紙の本
やっぱり山は生きている
2023/07/13 00:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
書名が新語として定着しつつ
あるのではないかと思ったりもする
山にまつわる怪談本の第四弾です。
ややネタ切れ感があるせいか、
ぎょっとするような尖った話は見あたらない
一方で、著者も認めている通り、
狐や狸にまつわる話が多めな印象です。
てにをはに違和感を覚えるような文章が
散見される点は、第一弾から変わりませんが、
個々の聞き書きから要所となる発言のみを
括弧でくくって抜き出した上で、話の全体を
数頁に纏める手腕は大したものです。
この手の本が、写真も挿絵もないのに、
それなりに売れているのは、情報提供者の
大半が実名で登場しているあたりに、
読者が談話の信憑性を感じるせいかも。
紙の本
西には西の、東には東の
2023/04/25 09:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
山で起こる怪異をまとめた一冊。
西はカッパの、東はキツネの気配が濃厚なのが印象的。
今もキツネとの攻防が続く七ヶ宿町のエピソード。
キツネ避けに小学生でもタバコを持たされいたとおうのはすごい。
町で目撃されたトンボに乗った小さなおじさん 釣り道具を持っていたというのが楽しい(笑)
そんな童話のような里でも山で痛々しい悲劇がある…
つくづく山は一筋縄ではいかない異界。
子供時代、ひどいいじめっ子だったという飯豊山麓のペンションのオーナー
児童を呪うくらいだから相手の親もよほど腹に据えかねたのだろう。
ここは少しくらい蜂が当たって欲しかった。
紙の本
怪異はきっとなくならない
2023/04/08 01:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しゅんじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
安定のクオリティ。シリーズ中で一番良かったかも。同じ話が多いようで、意外にバラエティに富んでいる。良かったのは、コロナ禍で取材が滞った、その緊張感のせいか。山の怪異は今まさに消滅しようとしているんだろうが、多分怪異は無くならない。<拾遺>にあった、怪異かと思ったら女子ワンダーフォーゲル部だったというのが、面白かった。これは謎解きではなくて、怪異発生の瞬間なんだろうなあ。
投稿元:
レビューを見る
<目次>
第1章 妖しの森
第2章 静寂の山
第3章 背中合わせの異界
<内容>
コロナで話の採集も難しかったようだ。3年ぶりの第4弾。ちょっと怖い話もあったし、青森の神様を探りに行ったから、うちの母が病気になったのか?なんて想ったりして。
投稿元:
レビューを見る
「遠野物語」の昔から
人々は 不思議な物語のそばで
暮らしている
私の親しいアフリカに産まれ、育ち、
すっかり日本の暮らしになじんだ知人に
「遠野物語」の中の話、
「山の怪」の話をすると
当たり前のように
かの国の暮らしの中にある
この世ならぬモノたちの話を
語ってくれる
豊かな暮らしとは
不思議な話が
すぐそばにある 暮らし
を 言うのだと思う
投稿元:
レビューを見る
シリーズ第4弾。
あからさまな幽霊譚はほとんどなくなり、狐狸に化かされる類やほんのりと不思議感が漂うエピソード等が大部分という印象。
スーツ姿の男や普段着の女性、あるいは年端もいかない子供といった、闇に包まれた山奥に到底いるはずがない存在を見てしまうという体験談は、似たような話を幾度読んでも、やはり怖い。
通い慣れた山中でなぜか迷ってしまう、という怪異も然り。
個人的には、こういった話は読むだけにして、決して経験はしたくないものだ…と強く思う。
投稿元:
レビューを見る
山の不思議な話集。
柳田國男の『遠野物語』と似ているが、話の採集が最近らしく使われる言葉も現代だし、メールやGPSなんかも登場するのが面白い。
その不思議な現象がなんなのかはわからないまま話が終わったり、「そうそう、こんなこともあった」と連想される話が付け加えられたりするところがすっきりせず、ちょっと怖い独特の後味になっている。
投稿元:
レビューを見る
幽霊なの?っていうお話もありましたが、ほぼ狐狸達のお話で、なんか怖かったり迷惑を被ったりされてはいるけど、そこに住んでいる人達が羨ましく思ってしまう私は疲れているのかもしれない、という感想です。
投稿元:
レビューを見る
山にまつわる不思議な話。
よく知る山なのに、気が付いたら知らない場所を歩いている。
ひとりしかいない場所で、突然誰かに話しかけられる。
ありえないものの影を見る。
そうやって語る人たちは人里に帰ってこられたから語ることができる。
逆に、山から戻れなくなった人もいる。
人里とは一線を画す山は、人の領域ではない。
そのことを頭の片隅に、山を楽しみたい。
投稿元:
レビューを見る
実話なので何気ない話が多い。特におちもない話が淡々と続く。
最後の後書きを読んで、この本がコロナ禍を乗り越えて世に出たと知る。それが一番感慨深かったかな。
投稿元:
レビューを見る
この本と出逢ったきっかけはYouTubeの「オカルトエンタメ大学」というチャンネルで著者の田中さんが山怪話をしていた回をたまたま見たからでした。
個人的にオカルト話は半信半疑であり、どのような方が話しているのかで判断します。失礼ながら“いかにも”な感じの人が語る話は話半分で聞くのですが、田中さんはスマートな見た目で話も上手く、ついついYouTubeに惹き込まれてしまいました。惹き込まれてしまったからには本も読もうと手に取った次第です。
本はいろんな話が書いてあり、それぞれがとても簡潔に書いてあります。引っ張る前置きも溜めもなく聞いた話を淡々とという感じです。なのでそれが少し物足りなく感じたのですが、それは話を盛って欲しいというわけではなくYouTubeの話し方と文章を比較すると圧倒的にYouTubeの話の方が面白く感じたからだと思います。
また、話が簡潔だからこそページを埋める文字の数が少ないのも読書をしている物足りなさに繋がりました。もう少し書面を埋めてほしかったなと思います。
とはいえYouTubeとこの本で田舎の土地巡りをしたくなりました。春になったら計画立てて見ようかなと思っています。記載されているエピソードが日本の何処の話なのか日本地図を一枚載せて頂けると有難かったなと勝手な要望も出てしまう1冊でした。
投稿元:
レビューを見る
●=引用
●狐狸は行動範囲が里に近く、最も馴染みがある動物だ。奇妙な出来事に遭遇した時にその原因にするにはうってつけなのだろう。それが親から子へ、そして孫へ語り継がれ、何かあるとするとすぐに狐狸だなと判断するわけだ。これをバカげた話と一蹴するのは簡単だ。しかしそれでは自分が体験した奇妙な出来事の原因は分からないままである。それでは困るのだ。山人はまた明日も山に入るのだだから、謎のままでは落ち着かない。原因が狐狸なら少し安心できる。本気を出せば人間のほうが圧倒的に強いからだ。こうして不思議な出来事は取り敢えず狐狸のせいにするのだ。