タイトルからしてジョーク風だった
2025/01/20 08:48
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投稿者:はぐらうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
芥川賞受賞作。アカデミック小説とのことで慄きつつ読み始めたが、なんてことはないむしろエンタメではないかと安心して面白く読んだ。知らない名言的なものも疎いところも山ほどあるけれど、あまり気にしないで読むのが良さそう。
固有名詞が非常に多く、マグリットが出てきたり、ごった煮はどん底だろうなとか、おそらく読む人それぞれがくすぐられる箇所がある。
ゲーテ好きな方に
2025/03/23 02:49
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゲーテがお好きな方は、絶対おもしろく読めると思います、オススメ。もちろん、ゲーテの名前しか知らない方にも。ただし、やや、クセは有りますね。ゲーテ学者飲博把統一はあるディナーで、全く知らないゲーテの名言と出会ったことから……という……
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小説トリッパー秋季号より
ゲーテ。その昔読んだ、若きウェルテルの悩みくらいしか知らない。ファウストに至っては、作中出てくる手塚治虫氏のもの、若しくはネオファウスト。という作品あったなくらい。前提この感じで読みだす。で、軽く物語に突入する。しかしただならぬワクワクを感じ始める。しかしだ…
読むのに時間がかかる内容。辛い…というのも、まずは予備知識が無さすぎる、こちらに対し衒学的で、あぁ〜、なんかウザいなぁ、いや、ちょっとハードル上げすぎじゃない?読み手、置いてけぼり?って、どんだけ本読みながら喋らすのっ!って感じ。あと、アカデミック小説はわかるが、登場人物達があまりに現実離れした知識人ばかりで、全く共感できず、唯一、主人公統一の妻、義子だけは、なんか近いもの感じる。そうそう、登場人物達の名前もなんか覚えにくい、統一から始まり妻、義子と書いてあきこ、娘の徳歌、同僚な然、綴喜…
わざと?ただでさえドイツ関連で覚えにくい名前のオンパレードに加えて、わざと?
詩人、作家、画家、哲学者、その道の人物達に詳しければ、もっと楽しく読めたのかもしれませんが、文学の門戸を狭めてしまいそうな気もします。
ただ、この作品を読む前と読み終えてからと、確実に何か自分の中の言語、知識、歴史に対する変化は感ぜずにはいられない。賛美両論、この本のこと
読んだ人と話したいな〜。
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面倒くさい書き方だなぁと思いつつ、気がつけば楽しく読んでいた。結構好き。
途中から、Suchmos『Stay Tune』のフレーズ、「名言ばっか聞き飽きたよ うんざりだもう」が、ずっと頭に流れていた。
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読み終わってから、本に巻いてある帯の文字に気付きました。
「ゲーテ学者が侵した、超えてはならなかったはずの一線 ―。」
読み終わったかたには、その意味が分かると思います。読み終わる前には、意味の重要さが分からない。同じ言葉を目にしていても、目に情報として入ってくるだけで意味に気がつかない。捉え方が全然ちがうものに変わる。面白いものですね。
主な登場人物
・ 博把 統一(ひろば とういち) 国立大学教授・ゲーテ研究者、小説の主人公
・ 博把 義子(ひろば あきこ) 統一の妻・専業主婦・ガーデニングが趣味、ドイツのyoutuberと繋がりがある
・ 博把 徳歌(ひろば のりか) 統一・義子の娘、大学4年生・卒論テーマは「二つの書物―ヨーロッパ文化における聖書と百科全書」
・ 芸亭 學 (うんてい まなぶ) 統一の恩師で義父・義子の実父・ゲーテ研究の大家
・ 紙屋 綴喜(かみや つづき) 大学4年生・然の教え子で統一が論文指導をすることに。。。
・ 然 紀典 (しかり のりふみ) 統一の同僚の大学教授、統一が大学院1年、然が大学4年の時からの知り合い
あらすじ(と思えるもの。)(さて、いわゆる世にいう粗筋というものは、実際は、それを書く人間の二次創作であると思います。小説のどこを切り取ってどう繋げるかは粗筋を書く人間の主観の総体であり、実際の小説本体とは無関係なものです。なので、この粗筋を読むかたには、実際に原作に当たられることを強くオススメします。)
博把 統一、義子、徳歌の3人は、12月初めの火曜日の晩に、郊外のイタリア料理店に行きます。その日が、統一・義子夫妻の結婚記念日で、かつ銀婚式に当たることが分かったからです。
