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【これは――虫ですね。本草学者が捉えた真相】貧乏長屋を中心に起こる怪事の数々。店子で本草学者の久瀬棠庵は、「虫のせいですね」と呟く。「巷説百物語」とも繋がる謎解き奇譚。
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文章が洗練されてるので読みにくさは全くない。
ただ内容は特質すべきものではない。
少し間延びすると言うか、ちょっと読んでて飽きてくる。
淡々と読み終えた感じ。
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最初は落語っぽいなと思ってちょっと読みにくかったです。
各話最初に書いてある虫が可愛いような可愛くないような。
病気の症状からこんな虫ではと想像した言うくだりがあってなるほど…想像力豊かなようで笑
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ここのところ、“どうしました?”という勢いの刊行ラッシュだった京極センセ。
(多分、デビュー30周年がらみということなのでしょうけどね・・)
本書は江戸の長屋を舞台にした謎解き奇譚、連作八話が収録されております。
慣れているとはいえ、やはりこの分厚さに“重っ(物理)”とはなりますが、内容的には連作短編ということもあってか、サラサラ進む読みやすさでございました。
〈藤左衛門長屋〉の家主(藤左衛門)の息子で、差配の藤介が語り手となって、長屋で起こった謎や事件を、店子でもある本草学者・久瀬棠庵が真相解明していく展開でございます。
で、棠庵が探偵、藤介がワトソンという役割なのですが(京極堂シリーズでいうところの中禪寺と関口、巷説シリーズでの又市と百介ってところですかね~)まぁ棠庵は日がな一日部屋に引きこもっているので“安楽椅子探偵”という感じですね。
因みに、このクセツヨ本草学者・棠庵は『巷説百物語』のエピソード・ゼロといえる『前巷説百物語』にも登場していて、本書は彼の若き日の姿が描かれているということになります。
「京極堂」や「巷説」では事件の解決において元凶や因を“妖怪”のせいにして丸く収めていくパターンでしたが、こちらの棠庵は「虫」(昆虫みたいなリアルな虫ではなく“塞ぎの虫”とか“疳の虫”の「虫」です)のせいすることによって、事件が収まるところに収まっていくというところがポイント。
真相は突き止めるけど、敢えて煙に巻くのはお馴染みの“京極スタイル”ってところですな。
基本棠庵が謎解きをするのですが、八話「頓死肝虫」では藤介が奮起して事件解決するという話で、“藤介、やるな!”と彼の活躍に嬉しくなりました。
ところで、こちらは体としては“謎解き譚”なのですが、京極さんが本書についてのインタビューで「ミステリというより落語」みたいな事を仰っていたように、キャラたちの“テンポ良くかみ合わない”掛け合いが落語っぽいかも・・と思いました。
(あ、まわりくどいのはお約束です~笑)
ということで、結構ライトに読めちゃう“謎解きモノ”で楽しませて頂きました。
まだフィーチャーされていない店子もいるようですし、棠庵と根岸奉行との関係も気になるので、是非続編も出して頂きたい・・何ならシリーズ化しても良いかも、と思った次第です~。
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帯の文から想像していた感じは、京極堂のような人が妖怪の代わりに虫を使って問題を解決するイメージだったのですが、なんだか想像とはかなり違っていました。もちろん虫を理由に問題を解決するのは確かだし、物知りで理詰めと言うところも似てはいますが、何というかもっと人間くさいというか…。これはもう一人の主役の大家さん・藤介がいい味を出していて、その人間くささが雰囲気を柔らかく、丸くしているのだなと。探偵とポンコツの助手、かと思いきや、最後は大逆転というか、お互いに補い合っていいパートナーになるんだろうな、と思わせてほのぼのと終わり、今までの京極さんにない読後でした。
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病葉草紙(わくらばそうし)と読むらしい。
病葉とは、病気や虫のために変色した葉。とある。
あいかわらず難しいタイトル。
京極さんの「狐花」を本屋に買いにいったときにこれも見つけてしまった。見なければ買わずに済んだのに、見つけてしまったからしかたがない。買った。
