21世紀の財政政策 低金利・高債務下の正しい経済戦略 みんなのレビュー
- オリヴィエ・ブランシャール, 田代毅
- 税込価格:3,080円(28pt)
- 出版社:日経BP
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電子書籍
経済の長期停滞は現代の死生観が招くのかもしれない、と読んだ
2024/04/30 21:43
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投稿者:象太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は難しいので、斜め読みしかしていない。でも良いことを述べている。
「基本的な結論は頑健なものであり、明確かつ重要なものである。平均寿命が長くなれば、貯蓄が増加し、金利が低下する可能性が高い」
斜め読みを進めていくと、次の記述にも出会った。
「日本のマクロ経済政策は失敗と評されることも多い。だが、これはむしろ、非常に低迷する民間需要を積極的な財政・金融政策の活用によって補ったのであり、一応の成功を収めたと見るべきだ。生産の水準は潜在水準近くに留まっている。経済成長率は低いが、これは人口動態によるものであり、生産性が原因ではなく、高水準の債務のせいでもない。インフレは低く、インフレ目標より低いが、これは大きな失敗ではない」
頷けた。そして、こう考えた。
人間は長寿化に備えて貯蓄を増やす。消費や投資を控え、その結果、金利が低下する。死ぬ時期が分からないから貯蓄をやめられず、子孫にもカネをまわせない。
いつ死んでもおかしくないと考える人間は、カネを使える。子孫を含め他者に対してカネを渡せる。子孫を含め他者に対して、自分の未来を渡せる。死の覚悟が資本主義下での経済の活発化を生むのかもしれない。
日本経済の長期停滞は、日本人の現代の死生観が招いているのかもしれない。死の覚悟なき生が溢れているのだろう。
そして日本の経済は世界で特殊なのではなく、先行しているだけなのだ。
紙の本
人口減少、生産年齢人口の減少の日本で、どんな財政政策が有効なのだろうか
2023/08/16 20:54
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投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者であるオリヴェエ・ブランシャールはマクロ経済学の泰斗であり、マサチューセッツ工科大学(MIT)で教鞭をとり、2008年から国際通貨基金(IMF)という新自由主義者の集まりといわれるところで、チーフエコノミストで活躍されたといわれる。本書は、世界的に厳しい状況に置かれ、特に日本は長期停滞で、30年余り成長していないと言われるなかで、書名のとおり、財政政策に絞って書かれたものである。専門家でなく一般を対象としているというが、なかなか専門的でもある。慢性的な需要不足で、短期金利や長期金利を引き下げるという金融政策でも不十分な場合、財政赤字を否定することなく取り組みを進めることになる。その中で、財政政策をどう進めるのかということになる。目次を見ると、
日本語版への序文
はじめに
第1章 本書の概要
第2章 導入
第3章 金利の変遷、過去と未来
第4章 債務の持続可能性
第5章 債務と財政赤字による厚生面のコストとベネフィット
第6章 財政政策の実践
第7章 要約と今後の課題
訳者あとがき
参考文献 索引 となっている。
以上のように、第2章で重要となる金利に関する5つの考え方を紹介する。そして、第3章で金利の過去の変遷を見ることになる。経済成長率と金利の関係は重要であることは間違いないが、経済学の勉強をしていないと難しいと言える。国家の債務について、日本の場合、GDPの2倍を大きく超える国債を抱えているので、注目されるのは当然だろう。第5章でも触れられるが、財政赤字を頭から否定することもないだろうが、このままでは大丈夫だろうかという疑問が出てきて当然である。特に不確実性の問題は引き続き重荷となる。第6章の財政政策の実践で、金融危機後の対策で、EUの場合、債務削減が前に出がちという問題を提起する。構成国の意見の違いで、財政的に良好な国は厳しい方針を出したことがあったりしたので、一概に否定できないと思うが、少なすぎるという評価がある。日本の場合は、適当というが実感に合うのだろうか。当然、財政政策として梃入れするのは当然だが、あくまで規模という意味で使い方は別の話しだろう。公共事業で無駄遣いがあったのではという議論は別の話しになるだろう。アメリカはやり過ぎということで、景気回復時の企業や労働者の復帰の問題があるかもしれない。日本の場合、アベノミクスの評価ということがあるかもしれないが、本書は財政政策に絞っているので、これを議論しているわけでない。そもそも、少子高齢社会での人口減少、生産年齢人口の減少等の好不況の問題ではないところをどう見るかという点が大きく横たわっている。読み込むのは大変であるが、一読してほしい本である。
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