デザートを食べている時、義子が何十種類もの紅茶が並ぶ棚から、紅茶のティーバッグを3つ持ってきます。ティーバッグのタグには小さな字で名言が書かれていて、統一の分のタグには『 Love does not confuse everything but mixes. Goethe 』(愛は、すべてを混乱させることなく、混ぜ合わせる。 愛は、すべてを混淆(こんこう)せず、渾然(こんぜん)となす。 Die Liebe verwirrt nicht alles, sondern vermischt es. ゲーテ)と書かれていました。ゲーテの言葉を引いたことを喜ぶ統一でしたが、言葉の出典が思い浮かびませんでした。果たして、この言葉はゲーテのものなのか、だとすれば出典は何なのか? この疑問を解決する旅が始まります。そして、このことが統一を様々な気付きや、果てはある事件へと導くのでした。
統一は、帰宅後から、この言葉の出典探しを始めます。英文をドイツ語に直訳してみたり、それをまた和訳してみたりします。原文を探し当てて、文脈の中で言葉の真意を判断したいと考えます。
この言葉がゲーテの言葉なのか?、を考えた時、統一はドイツ留学時代の友ヨハン(画学生)の言ったある冗談を思い出しました。それは、『ゲーテはすべてを言った』という言葉で、ヨハンは「ドイツ人は、何につけ『ゲーテ曰く、』と言う。なぜならゲーテはすべてを言ったのだから」と言います。なんでも言ったのだから、この言葉もゲーテなら言っているだろう? そんなことは、ゲーテ研究者の統一には許しがたいことでした。ゲーテの言葉として引用するなら、出典を明確にして、真意が分かった上で使いたい。
ゲーテの言葉を探る中で、言葉に関すること、思想に関することが様々に語られます。大学教授の日常生活や、恩師や同僚との関係なども紹介されていておもしろいです。ある種、職業小説にもなっています。
なので、読者も物語の展開の中で、いろいろなことを考えずにはいられません。外国の人の名言が語られているのだけど、翻訳されていることで原文の真意は歪められていないんだろうか?、とか、思想の歴史が語られているけど、誰かが言ったことは、その前に他の誰かが言っていないんだろうか?、とか。
閑話休題、あらすじに戻ります。
統一は、テレビの深夜番組「眠られぬ夜のために」で『ファウスト』を講義するため、原稿を書きながら『ファウスト全集』を読み通し、件(くだん)の言葉の原文を探したりします。
その後、統一は然から、紙屋綴喜の論文指導を依頼され、然の本『神話力』の刊行記念講演に出かけて、綴喜と会います。名言の原文探しも進めており、統一は研究者仲間などにメールを打ち、ことの経緯を説明し、名言の原文についての心当たりを教えて欲しいと依頼します。
大晦日、統一、義子、徳歌の3人は、義子の実家である仙台の芸亭 學邸に行き、正月を過ごします。元日には能登半島地震が起こり、統一は13年前のことを思い出したりします。
正月が明け、東京に戻り、2月になる中、ある大きな事件が起こったりし、物語も急速に進展していきます。登場人物たちの関係性が新たなものとなり、名言探しの手がかりもどんどん見つかっていきます。そして、統一・義子・徳歌、そしてもう一人の人物は、ドイツに行き、新たな出会いや旧友との再会をするのでした。また、ある日、統一は学者として超えてはいけない一線を超えることをしてしまうのです(本の帯の通り)。あとは、ご自身でお読みいただきたく。。。
この小説には、巻頭に「端書き」があり、そこには、「義父・博把統一から聞いた話を小説の形式で書いた。」と書かれています。つまり、これまで書いてきた、このあらすじは、「小説の中の小説」のあらすじということになるのです。つまり、この小説は、中の物語と小説本体が、入れ子構造になっているということです。
そして、ストーリーのこのあたりから、この入れ子の小説の書き手(統一の娘婿=徳歌の夫)が分かります。(実は、件の名言の出典についても、この端書きの中にヒントがあったのですが、これも読み終わらないと。。。)
全体として、小説の構造的にも、扱っている思想そのものも、「入れ子」になっているのが、この小説の特徴といえると思います。精神的に壮大でありまた意外と卑近であり、古い教養小説の系譜を引く形式でもあり新しいものも含んでいるという面白い作品だと思いました。
人間、年齢を経ると、いろいろなことが分かってきて、何かを断定的に言い切ることには躊躇するものですが、この若い作家には、振り切って思いを綴る勢いがあります。そして、読んできたものや書いているものを��する誠実さがありました。
それを楽しみながらレビューを書けることを嬉しく思います♡
「ゲーテ曰く、やっぱり小説は面白い」w
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最初は難しい本かと思ったが、段々と引き込まれていきあっという間に読み終わっていた。皆が言うように最後にかけては都合が良すぎる展開ではあるが、それでも冷めずに読めたしむしろそれが救いになって読めた。言葉についてや、色々考えさせられる内容。
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久しぶりにこれぞ芥川賞みたいな作品読んだな。勝手に読んでて女性作家さんかなと思ったら男性でしかもかなりお若いのね。感性が、なんとなくだけど川上未映子さんの初期作品思い出した。選評読みたい
