物語はものがたる
2024/04/02 18:42
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルといい、
文中の匂わせといい、
ちょっと伏線が強すぎる気はする。
これがマーケティング的に正しいかどうかは置いておいて。
それでも改めて新しい物語と出会えることの
ありがたみを認識できる作品だった。
自分にとっての竜胆はBUMP OF CHICKENでした。
皆様も自身の竜胆と出会えますように。
問題作と言われるのも納得
2024/05/25 01:34
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投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る
父が亡くなり、後を継ぐために呼ばれた娘菖子は、竜胆という名を引き継ぎ特殊な家業を任される。
「おかととき」という怪異の客をもてなす悪夢のような遊び。
父はなぜこんな家業をはじめたのか。おかとときとは。下男達の失われた記憶や、竜胆の失敗を望む八十椿の真意とは。
現代の幻想ホラー。
問題作と評価されたのも納得。
前半の幻想ホラーの世界のまま謎解きしてほしかったけど、語り手の「私」がずっと謎めいていたので第二部も一応受け入れられた。
「物語は逃避ではなく、生きる力を与えてくれるもの。現実のためにある」という言葉は好き。
この作者が現実のために、生きる力を与えるために書いたものだというのは納得できる。
納得はできるが、だからこそこんなデウスエクスマキナみたいな、ご都合主義展開で解決されてしまっていいのだろうか、という違和感が拭えない。
そういうなんだかなぁ、という点も含めて問題作として評価されたんだろうな、と思う。
前半の幻想ホラー世界の構築が見事すぎたから、あまりにも惜しいもんね……。
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物語は、三度、進化する。第30回電撃小説大賞《大賞》受賞作。
「驚愕の一行」を経て、光り輝く異形の物語。
明治も終わりの頃である。病死した父が商っていた家業を継ぐため、東京から金沢にやってきた十七歳の菖子。どうやら父は「竜胆」という名の下で、夜の訪れと共にやってくる「おかととき」という怪異をもてなしていたようだ。
かくして二代目竜胆を襲名した菖子は、初めての宴の夜を迎える。おかとときを悦ばせるために行われる悪夢のような「遊び」の数々。何故、父はこのような商売を始めたのだろう? 怖いけど目を逸らせない魅惑的な地獄遊戯と、驚くべき物語の真実――。
応募総数4,467作品の頂点にして最大の問題作!!
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―物語は、三度、進化する。
読み始めから抱いていた違和感。物語の紡ぎ手である「私」の正体にモヤモヤしながらも読み進めていると、ある一行で、こうきたかー!とまさに天と地がひっくり返るようにストーリーが一変。そこからはもう、一気読み。
独特で幻想的な世界観と、先がまったく想像できないストーリーに引き込まれる、新感覚の読書体験。
【次に読みたい】
・世界でいちばん透きとおった物語/杉井光
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最初の菖子の世界観が好きだと思って読んでいたから、途中で急カーブ入ってびっくりしたけど、最後まで一気にのめり込んだ。物語への誠実さで泣いてしまった。どこまで現実が反映されてどこから物語なのか、誰が話しているのか境界があやふやでもあって、それがまたリンクしていて良かった。
ただ、最初の竜胆の乙女の話だけの、怪奇ホラーみたいな世界観の話単体でも、吸ってみたいと思った。このままその空間にいたかったが、現実に引き戻された。
実際には竜胆のみの世界よりも、ラストの展開の方が手が止まらなかった。物語がどう終わるのか見たかった。自分がフィクションに対してずっと期待している感情がすくわれるようだった。
私にとっても菖子のような、大切な概念がどこかに存在するんだろうなと思う。
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驚愕の一行は、確かに効果的だったと思う。あの有名な綾辻行人さんの『十角館の殺人』を彷彿させるもので、ガラリと変わる展開は魅了させられる。
表紙が鮮やかで艶やかなので、文中の風景や情景描写はもっと艷やかであると良かったなと思いつつ、作者のあとがきとは裏腹に物語の仕掛けをメインで打ち出しているので、表現はあまり重視する必要はないか。
テイストも物語も違うのになぜな乾緑郎さんの『完全なる首長竜の日』を思い出した。
ファンタジーと現実が入り交じる小説だった。
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2024/4/1 読了
次男蔵書より
「あとはあなたが何とかしてください、堀出さん」
この一文を読み終えたとき、「誰?」「やっときたか」など、言葉にできない感想になりました。
読み出した当初から、目線が「私」なのに、一切説明なく、存在なく、違和感があり、先ほどの一文で、「やっときたか、でも、誰?」になりました。
物語は、里栞さんが語り部となる劇中劇から始まり、自分の置かれた立場などを、劇中劇の登場人物に当てはめ、問題を解決していくことで、自分の振る舞いを模索し、どうしていくかを決めていきます。
小説としては、グロテスクな描写があり、苦手な部類なのですが、面白かったです。
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FUDARAKUのデビュー作。大賞作品。
少し甘めの星5。
非常にしっかりとした明治浪漫溢れる世界観で、引き込まれた。
これは下調べせず読んでほしい。
惜しむらくは、似たような形で有名な先行作品があること。その点と、後半の展開が少し駆け足気味で残念。
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うーん、この物語をなんと評していいのか悩む。
十七歳の少女が亡くなった父の代わりに"おかととき"と言う妖を持て成す役割を継ぐのだけど、そのもてなしは残虐かつ危険に満ちていた、という始まりはまさに和風ダークファンタジー。
作中、姿を現さない語り手の私は何者なのか?
竜胆の乙女は窮地をどうやって切り抜けるのか?
