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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学捜査の手法って、そんな簡単に自分で見つけられるものなの?
どういう手順で正式に認められるんだろう?
できましたって言えばいいものではないしね。
数週間レベルの話じゃないと思うんだけど。
『最後の鑑定人』前日譚
2024/07/04 01:17
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「科学は嘘をつかない」をモットーに『最後の鑑定人』土門誠の科捜研時代の歩みを辿る、揺るぎのないミステリ短編集。
科学しか信じない―――土門がなぜそこまで頑なになったのか。『最後の鑑定人』となるまでの悲しい道程を、信念をもって突き進んでいく、積み重ねの物語。
各編の語り手が土門とは別人で、事件についても土門についても客観的に考察出来る所が一番の魅力。動機と、手段と、犯人と、無数の鑑定方法から最適解見付け、真相を導き出すプロセスに土門らしさが炸裂しているのも良かった。
並外れた観察眼が見たくないものまでも映し出してしまう、人間の不完全さを思い知らされた。
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「人は嘘をつきますが、科学は嘘をつきません」という土門の台詞に込められた意味が、科学への信頼から人間への不信に流れ落ちていく様が悲しかったです。
しかし、現場に足を運ぶベージュのジャケット姿が佇む表紙に魅せられて読み始め、気付けば読了でした。
一見精密機械のような鑑定人土門の内に秘める熱意や信念に気付き、感化されていく登場人物達は人間味が際立たされますが優秀で魅力的です。
そして相変わらず今作でも作者の言葉選びや登場人物の台詞には、小さな炎が灯るような気持ちになれます。
最後の鑑定人は未読でも楽しめるとのふれこみでしたが、その通りです。
ただし、最後の鑑定人を読まざるを得なくなることも確かです。
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『最後の鑑定人』がとても好きだったので、土門誠の続編が出ると知って手にとった。
『最後の鑑定人』にも登場する人たちとの馴れ初めなどもわかるし、土門誠の人となりに触れることもできて、とてもおもしろかった。
最後のエピソード「神は殺さない」は土門誠の葛藤や苦しみで心が揺れ動く様子がひしひしと伝わってきた。
もう一度『最後の鑑定人』を読みたくなった。
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前作より過去、まだ土門真が科捜研にいた頃の物語
尾藤、三浦、菅野と名前を知っている人たちがいる!こういう繋がりは嬉しくなる
でも事件はかなりしんどい…特に最後の『神は殺さない』が…
側で見守るしかできない尾藤、弱さを出せない土門、どちらかがうまく振る舞えたなら、離婚せずふたりの関係が長く続いたのだろうか
自分が科捜研の砦となる、と決意したのに辞めることになるのがわかっているのもつらい
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科捜研にフォーカスした刑事もの。4つの短編からなる。
科捜研の砦と言われるほど凄腕の研究員である土門は、客観的な科学的根拠のみをもとに死因を解明していく。しかし、4編に出てくる登場人物とのやり取りを通してその信念が明らかになっていく。事件は比較的ありきたりだが、読みやすくて一気読み。3.6
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シリーズ2作目。遡って過去の物語だった。
「最後の鑑定人」の時より、土門さんが少しだけ人間味があるような気がして、なんだか切なかった。
科学は人を裏切らないけれど、人は裏切ってしまう。そういう出来事が、人格にも影響を及ぼすんだろうなぁ。
どちらから読んでも楽しめる作品だけど、個人的には刊行順に「最後の鑑定人」→「科捜研の砦」がおすすめ。
「科捜研の砦」の切なさをより強く感じられると思う。
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「最後の鑑定人」の続編
時系列としては、科捜研時代の話。
元妻との出会いや、なぜ科捜研を辞めたのかも描かれている。
「人間は嘘をつくが、科学は嘘をつかない。この信念が響く内容であった。
「神は殺さない」での犯人の思いはわかるが、そこまでに至るプロセスも少し欲しかった。
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少しでも不審な点があれば、真相を究明するために調査を行う。警察組織の中でも科捜研というところには、少し独特な印象を受けた。(あくまで本書の中での話。実際の科捜研がどうかは全く知らない。)
結果を急かされたり、組織の意に沿った結果を求められたりと真相究明とは程遠い対応を求められても決して信念を曲げない土門のキャラクターが良い。周囲に土門がいるとしたら、"融通がきかない堅物"と思ってしまいつつも、実力のある土門を密かに尊敬すると思う。
「人は嘘をつきますが、科学は嘘をつきません」この言葉が腑に落ちる。
