熱狂からの転落劇
2023/05/17 09:58
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投稿者:higassi - この投稿者のレビュー一覧を見る
バブル期の証券会社が舞台という設定故に、ある程度展開は読めていましたが、分かっていても引き込ませる筆力はさすが。熱狂からの転落が淡々と描かれているので読むのに没頭できますね。救いのない結末ですがどこかホッとするような気持ちで読み終えました。主人公たちは私の10歳くらい上の世代で、華やかな時代をうらやましく思う部分と、もしかしたらバブル崩壊後のほうが幸せなのかもという複雑な思いになりました。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
後味がすごく悪いんだけど、しょうがないかな、みたいな感想です。お金、お金…の時代よりも、今のような不況の時代の方が良いかもです、うーん…。でもこうなってくると、やはり、お金って裏切るんだな、と思いました
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久しぶりに桐野夏生ワールド全開のイヤミスを読んでしまいました。全編に渡って緊張して読んでしまった。バブル全盛の證券会社の熾烈な戦いを描きお金の額のすごさに驚嘆しました。ラストのこんなにも悲しい結末があるとは想像だにしませんでした。あなたも読んで驚愕して下さい。涙して下さい。
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こんな時代だったんだ…と終始ドキドキしながらあっという間に読み終えた。
お金のためにどんなこともやる人達、男性優位が当たり前の会社や学歴社会…
今の時代はタブーとなっているようなことが赤裸々に描かれていて、興味深かった。
そして相変わらず桐野さんの目に浮かぶような人物描写は素晴らしい。輝かないダイヤモンドという言葉も絶妙。
ぜひ映像でも見てみたい作品。
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2023/02/02リクエスト 3
上巻下巻合わせてかなりのスピードで読了。
下巻は、上巻に比べて、展開が早い。面白い場面なのだから、もう少しゆっくり読みたかった。
下巻はバブルが弾けた後のお決まりのパターン。
望月、佳那夫婦は、仕方ない。
望月はやっぱり最後まで嫌な感じで安定。
どうして佳那は結婚してしまったのだろう。後の祭りだけど。結婚しないで、証券会社を生き抜いていけそうだったのに。さっさと外務員まで取ったのに。男の社会かもしれないけど、女ならではの証券会社で生きていく方法もあっただろうな…と。
夫のことを信頼できない新婚生活は、つまらなかっただろう。せめて仕事してたら。
この夫婦より、水矢子のほうが意外な人生を歩んでいくように思った。
母親のようになりたくない、その一心で東京に出て大学に入り頑張ってきたのに、最後は同じ顛末。
バブル時代はとにかくお金お金!だったのだろう。
経験したことがないので、羨ましいと思いながら読んだ。
水矢子は、硬度が高く自分を曲げない、変わらない。つまらないから輝かないダイヤモンド。
佳那は、薄汚れた真珠。
水矢子の例えは的を得ていたが、佳那は他にもっといい例えがありそう。
吉祥寺の公園の夜中の会話が身に沁みる…
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どうやって物語が終わるのか気になって、どんどん読み進めてしまった。
最後水矢子が会った佳那は幻だったのだと思うけれど、それでも再会できて良かったと思う。
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p.42 「高いから、集め甲斐があるんじゃん。この世は見栄だよ、見栄でできてる。エルメス持ったら、みんなが尊敬の目で見るよ」
p.59 「先生、じゃぁ、私は水の人じゃなくて、何の人なんですか?」「あなたは風の人」「風ですか?」「そうよ。風のように自由にあちこち行くの。そのかわり、孤独かもしれない。でも、1番かっこいいのよ。私は好き」「じゃあ、水の人は?」「水の人は、水の上を常にみんなと一緒の船に乗るの。だから、人間関係がうまくいくしたよ」「ちなみに、先生は何の人なんですか?」「私は土の人なの。だから、何かを育てると良いのよね」「風の人は何も育てないんですか」「そうよ、何も持たないし、持ちたくないの。そうでしょ?」そうだろうか。水矢子は違和感を覚えた。というのも、自分が所有したくてたまらなかったからだ。金も学歴も佳那との友情も自由も全て。
