現代史の一面がよくわかる
2022/10/16 22:06
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『日本左翼史』シリーズの三巻目、学生運動や新左翼運動が盛り上がった1970年代から現在に至る左翼史である。共産党は今に至るまで一定の議席を保持しているが、社会党は消滅、二大左翼政党の命運を分けたものが何だったのか。このあたりも本書のポイントである。以下、印象に残ったエピソードなどを紹介する。◆1974年に過激派が昭和天皇のお召列車を鉄橋ごと爆破し、天皇を暗殺する計画があった。爆破決行前夜に鉄橋の橋脚に爆破装置の配線作業をしていた際、ホームレスとも私服警官とも見える人物が付近を徘徊し始めたのを見て断念した。◆社会党委員長や衆議院議員を務めた土井たか子は大変な尊皇家であり、衆議院議長時代、宮中行事に呼ばれることが嬉しくて仕方ない様子だった。◆共産党は、ソ連の終わりが近いことを、自民党や社会党より早い段階で察知していた。◆菅直人は学生時代に新左翼運動に関わっていたと自民党議員があげつらうが、事実は異なる。学園紛争がピークを迎えた60年代後半、全学ストの影響で卒業研究ができないと、学生運動に反対し、ストライキを解除させた。これにより一躍有名になった。つまり、「学生運動に反対する運動」をやっていた。◆1979年のソ連のアフガニスタン侵攻について、社会党左派の理論的支柱であった社会主義協会は「アフガニスタン人民の要請に応えた兄弟的支援」であるという通常のソ連人でも信じていなかったドクトリンを本気で信じていた。◆自衛隊は違憲であると主張している共産党は、ロシアのウクライナ侵攻が始まると「急迫不正の侵略がされた場合、自衛隊を含めあらゆる手段を用いて、国民の命と日本の主権を守る」など、自衛隊の活用を正当化する発言を繰り返した。
池上彰は国鉄の順法闘争について、「きちっと法律を守ることで逆に使用者側である国に対抗するという闘争の手法」と解説している。順法闘争の影響で、始発電車の後1時間以上も列車が到着せず乗客が騒ぎ出した高崎線上尾事件の事例を見るまでもなく、法律を遵守した闘争で、これほどのダイヤの乱れを引き起こすであろうか?また、当時の鉄道の安全装置について、<列車が規定のスピードを超えても警報が鳴るだけでした。>との解説がある。実際は停止信号に近づくと、運転台のランプが点灯するとともに、警報音が鳴る装置であり、列車スピードに連動した装置ではない。
こういう連中は左翼ではなくアナキスト、いや、ただの殺人者
2022/10/04 14:54
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
よど号乗っ取り、浅間山荘、テルアビブ空港乱射事件、川口大三郎事件、三菱重工乱射事件、こんな事件を起こす連中は私は左翼ではなくアナキスト、いや、ただの殺人愛好者としか呼べないよう私は思う、そして重信房子が癌の治療をしていると知って腹がたった、他人の命を簡単に奪っておいて自分の命は大切なのか、彼らは自分勝手なのだ
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1−2巻は熱く読めたけれど3巻目はゆるいというか薄いというか現在に近いから書きにくいところもあるのかな
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たしかに労働者が団結することを希薄化させた政府の計略は成功したのだろう。しかし、自民党が備えていた、社会民主主義的な性格も、どんどんと失われた。結果として、現在の日本が、ますます張りぼて化していることも明確だ。
社会党の批判的な検証は、確かに必要だろう。
しかし、正直言って、批判的な検証が必要な政党は、他にもありそうな気がする。
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外山恒一による左翼史本を読んだ直後だったので理解しやすかった。
今の若者として、労働運動の盛り上がりってちょっと想像できず、上尾駅での暴動など当時の様子を興味深く思いながら読んだ。
共産党は、社会党の平和路線をうまく引き継ぐことでここまで生き残ってこられたということも理解できた。共産党は今苦しいだろう、ウクライナ戦争勃発の場面で「帝国主義のぶつかり合いだからどちらにも汲みさない。戦争反対」と日本で堂々と叫ぶことは可能だったのかと考えると…
あと少し思ったのが、マルクスは革命には組織された労働者が担い手になると考えていて、そうではない末端労働者は「ルンペンプロレタリアート」といって馬鹿にしていたとの記述について。
まず、私は自分が組織されたプロレタリアートであることに無力感を抱き辛い気持ちになっているが、これはマルクスから見るとプラスなんだと知って目から鱗な気分になった。
私は自分の力で生きているフリーランスの労働者=ルンプロに尊敬の念を抱いてるけど、これはマルクス的観点からしたらおかしいんだなと思うとウケた。
とはいえ、今の時代、組織化されたプロレタリアートから革命なんて絶対起きないと思う。
だってその立場にいたら社会を変革する必要ないもんね。
社会が変わる兆しはルンプロにあるのでは?と私は考えます。
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図書館の新着コーナーで手に取った。3巻シリーズの最終巻だ。
社会党や社会民主党、日本共産党等の漂流について労働組合の盛衰とともに語られる。鈴木善幸首相から中曽根康弘首相による3専売公社の民営化により労働組合は衰退していっった。そして新自由主義のもとで労働組合や共産党など漂流をつづける。ただ、共産党は高齢化するとはいえ全国で27万人の党員を抱える組織だ。この漂流を止められるのか見守りたい。
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1.この本を一言で表すと?
