- みんなの評価
6件
証言 沖縄スパイ戦史
著者 三上智恵
【第7回城山三郎賞受賞(角川文化振興財団)・第63回JCJ賞受賞(日本ジャーナリスト会議)・第20回石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞草の根民主主義部門大賞受賞(早稲田大学)】
◆推薦◆
「被害者だけでなく加害側、虐殺を命じた側の視点からも語り直していくことによって、そこで起きたことが立体的に見えてくる」
――荻上チキ氏(評論家)
「映画『沖縄スパイ戦史』を見終わった時の感慨を遥かに上回る、切迫感をともなうファクトの重みを喉元に突きつけられた。」
――金平茂紀氏(TBS「報道特集」キャスター)
陸軍中野学校「秘密戦」の真相。証言と追跡取材で迫る、青年将校の苦悩と少年兵が戦った沖縄戦、最暗部の記録。軍隊が来れば必ず情報機関が入り込み、住民を巻き込んだ「秘密戦」 が始まる――。第二次大戦末期、民間人を含む二〇万人余が犠牲になった沖縄戦。第三二軍牛島満司令官が自決し、一九四五年六月二三日に終わった表の戦争の裏で、北部では住民を巻き込んだ秘密戦が続いていた。山中でゲリラ戦を展開したのは「護郷隊」という少年兵達。彼らに秘密戦の技術を教えたのは陸軍中野学校出身の青年将校達だった。住民虐殺、スパイリスト、陰惨な裏の戦争は、なぜ起きたのか? 二〇一八年公開後、文化庁映画賞他数々の賞に輝いた映画「沖縄スパイ戦史」には収まらなかった、三〇名余の証言と追跡取材で、沖縄にとどまらない国土防衛戦の本質に迫る。
証言 沖縄スパイ戦史
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
証言沖縄スパイ戦史
2020/05/04 10:12
沖縄県民以外の人間こそ、読むべき
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
ノンブルは749ページまで。
普通の新書本なら3冊分ほどの分厚さ。
これが数十冊那覇のジュンク堂の店頭に並ぶ様は、壮観であった。
発売のタイミングに沖縄に行っていて、すぐに購入した。
地元に戻ったら、すぐにコロナ騒ぎで大きな書店にも行きづらくなった。
東京や大阪の書店でも、この本は売られたのだろうか。
沖縄県民以外の人間こそ、読むべき本である。
最初の、分厚い新書1冊分は、沖縄の少年ゲリラ兵の証言。
2冊目にあたるのは、本土に目を向けて、その上官たちにも迫る部分。
それだけでもすごい熱量であり、膨大な情報量である。
最後に、資料を基にした考察がある。
短いが、この部分が、この本の要である。
沖縄戦を掘り下げるにとどまらず、戦争の姿に迫る。
いつも言われることだが、
沖縄を考えることはこの国の平和を考えることになる。
反日だとか、パヨクだとか、安易なレッテル貼りで思考停止している人に読んで貰いたい。(彼らに、この本を最後まで読み通す根気があることを強く望む)
そして、人の役に立ちたいと熱い思いを持って、自衛官に任官している人たちにも読んでもらいたい。
そのよき思いを、よき形に正しく発揮するためには、どんな思考が大切かを考えてもらうために。
証言沖縄スパイ戦史
2022/06/22 17:48
語られない記憶
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず辞書のような厚みに、腰が引けてしまう。
しかし大部分は、元少年兵たちの整序されない生の証言であり、内容はつらいが、一つ一つ読んでいく分には苦にならない。
断片を少しずつ読むうちに、知らなかった沖縄戦の一断面が見えてくる。
映画は観たが、そこからだけでは、監督の意図や思いまではくみ取れなかった。本書は映画に収められなかった証言のみならず、考察も加えられており、頭の整理を助けてくれる。
何と言っても、取材の熱量が伝わる労作である。
証言沖縄スパイ戦史
2021/08/30 08:58
映画を見た人も是非、戦争の本質を知りたい人も是非
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:flowerofzabon - この投稿者のレビュー一覧を見る
太平洋戦争下沖縄では米軍との戦闘以外で多くの人が亡くなった。集団自決、マラリア、スパイ容疑による粛清が主なもの。これらについてはヤマトンチュによるウチナンチュ差別に原因が求められることが多いが、ことはそんなに単純ではない。
沖縄でいわば「裏部隊」に従事することになった多くの人の証言を通じて、沖縄で引き起こされた悲劇は戦争のある種の必然であることを浮き上がらせるのが本書である。
沖縄で起こした悲劇から学ぼう、ではなく、今も世界で起こっていること、日本全体で起きていることと直結している現在進行形のドキュメントに読めてしまうとろこが本書の優れた点だ。
城山三郎賞(角川文化振興財団)・JCJ賞(日本ジャーナリスト会議)・早稲田ジャーナリズム大賞草の根民主主義部門大賞(早稲田大学)