- みんなの評価
3件
Schoolgirl
著者 九段理江
第166回芥川賞候補作!令和版「女生徒」
どうして娘っていうのは、こんなにいつでも、
お母さんのことを考えてばかりいるんだろう。
社会派YouTuberとしての活動に夢中な14歳の娘は、
私のことを「小説に思考を侵されたかわいそうな女」だと思っている。
そんな娘の最新投稿は、なぜか太宰治の「女生徒」について――?
第126回文學界新人賞受賞作「悪い音楽」を同時収録。
Schoolgirl
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Schoolgirl
2022/02/08 00:37
まったく新しい静かな狂気
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:帛門臣昂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
残念ながら芥川賞を逃した表題作『School girl』と文學界新人賞受賞デビュー作『悪い音楽』いずれも静かな狂気を含んだ物語である。『悪い音楽』に関しては、湊かなえの学校を舞台にした作品を彷彿とさせる、教師と生徒が属性から外れた人間本来の歪さを表現しきり、『School girl』では親子の対照的な性格を利用して、これまた親子の属性から外れた人間の歪さを表現しきった。但し、『悪い音楽』と違って、親子の相違は柔らかに解消されるかもしれない雰囲気を醸している。
2024/08/02 03:42
本に引きこもる34歳と
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
YouTubeで世界を変えようとする14歳との綱引きに手に汗握ります。プロッピングありの母娘を、まさか太宰の1冊が結び付けるとは...
Schoolgirl
2022/04/13 15:27
女性を描ける作家
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第166回芥川賞の候補作となった表題作のほか、この単行本にはもう一編中編小説が掲載されている。
それが、『悪い音楽』で、作者はこの作品で第126回文學界新人賞を受賞し、その次に発表した『school girl』が芥川賞候補だから、注目の新人作家といえる。
しかも、候補作となった作品は選考委員から高い評価を得ていて、松浦寿輝委員ははっきりとこの作品を推すと表明しているし、平野啓一郎委員もこの作品を「最も高く評価した」としている。
この作品については、そのタイトルからわかるように太宰治の『女生徒』が下絵のようになっているが、中学生の娘を持った30過ぎの女性の視点で描かれていて、太宰の作品とはかなり雰囲気もテーマも違うように感じた。
それに、2つの作品を続けて読むと、『悪い音楽』の方が物語の描く方も柔軟性があるように思った。
主人公は中学校の音楽教師。父親が有名な音楽家であり、自身も音楽の才能がありながら、ひょいといた思いつきで音楽教師になった。
しかし、自分が教師に向いていないということがわかってくる。
自分に逆らう生徒、そしてその親。親に逆らえない教師たち。
ルームシェアしている女性ともうまくいかなくなって、主人公は次第に壊れていく。
その過程が、物語の起伏を生み、文学として成立しているように感じた。
2つの作品を読んで、九段理江という作家は女性を描けるひとりになるのではないだろうか。