様々な想いに満たされ読み進めるのだが、物語半ばで明かされる真相に唖然となった。
まさに世界が逆転する感覚。
これは好きな人は好きそうだけどちょっと人を選びそう。
つまりこの物語は一人の少女の救いの物語であり、物語の力を信じる作者自身の物語でもあるのだ。
電撃小説《大賞》受賞作にして確かにこれは問題作と言えるだろう。
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何コレ…世界観とイミフさが強烈!人を残虐に傷つけて異形を接待…怪奇な家業を継いた少女 #竜胆の乙女
■物語のはじまり
時代は明治の終わりころ、亡くなった父の家業を継ぐため17歳の少女が実家に戻ってきた。父から譲り受けた家業とは、夜おとずれる「おかととき」という異形をもてなすという不可思議なものであった。しかもそのおもてなしの内容は、人を残虐に傷つけるというな遊びで…
■きっと読みたくなるレビュー
独特の世界観と訳の分からなさが強烈な本作、これは確かに話題になりそうな作品ですね。全体的に若干の青臭さがありつつも、それがまた魅力。その反面パワーと勢いがありありと感じ取れました。
本作とても幻想的な強みに溢れているんですが、物語が混沌としていて、残酷で耽美な描写に優れているからだと思いました。
〇混沌
兎にも角にも、さっぱりワカンナイ。ずっーーーーーと、はてなマークが頭の上についたまま読み進めることになる。何故そんなことするの? この家業は何なの? 彼らは誰なの? おかとときって何モノなの? 【五五分十二秒】って何?
単に謎をいれてるだけでなく、不思議な世界にしっかりと誘ってくれる書きぶりが見事なんですよね。すっかりとストーリーに夢中になってしまいました。
〇残酷で耽美な描写
残忍な描写の数々、強い者から弱い者への厳しい台詞など、不愉快な気分になりまくりですね。ただこの汚らわしさの引力があるおかげで、花や色など細部にこだわった美しさが引き立たされているんです。そして死の世界、永遠の闇に踏み込んでしまったような恐ろしさもゾワゾワと伝わってきました。
そして登場人物では、なにより主人公がいい!圧倒的に推せる。辛い境遇に置かれた主人公なんですが、それでも歩んでいる姿が目に浮かんでくるんです。ラストは主人公を抱きしめたくなってしまいました。
どこにいるのか分からなくなる不思議な物語、先生の今後の作品に期待しちゃいます。
■ぜっさん推しポイント
さて、最大の問題作と名高いこの小説。ここまで何も語ってきませんでしたが少しだけ。
いつも面白い物語を紡いでくれる作家先生の皆さんには、感謝でいっぱいです。ただその物語も、作家先生のアウトプットだけで完成するものではなく、読者も一緒に完成させるものだと思っています。
単に楽しい読書の時間を提供してくれるだけでなく、知らなかったことの学び、新しい価値観の吸収、経験のないことへの挑戦、苦しみや悲しみからの救いなど、様々なことを読者が感じ取って完成となるのです。そして今まで読んできた本、すべてについて何も感じ取れない本などありませんでした。読書って、なんて素晴らしいんだろう…
物語が終盤に入った頃、ずっとこんなことを思いながら読み進めていました。最後の最後まで読んで、あらためて世の中のすべての作家先生に感謝したいと思ったのです。
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本屋で目についた帯。
世界を一変させる、「ある一行」
ネタバレ厳禁の緘口令が敷かれた最大の問題作
帯の魔力に魅せられ、購入。
舞台は明治時代。父の死去に伴い、家業を継ぐために東京から金沢にやってきた17歳の菖子が主人公。父の仕事は異形の者を凄惨な遊戯でもてなすものであった。父はなぜこの仕事を始めたのか・・・
といったあらすじ。
物語の合間合間に違和感をもたらす一行が登場。その一行は触れられることなく、物語は進んでいきます。そして、終盤の一行で物語は爆ぜます。
世界をひっくり返されたような気持ちになりましたが、その後の展開は、個人的には気持ちが乗りませんでした。
物語の終盤では読解力に乏しい自分は置いていかれてしまいました。
序盤の世界観は好きでした。
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物語の力を強く感じた。ギミックの種明かしのあと、この作品が始まったと言っても過言ではないと思う。この手のギミックが物語の威力を増すために使われていて良かった。
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とりあえず父と兄はクズすぎん?
前半、なかなか救われない展開に気持ちがやるせなくなったけど、後半嶺くんが込めた切実な思いに涙が出た。ほんとは嶺くん自身が、隣にいてあげたかっただろうにね。
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タイトルの竜胆は、花の「りんどう」。設定も展開も違和感だらけのストーリーが進んだが、後半は頭がよく回ってなかったこともあり、ついて行けず。
主人公の菖子は、病死した父の商いを継いだ。「竜胆」の名で、夜にやってくる怪異「おかととき」を饗すという。そのもてなし方は、不思議を超えて、奇妙。商物(あきもの)の身体を使うのだが、生花を刺したり、爪を剥いだりすることも。夜が明けて宴が終われば、身体の傷は癒えるが、おかとときの機嫌を損ねると、身体の一部や、その機能を奪われてしまうことも。菖子は、初めて務めた宴席で、興を削いでしまい、商物の一人は片腕が傷んでしまう。
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何を言ってもネタバレになる系の話でした。(そんなのばっかり読んでるな……)
読み始めてすぐに、いくつもの違和感と不協和音に気が付きます。それらはわざとらしいほどにくっきりとした存在感を持っていました。勿論、それらは必要があってそこに存在していて、最後にはきちんとあるべき場所に収まりました。
これはファンタジーでホラーで、何より人生の物語でした。あらすじから思っていたのとは、本当に全く違う物語です。