統計での裏付け、ブレない分析が素晴らしい1冊です。
2022/09/16 14:05
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本で長く続く減反政策への異論、食料自給率の正しい捉え方など、われわれが誤解している農業関連の常識を、著者が冷静に論破し、タイトルにある通り、「このままでは日本で飢餓が起きる!いまのうちに対策を」という持論を展開している1冊です。
当書の優れている点は、統計で今の農業貿易の真実を裏付けたり、デマに翻弄されずに冷静に物事を分析し、簡単には論破されない、ブレない持論を展開したりしており、さすが学者、と思わせるところが多々うかがえる点です。よくここまで調べ上げたな、と感心する内容です。著者の持論も、ぜひ当書を手に取って退官してみてください。
食料自給率が低いから飢える危機があるのか
2022/08/07 20:41
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投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
筆者は農林水産省に長年勤務し、研究員として活動されている。そのため、農林水産省や農業協同組合にも詳しい。そこから、本書で多くのことが知ることができると期待してしまう。
本書は第1章は食料とは何か?、第2章で貿易から見える世界の食糧事情と、食料の財としての特性や食料・農産物貿易の特徴などについて、食料安全保障の観点からの知識を紹介する。第3章は真実をゆがめられた日本の農業で、過去からの貧農のという国民のイメージを否定し、現在の兼業で高所得の実態等を示す。第4章の食糧自給率というまやかしで、食料自給率向上の掛け声の裏に隠されている農政トライアングルの本当の狙いと、掛け声と正反対の減反政策の矛盾を突く。第5章は持続可能な日本の水田農業、第6章の食糧危機を作る農政トライアングルで、米農業は世界的に持続可能な農業であり、これを破壊する利権構造にメスを入れる。第7章で食糧危機説の不都合な真実で、起こらない危機を指摘し、第8章日本が飢えるー餓死者6000万人で、日本で起こりえる危機を取り上げ、これを乗り越えるヒントを提示する。
どういった考えをとるかはいろいろあると思うが、それなりの事実を知り、自らの判断を磨くという意味で好適書である。
読んで、自分のこととして考えたい。
2022/08/02 11:51
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投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
食料自給率の数字を見ると、今にも日本は飢えるのかと思ってしまう。
本当にそうなのか、この本をきっかけに考えたい。
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<目次>
はじめに
第1章 食料とは何か?
第2章 貿易から見える世界の食料事情
第3章 真実をゆがめられた日本の農業
第4章 ”食料自給率”というまやかし
第5章 持続可能な日本の水田農業
第6章 食料危機を作る農政トライアングル
第7章 食料危機説の不都合な真実
第8章 日本が飢える~餓死者6000万人
<内容>
戦後の日本の農業のおかしさを、農林省にいた評論家が指摘した本。前半のデータを使っての分析、後半のJA批判と、なかなか面白い。「減反政策」の怪しさを感じていたクチなので、内容的にも腑に落ちた。第8章などはややオーバーな記述だが、ウクライナ紛争を見ていると、台湾海峡や尖閣、竹島問題、北朝鮮、そしてロシアと、日本もシ-レーンは安全ではないことが明確となっている。そうならば内容的にさほどオーバーではないか?
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説得力がある。庶民としては一年分自家用じゃがいも分の農地を確保するのかなあ。住んでないと盗掘されて終わりか。米輸出は円安だといけるかも。
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頭に入ってこない…
食料自給率が低い、かつそれが下がり続けていて、有事の際は本気で飢えるのが日本、それはわかる。
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知識がなくて難しく感じる部分も多々あったけれど、このままで大丈夫なのか、間違った道へ進んでいるのではないかという警告が伝わってきた。
ただ、一国民ができることはなんなのか、何もないのかな、どうするべきなのかがわからず、漠然と不安になってしまった……もしかしたら書いてあったのに私が読み込めなかったのかも。
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農業に関心があるので読みました。減反政策は経済的側面から行われていたと知り、衝撃を受けました。一方で、連作障害のでない日本の稲作や米の優れた一面について知ることができ良かったです。実家は、自給的米農家で毎年家族で消費する分の米を作っています。作業や機械代を考えると、正直スーパーで買った方が割安かと思いますが、田んぼはつぶさずに大切に保持していこうと思いました。また、いざという時の調整分としても国外への輸出は強化していくべきという考えは参考になりました。
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とても詳しく分析、解説されている。農水省の無能、JAの酷さ…
で、だから?
ただ危機意識が煽られるのだが…
あなたは何がしたいのか?
読了40分
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メモ中心として、残す。
農家も兼業の時代だ。地域間でのやり取りは希薄になり、就農する人も高齢者ばかりの動向。それなのに、日本政府は農家へ多大な補助を行っていると主著する。
私は30歳で農家に就く。
野菜の苗や種の価格、使用する農材や農機具、農薬や肥料の価格は3割増も当たり前の中、野菜の販売価格は上昇していない。
非常に苦しいのが現実であると、私は考えている。
そのような中で補助金等を減額していくとすれば、この本の主題である窮地での飢えは本当になくなるのか?疑問である。(農業をする戸数が減るのではないか?)
・農家は豊かになったか?
農家のステレオタイプである、「貧困で苦しい」状態でないと著者は気が済まないのだろうか。
農地が減っていると怒っているが、地主に対しての話であると感じた。
今は土地を買っても利益は少ない。だから、借りる。
農家が悪だと一食単に叩く姿勢が受け入れ難い。
資本主義社会だから厳しい目線がどことなくある。
ただし、米の話になれば賛成だ。
今の農業事業者も米の価格がおかしいのは薄々気付いて来ている。
減反政策を行うことで、有事の対策が行えないことは理解できた。
JA等が有償で動いている限り、厳しいのが現実であると思う。