チェスエンターテインメント
2023/10/29 01:38
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
難病を抱え入院生活を余儀なくされた少年が出会った、一生涯の友情とチェス。全てを捧げられるほどの生き甲斐を見出だした者たちの、起死回生の一手を欲して高揚感が止まらない作品。
チェスが巧く人生とシンクロしてる所がとても良かった。病気の少年たちだけで話を纏めても良かっただろう所に、思いのほか新キャラが深く絡んできて、展開が壮大になりすぎた時はちょっと戸惑った。でも、盤上の駒同様に見えない糸に搦め取られて、予測不能に交わっていく様が、まさに人生!と充実の読後感。
ルール以前にチェス自体を知らなかったとしても楽しめる至高のエンターテインメント。
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本においては将棋に並ぶべくもないマイナーな競技であるチェス。あえてそのマイナーなゲームをメインテーマとした作者に敬意を評したい。病気で入院生活が多い子供時代からの記述は、ややラノベ風で読みやすくはあるが、生死を扱うこともありそれなりの重みもある。
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感想書くの忘れてた
チェスに夢中な人たちの人生のお話
チェス、わかんないけど
将棋わからんでもライオンおもしろいし
これもおもしろかったな
オススメだぜーーってほどでもないんだが
今後の人生でこのお話の場面ばめんを
ふと思い出すことがきっとあると思う
そういう本、わりと好き
なので星は3つ!
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大好きな作家である綾崎隼先生が太鼓判を押していると聞き、いつか読もうと思っていた。
綾崎先生の出版した小説の中に、『盤上に君はもういない』と『ぼくらに嘘がひとつだけ』という二作がある。これらは将棋を題材とした作品だ。当時将棋にハマっていた私は、この二作をきっかけに読書にのめり込んでいった(将棋熱は半年で尻すぼみ。今はたまに友人と指すくらいだ)。
本作『エヴァーグリーン・ゲーム』は将棋と同じボードゲームである「チェス」を題材とした青春小説。敬愛する作家と大好きな青春小説というジャンル。そんな組み合わせに導かれるようにして読み始めた。
本作は決して明るいだけの物語ではない。チェスの素晴らしさとともに語られるのは、どうしようもなく生きづらい世界だ。
難病を抱える子どもたち、恋した少女がいじめの標的になっていた少年、生まれつきの障害から母親から蔑まれる少女、父親の家庭内暴力を発端として非行に走った青年。作中で登場した日本屈指のチェスプレイヤーたちの生い立ちは、同情せずにはいられないものばかり。
けれど、だからこそ彼らはチェスに夢中になり、生涯の友に、家族に、師弟に、宿敵になることをができた。チェスの楽しさを魅せられ、魅せられすぎたのだ。
奇妙な巡り合わせとチェスを愛する心が紡いだ縁は、きっと読者の心も穿つだろう。
2024年時点で将棋の人口は全世界で約1000万人。それに比べチェスの人口は7億人にも及ぶという。将棋というゲームを否定する気は毛頭ないが、いかにチェスが世界で愛され親しまれているか、比較するとよく分かると思う。
しかし物語の舞台はあくまでも日本。この島国では圧倒的に将棋の方が知名度が高く、プレイヤーの人口はわずか2万人。ゆえにチェスは将棋と比べマイノリティとされている。
取った駒を持ち駒として再利用できる将棋と、取った駒は二度と盤面に戻ってこないチェス。
「生き残った駒は、死んだ駒の命を背負う」。物語序盤で語られた透の決意の表現は、そんな日本人にとって馴染みのないチェスの面白さと本質を物語っている。
鮮やかな導入の後、まるで読者に十字架を背負わせるように、透の行く末を、盤上に残った駒の最後を見届けろと訴えかける。そんな展開に喉が干上がりながらも、ページを捲る指だけは止まることはなかった。
なぜもっと早く読まなかったのか。そう考えたのは久しぶりで、それほどまで熱中して読むことができた作品だった。
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チェスを通して繋がっていく人間関係。
それぞれの人生にチェスが寄り添っていて、こんなにも人を惹きつけるんだなと。
初めて知ったチェスの世界と魅力。
その魅力を登場人物たちが余すとこなく伝えてくれる。
今年1番の良書に出会ったかもしれない。
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始めは(病気をかかえてはいるものの)少年の甘酸っぱい青春モノかと思っていたが、裏社会まで出てくる展開に。少し出来すぎ感はあるが、各話つながり大団円へ。チェスの知識も楽しかった。
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各人のメンバー紹介からの大会に至る構成はありきたりも、人物描写、ストーリーとも良くチェスの知識無いけど面白かった。素人向けにもう少しチェスのルールとかが分かりやすく解説されてたら嬉しいなぁ。
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本当に好きなものは、気づいたら好きになっている。その好きなものが、いろんな人を結び付けて、奮い立たせて、人生の支えになる物語でした。
フィクションながらここまで人を惹きつけるチェスの魅力と恐怖が文字で伝わり、登場人物の熱い思いに少なからず共感し、気づいたら読み終わっています。
全くチェスのルール知らなかったので、ネットでは無く、実物を手に取ってプレイして、再び読みたいと思います。
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ああ、俺は群像劇が好きなんだな~
と思わせられた一作
誰もが主役で
自分たちの物語を持っている
今回のお話はチェス
マイナーなスポーツとか趣味とか
小馬鹿にしてしまうことがあるけれど
知れば知るほど奥深い光景を見せられるのが好き
つまり、この作品は俺好みだったんだよな
どストライク
楽しめました
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Amazonの紹介より
世界有数の頭脳スポーツであるチェスと出会い、その面白さに魅入られた4人の若者たち。
64マスの盤上で、命を懸けた闘いが繰り広げられる――!
