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ゲド戦記
大魔法使いオジオンに,才能を見出された少年ゲド.自分に並はずれた能力がそなわっていることを知ると,魔法の力にさらに磨きをかけようと,魔法の学院に入る.得意になった彼は禁じられた呪文を唱え,自らの〈影〉を呼び出してしまい,〈影〉との果てしない戦いに引き込まれていくことになる.大賢人ゲドの若き日の物語.
影との戦い ゲド戦記1
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電子書籍影との戦い ゲド戦記1
2024/02/23 11:01
こころの戦い
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もそ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ファンタジーという言葉からほど遠い、神話のような硬い語り口。
でも読み終えたとき、この本ほど深く心を動かす物語もない。
ただまっしぐらに生きている少年ゲドが、
真の自立した人間へとなっていく旅。
ときに冗長で、時に重苦しく、
戦いと言いながら、派手な場面があるわけでもない。
まさにこれって人生そのものではないだろうか。
だからこそ読む価値のある本なのである。
2024/02/22 11:34
光が差す
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投稿者:もそ - この投稿者のレビュー一覧を見る
死者が呼びかけてくる。
そんなことになったら、おびえるのが普通だ。
主人公のハンノキは闇の中でおびえてる私たちと一緒だ。
彼はゲドに救いを求める。
だがゲドにはもう魔法の力はない。ただの老人だ。
二人にできることはただ一つ、
共にその闇に向かって歩きだすこと。
これは壮大なファンタジーの姿を借りた、
心の治癒の物語なのかもしれない。
光が差したとき、新たな生が始まる。
紙の本ゲド戦記 1 影との戦い
2022/12/31 10:38
ハリポタとは違う感覚のファンタジー
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投稿者:yy - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハリー・ポッターシリーズが好きなので、高評価のファンタジーが読みたくて本書を書いました。
しかし、ハリポタのような可愛らしさがなく、孤独な戦いという感じで好きになれませんでした。
2020/10/26 15:15
アースーシーの旅はここで終焉なのだが...。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語は、竜と人間は昔同じ生き物だったという話。あるとき、竜は翼と自由と火と風を選び、人間はあらゆる手の技とそれが生み出したもの=富を所有する権利、水と大地を選んだのだという。竜の自由は時間を超えて飛び回る自由で、それを選ばなかった人間には永遠の命にも見える自由でもあった。
矛盾することであろうとも何でも欲する醜い人間の姿が物語りに透けて見え、世界に悪しき波紋を呼んだ...。そんな風に読めるのですが、じゃあどんな話?と実は、読後もこころの中で堂々巡りです。
本書と『ドラゴンフライ』は、21世紀に入ってから描かれた物語で、実はこの2作は初読。この2冊の存在を知って、かつて読んだゲド戦記シリーズに一作目から再読し始めたのだが、特に本書を私は物語として俯瞰してみることが難しかった。
作者のル=グウィンがこの話を書き上げたとき、もう74歳。だから、生きることや世界への疑問に対し答が出たことも多かっただろうし、見えてきていたこともたくさんあったのではないかと。それに比して、まだ迷える渦中の私。また時間をおいて再読が必要だと思う。個人的にはそんな風に読み込んでみたいのが、このゲド戦記のシリーズ。
2020/10/25 23:40
かつてのようにゲド戦記外伝であったほうがいいと思うが...。
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者のル=グウィンが想像上の世界であるはずのアースーシーからみつけてきた短編集+作者自身による解説という構成。その解説に「実在しない歴史をさぐるには、物語っていって、何が起こるか、見きわめるしかない。これは、現実の世界の歴史家がすることとたいして違わないのではないかと思う。」とあった。
アースーシーの話は、著者の完全な虚構だが、それにこれほどのリアリティを出すには、虚構であってもその時代に何があって、それによってどんなことが起こったか...それを深く深くさぐる必要があったのだなと腑に落ちる。
ちなみにかつては『ゲド戦記外伝』として出ていたものが、いつのまにか、第5巻だった『アースーシーの風』と入れ替えて、こちらが5巻になっていた。かつて全巻を読んだものとしては、ちょっと座りが悪い気がする。なんでこんな変更をしたんだろう?
