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47件
そして、バトンは渡された
著者 瀬尾まいこ
幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。
その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。
血の繋がらない親の間をリレーされながらも、
出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき――。
大絶賛の2019年本屋大賞受賞作。
解説・上白石萌音
※この電子書籍は2018年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
そして、バトンは渡された
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そして、バトンは渡された
2021/02/24 09:31
嫌な人がいないというのは
11人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:touch - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中がギスギスしている反動か?
朝ドラの『ひよっこ』あたりからか、嫌な人が登場しない物語が増えている気がする。
お笑い芸人でも、仲の良いコンビやグループの方が人気があるらしいし……。
この物語も、嫌な人が出てこない(途中、同級生とのちょっとしたいざこざはあるものの)。
大人の都合で、何人もの血のつながらない親に育てられた主人公・優子。
いかにも波乱万丈の人生を送るのかと思いきや、”困ったことに”全然不幸ではない。
嫌な人がいないというのは羨ましくて、ある種ファンタジーみたいだけれど、結局のところ、”嫌な人”って自分が嫌っているだけのこと(その人のことを好きな人もいるのだから)。
だから、人から好かれるとか人に恵まれるというのは、自分から人を嫌いにならないということなのかもしれない。
そのヒントは「ニコニコしていたらラッキーなことが訪れる」という言葉にあるのだろう。
幸せのバトンが引き継がれていく話に、胸が暖かくなった。
2021/01/17 13:28
この作者の最高作
7人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
どこか力が抜けた淡々飄々とした しかしユーモアを含んだ語り口が好きでこの作者の作品を何冊も読んでいるが、今まで読んだ作品の中では文句なしにこの作品が最高の出来である。最後の盛り上げ部分も絶叫型ではなくいくらかユーモアをふくんでいるのに、それでも感涙してしまった。数多くの父親 そして母親の嫌味のない人物の描き方が実にいい。もっと星がほしい作品である。
2021/09/18 03:23
優しいお話
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鍋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ずっと読みたかったけど読める環境になる前に映画館で予告を見てしまって、親が何度も変わる娘の話なんだとあらすじを知ってしまいました。
悲しい話なのかもしれない、辛い思いをするのかもしれない。そう予想すると躊躇いもありましたが、いざ本を開くとそこには想像と全く違うストーリーがそこにはありました。
どの親も娘である優子を愛し、優子は家族とは何かと悩みながらもそれぞれの愛の形に応えていく。優子は自分の名前の由来も知らないと言ったが、この本は優しい子のお話だった。だから作者は主人公に優子と名付けたのではなかろうかと推測してしまうくらいに。
最後は私の推しメンと結ばれて、温かな読了感をくれた一冊でした。本当に読んでよかったです。
なぜか一番心に残ったシーンは大家さんと優子の話。大家さんは親でもない、家族でもない、本当のことも知らない、でも優子を確かに可愛がってくれた、たしかに親ばかでした。