小学生の透は、難病で入院生活を送っており、行きたかった遠足はもちろん、学校にも行けず癇癪を起してしまう。そんなとき、小児病棟でチェスに没頭する輝と出会う――。
チェス部の実力者である高校生の晴紀だが、マイナー競技ゆえにプロを目指すかどうか悩んでいた。ある日、部長のルイに誘われた合コンで、昔好きだった女の子と再会し……?
全盲の少女・冴理は、母からピアノのレッスンを強要される日々。しかし盲学校の保健室の先生に偶然すすめられたチェスにハマってしまい――。
天涯孤独の釣崎は、少年院を出たのち単身アメリカへわたる。マフィアのドンとチェスの勝負することになり……!?
そして、彼らは己の全てをかけて、チェスプレイヤー日本一を決めるチェスワングランプリに挑むことに。
チェスと人生がドラマティックに交錯する、熱い感動のエンターテイメント作!
第12回ポプラ社小説新人賞受賞作
チェスに人生を捧げた若者達の群像劇になっています。それぞれ様々な人生を経てのチェスの闘いには熱くぶつかり合っていて、臨場感や緊張感が伝わりそれを経ての展開に感動してしまいました。
チェスのイメージというと、最初に思い浮かんだのは、ドラマ「相棒」の右京さんです。スタイリッシュでかっこいいイメージだけれども、ルールとかを聞くと、難しい印象であり、今までの人生において通りませんでした。
チェスの模様を小説に描写するのは、あまり読んだことがなかったのですが、相手との張り詰めた心理戦や戦略が、よく表現されていました。
ただ個人的には、将棋もそうですが、「a4」や「Ne3」などチェスならではの盤上での動きが、なかなかよくわからなかったので、魅力の半分しか味わえなかったなと思いました。
チェス好きな方には、動きに驚きや接戦がわかるかと思います。
チェスをメインにした小説ですが、それぞれの若者達の人生にも読み応えがありました。章ごとに主人公が変わり、それぞれどんな人生を歩んでいたのか丁寧に描かれています。
章が変わるごとに前の章で登場した人の続きの展開も紹介されているので、大きく「繋がって」いる感覚がありました。
難病を抱えている人や盲目な人、不良だった人、それぞれがチェスに心を掴まされ、熱烈に没頭していきます。
不良だった人が、まさかチェス選手の一人になるとはちょっと驚きでしたが、全てをチェスを捧げている描写は、読んでいて青春だなと思いましたし、みんなキラキラ輝いていました。
チェスに限らず、人生においてときめく瞬間、生きる支えになるものがあるかと思います。
夢中になっていく登場人物の描写が、生き生きと表現されていました。
後半の章では、みんなが集合し、頂上決戦をしていくのですが、これがもう人間ドラマが詰まっていました。
友情や嫉妬、喜びや悲しみなどチェスの闘い以外の要素も魅力的で面白かったです。
本作品がデビュー作かと思います。今後どんな作品を手がけていくのか楽しみです。
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チェスの魅力に取りつかれた登場人物たちが、まさに命をかけて、チェスの大会に挑む物語。将棋しか知りませんでしたが、チェスの詳しいルールがわからなくても十分に面白かったです。
それぞれのキャラクターのもつバックグラウンドが様々であり、個性がクリアに描かれています。当然それぞれの凹凸がありますが基本的には善人であり、読んでいて安心感があります。また、この作品では主に4人にスポットがあたって物語が展開していきますが、それ以外に出てくるチェスプレーヤーでもスピンオフができるのでは、と感じるほどでした。
チェスと似た印象で日本ではよりメジャーな将棋でもなく、同じボードゲームのオセロでもなく、アジアで人気の囲碁でもなく、少ない競技人口で戦略的なチェスが作品のテーマに据えられていてしっくりきます。
読後、とにかくチェスをやってみたくなりました。
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小学生の時初めて手にした馬の形の駒は、将棋の地味な駒と比べてこの上なくかっこよく見えた。
キングよりもクイーンの方がカッコいいし、力自慢のルークがぼってりしてるのいかにもっぽくに思えた。きちんとしたルールもわからないまま、勝手気ままに動かして悦に入っていた。
そんな昔のことを思い出しながら読み始めた、チェス小説。
土臭いイメージからは遠い、なんというか少し上品な雰囲気を醸すチェス。そのチェスに青春をかけた若者たちの青春さわやか群像劇なのだろう、とそれくらいの構えて読み始めたのだけど、これがもう、途中でやめられず一気読み。なんだこの熱さは!!!土臭いどころか血なまぐさいではないか!!