紙の本ゲド戦記 4 帰還
2020/07/11 22:34
ゲド戦記にこめた作者のひとつの「解」を思う
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
思春期に読んだ本を、大人になって再読。ゲド戦記も一作目から読み始めいよいよ4作目。ただし本作は、初読です。第3巻の出版から16年のときを経て初版は1993年。私はもうすでにすっかり大人の年齢で、ファンタジーを楽しむ余裕も無かったころにいつの間にか出版されていました。
この巻は他と比べて圧倒的に俗っぽくもあるという意味でユニークな印象。大人になってこの巻まできちんと読めてよかったとも思う。
これまでのテーマが生と死、悪と善、光と影...のような、他のファンタジーと共通したものが選ばれていますが、本作のテーマには、「性」が取り上げられている、そして「差別」も。それをファンタジー仕立てにする難しさと価値を考えます。
英雄だったゲドは魔法の力を奪われた弱弱しいオトコで、2巻で闇の国の大巫女だったテナーは、普通のおばさんとして登場します。しかし、これほど大地に足を着けた話、「性」をとりまくゆがみと「差別」への希望ある答えをはっきり提示してくれる物語はそうないだろうとも思いました。
2020/07/01 22:48
作家のル・グヴィンから課題を与えられたような読後感
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
思春期に読んだ本を、大人になって再読。ゲド戦記の三作目は、今の地球上の様子とかなり近い話。
「限りない富だとか、絶対の安全だとか、不死だとか、ただ生きたいと思うだけ以上のものを求めるようになったら、そのとき、人間の願望は欲望に変わり、そして、もしも知識がその欲望と手を結んだらそのときこそ邪悪なるものが立ち上がり、この世の均衡はゆるぎ破滅へと大きく傾いてゆくのだ」と壮年に差し掛かったゲドは語りますが、これこそ、まさに今の世界の話そのもの?と思う。
ファンタジー世界では、ゲドという偉大な魔法使いが壊れつつある世界をもとにもどすという決着をみたが、そのエンディングが、リアル世界に生きる身としては、すこし羨ましい。
それとともに、作者から大きな課題を投げかけられた気分でもありました。
2020/06/26 23:17
子供の頃に読んだ本の再読は楽しい。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ1作目のイメージから一転。舞台は地下深い闇の中だ。
主人公は、本当の名を奪われ、権威ある大巫女として暮らす身となるが、見方を変えれば死の世界に囚われている少女。大筋では、その少女に青年ゲドが本当の名前「テナー」を見つけて返し、外の自由な世界へ連れ出すという話である。
初読はまだ小学生の高学年だった記憶。主人公が、自らが囚われた世界から自由になろうとしたとき、「自由の困難さに気づき」躊躇したりというのも、小学5・6年生とかのこどもに通じただろうか?そのころの自分に聞いてみたいと思う。ともかく、示唆に富み非常に聡明なお話。オトナになって再読できてちょっと良かったかなと思う。
紙の本ゲド戦記 1 影との戦い
2020/06/25 22:45
大人になって再読すべき本でした。
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
思春期に読んだ本を、大人になってから再読するのはかなり楽しい。この本もそういう再読。
物語は、能力はあるが若さゆえに人間としてのバランスを欠いた少年の自分探しの大海原の旅。邪悪な影として描かれているものは、もう一人の自分で、それを探し、追いかけ、自らの中に吸収するといういきなり深い内容だった。
一度目に読んだ子供の私は、その意味なんてまったく理解していなかったはずだ。(と思う。厳密にいうと詳しく覚えていないのだが。)読者対象は、“小学6年、中学生以上”とある。この中学生以上の“以上”は「オトナも読めよ」ということなんだろうな。この際、シリーズの最後まで読んでみようと思う。
2020/03/20 16:22
とらわれていた彼女たち
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
闇の世界に生きてきたアルハに、家庭の中に押し込められていた女性たちの憤りを感じます。主人公のゲドを越えるほどの活躍と、本当の名前を取り戻していく姿が美しいです。
紙の本ゲド戦記 1 影との戦い
2017/06/03 21:14
自分が自分であるために
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
未熟なゲドが自分自身は確かに自分である事を、自分の足で立つ力を得るまでの物語。ここから探求の道を行く事になるのですね。
電子書籍影との戦い ゲド戦記1
