- みんなの評価
25件
女のいない男たち
著者 村上春樹
舞台俳優・家福をさいなみ続ける亡き妻の記憶。彼女はなぜあの男と関係したのかを追う「ドライブ・マイ・カー」。妻に去られた男は会社を辞めバーを始めたが、ある時を境に店を怪しい気配が包み謎に追いかけられる「木野」。封印されていた記憶の数々を解くには今しかない。見慣れたはずのこの世界に潜む秘密を探る6つの物語。村上春樹の最新短篇集。
女のいない男たち
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
女のいない男たち
2016/11/18 12:11
村上ワールド短編集
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
女を失った男達の短編集。
村上春樹が書くと短いページにも村上ワールドがしっかりありました。
村上春樹さんの好きな長編小説を読んでいるように感じられる短編小説で、ちょっと儲かった気分です。
「ドライブ・マイ・カー」良いです。
唯一の友人と呼べる高槻との関係が不穏なものを感じさせる。
妻に先立たれ、妻の謎を解きたいと考えるが、男と女の違いに、フッと男の寂しさと愚かさが感じられる。
北海道の町の議員さんがクレームをつけた小説だったんですね。
クレーム自体が、消えてしまう程の村上さんの対応にあっぱれでした。
「イエスタディ」
村上春樹さんの作品には珍しく、希望を持てるラスト。
「木野」は海辺のカフカを思い出しました。
主人公が怪しい不吉なものに追いつめられるシーンが良かった。
「シェエラザード」
主人公は地方都市にある「ハウス」に送られ、「連絡係」の女が定期的に必要な食料などを運んでくれ、彼とベットを共にし、興味深い不思議な話をする。
女達と親密な時間を過ごすにつれ、いつかその時間を失うことに恐れを感じる男の弱さがなんとも怪しく描かれている。
シェエラザードの最後の話の続きが聞きたい。
村上さんぜひとも長編で書いてください。お願いします。
女のいない男たち
2022/09/26 09:56
通勤電車のなかで、毎日一作づつ読み進めていくのが、心地よかった。そして、人生についてよく考えることができる時間をつくることができた。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「自分の小説にまえがきやあとがきをつけるのがあまり好きでなく」との「まえがき」から始まる短編集。
通勤電車のなかで、毎日一作づつ読み進めていくのが、心地よかった。そして、人生についてよく考えることができる時間をつくることができた。
〇ドライブ・マイ・カー
俳優の家福(かふく)は、ある事情から自家用車の専属運転手を探していた。
二十代の女性ドライバー渡利みさき。
無口で堅実な運転で、その仕事を着実にこなす。
妻を亡くした家福が語っていった秘密とは。
〇イエスタデイ
大田区田園調布生まれで大田区田園調布育ちなのに、ほぼ完璧な関西弁を話す木樽。
「僕」は、早稲田大学文学部二年生の時に、アルバイト先で浪人生にして同級生の彼に会った。
木樽は恋人の栗谷えりかと僕を付き合わせようとする。
〇独立器官
渡会は52歳。これまで結婚したことのない、同棲の経験すらない。麻布のマンションで一人暮らしをつづける美容整形外科医。
何不自由のない生活に、抗いようのない変化が訪れる。
〇シェエラザード
「千夜一夜物語」の王妃シェエラザードのように、彼女は不思議な話を聞かせてくれた。
「十代の頃のことだけど」とある日、彼女は打ち明けた。
「私はときどきよその家に空き巣に入っていたの」
〇木野
木野は夫婦のトラブルをきっかけに、会社を辞めバーを始めた。
店のなまえは「木野」にした。他に適当な名前を思いつけなかったからだ。
〇女のいない男たち
夜中の一時過ぎに電話がかかってきた。
「妻は先週の水曜日に自殺をしました、なにはともあれお知らせしておかなくてはと思って」
その女性は、「僕」の「昔の恋人」だった。
人生とは何か。
財産があれば幸せになれるのか。
よい環境にいれば、幸福なのか。
どんな恵まれた環境にあっても、人は宿命に翻弄される。
だが、その宿命に抗っていく力も持ち合わせている。
著者の人間を見つめる眼を通して紡がれた短編集。
女のいない男たち
2016/11/13 09:01
村上春樹氏の最新短編集です!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、村上春樹氏の最新短編集で、全部で6つの短編が収められています。「ドライブ・マイ・カー」、「イエスタディ」、「独立器官」、「シェエラザード」、「木野」、そして「女のいない男たち」です。このそれぞれの短編に登場する男たちは、何かを失い、そして何かを残されていきますが、それがなんなのか、本書はそれを考えるという面白さがあります。私個人的には、「ドライブ・マイ・カー」と「木野」がとても気に入りました。そして、私なりに、それぞれの主人公が失ったもの、残されたものを思い浮かべ、とても納得させられました。村上氏の秀逸の一冊です。