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17件
フランス王朝史
著者 佐藤 賢一
「時間を超えた逆転劇」、それが、冴えない始祖、ユーグ・カペーが頭の中で描いていたことなのか? 「名ばかりの王」から300年の時を経て、ローマ教皇、神聖ローマ皇帝と並ぶ権力者としてヨーロッパに君臨するまでの物語。(講談社現代新書)
ブルボン朝 フランス王朝史3
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カペー朝
2009/08/15 15:40
カペー商店繁盛記
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ももんじゃ05号 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1 本書は、フランスのカペー朝の各国王(といっても、初期のころは有力な地方領主程度の領地しかなかったり)について、その事績、特徴を紹介する本である。
2 私は、世界史が苦手である。中国史はまだいいのだが、あのカタカナの名前が覚えずらいし、さらに、ルイ1世だの、3世だの、誰が誰だかわからなくなるので、苦手なのである。とくに、本書のようなフランスの王様だと、ルイさんだの、フィリップさんだのが沢山いて、名前だけみると非常にわけがわからない。しかし、本書の王様をみると、同じ王様でもいろいろとあだ名がついており(尊厳王とか、聖王とか…肥満王とかありがたくないのもあるが)、また、事績もいろいろあって、面白い。やはり具体的な話のほうが頭に残りやすいのである。
3 カペー朝は、カロリング朝の後継だが、子会社社長兼本社重役が、本社の混乱に乗じて、のっとったようなもんだった。だから、ほかの重役連中も黙っておらず、また、カペー朝もかなりの期間、パリとオルレアン周辺の有力な地方領主程度の実力しか備えていなかったため、苦労していた。
しかし、敵失や自国の体制整備を経て、次第に大きくなっていき、フランス王らしい勢力を拡張していく。
小商店が次第に大店舗になっていき、支店を出して繁盛していくようである。
4 では、統治を継続する点ではどうだったか。カペー朝は、幸いにも各王様は(比較的)長生きで、しかも、後継ぎが生まれていた。さらに、前の王様が生きている間に王太子と共同統治を開始したため、当代が崩御しても次代がスムーズにあとを継げた。また、王妃の実家の相続関係もあり、領土もだんだん増えていく。
しかし、これ結局、個人商店の限界なのである。いったん、夫婦や親子の間で確執が起きれば、それは妻の実家(大貴族)、敵対的な領主、イギリス方面の関係者、さらにはローマ教皇なんかも巻き込んで(というか進んで介入して)、またたくまに燎原の火が国土を焦がすのである。
そして、最終的には、まさに個人商店的であるがゆえに、あまりにあっけなくカペー朝は終焉してしまうのである。
なんか、今の中小企業とかでも聞きそうな話だなあと思った次第。
ブルボン朝
2019/07/19 00:49
待ちに待ったブルボン朝を知る一冊
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にま玉子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
3、4年前から楽しみにしていた一冊です。450頁に及ぶ超大作新書ですが、一気に読みました。
順に読むのも良し、興味のある国王から読むのも良し、だと思います。私は順に読みました。
次は帝政、お待ちしております。
2021/08/01 10:36
ヨーロッパ歴史上、最も王朝らしい王朝
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヨーロッパ歴史上、最も王朝らしい王朝、典型的な王朝。小説、映画、TV、漫画 で繰り返し取り上げられているだけに一応わかったつもりにななっていたが、改めてこの作品を読むと色々と気付かされる点があった。何よりも王朝の始祖アンリ4世の偉大さ功績が日本ではあまり知られていないと思った。ルイ14世の華やかさに幻惑されてしまっている。
語り口は例の佐藤賢一の本領発揮。グイグイ読みすすめることができる。