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14件
空中庭園
著者 角田光代 (著)
郊外のダンチで暮らす4人家族・京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。15歳の長女マナが“自分はどこで生を授かったか”を訊ねると、ママはラブホテルで、と教えてくれた。自分が仕込まれたのが近所の「ホテル野猿」だと知って、どうしても見てみたくなったマナは、同級生の森崎くんを誘って行ってみた……。家族ひとりひとりが、そのモットーとは裏腹に、閉ざしたドアの中に秘密を持ちながら、仲の良い「家族」を演じているさまを鮮やかに描く連作家族小説。
夜道の家族
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2022/12/24 17:15
かくしごとのないはずの京橋家はかくしごとだらけ。 救いようのない現実こそ、家族が生き抜く証。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「あたしはラブホテルで仕込まれた子どもであるらしい。どのラブホテルかも知った。高速道路のインター近くに林立するなかの一軒で、ホテル野猿(のざる)という」
高1の長女マナの独白から、物語は始まる。
「何事もつつみかくさない」という、郊外の団地に暮らす京橋家のモットー。
だが、本当にそうなのか。
父の貴史は浮気をしている。妻の理恵子がマナを身ごもった時から。
最近では、20代の愛人までいる。
その愛人三奈は、長男コウの家庭教師として京橋家にやってくる。
母の絵里子は、彼女の母への反発からこの家庭をスタートさせた。
「うち、逆オートロックだからなあ」とコウは三奈に呟く。
「外の人、わりと自由に招き入れるんだけど、家のなかにもう一個見えない扉があってさ。こっちの扉は、絶対開けないっていうか。暗証番号も教えないし、表玄関は広く開いているんだって宣伝して、オートロックのほうを隠しているんだよね。そんな感じ」
その三奈にも、逆オートロックのように誰にも明かしたくない家族との歴史がある。
建前とは裏腹に救いようがないような設定の中でも、隠しきれない家族の空間があり、物語がある。
人生100年の時代とはいえ、家族と同じ時間を過ごすことが出来るのはホンのわずか。
何気ない日常こそ。
そして、救いようのない現実こそ、家族が共有して過ごしていく証。
過去を懐かしむのも良し。
未来に投資するのも当然。
でも、何があっても、現在を懸命に生き抜くことこそ素晴らしいのだと。
空中庭園
2021/10/16 09:29
かくしごとのないはずの京橋家はかくしごとだらけ。 救いようのない現実こそ、家族が生き抜く証。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「あたしはラブホテルで仕込まれた子どもであるらしい。どのラブホテルかも知った。高速道路のインター近くに林立するなかの一軒で、ホテル野猿(のざる)という」
高1の長女マナの独白から、物語は始まる。
「何事もつつみかくさない」という、郊外の団地に暮らす京橋家のモットー。
だが、本当にそうなのか。
父の貴史は浮気をしている。妻の理恵子がマナを身ごもった時から。
最近では、20代の愛人までいる。
その愛人三奈は、長男コウの家庭教師として京橋家にやってくる。
母の絵里子は、彼女の母への反発からこの家庭をスタートさせた。
「うち、逆オートロックだからなあ」とコウは三奈に呟く。
「外の人、わりと自由に招き入れるんだけど、家のなかにもう一個見えない扉があってさ。こっちの扉は、絶対開けないっていうか。暗証番号も教えないし、表玄関は広く開いているんだって宣伝して、オートロックのほうを隠しているんだよね。そんな感じ」
その三奈にも、逆オートロックのように誰にも明かしたくない家族との歴史がある。
建前とは裏腹に救いようがないような設定の中でも、隠しきれない家族の空間があり、物語がある。
人生100年の時代とはいえ、家族と同じ時間を過ごすことが出来るのはホンのわずか。
何気ない日常こそ。
そして、救いようのない現実こそ、家族が共有して過ごしていく証。
過去を懐かしむのも良し。
未来に投資するのも当然。
でも、何があっても、現在を懸命に生き抜くことこそ素晴らしいのだと。
空中庭園
2021/03/22 22:42
それぞれの登場人物が一風変わっている
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
角田光代の初期の短編連作である。最初はこんな話は現実離れしていると思ったが、読み進むうちに引き込まれていった。短編それぞれが、別々の登場人物の視点で描かれている。それぞれが一風変わった変な人達だが、それでもオッケーと思わせる。面白かった。