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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
途中、おっと思わせる展開があって、最後は最後で余韻を残す終わり方。
ほんと、もう名手だわ。
戦のない世の中は、まだしばらく来ないんだけどね。
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新聞連載にて読了(出版時に加筆修正される可能性あり)
やっと書籍化されますね
「楠木正行」を主人公に、またまた、その武将か!という作品
序盤は母と、父である「正成」について語り合う展開
展開が遅くやや読みにくいですが、当人が動き出してからは物語が加速していきます
「極楽征夷大将軍」と読み比べると、裏表のようで面白いですね
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上下巻あわせての感想
主役に楠木正成ではなく、
その息子・正行を持ってくるところが、相変わらず渋い
今回も今村節全開の歴史ファンタジーで、
「俺的には」大満足でした
ここであえて「俺的には」と強調したのは、
何よりこの作品、分厚い。何ページよ?
しかも冒頭は語りから始まるため、
それなりに歴史好きでないと、ちょっと厳しそう
俺は最近、
直木賞を受賞した『極楽征夷大将軍』を
読んでいたこともあり、
南北朝時代の雰囲気にすっと入れたから良かったけれど、
歴史を知らない人にはハードルが高いかも。
高師直と聞いてワクワクするくらいじゃないとね〜。
『逃げ上手の若君』など、
最近は南北朝がちょっとしたブーム?
さて、物語に戻って感想。
少年ジャンプ的な熱さもあり、
後半に進むほどめちゃくちゃ面白くなってきます。
特にラストの戦いは、
作者も大好きな真田幸村を思わせるような展開で、
胸熱です。
歴史好き、今村翔吾ファン、大河ドラマ好きであるならば、
超・超オススメの一冊です。
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少しずつ、歴史小説が好きになったのは、今村翔吾さんのおかげ。新聞連載は、登場人物が混乱するのに、この人の手にかかると常に人間関係が整理されて小説に没頭できる。
歴史小説は登場人物の行く末がもうわかっているから心乱れてしまう。だから苦手だ。
今村翔吾の小説は、行く末を知っていても、なおその人が存在した意味が深く心に刺さるから、読んでいて虚しさが無い。
大した作家だと思う。
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軍神であり英雄である楠木正成を父に持つということ。その運命を背負い民のため戦のない世を目指す正行の物語。
日ノ本にふたりの帝がいた南北朝時代。それぞれにそれぞれの正義がある。
そのなかで南朝の英雄の息子であるという世の期待。
楠党の若木党首の悩み苦しみ、そして希望を壮大なスケールで描く。
公家と武士。その絶対的な関係が軋み始めた時代に翻弄された多くの者たちの、それでも今日を生きて明日も生きるための戦い。
ただただ面白かった。誰もが知る結末に向けて同じ時代を生きていたような臨場感と共感に高揚しながら読んだ。
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面白い。
息をもつかせぬと言うが、本書の中盤から激しくなる楠木正行の北朝との合戦は、テンポよく緊張感に溢れその描写は映像を見ているかのようだった。
時代背景と登場人物のキャラクター分けが見事で、それぞれの人物がちゃんと小説の中で息づいていた。
415ページがあっという間に過ぎ、このまま終わらずにと思ってしまった。
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読み終わった後、涙が止まらず。
放心状態でした。
深呼吸して落ち着くも、
物語を思うとまた涙が出てきて。苦笑
そしてまだレビューの書き出しなのに、
すでに涙が。苦笑
下巻では、
父を死地に送った公家の息子である坊門親忠、
朝廷を操る北畠親房、
そして後村上天皇、
南朝のなかで生きる人々に出会います。
だんだん戦に引き摺り込まれていく展開に、
胸が痛くて苦しくて。
河内のことを大切に思う、
大切な仲間や家族たちの平穏を守りたいと思う上巻の良いところが対比になって余計に。
北村さゆりさんの挿画集、買ってよかったです。
白雪が舞う中の姿や、
お互いを知り大切な想いを交わした茅乃、
朝廷内で身を挺して正行を助けようとした親忠、
一人の人間として相対した後村上天皇。
北畠親房と高師直の嫌な感じもさすがです。
そして香黒が素敵すぎます。
挿画集のあとがきで、
戦争中に生まれてしまった第二世代を描きたかったと今村先生は仰られていて。
自分たちより上の世代がすでに戦争していて、
その最中に生まれた子どもたちは、
理不尽でも否が応でも
戦の中を生きねばならない。
