『ぼくらは星を見つけた』
2023/06/15 20:25
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
丘の上にある青い屋根のお屋敷に住んでいるのは──
年上のパートナーに先立たれた四十代のそらさん
少し遠くの学校に通っている十歳の星(せい)
住み込みのハウスキーパーのシド
年とったおばあさん猫のダリア
夏の終わり、そこに一人の青年=岬(みさき)くんがやってきて、住みこみの家庭教師になりました
四人は「家族」のようにあたたかく暮らしていましたが、それぞれに秘密があったのです
《「運命の人」×「家族」を求める感涙小説》──帯のコピー
YA、児童書から幼年童話、絵本まで創作の場を広げる戸森しるこ12冊目の単行本は1年半ぶりの意欲作、2023年5月刊
《空でつながっていく運命の物語》──著者Twitterより
おだやかな暮らしがドラマチックに展開して、胸がいっぱいになる物語
Cコード「8093」だけど、児童書の棚に置いておくのはもったいない
[著者情報]
『ぼくたちのリアル』で第56回講談社児童文学新人賞(2015年)を受賞しデビュー、同作で第46回児童文芸新人賞(2017年)、第64回産経児童出版文化賞フジテレビ賞(2017年)を受賞
『ゆかいな床井くん』では第57回野間児童文芸賞(2019年)を受賞
2021年度使用開始の中学2年国語教科書(三省堂版)には短編小説「セミロングホームルーム」が採用
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
丘の上のミステリアスなお屋敷で「住み込み家庭教師」になった多彩な経歴の岬くん。歪な「家族ごっこ」の隙間から溢れる複雑な想いを、各々が敏感に掬い取り繋ぎ止める。儚い期待と思い遣りに包まれた、切なくも強いたった一つの家族の物語。
多様な家族の形があって、そこに正解はない。何が幸せかは一人一人が決める事で、形に固執する必要はない。ユニークな登場人物たちの光と闇に触れ、じっくりと導かれるような壮大さを感じた。現実的なのにファンタジーのようで、センスの光る異国風のニックネームも相俟って、ふわふわと無重力の宇宙と重なった。
雅な挿絵が世界観を広げるアシストを控えめに担っていて、とても良いバランスの作品。
すべては解決しない、そんな当たり前を手探りで進む「新しい家族」に優しい気持ちをもらえました。
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まず表紙が素敵で、目が惹かれた。
優しい語り口で、どこかファンタジーのような雰囲気の中、明らかになる複雑な家庭環境。
星くんやそらさんの思惑を知らずに、家庭教師としてお屋敷に住み込むことになった岬くん。彼もまた、一筋縄ではいかない人生を歩んできた。
そして、素っ気ない態度の家政婦シドさん。彼女の過去にも何か事情がありそうで…。
だんだんと明かされてくる真実に驚かされ、けれど不快な感じはしない。それは、物語全体に流れている優しさのおかげかも。バラバラに集まってきた人たちが、一つのコミュニティを築くお話。
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屋敷の主のそらさん、息子の星、ハウスキーパーのシド、新たに家庭教師として雇われた岬くん。一緒に暮らす4人は秘密を抱えてる。
登場人物の複雑な過去がだんだん明かされていく。
その過去をお互いに話し、受け止めることで気持ちが変化が生まれ、優しい結末に。
それぞれの持つ過去はリアリティのあるのだけど、どこか幻想的で素敵なお話だった。
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挿絵がたくさん。
エミ・ウェバーさんのイラストが素敵。
洋館のご主人、桐丘そら。40代だけど完全な白髪。
桐丘星(せい)10歳。5年生。養子。
主人公は、岬 峻(たかし)住み込みの家庭教師?
庭師の田代さんはターシャ。ターシャ・テューダーは、田代さんの神。
ハウスキーパーの宍戸さんはシド。
ソラシド!
児童書なのに、登場人物の事情が複雑で深い。
妾とか、叔父との子供とか。え!と思いながら読んだ。
この家族の秘密とは?