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#ゲーテはすべてを言った #鈴木結生 さん #読了
多岐なる著名人の作品や言葉、推しへの愛、親子の古典ばりの会話や訳なしのドイツ語、いろんな意味でオタクが好きそう。笑
かくいう私もすんなり読めたのでオタクですな笑
なんか言いたい事沢山ありすぎるって気持ちもわかるが辟易する人もいそう
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今回の芥川賞2作品は、攻めに攻めまくっていて、読んでいてワクワクしていました。
こちらの作品のような衒学的要素満載の作品は、もう一方の「DTOPIA」とはまた違う意味で読者の評価がバックリ割れますね。
あまり作者が、学問的知識をひけらかし過ぎると、読む方のウンザリ感が増しますし…
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たくさんの本についてのウンチクやパロディなどが詰め込まれ、楽しんで読んだ。確かに難しいこと知らないこと理解不能なこと(ドイツ語だったり)がたくさんあるのだが、気にせず楽しんで読むと良い。
第172回芥川賞候補作のなかで、構成が破綻していないのは本作だけだと思う。
ゲーテはこの言葉を言ったのか?
その謎を追いかけるストーリーはエンタメ的すぎるとの批判があるが、主人公にとっては存在に危機にあたる重大な問題なのだ。
大学教授ながら卓越した才には恵まれず、密かに劣等感を抱く孤独な主人公。
次の論文のための研究もさしあたりネタが無く、解けたからとて何の役にもたたない謎から離れられなくなる。その姿はまるで、卒業試験の前日に勉強そっちのけで部屋の大掃除にかかりきりになる学生のよう。
ラストは話がうまく進みすぎではあるが、読後満足感があった。
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難しい本だなと思いながら読んだけど途中から逃げ出すこともなくどんどん読めた。
ゲーテ学者の言葉探しの旅が再びドイツへと導かれていく。言葉と人とが繋がっていくさまが面白い。
言葉って深いな。
早足で読んだけれど後二三回読んだらもっと面白さが広がると思う。文章はアップテンポで爽やか。
残念なことに図書館で借りたので返さなきゃ。
名残惜しく読み終えて再び表紙を開けてみると
表題の ...言った と言う部分が斜めに書かれていた。これも とっても素敵だ。
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久しぶりに芥川賞作品を一息に読みました。
まだ若い作者の書いたとは思えないほど、趣向を凝らした作品でした。
始めはある学者の家族ドラマのような穏やかな物語から次第に文献学ミステリーの様相を呈し、あれよあれよと引き込まれました。
それにしても、作者の博覧強記ぶりもさることながら、作中小説まで自作とは本当にすごい才能が現れたと驚きましたが今後の作品も楽しみです。
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いまいち理解できない部分もあったが、作品
としては構成がちゃんとしていて、最後まで
楽しく読めました。
文章の中でゲーテの言葉がいっぱい出てきて
ゲーテの言葉にはとても魔力がこもったように
惹きつける何かがあると感じました。
ゲーテに惹かれた大学教授の博把統一(とういち)の長年の研究生活のすべてが広がっています。
私としては少し知識不足の傾向があったので、
予備知識としてゲーテの事を勉強するべきだったと感じてます。
難しい専門用語が出てくるので、最初読みにくい
部分もありました。
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名言についての話だった。
はじめの方は、実在する人物の著作があるのかと思って、博把統一の名前なんかも調べてしまったが、さすがに創作だった。
私はゲーテをはじめとする偉人たちの名言には疎いので、この作品に登場する言葉たちが、実在するのかはわからない。けれど、力のある言葉が多くて、知識や経験の塊のような名言に心を動かされることもあった。
作者や作品が言うなら、偉人たちの言葉なのだろうな、と思いながら読んでいるのが、作品の内容と重なって、なんとも皮肉に思えた。
情報に溢れ、言葉に溢れる現代だからこそ、この作品はおもしろいのだと思う。
読み始めはくじけそうだったけれど、最後にいろんなことが繋がっていくのは気持ちが良かったし、混沌としていたものが、うまく混合された感があって、お見事だった。
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感想
物書きである前に彼もまた1人の人間。呼吸し談笑する。それは捨象される。研究の対象になった瞬間。でも思い出してほしい。彼だって生きていた。