現代の左翼がどうなってしまったのかを論じた本。
2.よかった点を3~5つ
・冷戦後も生き残った事実唯一の左翼政党である日本共産党が、ウクライナ戦争に対して「あらゆる戦争に反対する」と言う声明を出すことができず、逆にこのような祖国防衛戦争の論理を打ち出し始めたと言う事は、日本の左翼がもはや戦争の論理に完全に搦め捕られたと言うことを意味しています。(p177)
→これは今いる共産党の議員に聞いてみたい。志位委員長の発言はあなたの考えと矛盾していないのか?
・国労や動労の場合は自分たちの運動がひとつのきっかけになって流通革命を招き、それが組織力低下につながっていったと言うのはなんとも皮肉です。(p111)
→国鉄の労働運動と、ヤマト運輸の「宅急便」進出がちょうど重なっていたとは知らなかった。
・左翼ではなく「アナキスト」(p40)
→左翼とアナキストは似ているが、根本的には全く異なることはよく注意する必要がある。
・国鉄職員の場合、正確にはストではなく順法(遵法)闘争が基本的な闘争の仕方でした。(p64)
→スト権が無くてこのような手段で闘争していたのはり知らなかった。
・共産党vs社会党・新左翼という分節化に基づいて日本左翼史を論じた本は他にない。(p183)
→今まで共産党と社会党は同じ左翼との括りだったが、歴史的にも別物と考えた方が理解しやすいと思う。
3.参考にならなかった所(つっこみ所)
・左翼にとって価値判断の基準は「国家」でも「民族」でも「国民」でもない。基準は常に「階級」であり、戦争であろうと環境問題であろうと、「労働者階級にとってそれは何を意味するのか」と言う問題設定から全ては始まります。(p182)
→現代では、「労働者階級」と言う言葉自体が死語になってしまったのではないか?だからそのような問題設定が今の日本社会ではできないのではないか?
・創共協定(p90)
→共産党が公明党批判してたらしいが、池田大作と共産党は意気投合していたのでは?
4.議論したいこと
・左翼史を振り返って、今後に活かせる教訓は何か?
・今後の日本で左翼的価値観が見直される事はあるのだろうか?
・日本左翼史シリーズをお通してどのように感じたか?
5.全体の感想・その他
・左翼の終焉という言葉が出てきているが、それは日本共産党のは変節ぶりに現れていると感じた。
・日本の左翼は、少しでも考え方の違う人を受け入れなかったために自滅したのではないか、と自分なりに解釈した。
・中曽根首相がいかに重要な功績を残したかがわかった。
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シリーズ最終巻。
この辺りから、だんだん知っている名前も増えてきて面白い。
本作では革マル派、中核派、民青などに加え、労働組合の物語が強くなってくる。
中でも国鉄時代の労働運動は大変に興味深い。
ただし、上尾事件や首都圏国電暴動などは1973年の事件ということで全く知らず。
こんな恐ろしい事件があったのかということにひどく驚いた。
スト権スト、だとか、半合理化闘争だとか、ちょっと私の世代では考えられないほどの無駄で生産性のない動き。
本当に時代というものは変わっていく。
また、メディアの考え方もこんなに今とは違うのか、と驚く。
左翼とはなんなのか。
今や「パヨク」などとあげつらわれ、一方でいまだに暴力革命を信じ、しかしながら存在感は逆張りでしか示せない。
人々は、労働組合を忌避し(労働法でいう労働者の権利保護につながらないから?)、環境問題やジェンダー問題を提起すると「ヒダリ」と馬鹿の一つ覚えが如く叩きまくる。
繰り返し問う。
左翼とは、なんだったのか?