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上下巻合わせた感想
バブルといえば、この流れ、結末よね
何度も読んだり、観たりしたお話で
意外性は無し
ただ、読みだしたら、一気に読ませる
筆力は流石
ベタな内容で、
★3か4で悩んだけど、
面白くて一気に読みしてしまったので、
★3.5を四捨五入して★4
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下巻のバブルが崩壊して、佳那と望月夫婦
の悪夢の様な現実は最悪な人生の
結末となる。
外から眺めて居た水矢子も一時は占い師
の南部にいい様に使われて居たが
株が暴落した後南部の支配下から
逃れ自分の城を持つ事も出来たが
その簡単な幸せをも親の借金で蓄えた金
もつき、最初の上巻のプロローグへと
悲しく続いて行く。
佳那と水矢子はこの世では無い何処かで
平穏を得られただろうか。
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真珠とダイヤモンド
最終章で意味が分かる。
謎ではなく、女性二人の生き方だった。
この二言で、文学になった。
さすが
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バブルを象徴するかのような恐ろしくて残酷で、それとどこか夢のような終わり方だったと思います。
全体的に本当に読みやすく、内容も頭にスラスラ入ってきて、とても面白かったです。
二人の女性を軸に描かれていて、お互いが性格も人生の歩み方も全く違うけれど、時代や人に翻弄されながらも精一杯生きてるという思いがよく伝わってきて、物語に惹き込まれました。
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下巻もおもしろかったです。
上巻の躍動感から一転、下巻は転落していく主人公2人のその後の人生が描かれています。
主人公が女性だからこそ、おもしろい作品だと思いました。
今と違って、女性が男性と同等の仕事をするのはまだまだ難しい時代。
結婚を機に退職した佳那と、派遣の水矢子。2人とも基本はいい人で、仕事ができる人なんだと思う。
どんな形であっても、生き抜いて欲しかったと思わずにはいられないせつないラストでした。
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上・下一気読み。バブル期を知らない世代だが、本当にこんなことがあったんだろうな、と思いながら読みました。予想を上回るまさかの結末に絶句。容赦なかったが、ラストのバブル期からコロナ禍の現代への展開が良かった。途中、調子に乗って金を散々する佳那や望月にバブルも崩壊するからやめといた方がいいよ〜とハラハラした。とても面白かったです、桐野夏生さんはハズレがない。
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下巻は、舞台は東京。
3人のうち、二人は結婚して、男は本社勤務となり、浦安に新居を構える。
もう一人の同期も、念願通り、志望校ではないものの、東京の大学に入学できた。
夢がかなって東京に出てきたものの、ますます手段を選ばず仕事にのめりこむ望月に取り残された妻、佳那と、大学に入ったものの、志望ではない学校に魅力を感じられず、目標を失った水矢子。
時はまさにバブル真っただ中。
投資したお金は、5倍10倍になり、誰もが株に手を出したり、金銭感覚がマヒしていく様子、折しもNTT株の上場という出来事なども折り込まれ、あ~あの頃・・・とよりリアリティに記憶が遡っていく。
しかしやがてバブルははじけて・・・
手にしたあぶく銭は手につかず、しっぺ返しは殊の外、厳しく。
面白く、ほぼ一気に読みました。
桐野さんは本当に、嫌な、いやらしい人間を描くのがうまい。
誰一人共感できる人物はいないのに、ぐんぐん引き込まれていく。
あの時代は、本当にこんな感じだったんだろうな、どこにでもある話なんだろうな、と思わせるが、結末がちょっと簡単すぎたなぁ。もうひとひねり欲しかったなぁ。
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バブルに踊らされた挙げ句に破滅する人々。
人物造型が浮薄なのは時代ゆえなのか。
登場人物たちがみな破滅していくのは作者らしい。
初期の作品にあった渇望感は感じられない。
桐野夏生はいつの間にか日本ペンクラブの会長なのか。。