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投稿者:はぐらうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
三島賞。読めて良かった。家族の在り方としては非常に珍しいが、自分に起きないわけでもない。生きるということがわからなくなったな。『あなたの〜』も奇抜な設定だったが、生きることについて描く作家さんなのだと思う。
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分の誕生と引き替えに植物状態になり、病室で寝たきりの母の元へ積年通い続けた娘の、赤裸々な独白体小説。
現役医師の専門的な視点で作品にリアリティが増し、残酷なまでに希望を砕く言葉たちと前向きな言動に隠れた覚悟に、深く呑まれた。静しか知らない娘の無邪気な好奇心が、動を知る父と祖母の受け入れ難い心の葛藤にあてられ、歪められていく多感期。寝たきりでもかわらず息吹く母のバイタリティに、たくさんの不安を抱えながらも成長した主人公を通し、救いを描いた作品。
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投稿者:カレイの煮付 - この投稿者のレビュー一覧を見る
先が気になって仕方なくて、読み始めたら、止まらない。このような母子関係も、もしかしたら、あるのかもしれないと思った。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
だから、淡々とお話は進むけど、けっこうリアルな感じです。著者がドクターだからなんですね。しかし、これは悲しいなぁ。美桜が生まれた時からずっと母は植物状態でベッドに寝たきりというのは。
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なんだかすごいものを読んだ気がする。
生まれた時から植物人間状態の母親と過ごした娘の視点から語られる回想。母親から抱きしめてもらったり、語られることはなくても、生理的な反射で、母親の手に自分の手を重ねれば握り返してくれたり、乳児期にはおっぱいを咥えたり、お腹の上で母の呼吸に合わせて眠ったり…
母親として子どもに何もできないと自分を苛むことがあるけれど、何も行動や言葉にできなくても、ただそばにいるだけで子どもに残すことができるものが確かにあると、この物語から教えられた。
もちろん何を受け取るかは子ども側に委ねられるのだけれど、それでもただ生きて、息をしているだけで、人の記憶に何かを残すことはできるのだ。
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少女を産む時に脳出血を起こし植物状態になってしまった。だから少女は動いている母を知らない。
それでも少女は母に支えられ大人になっていく。
同じ病室には同じように生きているだけの人が数人いる。動くわけではなく生きているだけ…。
何か大事なことが大切に隠されているような物語なのだけど、私にはうまく表現できない。
ただ、何もしないでダラダラ過ごしてはいけないような気持ちになってしまいました。
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2023/01/24 リクエスト 1
二十五歳で美桜を出産した深雪。
出産時に脳出血を発症し、大脳のほとんどが壊死し、植物人間になる。
その二十五年後美桜は遥香を出産し、母深雪は癌で死去する。
というのが大まかな話。
感動した、というレビューが多い中、私はそうは思えず…
ひねくれてるのかな?
美桜は、自分を育ててくれる母親っぽい深雪を知らない。
だからといって、入院患者の髪を金髪にしたり、勝手にピアス開けたりするものかな。
同室の、他人の食事を介助したりするのか。
何となく、腑に落ちない行動が多すぎ、話に入り込めなかった。残念。
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初読みの作家さん。ネットで検索すると、消化器内科の現役の医師という説明があった。
本書の主人公・美桜の母は、美桜が生まれてからずっと植物状態で病院に入院している。反射以外の反応はない母のもとに通い続ける美桜と祖母、父。プロローグを含めて4つの年齢期の美桜が綴る、奇妙な家族の姿が印象的だった。
命のあり方に軽々しく意見できないが、回復する見込みのない患者を25年もの間入院させるのはどうなんだろうか。家族には、経済的な負担はもちろんだが、精神的にも相当な負担を強いているような気がする。そういった現実的な側面がまったく描かれていないことに疑問を感じた。
刊行日2023/01/06 NetGalleyにて読了。
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植物状態になった母とその娘。会話は出来ず、皮膚をつねると反応があったり、食べ物を口につけると食べたりはする。だけどベッドから動くこともできない。だけどそこには命があり、呼吸している人がいる。母と娘の静かな時間のなかで生きているということの重さや確かさを実感させられる。生きていてくれることへの感謝や祈りみたいなものが溢れてくる。母と娘の関係性、娘の母へ向ける眼差しが年齢とともに変化していき、それに気づいて消化していくことになんとも言えないような気持ちになる。綺麗事だけじゃなく命と向き合ったものが詰まっている。
