紙の本
豊富な要素、稚拙な融合
2023/11/18 18:35
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
中華風の超絶家父長制世界で、宇宙怪獣をやっつけるため、そいつらの死骸と神から授かった設計図を基に開発したロボットを駆る。パイロットは必ず男女ペア、ただし女は精神を消耗し、常に死の危険が伴う――パイロットに徴兵された姉を失い、復讐を誓う女主人公。彼女はやがて、世界を支配する仕組みに反旗を翻す。
というのが大筋で、同時に売りたい側の建前だと思われる。
しかし、その実はクレイジーなフェミニズムを振りかざすイカれた女の物語。
男尊女卑にNOを突きつけるのは良いものの、主人公の視点が常に行き過ぎなくらい女性中心。自分の意見があるのか怪しい振る舞いがあり、男に口を出されると噛みつく一方で、女に諭されると真逆の意見であってもすぐになびく。大体は不可抗力だが、洒落にならないトラブルの原因が大体主人公なのは悪い冗談にしか見えない。敵と苦戦する原因が大体主人公からふっかけた内輪揉めとか救われない。また、偏見に塗れたキャラクター性に一本気を感じられず、なかなか読み進めるのがつらかった。刹那的な快・不快に左右されるので個人的な復讐なのか体制への反逆なのかも曖昧。とことん好きなものを持ち上げて、意に反するものをこき下ろさずにはいられない人にしか共感を得られなさそうなキャラクター造形だ。
作中では筋の通った理屈があるのかもしれないが、人物の心理や理性、作中の設定につけても、そのような行動に走った、あるいはそんな物を作った動機に疑問が残るシーンが所どころにあり、説明不足のために没入感の妨げになっている。特に作中を通して描かれる男尊女卑への反抗を正当化するための設定が弱い。歴史由来の設定ならともかく、SFど真ん中の設定の中に大した理屈もなく雑に放り込んでいるのはいただけない。女性を資源として見るにしても、もっと合理性が働くだろう。
SFが雑な点に絡めるなら、表紙を飾るロボットたちの周辺設定が薄い。操縦訓練なし、シミュレーターなし、あるのは男女ペアの能力測定と、息を合わせるレクリエーションじみたプログラム。エンジニアらしい登場人物も見当たらない。見当たらないから、その辺のシステム関連は全部、司令官的ポジションが握っているというアンバランスさ。
反面、ロマンス表現は目を瞠るものがあり、男女が過去の傷を乗り越えたり、性的多様性に関する表現への熱意を感じるものだった。正直、変にロボットを出すくらいなら、恋模様とフェミニズムをもっとドッカリと中心に据えた物語にした方が良かったのでは? と思ってしまう。
総じて、豪華な要素をまとめようとしたが、全てを昇華させるだけの技量が足りずに空中分解したような印象を受けてしまう。挑戦的な内容に挑んだ精神は称賛に値するが、内容がついて来れてない、惜しい作品である。
紙の本
なんだかなぁ
2023/09/05 22:24
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
わざとらしく中国風な世界観を取っているが、物語の舞台はどうにも狭い世界だこと。
解説にもあったように、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」っぽいメカ設定。あるいは「パシフィック・リム」あたりか。
いずれにしても、最初に掲載されているメカのイラストはない方が良かった。想像力が削がれること甚だしい。
ヒロインの性格設定が途中から変わってきてるし、三角関係がもっとドロドロしても良かったよな。
この話、まだ続くんだろうな。で、結局続編も買うんだろうな。
そんなに面白くなかったけど。
紙の本
一気読みです。
2023/08/20 13:11
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めたらとまらない面白さがあります。中華ファンタジー・ロボットSFってすごいですね。歴史好き、ファンタジー好き、SF好きが全て叶う一冊。しかも、続編があるなら最高です。
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女性主人公の復讐譚でSFに恋愛に人型に変形するロボットにと要素はてんこ盛りで海外のラノベみたいだなと読んでて思った。
主人公の言動はかなり過激なので拒否反応がでる人も多そう、中盤は主人公の思い込みとか何でもかんでも噛み付く姿勢が結構続くので少し辛かった。
あまり読み慣れてないのでなんじゃこれはとなること必須な、やおい的な展開もあり。
物語の展開はスピーディーなので退屈しないし結構面白かったけど、軸になってる異星の機械生物・渾沌との戦闘が単調なこと、人類側が負けているはずがスムーズに勝ち進みラスボスでもそんなに苦戦しないのはちょっと期待はずれ。マブラヴオルタネイティヴまでは行かなくても決死の覚悟で挑むような戦闘は1つもないので、あくまでも男尊女卑の世界をひっくり返すことに重きが置かれていることは中盤までは分からないので、期待したものと違うとなる人も少なからずいそうだと思う。
でも続編は読みたい
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シーラン・ジェイ・ジャオ『鋼鉄紅女』読了。
