけこまれただけではないか」
漫画だけでなく、本作品に関するエッセイ(光瀬龍さん3本、萩尾望都さん2本)や、萩尾望都さんのSFに対する想いなども書かれていて充実した本に仕上がっている。
影響を受けたSF作品や、自作のSFに対する裏話を知ることができて、また読みたい本が増えました。
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萩尾望都は好きだが、これは難しい・・・
SFもの、原作ありで、壮大な宇宙と世界観と、そこに宗教はそれほど書かれてるとは思えないが名を使っているということは、当然意味があるとすれば・・・
難解で・・・
ちょっと疲れた(笑)
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この作品の阿修羅がCLAMPの『聖伝』の阿修羅の元になったんだよな……
壮大なストーリーだった。ラストは漫画版『風の谷のナウシカ』を思い出す。一回読んだくらいじゃわからない。もう一回読もう……
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20代半ばまでSFは苦手だと思っていたのですが、ハリソン・フォードを好きになり、スター・ウォーズ、ブレードランナーを観ていたら慣れた…というアマノジャク。でも、超少女明日香は大好きでしたが…宇宙、がピンと来てなかったのかもしれません。
萩尾先生の作品は、今さらこの5年以内に読みまくっていて、その流れで原作ものだから…と敬遠していた本作の「完全版」が出た、ということで読みました。
私が生まれる前に原作が書かれ、小学生のころ漫画化…
その内容の斬新さに驚きます。または、この50年ほど、何も変わっていないのかも…と。少なくとも環境破壊はほとんど改善されていない…
そして宇宙、無の概念、宗教のこと…
現世も「誰か」に操られている、見られている…という感覚は、自分の中にもあり…
死んだらどうなるのか…まだまだ考えると怖いです。
様々な神様モチーフも良かった。
私は宗教には深くかかわらず来たので、どれも良かったです。やさぐれたキリストも…(笑)
とてもおもしろかったです。
ビジュアルなしの原作を読むかどうかは検討中。
重くて厚いですが、ぜひ紙でお読みください。
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[図書館]
読了:2024/5/5
SFの素養がないと全然理解できん…
絵だけで表現されているところ(違う場所に飛ばされるところとか、違う星と思われる建物の描写とか)きっと原作の描写を上手に絵に落とし込んでいるんだと思うけど、絵だけで理解が難しい。
話自体も良く言えばスピード感ある、読者置いてけぼり感のある早い展開で、何が何だか分からないうちに次々宗教始祖(の名前を持つ者)が出てきて委員会とか宇宙の果ての手先だとかが出てきて何が何だか分からないうちに終わった…。