全員事実を知っているのに、わざとお互いに向き合わずに、それでも一緒に暮らしている。不自然。
親子らしくない。
でも、クリスマスには奇跡が起きる。
優しいラストで、素晴らしい。
児童書だけど大人も楽しめる素敵なストーリー。
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美しい装丁に合った、おとぎ話のような静かな物語でした。何のかんの恋バナ好きだし優しくゆるやかな恋の進展に大いに沸き立ったのは沸き立ったんですが、欠けたところを抱えた人間のために異性を斡旋する、という感覚についてはまあ今時どうなんと思うものは多少あったかな。
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新しい家族の形。ちょっと難しいと感じた。あとから、いろんな関わりがわかり、かえって複雑になってしまいました。おもいやりが、複雑にしてたかな?
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手に取ったとき、読み始めたときはワクワクしましたが、ちょっと期待外れに終わりました。
児童書だけど、子どもには勧めないかな。
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著者の『十一月のマーブル』が児童書とは思えないディープな家族関係をテーマにしていて驚きましたが、今作にも同様の衝撃がありました。メインキャラクターの星(せい)は5年生ですが、その年代の子どもに有りなのか?と疑問に感じる描写もあります。しかし、同じように感じた『十一月のマーブル』に高学年の子どもたちは感銘を受けていたようです。子どもたちが知りたいと思う、求める物語なのかもしれません。
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やさしい童話のような語り口だけれど、なかなかに重く辛い内容を孕んだ物語。
そらさんと、息子の星くん、お手伝いのシドさんが暮らす邸宅。
住みこみの家庭教師の岬くんが現れたことで、バラバラでよそよそしかった家の中が少しずつ、
ふんわりとやわらかくまとまっていく。
その過程を一緒にゆっくり味わうことができた。
絵の雰囲気と戸森しるこさんということで、児童書なのかなと思って読んでいたが、内容的には小学生には重めで難しいのではないだろうか(戸森さんの作品は読み手を子ども扱いしないところが魅力でもあるのだが)。
そういうものを求めている生徒もいるかもしれないが、個人的にはあまり小学生には薦めたくないと感じてしまった。
2023.6
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こういう物語が児童書という形で表されるのかという驚きと嬉しさ。
様々な家族の形を子ども達は物語として受け入れ知るのだろう。
女主人と少年とハウスキーパーが暮らすお屋敷に、住み込みの家庭教師としてやってきた岬くん。4人はそれぞれ秘密があった。
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優しい物語のような、薄暗い物語のような。
でも最後はあたたかい。
みんながみんなそれぞれに事情があって
少しずつ近づいて心のわだかまりが解けていく。
まだ続きを読んでいたかった。
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書店で見かけて、素敵な表紙とタイトルとあらすじに惹かれた。星空を思わせる装幀もすごく素敵だし、洋館が出てくるようなお話も好み。
まるで外国のおとぎ話のような雰囲気だから、舞台が日本で、みんな日本人だと想像するとちょっと違和感があるかも。と言いつつ、(「シド」や「ターシャ」もしっくりくる一方で)「そら」さんや「星(せい)」、「岬」くんなど、日本語の名前の響きが素敵だと思った。その中で、岬くんの名前の「峻(たかし)」はちょっと響きが妙に現実的というか、「たかし!?」みたいに感じてしまった。
全体的に好きな雰囲気だけど、そらさんの事情があまりに重すぎる。そらさんが多くを語りたくない事情はわかるけど、シドは星と同じく祖母に育てられたはずなのに、シドとそらさんの母親のエピソードがなさすぎて、そこが不思議というか不自然な気がしてしまった。
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装丁や挿絵も含めておとぎ話を読んでいる雰囲気のある本。でも内容はところどころ、重く、そこをフワッと優しい文体で包んでいる。
いろんな家族の形がある。
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6年から。読むと時がゆっくり進んでいるような別世界を感じさせてくれる作品。そらさん、星、シド、岬くんの4人が出会い、複雑に繋がっている。それでいて、しっかりと暖かく、優しく幸せにしてくれる。