そんな中でも、彼らの日々にも若者ゆえのキラキラした日々もあっただろうと。
正行のまわりに集まる人々は、
みんな優しくて個性豊かであったかくて。
父と同様に死地に向かう正行。
愛する地に住まう人々、家族、みんなを守るために。
そして最後まで一緒に行くと決めた仲間たち。
この物語はどこで終えるんだろうと思っていましたが、そっか…そう終えるのか…、と。
最後の挿画も見ると涙止まらず。
いつか楠木正成、正行のゆかりの地を訪ねてみたいと思います。
そして今、本書に刺激されて、
以前今村先生がお勧めしていた「破軍の星(北方謙三)」を読んでいるのですが、本書の印象が強すぎて北畠親房に対して複雑な気持ちになってます。苦笑
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素晴らしかった。
南北朝時代にハマって、小説本もいくつか読みましたが、今まで読んだ南北朝の本で一番好きかもしれない。
楠木正行は父正成や弟正儀に比べて、活動期間が短いこともあり、史料が少なく、人柄なども不明と言ってもいい人ですが、その史料が少ないからこその、人物像、南北朝の人物たちとの関係性、朝廷や民、戦への想い。
全13章、オリジナルをエピソードを紡いで、ドラマティックな展開、情景を描いてくださりました。
今までの楠木正行のイメージは、父正成の意志(南朝への忠心)を継ぎながら、父の敵討を目指し北朝を倒す、とんでもなく戦が強い猛将。でも素晴らしい軍才でも高師直には勝てなかった。一年足らずで命を落とす。
そのイメージを刷新されました。
人花での正行は、父の道(南朝への忠心)を追わず、自分で自らの生き方を選択し、戦のない世の中のため、北朝に降るという選択を取ろうとする。
考えもしなかった。だってそういうエピソードは史実にないから。
でも、実はそうだったに違いない!
そりゃそうだ!賢く、強く、民を大事に想う。あの、楠木正成の息子なら、きっと国や民のために、北朝を降ってもおかしくない!って思うもの。
そう思うのは、この「人よ、花よ、」の文章の説得力が半端ないから。
ロマンしかない。
終盤はボロボロと涙がこぼれて止まらなかった。
特に、坊門親忠。そして後村上天皇
すっかり坊門清忠は正成を殺した朝廷のにっくき男、というイメージが定着していたけど、その息子の親忠の描き方が最高でした。
「そうすべきでございます!廷臣一同、主上に付き従います!」
あの時、楠木正成の奏上をガンとして拒否した坊門清忠。そして坊門を認めた後醍醐。
子の代でその真逆を述べた親忠と、後村上。ブワッときました。
今までは後村上天皇は完全に主戦派として思われてたけど、この人花の見方もありそうでまた面白かった。
正行も後村上天皇も親忠も、父の代の戦を、南朝だから、父の遺言があるから、父の敵だから、と圧倒的に劣勢だとしても戦を続けなくてはいけない流れに行かなくてはいけなかった。
それを父の代の呪いに縛られず、自分の代を生きる姿。
人生讃歌のようだった。
敵方の高師直もとてもよかった。
上巻でも書いたけど、師直がやはり悪役として機能しているけど、とても魅力的だ。
戦のために民を攻撃し、少しでも情報を漏らすような女は殺す。
そんな悪いやつ、って描かれてるのに、何より賢い。素晴らしい軍才を持つ正行の敵役として、しっかり戦が圧倒的に強い。それは数が多いから勝てる、だからではなく、師直自身が軍才を持っている、そして自負があり、だからこそ直義との政争も考えられているのがよかった。
ちょいちょい挟む師直師泰のコントみたいな会話もくすりと笑えた。
最後の、歴史として残っている楠木正行の戦はページはめくる手を止められなかった。
記録に残った歴史と、記録として残らなかった歴史の余白たちをここまでドラマティックに描いてくれるなんて、最高です。
しっかし、親房��!!お前〜〜!
じゃあ逆賊は北畠じゃん、に頷きまくってしまった。
なんとなくわかっていた、息子顕家の死に囚われてる親房。でもやっぱり余計なことをしやがって〜!!
上巻で、ずっと北朝に降る。和議のために。と計画していたのが、どんどんと戦に向かっていく。読みながら胸が痛くて、切なくて……
本当に、面白かった。よかったです。
人物たちみんな味方も敵も生き生きと動き、時に笑い、時に怒り。
主人公の正行、そして楠木党の皆の生き様。
圧巻でした。
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今村将吾さんの本が大好きです。
その中でも、南北朝時代を題材に出してくれたことが嬉しかったです。護良親王や楠木家、北畠顕家など歴史の教科書には残らない人物に光を当ててくれたことありがとうです!
正行が父の正成に託されたように、弟に楠木家を託していくこと。楠木党の信念、成し遂げたかったこと、後村上帝の想い、胸が締め付けられるような想いでしした。
戦さのない世を作るために、自らがやらねばならぬと戦さををする道を選ぶ。誰よりも平穏の世で生きることを求めたのに、その世を作るために命を散らしてゆく。
素敵な作品に出会えました。ありがとうございます!