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5件
禍
著者 小田雅久仁
恋人の百合子が失踪した。彼女の住むアパートを訪れた私は、隣人を名乗る男と遭遇する。そこで語られる、奇妙な話の数々。果たして、男が目撃した秘技・耳もぐりとは、一体 (「耳もぐり」)。ほか、『残月記』で第43回吉川英治文学新人賞受賞&第43回日本SF大賞受賞を果たした著者による、恐怖と驚愕の到達点を見よ!
禍
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禍
2024/03/09 23:59
予期せぬ結末の数々。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
耳、鼻、口といった人間の「からだ」をテーマに、未だかつて誰も見たことがない景色を見せてくれる本作。
各短編の主人公と共に読者である我々も全く予期せぬ、とんでもない結末へと一直線へと進んでいく。
日常の何気ない風景がほんの些細な違和感をきっかっけにどこまでも瓦解していく様は、おぞましいと感じつつも目をそらすことができない。
強制的に読者を歪な世界へと誘う、その吸引力、没入力は圧巻。
また本作は、映画やドラマといった直接的な映像表現を前にしても一切引けを取らない。
それほどまでに本作で描かれる光景は、我々読者の脳内に対して直接的に広がっていく。
自らの想像を遥かに凌駕する世界を体験する、それこそが読書の醍醐味であることを本作は思い出させてくれるのだろう。
2023/07/18 07:10
夏にピッタリ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリ、サスペンス、ホラー、SF、ファンタジー、仄暗いものを全て凝縮した7篇からなる短篇集。
本を食べて異世界を共有したり、耳や目や鼻や夢から一体化したり、誕生前に還ったり。不安と猜疑心を持ちながらも、欲望から何かに縋り、そして溺れる。一種の中毒を描いた作品。
爆発的な脅威に晒される訳ではなく、底知れぬ恐怖がひたひたと付き纏う。もっとも対応に困る巧妙な禍。
「髪禍」の体から離れた途端、排泄物と化すような嫌悪感など、あり得ない世界の中にも共感を見付けてしまった。
2024/08/15 22:32
すべてがホラー
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はぐらうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず装丁からしてめっちゃ怖い。気持ち悪いとも違う、不穏な感じ。
7つの中短編集ということになるが、ぜんぶ怖かった。
最初の「食書」で、本好きのためのSFホラーということね、と半ば油断してしまったが、とんでもなかった。最後の「裸婦〜」がようやく穏やかに感じるほど。
内容を知ってたら手にとってなかったかもしれないが、あまり普段読まないホラーSFのような物語を読めて良かった。