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なんと言っても、解説的立場を池上さんが務めるので、左翼思想、労働運動に疎い世代にも、わかりやすい。
また、佐藤さんの解釈・説明、博学さからの話題の広がりが、面白く、最後まで読み通せました。
左翼の将来像に薄暗くも灯りを照らして論じる最終章は好きです。
また、成田闘争の概説、土井元衆議院議長のエピソード、バブル前後でのマスコミ人の急速なエリート化など、興味深いエピソードが散りばめらており、飽きずに読み切ることができるのではないでしょうか。
組合活動の報告書などで目にしたことのある用語や活動。これらには何の意味があるのか全く理解できなかったのですが、労働運動の残滓であることも、本書で理解できました。
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シリーズの3冊目。
このお二人の本の中で最も価値のある本だと個人的には思いました。特に最近の左派、共産党、学生運動的なものについての考察は今までになく感銘を受けました。
いわゆる革命に対する成就への時間的感覚の差については指摘をされる機会が少ないように思いますが、様々なところで当てはまる根本的な背景であると感じる。
左派的な活動に親和性があったからこそ内部の実情というか、見えるものがあるのだろうと率直に。
詳細の名前や出来事は覚えてないし覚えようとも思わなかったですが、家にこのシリーズは置いておこうと思えます。
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このシリーズがこの本で完結するわけだが、現在行われているウクライナ戦争の位置付けが明確になった。読む価値のある本だと思います。
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このシリーズを読むのは初めてだけど左翼の歴史は割と血生臭い歴史なんだね。
今は昔に比べれば平和な時代で、何かに対して闘うなんてことは少ないので日本にもこんな時代があったと言う事実は、うっすらとは記憶してるけど改めて読むとちょっと衝撃。
機会があれば同シリーズの残り2冊も読んでみたい。
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ほとんどの国民が労働者であり、労働者の権利を守るためには労働組合やストが重要なはずなのに、その労働組合の意義が理解されていないの何故なのか、ずっと分からなかったが、この本で分かった気がした
また、ソ連崩壊の歴史的な意義についてはいろんな読み物を読んだつもりだったが、その影響の広さを理解できていなかったことも分かった気がする
著者らが共産党を嫌いなのは前々書、前書で分かっていたので、共産党の評価に関する記述は少し引いて読む。
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左翼=過激派、ソ連の崩壊、自社さ、民主党から立民へ、共産との共闘…。どこに向かうのかますますわからなくなっているなぁ。社会党が、ソ連というバックボーンをなくして漂流する様、共産党が自衛隊を一部肯定してしまったことで漂流する様…。対談なのでわかりやすく、左翼の概括的な歴史を学べる。
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20世紀末頃、自分が少しの間通っていた都内の大学では革労協が自治会を牛耳っていた。あさま山荘事件で学生運動がその支持を失い、低迷が決定的になっていた時代だったが、校門の前には角ばった文字で政治的主張をする立て看板が置かれていたものだ。(遠い目)
当時革労協は狭間派と木元派に分裂、木元派が自治会を掌握していた。そんな中、学内から閉め出された狭間派がキャンパスに侵入し、旗竿持ってシュプレヒコールを上げたりしていた。安保闘争の頃ほどじゃないが、かなり不穏な時代だった。
当時は学園祭も自治会が管理していて、まあおそらく学生から集めた学園祭の費用は革労協にも流れていたのだろう、それを快く思わない大学当局は「資金を学園祭の開催前に半分、終了後に残り半分出す」と学園祭の実行委員会に通達してきた。期間中何か問題が起こればその残り半分はやりませんよと。
前年泥酔した学生が校舎から転落した事故を受けての通達ではあったが、お金が足りなくなったら君たちでなんとかしなさいとのたまう。
実行委員会には所謂「ノンポリ」の学生も混ざっていたが、かかる「姑息な不正義」に怒り、当局に対しデモを敢行、100名規模の学生が集った。
過激派の居る自治会など学生が支持するはずがないと高を括っていた当局は慌てて前言を翻し、全額が無事交付された。
それはそれで良かったのだが、その学園祭で弁論部が元国連事務次官の明石康氏を招き講演を依頼したことに対し自治会は難色を示した。理由はよくわからない。結局隣の寺院を会場に借り講演は行われることになったものの、学内に貼られた講演のポスターは自治会によって全て剥がされた。ここでも「不正義」が行われていた。
「…共産党は、…前衛思想と民主集中制の剄木から逃れられずに行き詰まっているというのが本書の分析だ」(p184)というのは、左翼全般に当てはまる気がする。