2017/01/09 22:16
男なら
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カンダダ - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮崎アニメでも映画化したゲド戦記。でもこの本は主人公ゲドの幼少期から竜王になるまでの物語。でも、たんなる子ども向けの物語でなく少年時代の苦い思い出、男の友情、竜との対決など、男なら一度はくぐる道が描かれていて、人生の書といえます。最近は師匠である老魔術師の心情に共感します。
そんな書籍が電子化され、いつでも読める幸せな時代になったものです。
紙の本ゲド戦記 1 影との戦い
2015/10/29 10:54
魔法を使わない魔法使い
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
自らの驕りで影を呼び出してしまった主人公は自分を取り戻すために旅をする。できる限り不思議な力を使わずに冒険をしようとするところが面白い。戦いの勝ち負けよりも、登場人物がどう成長していくかが見どころだ。9・11後の混沌とした現実を時折物語の中に挿入するのがうまい。
2009/09/14 22:34
これぞ壮大なエンディングです。二度目に全巻を通して読んで、やっとゲド戦記の持つ現代性(女性の問題、差別やいじめ)を再認識しました。読み終わって、カタルシスは覚えませんが、深く人間というものを考え直したくなる、そういう本です。
7人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
少年文庫版で大きく変わったのは、それまで第五巻として扱われていた『アースシーの風』が第六巻、最終巻となり、外伝で第六巻として扱われていた『ドラゴンフライ』が第五巻になったことです。その根拠は清水の文章ではあまりはっきりしませんが、『ドラゴンフライ』に収められている五つの話の発表が、『アースシーの風』以前であったことによるようです。
私は、『ドラゴンフライ』の評でも書きましたが、ゲド戦記の第四巻『帰還』の話はそのままこの『アースシーの風』に繋がってきます。ただ作品の発表時期から巻の順番を変えてしまうのは不自然以外のなにものでもありません。むしろ、本編は『アースシーの風』の第五巻で完結し、外伝『ドラゴンフライ』は別巻扱いのほうが正しいのではないでしょうか。
閑話休題、さっそくカバー後の内容紹介を見てみましょう。
*
故郷で暮らすゲドのもとを、
まじない師のハンノキが訪
れ、奇妙な夢の話をする。
そのころ、ふたたび竜が暴
れ出し、アースシーにかつ
てない緊張が走る。世界を
救うのは誰か。レバンネン
王は、テハヌーたちとロー
クへ向かった――。
●中学以上
*
となっています。ゲドのところに訪れたハンノキは、タオン生まれの修繕屋です。カバーに「まじない師」とあるのは、話にはなじまないのではないでしょうか。彼は、妻ユリを出産のとき、子供とともに亡くしていますが、以来妻のことを思い続けていいます。そして、ユリが逝って二カ月後、夢を見るようになるのですが、それがこの物語の核です。その夢というのは
「丘の頂から斜面にそって、ちょうど牧草地を仕切るような低い石垣がつらなっていて、ユリはその石垣のむこうの少し低いところに立っていました。そこは闇が濃いようでした。」
妻がの呼ぶ声に丘の斜面に立っていたハンノキは、ユリはもうこの世にはいない、だからこれは夢のなかの出来事だということもわかっていたものの、嬉しくて彼女のほうに近寄っていくのです。
「わたしはユリのいるところに行こうとしましたが、石垣を越えることができませんでした。脚が動かなかったのです。それでユリをことらに引っぱろうとしました。ユリも来たがったのです。来ようと思えば来られそうに見えました。でも、石垣がわたしたちをへだてていて、どうしてもそれを越えることができませんでした。そうとわかるとユリはこちらに上体をのばして、わたしの唇にキスし、わたしの名前を呼び、『あたしを自由にして!』と言いました。」
この夢を繰り返し見るようになったハンノキは、その夢の謎を解こうとロークに向かいますが、その夢の話を聞いた様式の長は、それこそ以前、ハイタカがレバンネンとともに越えていった石垣だと確信し、彼をゴントに暮らす元の大賢人のもとに向かわせるのです。そこでハンノキは、夢こそ見続けるものの心休まる日々を送ります。しかし、彼の夢にこの世界の危機を感じたゲドは、今は王となったレバンネンのもとにハンノキを向かわせるのです。
ハンノキを客人として丁重に迎えた若き王は、彼の夢の話を聞き心を悩ませます。しかし、彼の王国にも別の危機が迫っていました。カルガドの王たることを宣言した将軍ソルは、テナーがもたらした腕環の本来の所有者はカルガド人だと考え、それを取り戻すために自分の姫をレバンネンのもとに寄こし、婚儀を迫るのです。そしてもう一つの脅威、竜たちが・・・
