ジェンダーの言葉に特化して説明した、タイトル通りの内容です。
2024/08/27 15:25
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
言語学者の著者が、正に当書のタイトルに書かれた命題を説明した1冊です。
言葉には色々ありますが、当書では特に男女の呼び方といったジェンダー関連の言葉をクローズアップしています。
ジェンダーの言葉に特化して分析していることで、見事に「言葉(言い方)が変わることで、社会は変わっている」ことを説明しています。実によく出来た内容です。
社会が変わればことばが変わるし、ことばが社会を変えることもある
2024/09/03 09:12
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投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハラスメントやジェンダーの意識などを例にして、社会が変わればことばが変わるし、ことばが社会を変えることもあるということを語っています。ことばの力で、社会を変えてゆこうという、明確な主張はなかったように思いますが、そういう可能性をポジティブに感じさせる内容だったと思います。逆に、ことばによって、社会を悪い方向に変えてしまうこともあり得るのだろうと思います。気をつけておかないといけないですよね。
題名の「ことば」の定義が曖昧。
2024/08/31 18:30
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投稿者:キェルケゴ - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名には「ことば」が変わればとあるが、中身は、伝統的な男女別のことば遣いやジェンダー、セクハラ言葉などのテーマに限定されている。
ことばや会話について議論しているのだから、もう少し言葉について厳密にかつ繊細に定義してほしかった。
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社会言語学者によるプリマー新書二作目(一作目は『「自分らしさ」と日本語』)「セクハラ」という新語が変えたこと、「女子」という言葉の意味や使われ方の変化、人の名前やパートナーの呼び方と呼び名がつくる関係などのトピックを中心に、言葉と社会の密接な持ちつ持たれつを解明してゆく。
「女子力」と英語の「girls power」の微妙な対応関係や配偶者の呼び方にしろ何にしろ日本語話者には自分の価値観や好み以上に「間違えたくない」「正しくありたい」という気持ちが大きいというのはなるほどと思えた。
学生同士の呼び名の変遷は興味深いトピックだった。かつては男子は名字呼び、女子は名前呼びがスタンダードだったが、そうでもなくなってきているというのは気が付かなかった。いや、子どもを見ていると多様化している実感はあったが、子ども向けの物語などではまだまだ更新されていないことも多い感じがする。
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書店で気になり入手・読了。惹かれたのは帯の謳い文句で、人の配偶者の呼び方って悩ましいよな、ってこと。そのやり方に違和感がないことも無いんだけど、やっぱり国が統一見解を示すってのが、一番の早道なのかな。人口に膾炙しているとは言い難いけど、個人的に無難だと思えるのは、パートナーないしお連れ合い、かな。とはいえ、自分もとっさのときにはなかなか出づらい言葉だし、そこは練習ですな。あと興味深かったのは、”男”と”女”は完全な対義語ではない、っていう点。”~にする”って言った場合、確かに”女”の方には、性的ニュアンスしかないもんな。なるほど。
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言葉は社会を変えるし、社会は言葉を変える。この循環が、少しでも多くの人にとって生きやすい方向に働ければいいな、と思うきっかけになりました。
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中村桃子先生の社会言語学の本。
タイトルは「社会が変わればことばが変わる」ではなく『ことばが変われば社会が変わる』
全体的にとても良く練られた構成で、章末には振り返りと次に考えることが示されていて非常に読みやすい。計算され尽くしている印象。
内容はジェンダー関係の問題とことばの関係を様々な視点から読み解いて行くような進み方。前半は特にジェンダー関係のことば問題が多くを占めていて、ことばの本なのを忘れてしまいそうなほど。
考えての上だと思うけれど、たまに著者本人の個人的な感情がポロっと書いてあったりして親しみやすい。
言語学も社会学も言葉が…単語が難しい。でもこの本は、新しい概念は出てくる前に説明があるので安心して読めます。
生活の中でのことばの問題に感心がある方には是非ともオススメしたい一冊です。
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女、女子、女の子、女性の違いは?