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一気に読んでしまったけど、読み終えても何をどう思えばいいのかよくわからない…、莉子さんだけが、この物語の中で現実を生きている人みたいに見えた。
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娘を産んだ時、脳出血を起こし、植物状態になってしまった「深雪」と、ありのままの母を受け入れ、愛し、成長してゆく娘「美桜」の物語です。
医師である作者による患者や医師たちのリアルな描写が、どこかおとぎ話のような母娘の様子に現実味を帯びさせています。
このアンバランスな感じが私はわりと好きです。
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作者ならではの医療現場や患者、家族の様子の一部分を描いてくれているのだろうと思いつつ読み進めた。お話は淡々とすすむが、「生きる」ということは何かを改めて考える作品。
反応に乏しく、会話もままならなくなった人を前に、過去の姿を知っていたら、やるせなさを感じてしまうだろうし、主人公の美桜(みお)の母は自力で呼吸が出来たり、母乳が出たり、痛みに反応して手で払い除ける。咀嚼が出来たらいつか意識も戻るかも、いつか奇跡がと願いたいのも自然なことだ。
自分を産んだ際に脳出血を起こし、植物状態となった母親の病室に通いながら、母の側で成長していく。
時に自分の苛立ちや思いを言葉や母の身体にあたったりする。それでも、把握反射とはいえ母はいつも手を優しく握ってくれる。黙って愚痴や言葉を受け止めてくれる。息をしているだけの存在ながら、生きていること、人間としてそこに在ることの尊さ。
母は美桜が無事に出産(孫が生まれる)し、自身の母(主人公にとっての祖母)が亡くなってから、癌が進行し息をひきとる。言葉を交わすことはなかった母だけれど、美桜は母の側で時間を過ごすことができている。母のその生き方は、これからの美桜の支えとなってくれるに違いないと思えた。
医療現場、患者、患者の家族、親子関係など本文は淡々とすすむのに読み手としていろいろ思いを巡らした作品だった。
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ー 「生きるとは何か」を問う、静かな衝撃作
東京の桜は昨日、全国で最も早く開花したとのこと。
この小説の主人公は美桜(みお)。美しい桜の咲く中で生まれた子なのだろうと想像される。だけど、母は美桜が生まれた時から植物状態でベッドに寝たきり。
呼吸をし、食事をし、排泄はするが、意識はない。当然、母とは会話をしたことがない。それでも連日病室に通い、成長してからは母の介護をするようになる。
母の胸の中で安らかに眠り、様々な打ち上げ話をする。心の通わせ合いはないが、物理的に母という存在は確かにある。
そんな特殊で、ある種究極的でもある母親と娘の関係を描いている。
植物状態なのは母だが、タイトルは植物少女。
その謎を読み解くことが、自分なりに解釈することがこの本の読者には求められる、気がする。
僕はぼんやりと解釈できたようなできないような…
ちなみに、著者は男性の医師、なのだそうだ。
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出産時に植物状態になった母とその娘の26年を描いた小説。
植物状態という極限状況に置かれた人たちを深掘りすることで、生きることの本質に迫るような作品。いろいろと考えを巡らさせられた。著者は医師資格を持っているとのことで、リアリティがあった。
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著者のデビュー作を含む初刊行作品『私の盲端』は、なんだかあまり好きになれず、でも一気読みしてしまって、後味の悪いような、その後味の悪さがいつまでも後を引くような妙な感覚があった。
また是非他の作品も読んでみようなんて、これっぽっちも思っていなかったが、新聞で書評を見かけて、思わず図書館で予約してしまった。
そして前作同様、医師ならではの妙にリアルな人体の表現も相まって、読み心地としてはどちらかというと良くはないのに、また一気読みしてしまった。前作の読後「癖になったりして」と思ったそのツボにはまり始めているのかもしれない。
なんというか、生きることの根源をすごく考えさせられた。ある意味とても不謹慎な主人公のふるまいが、読み進めるうちに、不謹慎と思うことが不謹慎なのかもと思ったり、愛あればこそなのかも、と思ったり、いやむしろ全然そうではないことの証明なのかもと思ったり。
とても複雑に考えさせられ、またかえって単純なのかも、とも考えさせられた。
存在するだけの母にも見え、でもその実、存在するだけで主人公が得られているものが確かにあるのかもしれない。
作品を読みながら、ELLE編集長(名前なんだったかな)の書いた『潜水服は蝶の夢を見る』を思い出し(彼は意識は明晰だったのだけれど)、父親が植物状態だという友人を思い出し、この数年、何度かあった棺に納められた遺体との対面の場面を思い出した。
なんだかうまく表現できないけれども、このなんとも言えない感じを、いろいろ反芻してみたくなる作品だったなあ。
次回作が出たら、また読んでしまいそう。