紙の本
稀代の英雄の生涯を圧倒的な筆力で描き出す。第24回司馬遼太郎賞受賞作
2023/08/02 14:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロベスピエールが断頭台に消え完結した同作者のフランス革命シリーズ、そこから派生する本作は、英雄叙事詩の序章となる。ナポレオンは、日本人の心をくすぐる存在らしい。今に始まった話ではない。吉田松陰や西郷隆盛の話が有名だろう。松陰は野山獄中で、隆盛は倒幕への思いを募らせるなかでナポレオンの伝記を読み、胸を熱くしている。コルス(コルシカ)に生を受けた野心に燃える男ナブリオは、フランスに渡り、革命の荒波の中で成り上がり、歯を食いしばって必死に這い上がって行く、負けず嫌いの努力家ナポレオンが描かれている。革命や戦争では、今日の正義は明日も正義とは限らないのだという事を痛感させられる。
紙の本
魅力的なキャラクター
2022/11/18 19:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
発売当初からずっと読みたくて、ひたすら文庫化を待ってました。この時代のフランスもので著者の作品『小説フランス革命』と合わせて読めば、よりフランスの歴史認識が深まります。ナポレオンもさることながら、他のキャラクターが魅力的に描かれています。ジュノやミュラ、オージュローといった部下のほか、妻のジョセフィーヌも魅力的。しかしなんといってもナポレオン。ものすごい自信過剰。でも、妻に対しては、健気にも手紙をひたすら書くも、振り向いてもらえず。ジョセフィーヌは、ナポレオンのこと嫌いだったのかなぁと思いました。
紙の本
イライラ
2023/11/26 18:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:TK - この投稿者のレビュー一覧を見る
テンポの悪さにイライラ。この人、行数かせきでこまこまと描写してるの?ナポレオンの成り立ちをじっくり描きたいだらうが、子供時代の事はもっとまとめた方がいい。
投稿元:
レビューを見る
日本でフランス歴史ものを書かせたら当代というか史上NO.1の佐藤賢一の描くナポレオン。
タレイランという王政にも近い獅子身中の腹心、オーストリアとの激烈な外交交渉。
維新政府が手本としたジョセフ・フーシェによる警察行政。
+αで手にしたものを失いたくないがために全てを失った姿はプーチンも含めた人間の欲の難しさを示す。
大長編フランス革命の続編ともいうべき一大叙事詩の終わり。
投稿元:
レビューを見る
才覚と熱意が両輪になって、時代背景も手伝いみるみる出世。
それでも師と仰ぐ人に裏切られることもままあり。
見かけほど立派なわけじゃない。
これぞ大人物と思いたい輩が勝手に、思い込むだけだ。つまりは甘えだ。と、自らを反省。
イタリア戦戦では引き際が肝心と、真っ先に和平へと。経験を積むたびに冷静な判断を下していく。
フランス革命も、ナポレオンの側から見ると、王党派と議会派の戯れにしか見えない。つまりは、権力を持つたいという人々のたたかい。
ナポレオンを通して、19世紀前半のヨーロッパを深く理解できる気がするが、今も変わらない世界に生きているのか。
それにしても人間味溢れるナポレオン。筆まめかと思いきや、口述筆記でラブレターをしたため、兄弟は重用し、名前すら安易に変えるとは。下手な評伝よりも生き生きとした人物像が浮かぶ。
ナポレオーネ・ディ・ブオナパルテ、Napoleone di Buonaparte、 良き側。
表紙は、アントワーヌ・ジャン・グロ アルコレ橋上のナポレオン1796年
投稿元:
レビューを見る
フランス革命の次がナポレオンになることは歴史の流れから自然である。ジョセフィーヌは可哀そうと思っていたが、本書では印象が変わる。
投稿元:
レビューを見る
1代でフランスの皇帝へと上り詰めたナポレオン・ボナパルト。彼は、コルシカ島の小貴族の次男として生まれました。パリの士官学校を卒業後、故郷に戻り島の指導者の親衛隊となります。しかし当時はフランス革命の混迷期。島で追われる立場になると、家族とともにマルセイユへ。フランス共和国の原隊に復帰した彼は、砲兵司令官としてトゥーロン包囲戦へ出征。そこでの活躍が評価され、彼は弱冠24歳の将軍として一躍名をあげることに成功します…。
この作品は3部作となっており、2野望編・3転落編と続きます。全巻500ページ超のため、じっくりナポレオンの人生を追体験できます。
投稿元:
レビューを見る
ナポレオンの若き日を描いた本巻。
コルシカ島に生まれたナポレオンは、政治に積極的に関与し、浮き沈みを繰り返しながらも軍人としての地位を確固たるものにしていく。
以前に、レミゼラブルや戦争と平和を読む中で、ナポレオンを全く知らないと感じていたため、いつか知識を得ようと思っていた矢先にこの本が発売されたので購入。
投稿元:
レビューを見る
読んでいて、その場面が映画の映像のように頭の中に湧き上がってくるのが、よく出来た小説の条件の一つと考えているが、登場人物の名前が馴染まないこともあり、なかなかそこには行きつかなかった。現段階では一巻しか読んで無いが、次巻を読むかどうか、今のところ微妙。
投稿元:
レビューを見る
ナポレオンがコルシカ島を出てフランス軍の将軍となり、第一次イタリア遠征を成功させて上昇してゆくところまでが描かれた小説。小説フランス革命の続きのような雰囲気で、次々と新しい名前が出てくるからなかなかついてゆくのが難しい。そして一体フランスの革命の歴史のどのあたりに差し掛かっているのかがわかりにくいのも小説フランス革命と同じような感じ。ただ後半になるに従って段々とナポレオンが出世してきて、展開も派手になってくる。後半の方が面白かった。
投稿元:
レビューを見る
序盤は登場人物を覚えるので手一杯でしたが、第三章のトゥーロン攻略辺りから面白くなってきて、イタリア方面軍では地図を見ながら地名を追っていきました
奥さん最優先で作戦を練る暴走っぷりが、後々どのような影響が出てくるのか、野望篇も楽しみに読んでいこうと思います
投稿元:
レビューを見る
読んだ本 ナポレオン 台頭篇 佐藤賢一 20240113
文庫になるのを楽しみにしていたんですが、全然分割してなくて一冊700頁もある。電車で読んでても小指がつってくるんだよな。京極夏彦以外にこんなことする人がいるなんて。
年末に映画の「ナポレオン」を観ていることもあって、期待度は高まっていたんですが、これは面白い。期待以上。
佐藤賢一は「フランス革命」から読み始めたんですが、あまり読み易い印象はなくて、特に人物に思い入れが起きるような描写がなく、時代だけが進んでいく印象でした。客観的に時代を俯瞰するような狙いだったんですかね。それで出てくる人みんな入れ代わり立ち代わりギロチンにかけられるんで、印象的にはいいもんじゃありませんでした。それでも、興味を満たしてくれるという面白さは満点でしたけど。
この「ナポレオン」は、その人物の描き分けが丁寧にされていて、歴史小説の小説の部分がすごく強調されている気がします。ナポレオンはじめ登場人物が目の前に浮かんできますね。ナポレオンという人の愛嬌というか独善というか、そういったものが絡んでくると出来事自体も素直に頭に入ってきて、歴史がナポレオンを中心につながっていきます。
分厚いのは許します。