陰陽五行説ベースの中華ファンタジー風世界で男女一組で動かす巨大ロボットで宇宙から来た侵略生物と戦う物語…ではあるけれどとにかくヒロインの意志が物語を推進・牽引していく力が凄い。作者はダリフラに影響を受けていることを公言しているけれど、ダリフラに覚えたフラストレーションがこの作品という形で昇華されたというのはあの2クールを追いかけた者たちの救いになるのでは。"ロボットアニメ"的想像力が根底にはあるけれどこれは日本のアニメ的文脈では描けない物語であるな、と。ロボアニメリスペクトでもパシリムやUSJとは似て非なる怪作。
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ペラっとめくったらメカのデザインがかっこよかったので手に取りました。
冒頭を読んでアニメっぽいと思ったら巻末にダリフラに影響を受けた、とありナルホドと思いました。とは言え古い話だとイクサー1とか桂正和さんの男女が一体になる漫画とかアクエリオンとかもそんな感じなのかな?モチーフは結構昔からあるのかな。イクサーワンは男女じゃなかったけど。
さらに則天武后もベースにしている、という事なので、昔の逸話をロボ作品にしたような感じなのか、それは面白いよなと思いました。纏足の時代の女性が虐げられ搾取され、それでも次世代の同性に自分と同じような人生を歩むことを願うという業のようなものも読んでいてヒリヒリしました。
金持ちお坊ちゃんがなんで彼女に入れ込むのかはよくわからなかったですが、結果として彼女は権力も好きな男も自分の力でゲットするという力業がすごかったです。
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例によってこの本も、構造的差別(この巻では性差別、おそらく後編は人種差別…がくるのかな?)の中を生きる人々を描く。纏足が復活していたり、構造的に女性が使い捨てになるようにできる人搭載型ロボット兵器が出てきたり…要するに医学部受験で女性だけ減点するようなものだよね…と考えると、この未来が全然あり得ないとは思えない。
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めちゃくちゃ面白い。
主人公の怒りは当然。どんどんやったれとい思っているうちに終わっちゃう。500ページもあるのでにあっと言う間。
人名の読み方が覚えられない!
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うぎゃー
すごいぞこれ!
夢中になりました
久しぶりに寝食を忘れて読んだよ
ちょっと登録数少ないんじゃね?
なにやってんのよブクログ民よ!
もう!
もちろんこれは、俺の勝手な推測なんだけど、作者のとんでもない「怒り」のパワーによって書かれた作品なんではないかと
そんでもってすごい綱渡り的な作品
いやそこ突っ込んでいくのか!っていう
もうギリギリ攻めてます
ギリギリの表現、ギリギリの思想
そもそもさー「男尊女卑」って思想はさー
男の過剰な防衛本能から生まれたんじゃねーの?って俺なんかは思っちゃうわけ
いや、よくないよ
肯定はしない、「男尊女卑」なんて思想は爪の先ほども肯定はしないよ
だけどさ、「男尊女卑」から解き放たれた(解き放れつつあるか?)女性たちを見なさいよ
どうよ?
『鋼鉄紅女』じゃん!
いやあれよ
ダメよ、男だとか女だとかでいろいろ良からんことするのは
でもさ〜「男尊女卑」とは言わないまでも、ほんのちょっぴり「亭主関白」に憧れたっていいじゃない
そのくらいは許してほしいわけ
ちょっぴりよ?
ダメ?
鋼鉄にダメ?(どんな比喩やねん!)
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ひまわり御師匠が激賞されておりました一作。
メフィスト賞のような趣かと。
なかなか世界観が掴めず、苦戦しました。
ある程度繁栄していた文明が、宇宙からの侵略者渾沌(ふんどん。混沌と同意語)により壊滅。そこから2,000年。人類は、霊蛹機を使い抵抗を続けている。という設定が最後の方でようやく。
登場人物達は、それぞれ中国の歴史上の人物から引用され、その性格等も反映。
蛹は、さなぎ。パイロットの気の力で進化していくからかな。この霊蛹機に男女がペアを組まされて、その互いの気を使い変身したり戦ったり。
根底にあるのが、女性蔑視。中国の纒足をはじめ女子と生まれた子への扱いに嫌悪感が伝わります。
陰陽説かと言われると、陰と陽は同格と思っているので、そこに格差を描かれると、納得しにくい。
五行説かと言われると、相剋のみを取り上げて、相手を生かす相生を表現しないと片手落ちかなと思う。中途半端な扱いです。
ゲームとかアニメとかの世界観を満喫している方には良いかなと思う。
そして、この小説の主人公の女子パイロットが、自分を“あたし”というのが、落ち着かなかった。
英語だとわたしとあたしの違いがあるのかな?
“わたし”だと男女共に使うから、女子主張の表現と理解しておいたけれど、ジェンダーとセクシャリティを描きたいという作者の意思からズレるんのでは?文字を書けない設定だったから、そういう意味合いかな。
小野さんの「十二国記」は、五行説と九星の形状を使っていると思っていますが、この小説で男女パイロットを陰と陽としているという事は、王と麒麟を陰陽としていたかもしれない。また読みたくなってしまった。
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最初は面白かった
怒れる少女が、立場の強い男達に立ち向かうというか、初っ端から殺人してしまって、男達の敵になって行く
でも結構自分の我を通すことだけを考え、周りの協力的な男達を振り回し、女子の味方は作らないのかいない
男2人と住む話になってから、だんだん詰まんなくなった
結局自分が目立ちたいだけなんじゃないだろうか
いるよなあ、こういう人