江戸の貧乏長屋に住む本草学者の久瀬棠庵(くぜとうあん)が長屋で起こる事件事故をいい具合に解決する物語。
この棠庵。実は「前巷説百物語」に出てきた物知り本草学者の爺さんだったが、今作では二十代の若者。
ちなみに本草学者とは、中国古来の学問で、動植物や鉱物を医薬にする目的で研究するもの。天然にあるものの中で、人間に効能のあるものを追求する学問。草を本とする学問。らしい。
・馬癇(うまかん)
・気積(きしゃく)
・脾臓虫(ひぞうのむし)
・蟯虫(ぎょうちゅう)
・鬼胎(きたい)
・脹満(ちょうまん)
・肺積(はいしゃく)
・頓死肝虫(とんしのかんむし)
全八篇の短編集。
まるでホームズばりの観察眼に博識、よく利く鼻で事件を解決する。が、真実を明らかにするホームズとは違い、棠庵はすべてを虫のせいにしてうまく丸めてしまう。余分な被害を出さないように虫のせいにしてまとめるのだ。
虫といっても蝿や蜻蛉などの実際にいる虫ではなく、腹の虫や癇の虫などの病気のもとを概念化したものを利用するのである。
ちょっと話としては淡泊だな~。
おどろおどろしくもないし、哀しみも悲惨さも無残さもない。薄味だわ。
それにしても困った(◞‸◟)
久瀬棠庵って誰だっけ? ってなったので本書を読む前に「前巷説百物語」を読み返してみた。
どんなキャラか分かればいいやと思ってほんの少しだけのつもりがガッツリ頭っから最後まで読んでしまった。ああ、おもしろい。
「前巷説百物語」はその名の通り「巷説百物語」の前の話となっている。
そしてラストではシリーズ屈指の悪役である稲荷坂の紙右衛門(ぎえもん)と関わってしまうのである。
もう、そこまで読んだら稲荷坂の紙右衛門と決着をつける話まで読みたくなるやーん。「続巷説百物語」の狐者異(こわい)の話を読みたくなるじゃないか。
でもその部分だけ読んでもなぁ。稲荷坂の紙右衛門の話は山猫廻しのおぎんや御燈の小右衛門などにも繋がるキーポイントみたいな話だし、もういっそのこと「巷説百物語」から全部読み直すか!! いやでもさすがに。
とか考えてたら恐ろしいことを思いついてしまった。
巷説百物語シリーズって、知ってる人は知ってるだろうけど、時系列順に並んでないのよ。
これ……、時系列順に並べて読み返したら凄く楽しいんじゃね。そのために必要な小冊子もあるし、やろうと思えばできる。
たぶん需要はないと思いますが俺と同じことを考えたけど時系列が載ってる小冊子を持ってないのでできない。なんてお嘆きの方のために。書きます。
182●年10月(前)寝肥
1年後 1月(前)周防大蟆
2月(前)二口女
6月(前)���みなり
2年後 4月(前)山地乳
11月(前)旧鼠
12年後 春(巷)小豆洗い
8月(続)野鉄砲
秋(巷)白蔵主
11月(続)狐者異
13年後 冬(巷)舞首
5月(続)飛縁魔
晩夏(巷)芝右衛門狸
冬(続)船幽霊
14年後 5月(巷)塩の長司
6月(続)死神
夏(巷)柳女
夏(西)桂男
秋(後)赤えいの魚
2月(西)遺言幽霊 水乞幽霊
春(西)鍛冶が嬶
春(西)夜楽屋
夏(西)溝出
15年後 夏(巷)帷子辻
秋(西)豆狸
秋(後)天火
秋(西)野狐
秋(後)山男
(後)手負蛇
18年後 (後)五位の光
20年後 夏(続)老人火
1877年 初夏(後)風の神
あっ! ウィキにもっと詳しい年表あったわ(笑)
そっちのほうが江戸怪談シリーズや「遠巷説百物語」や「了巷説百物語」も入っていていいな。
くたびれもうけやがなヽ(`Д´)ノプンプン
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長屋に住む人々のテンポのいい会話が楽しい。シリーズになって欲しい。本の分厚さで読み終わったあと手首が痛いけど、それもまた嬉しい痛み。
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「前巷説百物語」につながる話、ということでやはり同じような重めの話かと思えば
はるかに明るくて軽い、宮部みゆきの時代ものの様な、江戸庶民が元気でわいわい騒がしい(楽しい)話だった。
シリーズ化されて、また百物語の面子と何処かですれ違ったりしたらシリーズ愛読者としては楽しいな。
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実に楽しい小説だった。七つの短編集だが登場人物は何時も同じで時系列もあって良かった!江戸時代の貧乏長屋のお話しであり更に収載されている絵の出展訳ありだ。絵は九州国立博物館所蔵のものであり永禄11年に茨木ニ介の作画で体内に宿る虫に因んだ物語りには驚いた!
