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スターリン 「非道の独裁者」の実像
著者 横手慎二 著
「非道の独裁者」――日本人の多くが抱くスターリンのイメージだろう。一九二〇年代末にソ連の指導的地位を固めて以降、農業集団化や大粛清により大量の死者を出し、晩年は猜疑心から側近を次々逮捕させた。だが、それでも彼を評価するロシア人が今なお多いのはなぜか。ソ連崩壊後の新史料をもとに、グルジアに生まれ、革命家として頭角を現し、最高指導者としてヒトラーやアメリカと渡りあった生涯をたどる。
スターリン 「非道の独裁者」の実像
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紙の本スターリン 「非道の独裁者」の実像
2014/08/16 09:05
手軽な一冊
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
スターリンの伝記などスターリンものは、内外に数多く書籍がある。しかし、新書や文庫など手軽に読めて、なおかつ分かりやすくないような濃いものは、あまりなかった。本書は、入門書や基本書としてお勧めである。
紙の本スターリン 「非道の独裁者」の実像
2020/01/24 20:10
スターリンの評価
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界史の中でもトップクラスで評価の分かれる人物スターリンについて取り扱っている。否定的なものとしては、工業化政策や外貨獲得のために農民を犠牲にしたこと、多くの党員を粛清したことなど。肯定的なものとしてはこれも工業化政策やナチスに対する勝利など。本書はスターリンに対する大幅なイメージの転換より、評価が分かれていることを伝えようとしている。
紙の本スターリン 「非道の独裁者」の実像
2023/12/30 15:19
生まれた国が悪いのか、それとも彼が悪いのか・・・・
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:和田呂宋兵衛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒトラーと並んで、20世紀最凶の独裁者と言われるスターリン。
ヒトラーは、今でも先進諸国を中心に少数の熱狂的な支持者があるが、
母国ドイツでは一般に、口にするのも忌まわしい犯罪者とされている。
スターリンの評価はどうか。
日本には彼の名を冠したロックバンドがあったが、奇をてらってつけたらしく、
大概の国では、スターリンをプラスに評価する人は、思想の左右を問わず、まずいない。
ところが「母国」ロシアでは、近年彼を「偉大な指導者」として評価する動きが高まっているらしい。
(正確には、彼の出身は黒海とカスピ海に挟まれたカフカース地方・現ジョージア共和国だが)
この内外の評価のギャップはなぜかという問題意識から出発して、彼の生い立ちから死に至るまで、
人物と事績を丁寧に追うことによって、彼の実像をとらえようとしたのが本書である。
貧しい靴職人の家に生まれ、キリスト教の神学校に進んだ優等生の少年が、
社会主義の反体制運動に目覚め、退学処分を受け、シベリアへの流刑から逃亡したりするうち、
レーニン率いるボリシェビキ党の有力な幹部となっていく。
革命の先達マルクス、レーニンのような天才的な閃きは、彼にはなく、
どちらかというと「努力の人」らしい。
ボリシェビキが権力を握り共産党と改称した後、スターリンは蔵書のリストを作らせ、
貪欲に勉強を始める(本書144~147ページ)。
先輩レーニンや政敵トロツキーは、第一次大戦後、ヨーロッパでの社会主義革命に期待をかけたが、
それは起こらなかった。
スターリンは、ソ連独力での革命建設を目指し、レーニンの死後トロツキーを追い落とし、
「一国社会主義」の路線を取りだす。
レーニンは、晩年の著書「国家と革命」で、共産主義の下では国家は「死滅」すると説いたが、
スターリンの指導の下、軍と秘密警察を中心とする国家権力は強化され、
「社会主義の祖国ソ連」を守れという、ナショナリズムの色が濃くなっていく。
急速な重工業化と軍備強化が進む中で、農民が巨大な犠牲を強いられ、
反対者とみなされた者は容赦なく「粛清」され、処刑・流刑の憂き目にあうようになる。
しかしながら、この強力な軍事国家建設なくして、ソ連が第二次大戦でナチス・ドイツの猛攻に耐え、
戦後はアメリカに対抗する強国となれたであろうか。
今もロシアでスターリンの評価が高いのは、この辺にあるらしい。
従来、晩年のレーニンの言及を元に、スターリンの「粗暴」さが恐怖の独裁を招いたとされてきたが、
著者はこれを批判し、レーニンの行った「赤色テロル」を指摘して、こう述べる。
『歴史上の大量殺害は、多くは政治指導者の「粗暴」さよりも、自分の主張への過度の確信と結びついている。』(本書131ページ)
この怖さは、共産主義に限るまい。
独裁政治を進める中で、妻は自殺、息子は酒乱になり、晩年は誰も信じられなくなって孤独の中で病に倒れる。
側近に発見されたが、パニックか故意か、すぐに医者は呼ばれず亡くなり、
彼の死後、娘はスターリンの姓を捨てる。独裁者の末期は悲しい。
ソ連が崩壊して30年以上経つ。
ロシアは共産主義を捨てたはずだが、トップには元・秘密警察の親玉が据わり、
スターリンそっくりの政治が今も行われている。
そもそもロシアという国に、民主主義、平和主義は似合わないのだろうか。
なおタイトルは、昔のドラマ「非情のライセンス」主題歌、「昭和ブルース」のもじりです。
スターリンの犠牲となった方々には申し訳ないが、天知茂の歌声が、本書にはよく似合う。
紙の本スターリン 「非道の独裁者」の実像
2022/05/27 08:11
歴史は繰り返す
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名無し - この投稿者のレビュー一覧を見る
「歴史は繰り返す」ということを改めて教えてくれる1冊。フィンランドへの侵攻や東欧諸国への支配はあまりにも有名だが、旧ソ連の各国への支配もその中に入っている。レーニンの後任者がトロツキーだったら、また違った歴史になったのかもしれないが。
2023/08/10 07:37
独裁者
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
スターリンは、名前は知ってましたが、どんな人物か初めて知りました。生い立ちから晩年まで詳しいです。あの非情な性格はこうして作られたのですね、あの頃のソ連は、寒くて貧しくて……みたいなイメージでしたから。