4つの事件が起こり、いずれも土門が活躍する。中でも被害者が放火か他殺か不明な事件については、意外な方向へ話が進んでいき、驚いた。確かに犯人の動機は十分にあるが、本当に犯行に及ぶとは思わなかった。科警研の尾藤と協力して犯人を自白させるシーンに圧倒された。新しい鑑定方法を作り出してしまうなんて、そんなこと可能なのだろうか。
なんにせよ、少ない手がかりから犯行への道のりを割り出していく地道な捜査を思うと、結果(犯人捕縛)出すの遅くない!?とはもう言えないな。
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人間は嘘をつくが科学は嘘をつかない。
土門誠は警視庁科捜研の最後の砦として、卓越した技術と観察眼をもって事件を解決してきた。
土門の愚直なまでの科学的な検証に接する事で、彼と関わる人々に土門という人間に惹かれてゆく姿は、科学が示す客観的な真実に対する説得力の成せる技である。
物語は順風満帆一辺倒とはならず、彼の生き方の基本を揺るがす事件に戸惑う様は、生身の人間をも描く小説でもあった。
次作に続くことを期待している。
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「最後の鑑定人」の続編にして前日譚。
妻となる、科警研の有能な技官でもある尾藤宏香との出会いなど、土門誠の科捜研時代が語られる。
鑑定人としての土門のスタイルはすでに確立されているが、唯一尊敬する上司の絡んだ犯罪などもあり、前作よりも感情の揺れがはっきりと見て取れる。
土門は何故かポリグラフへの思い入れが強そうだ。前作でも専門家を雇い入れている。
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「最後の鑑定人」の前日譚。民間の鑑定所々長となった土門誠が科捜研時代の話。科捜研の「最後の砦」と謳われたエース土門が刑事捜査の中で巻き込まれながらも科学で真相を追い求めていく4編。こうして彼は科捜研を去ったのかという切なさもまた彼がさらに科学を信頼するための出来事だったのね。
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えっ、本書は土門鑑定人シリーズ第2作なの? 第1作読んでないんですけど‥。やっちまったー! でも、『最後の鑑定人』の続きではなく、前日譚ということなので、まいっか。
4話構成で、連作短編の形を取ってます。主人公は、科捜研(警視庁や警察本部の刑事部附属機関)の土門誠。副所長である加賀正之の直下の技官です。このタッグによる鑑定技術は業界トップクラスで、
<科捜研の砦>と言われているのでした。
土門の人物像は、愛想がなく無表情で不遜な印象で、他人との相互理解を望まない描かれ方です。ただ、各話の中に少しだけ、土門にも過去や感情があり、謙虚で慎み深い一面も覗かせています。
岩井さんは、こうした特異な人物の内面を描くのが、つくづく上手だと思います。深く見つめ、多面的な要素を炙り出すように書くことで、土門の別側面が、他の登場人物に受け入れられていきます。
最終章、土門が人間不信に陥るほど、心に深い傷を負うことに‥。その悲しみの深さが切な過ぎます。「科学は嘘をつかない」と信念にこだわっても、科学鑑定の終着点が、残酷な結果をもたらすこともあるのですね。
読み手の私たちも、自分の生き方や仕事への疑問や不安を抱えているのが普通でしょう。しかし難しくても、他人を騙さず、自分を偽らない生き方をしたいものですね。土門に教えられます。
土門誠のその後を描いたという『最後の鑑定人』を未読と書きましたが、逆に、今後読むのがとても楽しみになりました。いや、絶対に読まざるを得ません!
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元科捜研の鑑定人・土門誠を主人公にした「最後の鑑定人」の続編。
前作の前日譚に当たり、科捜研で勤務し、“科捜研最後の砦”の異名を持つ土門の活躍と、(前作ではすでに元妻だった)彼の妻である科警研の技官・尾藤宏香との出会いから結婚後までが鑑定した事件と共に描かれる。
四つの事件はそれぞれ、土門の鑑定によって当初の見立てとは違う死因と犯罪態様が明らかになり、その過程がなかなかスリリングで面白い。
とは言いながら、解剖医や科捜研の人手不足により死因不明のまま処理されるという現実には、もし自分の身内が……と思うと辛いものがある。
物語構成が前作より良くなって格段に面白くなっている。特に「神は殺さない」が秀逸で、終盤へ向けての緊張感は半端ない。
「科学は嘘をつかない」と言う土門が、真実を知ってしまうことを恐れる場面、最も信頼していた人に嘘をつかれ、誰を信頼していいのかわからなくなって途方に暮れる場面は読んでいるこちらも苦しくなる。
そしてそんな夫を前になす術もない宏香の無力感。この二人やっぱり別れるべくして別れるんだな〜と納得。
このシリーズ、まだまだ読みたいです。
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『最後の鑑定人』で登場した土門誠の科捜研時代を描いた前日譚。4篇の短篇で構成された連作で、科捜研のエースとして様々な謎を明らかにしていく様子を、時間軸に沿って描いていく。
前作を読んだのはちょうど2年前で、細部は忘れてしまったが、前日譚なので大丈夫だった。多分。まあ、期待していたのは正当な続篇なので、肩透かしをくらった感は否めないが。
前作に比べて土門の影が薄く、語り手である第三者の印象が強い。特に最初の「罪の花」と、最後の「神は殺さない」に登場する尾藤宏香にはそう思った。前作にも出てきたかな?