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『巷説百物語』シリーズが完結した直後、京極夏彦さんの新刊が並んだ。帯には、『前巷説百物語』にも連なる謎解き奇譚、とある。
八丁堀近くに貧乏長屋があった。大家の息子である藤介は、店子を見回るのが日課。店子の中に、久瀬棠庵という風変わりな本草学者がいた。この長屋で、なぜか怪事件が続発し、その度に藤介は棠庵に頼ることになるのだが…。
読み進めると、『巷説百物語』シリーズとフォーマットが似ていないこともない。妖怪のせいにして丸く収める『巷説百物語』シリーズ。棠庵はどうするのかというと、虫のせいにしてしまう。もちろん、こんな虫は存在せず、むしろ妖怪に近い。
棠庵というキャラクターは、又市一派や中禅寺秋彦と比較すれば、人当たりは良いが、押しが弱い感がある。派手な演出もない。ところが、事件の構図が見えるとテキパキと人を動かし、ロジカルに謎を解き明かすのが意外といえば意外か。
時代設定等を除けば、いずれの事件もオーソドックスなミステリーの構図であり、棠庵の役割もオーソドックスな探偵役と言える。その点が京極夏彦作品としては異色ではないか。当然面白いのだが、戸惑いもあるようなないような…。
語り部の藤介は、『巷説百物語』シリーズの百介の役割に当たるが、百介ほど積極的に謎に首を突っ込むわけではない。しかし、野次馬根性がまったくないわけではなく、結局は顛末が気になって棠庵を訪ねる。読者代表的な語り部か。
そっち方面にまったく無頓着そうな棠庵だが、収入源といい人脈といい、謎が多い人物には違いない。いつまでこの長屋に留まるのか。本草学者は仮の姿なのか。一方の藤介は、いずれは隠居親父の跡を継ぐのか、いつまで棠庵に頼るのか。
聞き覚えのある人物は登場したものの、『前巷説百物語』にどう連なるのかはわからなかった。文藝春秋がシリーズ完結に便乗したのか? さて続編はあるか。
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藤介と棠庵の掛け合いがワンパターンのようで、少しずつ変化していく様子が面白い。
そして、毎回登場する虫たち。
本当に信じられていた虫が絵として記録されている様が興味深い。そして、それをミステリーにしてしまう時代物。
長屋の面々も個性豊か。あまり本をテレビ化して欲しくない派であるが、これはなんだか実現してほしい気もする。(ちゃんとした時代考証入れた上でなら)
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貧乏長屋で起こる出来事の謎。困惑する差配の藤介を前に、
解き明かすのは、引きこもりの若き本草学者・久瀬棠庵。
「虫のせいですね」江戸の長屋を舞台にした連作奇譚ミステリー。
馬癇・・・祖父を殺したと孫娘は言った。
しかし棠庵は殺しではないと言う。
気積・・・長屋のおきんは己之助に虫が付いたと言った。
己之助は飯を食べられなくなって、塩を撒けと言う。
脾臓虫・・・同じ在所の娘が首を吊ったと幸助は言った。
彼女の勤める料亭で食事をした4人の死は虫?と伍平は言う。
蟯虫・・・金兵衛長屋での庚申講は虫のせいかと金兵衛は言った。
その講の人々の前で根岸は凶の対処法の咒を言う。
鬼胎・・・根岸との縁、棠庵が長屋に来た訳を藤左衛門は言った。
本当に鬼胎は鍼でしか治せないかと里江は言う。
脹満・・・店子仲間から勧められる縁談に困惑してると棠庵は言った。
「この人は飢えていますね」え、2倍も太ったのにと藤介は言う。
肺積・・・助けられた棠庵に会いたいとお登勢は言った。
すべては終わったのにお登勢はこの長屋に残ると棠庵は言う。
頓死肝虫・・・厄日か?殺しに誘拐等々、藤介は天手古舞に
振り回される。そんな彼に自分は病葉だと棠庵は言った。
藤介は奔走し知恵を絞って指図し、事件は解決へ。
あたしも病葉だよ。
あんたと欠けてる処が違うけどねと藤介は言う。
ある程度世間知はあるが、本気の度合いが緩い差配の藤介。
本草学者で知識はあるが、人の心が分からない久瀬棠庵。
そんな二人に、クセツヨな貧乏長屋の面々や、
藤介の父で隠居家業?が長い藤左衛門も交えての、
お江戸長屋が舞台の連作奇譚ミステリー。
花を添えるのは、石黒亜矢子の素っ頓狂な挿画。
「虫の所為ですね」「虫とは関係ありません」
長屋という狭い世間に関わる、人死、自殺、乗っ取りの謀、
誘拐等々が発生し、世間は広がります。
各話導入の会話は長くて、ちょっと煩わしいけれど、
落語の長屋噺での八っつぁん、熊さんの会話を念頭に置いて
読めば、なかなか面白く味わえました。
藤介と棠庵、なんか病葉バディ爆誕?
また『耳嚢』の作者が登場したり、著名人の名前が出てきたりで
棠庵自身の謎が深まったし、お登勢の今後を考えると、
続編が書かれる予感がします。いえ、書いて欲しいなぁ。
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登場人物に個性があって面白い。
さらに会話のやり取りが物語に拍車をかける。
まるで落語を聞いているようなテンポの良い会話が最高でした。
読み応えがあるページ数も感じさせない読み易さでした。
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2024年発行、文藝春秋の単行本。8編。短編連作。シリーズ物なのだろうか。ラストで棠庵が入り婿で長屋を出て行って新たな場所で次のシリーズに続くかと思ったのだが違った(同じ場所、同じ人物でのシリーズというのはこの作者の場合なかなかないはず)。主人公の周辺の人物が事件に簡単に関連するので、「そうなんだ」と思ってしまう。でも軽妙なテンポが面白い。若干主人公の内心の葛藤の発言が鬱陶しいけれど。
収録作:『馬癇』、『気積』、『脾臓虫』、『蟯虫』、『鬼胎』、『脹満』、『肺積』、『頓死肝虫』、初出:「月刊文藝春秋」2022年8月号~2024年6月号、
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前巷説百物語に登場していたが忘れていた人物たちがワイワイ登場。京極さんは、うっすらかみ合わないおもしろいやつを書くのがうまいなあ(^o^)初期ポンコツAIに対してうまくプロンプト出しできない自分へのイライラ感が…ひとごとならばこんなに笑えるのかー