4人の若者たちにはそれぞれチェスによって人生を救われている。文字通り「救われて」「掬われて」きたのだ。
あるものは病気を克服する気力を、あるものは人生選択の道を、あるものは親への復讐を、そしてあるものは文字通りの命を、得てきた。ひとりひとりの物語に胸を熱くしながら時間が流れていく。登場人物たちの人生が少しずつ進んでいく。そして最後に最大で最高の舞台「チェスワングランプリ」という舞台で四つの人生が重なっていく。完璧な流れだ。否が応でも高まる、スリリングな展開に、研ぎ澄まされた選択に、盤上に繰り広げられている美しき戦いに息も切らさず飲み込まれていく。
チェスのことよく知らない、という人こそ楽しめるのではいか。ネットにある動画を次々とみてしまうだろう。早指しの早すぎる指し手にのけぞったり、長考に沈むプレイヤーの刃のような目に震えたり、知らないからこその楽しみもあるだろう。そしてきっと始まる、この物語から。チェスブームが、きっと。
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チェスに人生を捧げた4人。最初は学生大会の話なのかな〜と気軽に読み始めたら、結構血なまぐさいシーンもあって意外だった。
チェスは本当に馴染みがなく、でも駒がとてもかっこいいな〜くらいな印象。日本では将棋の方が圧倒的に多数だが、世界的にはチェス人口が多い。
AIとの対戦ってニュース見た気がする。
チェスで生きる4人それぞれに美しさを感じた。
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チェスで心が熱くなったのは確かでした。青春っていい。
が、文章が読みづらい、、特に一人称の違い(僕、俺、私、私(女))で登場人物を読み分ける必要があって、特定のエピソード以外は今誰が主人公だ?ってのが途中わからなくなる時がありました。特に透は僕と私を使い分けてたからかなりわかりづらかった。
結局エヴァーグリーンゲーム、は出ない、っていうのは狙ってなのかな。ありきたりですが個人的には最後のノビーと透の一戦で出ると思いきや出なかった。
でも、その時は輝の言葉、勝つために治す、を忠実に守った友人愛みたいなのを優先したのかなと思うとまあいいか、と思えました。
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まだ世間にあまり知られていない作家さんを積極的に読んで新たなお気に入りを見つける「発掘王への道」の#6です
久々!
なかなかフィールドワーク(という名の図書館棚巡回)が出来ていないので、2022年の第12回ポプラ社小説新人賞の本作をチョイスです
権威主義!
はい、作者の石井仁蔵(いしいじんぞう)さんは、1984年生まれ(39歳?)、新潟県出身で東京大学文学部卒とのこと
なんか最近東大出身の作家さん多くない?
塾講師をしながら20年以上小説を書き続けてデビューを目指していたとのことで、今回その執念が見事に花開いたわけですね
うーん、やっぱりそういう苦労人は応援したくなるね〜
物語は薩摩示現流の達人たちが凌ぎを削る群像劇となっておりますてそれはチェストー!
薩摩弁の気合を入れる時の掛け声チェストー!
チェスです
駒の動かし方くらいは知ってますが、そんなにちゃんとは分かってません
だけど本作を読み終えて、チェス、やってみたいな〜、面白そうだな〜って思いました
うん、それってこの作品が面白かったってことの証拠だと感じました
以下、ご本人のコメント
”本作はチェスに打ち込む若者たち、チェスに救われた者たちの物語。
チェスがいかなる面白さ、奥深さを持つものか、多くの人に伝えたいと切望しています。
そして、私が描きたかったのは、もうひとつ。
何かひとつのことに打ちこめれば、人生はきっと実りあるものになるということ。
私自身も約20年、小説の投稿に明け暮れた人間です。「初めて書いた小説で受賞してデビュー」というような、スマートなあり方とは程遠く、光の見えぬ沼の中を這いずり回ってきた人間です。今もなお新たな小説を書きたいともがく、この生き方に呪われた人間です。分野や境遇や生き方は違えど、そんな風に何かに取り憑かれたやつらはきっと、沢山いると思う。私は、そんなやつらを肯定したいと思う。
この小説が、そんなやつらに届くことを願っています。”
うん、今後も応援したい
発掘王とはもがきながら小説と向き合う人間たちの応援隊長でもあるのだよ
(なんか奇麗にまとめた!)