テナー、娘のテハヌー、様式の長、呼び出しの長、カレシン、アイリアンといった懐かしい人々や生き物が登場し、壮大なエンディングに向かっていきます。
最後は、あっさりデータ篇。
もくじ
1 緑色の水差し
2 王宮
3 竜会議
4 イルカ号
5 再結集
訳者あとがき
少年文庫版によせて
カバー画 デイビッド・ワイヤット
2009/09/09 19:49
本編とは切り離して読める中短編集です。どれも重いテーマを扱っていますが、話そのものはファンタジー風で、本編よりは手軽です。何度でも読み返せる点が魅力かも・・・
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前、『ゲド戦記外伝』としてでていたものを、作品の発表時期から判断して、本編に組み込み今まで第5巻であった『アースシーの風』と順番を入れ替え、あらたに第5巻にしたものです。先に結論を書いてしまいますが、『アースシーの風』を読み終わると今回の選択が失敗であったことが良くわかります。
むしろ巻番号を外して、単純に外伝としていつ読んでもいい、極論をいえば最初に読んでも構わない、なんて思います。今回の少年文庫版での判断としては、「オギオン」となるべきものを過去の経緯から「オジオン」のままとしたことと、この第5巻への組み込みは、単に翻訳者一個人のメンツや思いつきでなされたもので、『ゲド戦記』にとっては不幸な選択だったと言えます。
ちなみに、特に表題作は「『アースシーの風』と深いかかわりがあり、先に書かれたこちらを読むと理解が早い」といった解説をしているネット書店もあるようですが、理解を早くするだけならば解説書やアニメをみたり、最終巻から読めばいいので、そういう説明は読書を楽しむものにとって一顧だにする価値のないものです。出版文化の発信者としてもっと考えた文を書いて欲しかった・・・
で、作品は本編とは独立したものなので、手軽に読めるといったメリットがあります。ただし、この本を入口にして『ゲド戦記』の世界に入っていこうというのは、難しいかもしれません。本編5巻『影との戦い』『こわれた腕環』『さいはての島へ』『帰還』『アースシーの風』の世界は、時間、空間が大きく変わるものでかなりの読書経験がないと途中で挫折すると思います。
内容紹介は、カバー後の案内を借りれば
ある少女が、自分の持つ力
をつきとめるため、大賢人
不在の魔法の学院ロークを
訪れる。表題作を含む、ア
ースシー世界を鮮やかに映
し出す五つの物語と、作者
自身による詳細な解説を収
録する。
『ゲド戦記外伝』を改題
●中学生以上
とあっさりとしたものです。目次に従って5篇をもう少しこまかく紹介すれば
・カワウソ:ハブナーの港の造船所で働く船大工の息子がみせた力は、海賊と魔法使いの目を惹き、魔実をかけられ魔法使いのために王を探す手伝いをすることになるが・・・
・ダークローズとダイヤモンド:金持ちの商人の息子ダイヤモンドは魔法使いの娘ローズと仲良し。あるひ、息子のもつ魔法の力を認めた父親は子供を魔法使いのもとに預けるが・・・
・地の骨:魔法使いダルスのもとに現れた少年は、彼のもとで学びたいという。それがダルスと一級の職人ダンマリとの出会いだった。忙しいダルスはなぜかダンマリが気に入って・・・
・湿原で:酒飲みの弟と暮らすメグミのもとに現れたみすぼらしい身なりの美しい男オタクは、この地方の病気に罹った動物をなおしたいと言って、彼女の家に宿泊をするが・・・
・ドラゴンフライ:没落した地主アイリアの娘ドラゴンフライは酒びたりの父親の反対を押し切り密かに魔女から名前を付けてもらい、その後ゾウゲという男に出会う・・・
となり、さらにこの本の目玉ともいえるアースシーの世界観について、文化や歴史、伝説などの、作者による「アースシー解説」、訳者あとがき、少年文庫版によせてがつきます。カバー画はデイビット・ワイヤットです。
どの話も密度が濃く、テーマ性が強いものなので甲乙つけがたいのですが、私は「湿原で」が好きです。ある意味、もっとも神話的というか、奥が深い気がします。次は「地の骨」と「ドラゴンフライ」。本編の理解を助ける上では後者に軍配をあげますが、話としてはオーソドックスな前者、いい勝負でしょう。
それと「アースシー解説」ですが、いろいろ組み替えるなら、これこそ本編の最終巻である『アースシーの風』の巻末につけたほうが親切ではなかったのかと思います。それと地図です。巻頭に地図は分かるのですが、この解説をよく理解するためにも、ここに再掲したほうが良かったのではないでしょうか。あるいは地図だけは別紙にしていつでも見ることができるようにするとか。
それと、表題作「ドラゴンフライ」は、このお話が日本で2004年に初めて訳出され『ゲド戦記外伝』として出た時は、「トンボ」というタイトルでした。別の話ではありませんので、一応、断っておきます。