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「痴呆老人」は何を見ているか(新潮新書)
著者 大井玄
「私」とは何か? 「世界」とは何か? 人生の終末期を迎え、痴呆状態にある老人たちを通して見えてくる、正常と異常のあいだ。そこに介在する文化と倫理の根源的差異をとらえ、人間がどのように現実を仮構しているのかを、医学・哲学の両義からあざやかに解き明かす。「つながり」から「自立」へ――、生物として生存戦略の一大転換期におかれた現代日本人の危うさを浮き彫りにする画期的論考。
「痴呆老人」は何を見ているか(新潮新書)
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「痴呆老人」は何を見ているか
2023/05/15 16:27
「痴呆老人」に何を見ているか
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は痴呆老人の言動を観察した知見をもとに、仏教や哲学の言葉を使って非痴呆人の認識の世界と痴呆老人の世界の橋渡しをしようとしているらしい。そうは言っても、「認知症になってしまった人の認識を変えさせることはどう頑張ってもできないので、非認知症の人たちが彼らの世界観に合わせるしかないのだ。」という結論に落ち着く。
認知症患者への対処で大事なのは周辺症状を取り除くこと。そのためには認知症患者を不安にさせてはいけない。と説いている。これを説明するために「ひきこもり」を引き合いに出している。個人的には「アトム的自己」であろうと、「つながりの自己」であろうとどっちでもいいと思う。冗長な説明は、著者が痴呆老人を診るとき、すごくツラかったことの表れのように見える。認識のつじつまが合わない不安にさいなまれていたのは医者の側だったのかもしれない。
認知症患者に対して医者として何もできないことを言い訳するためにこの本が書かれたように見える。それは決して悪い意味ではなく、そういうものだとわかってほしいという心の叫びなのだ。
「痴呆老人」は何を見ているか
2015/11/11 14:31
いつ本題になるの?
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投稿者:ゆうすげびと - この投稿者のレビュー一覧を見る
アルツハイマーの老母を介護しているのでタイトルに魅かれて購入。筆者は東大医学部、ハーバード大学院、東大医学部教授も務めた方。痴呆を医学と哲学から解き明かしているが、私には難しすぎて半分以上はよく理解できなかった。しかし、沖縄の「純粋痴呆」はよくわかるし、江戸時代の民が貧しくても礼節に富んでいたというベルツ博士の説には魅かれた。二度三度と読むべき本だとおもう。