他人の妻や夫をなんと呼ぶ?夫さん妻さん?ご主人?奥様?社会と言葉の関係について述べた本。
「ことばを変えることは、物事を理解する別の視点をもたらすという形で間接的に社会変化をもたらす」
という考えを根底に、さまざまな具体例をあげて展開される。
明治時代から昭和初期まで最も頻繁に使われていたのは「夫」であり、「主人」が一般に使われるようになり国語辞典に「妻からの呼称」と掲載されるようになったのは、戦後以降だということは知らなかった。
夫ー働き手、妻ー専業主婦 のモデルが一般化したのは戦後以降にもかかわらず日本人の多くはこの家族形態が伝統的なものであると勘違いして社会の仕組みを作ってきた「近代の伝統化」に通じるものがある。
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言葉はあらゆるものを区別したりする役割を持つ。
という当たり前が この本を読みながら
ハッとさせられた気付きでした
また、言葉を使う際に
海外の方は自由に発話者が選択するが
日本人は正しさを重視するというのも面白い気付きだった
最後の 結局はどんな選択肢をとってもいいけれど
あるがままを分析しているという作者のスタンスがおもしろかった
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てっきり国語的な新書と思ってたが、LGBT等の社会問題の新書だった。
セクハラ、同性婚、LGBTQ、主人、旦那、奥さん、、、
ことばがなければ、差別を受けもやもやしても自分一人の問題で終わってしまう。
それが言葉を得ることで、訴えていいこと、と気づく。闘える。
・・・ほんとは違う意味でも無理やり押し込むリスクはあるけど、
少なくとも弱者はそれで救われる。
そういう側面の言葉と、「主人・奥様」はまた別の問題。
私も、podcastでいい情報を提供してくれるランナー女性が、夫のことを「主人」
というのだけはもったいないなあ、という気がしていたので、納得がいく。
その女性はバリバリ仕事もしていて、独立しているのだから、「主人」なんて
言わないほうがいいと思うんだけど、、、
そういう意味を持つ言葉だ。「嫁」もそうだ。今はそういう時代じゃない。
妻でいい。
そうした、性差別に関する言葉を取り上げた新書になっていた、
第一章 「セクハラ」は社会の何を変えた?
…新しいことばは新しい考え方を提案する
第二章 戦略としての「あえて」と「ラベル」
…意味をひっくり返したり曖昧にしたり
第三章 流行語「女子」がもたらしたもの
…ことばの普及は思わぬもの同士を繋げていく
第四章 “girl power” はなぜズレていったのか
…新しいことばに抗うかのような社会の視線
第五章 誰が意味をはがされるのか
…名前を呼ぶ人と呼ばれる人のあいだの権力関係
第六章 「ルール」を優先してしまう私たち
…「大谷翔平の妻」を日本のメディアは何と呼んだ?
第七章 「パートナーの呼び名問題」解決編
…「正しい日本語」を話したい気持ちをのりこえる
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言葉と社会について
具体的事例に基づいて
紹介されていて興味深い。
最後のパートナーの呼び名問題が
現在進行形でもあり、
面白かった。
男女の関係性や原理原則より
「正しい日本語」という価値観の
指摘はなるほどと思った。
言葉に潜む差別意識など
これだけ鋭く気がつくのに
この表現の問題には
気づかないのが日本語の
難しいところ
↓
「誰かが決めてほしい」という他力本願な意識
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ことばが社会に影響を及ぼし、時には社会を変えていくことについて「セクハラ」とか事例を挙げながらわかりやすく紹介・解説してくれている。何気なく使っていることばの裏にいろんな社会の状況が反映されているもんだ。
ジェンダー的な視点をかなり濃くしながら書かれていてそういうものは自分の好物のはずなんだけど、だいぶ斜め読みをしてしまった。
一番面白くて「そうか!」と思ったのは、パートナーの呼び名のこと。「ご主人」はナンセンスと思いながら自分が他人にその人のパートナーのことを言うとき「だんなさん」「奥さま」と言ってしまうんだけど、同じようになぜか「だんなさん」とか「ご主人」とか言ってしまう傾向が広く見られる。それはなぜかというと「夫」や「妻」はややへりくだり感があり、家父長制的な色合いのないうまい言い方がないんだよね。日本語においては丁寧な言い方ほど家父長制的なものと結びついてしまうということもあり。自分としては「お連れ合い」あたりかなと思うんだけど、何か舌が回りづらい感じがしてあまり口にしたことないしね。
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本作品で帯にもあり、気になっていたのが他人の配偶者をどう呼ぶかという問題です。
「ご主人・奥さま」?「夫さん・妻さん」?――ひとの配偶者の呼び方がむずかしいのはなぜ?
この問題は第六章にて検証されていますが、全てがどんなパートナー関係を思い浮かべているかで大きく変わってくるということです。なかなか一筋縄ではいかない問題であることが、今回もはっきりしました。
そのほかにもことばが変わることにはどの社会でも強い抵抗があること。「伝統」や「習慣」をカラッと転換させるカタカナ語の力。
「男になる、男にする」と「女になる、女にする」の使い方の深い意味。
日本人は意外に真面目で「正しい日本語を話したい」と考えてしまうこと。既存の価値観がすべてではないことなどが興味深い内容でした。
久しぶりに教養新書を読んで、小説とは違う感覚を楽しみました。
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主にジェンダー方面からことばと社会がどのように変化していくかについて書かれた本。内容は非常に興味深いのだが、読む人を少し選ぶかもしれないと思わせる硬さとジェンダーやハラスメント以外の考察も欲しかったところがやや残念。
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第1部 ことばが社会を変える―「セクハラ」「イケメン」「クイア理論」
第2部 変わっていく意味―拡大・規制・漂白
第3部 ことばを変えられないのはなぜか―言語イデオロギー