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8件
ヴィヨンの妻
著者 太宰治 (著)
酒と女に明け暮れる無頼派の作家。26歳のその妻は夫の尻ぬぐいに奔走するが……。古い価値感が失われ新しい価値観が生まれようとしている戦後の混乱の中、必死に生き抜こうともがく男と女の愛のかたちを繊細に描いた表題作。その他太宰晩年の好短編を多数収録。
ヴィヨンの妻
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ヴィヨンの妻 改版
2021/05/07 17:51
太宰の書くダメ夫最高
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひとみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
太宰の書くダメ夫が最高に好きで今回も楽しかったです。
短編集ですが、タイトルにもあるヴィヨンの妻がいちばん好きです。
こちらに収録されている短編はすべて細君が旦那より1枚も2枚も上手ですが、ヴィヨンの妻は旦那からの迷惑毎をハッタリでかわし、旦那への愛は冷めつつも家族としての愛を捨てきれず自分たちを客観的に見ている感じがまたとても好きです。
精神的に弱くて、お酒と女(あと阿片か?)に逃げるだめだめ夫は読んでいて、馬鹿だなぁと思いつつなぜか愛おしいです。現実に居られたら困りますけど。笑。
愛おしくて読み返したくなっちゃう。
太宰モチーフに書かれている短編小説ですがどこまでが本人でどこまでが小説なのかな。
そこも気になります。
ヴィヨンの妻 改版
2016/05/18 07:25
やっぱりいいかも、太宰
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
太宰治の晩年の名作短編を収めた新潮文庫の奧付を見ると、昭和25年12月発行とある。
太宰が山崎富栄と玉川上水で心中したのが昭和23年6月13日であるから、わずか2年あまりで文庫化されたということになる。
以来、版を重ねて、私が手にしたものは平成21年10月で114刷とあるからすごいものだ。
この文庫には表題作である「ヴィヨンの妻」のほか「親友交歓」「トカトントン」「父」「母」「おさん」「家庭の幸福」、そして太宰の忌日の名前の由来となった「桜桃」の8篇が収められている。
こうして作品名を書いているだけで、甘酢っぱい気分になってしまう。
何しろこれらの作品を読むのは何十年ぶりのことなのだから。
ご多分にもれず青春期に太宰にはまった。新潮文庫に収められた作品の数々を読んだ。全集も買った。太宰の生涯を追った記録なども読んだ。
しかし、気がつけば、太宰から遠く離れた時間を過ごしている。
何かのきっかけがあった訳ではない。自然と太宰から離れていった。いつかまた戻ることがあるだろうと、全集を手離せないでいるが、その機会は訪れていない。
38歳で亡くなった太宰の年齢をとっくに過ぎて、それでもこうして読み返してみると、桜桃を齧った時のような甘酸っぱい気分になるのだから、太宰という文学者の影響は大きい。
晩年のこれらの短編をすっかり忘れていたわけではない。
「父」のラスト、「義。義とは?」、「ヴィヨンの妻」の「椿屋のさっちゃん」、「桜桃」の「お乳とお乳のあいだに、・・・涙の谷」、そして同じ「桜桃」の「子供より親が大事、と思いたい」と次々と言葉が浮かんでくる。
その一方で、こういう作品だったのかと今さらながらに感じ入ったものもある。
それが「母」。
「父」という作品が太宰の自身の家庭を描いた私小説めいた造りになっているからつい「母」もそうかと思ってしまうが、この短編はそうではない。宿屋での一夜、隣の部屋の男女の語らいに出てくる男の母の年齢。それにはっとする主人公。
太宰ではないが、つい、「きどりやがって」と言いたくもなる名篇だ。
ヴィヨンの妻 改版
2023/05/30 19:56
太宰の晩年に描かれた作品をおさめた短編集
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みやすかったし面白かったです。でも、その分だけ光と翳が感じられました。人に駄目な男と呼ばしめるような悪癖がお人好しと同居することはこんなに苦しいものかと、思いました。