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4件
猫のゆりかご
著者 カート・ヴォネガット・ジュニア (著) , 伊藤典夫 (訳)
わたしの名はジョーナ。いまプエルト・リコ沖のサン・ロレンゾ島にいる。"パパ" モンザーノの専制政治に支配されるこの島で、『世界が終末をむかえた日』の著者となるべきわたしは、禁断のボコノン教徒となったのだ。 "目がまわる、目がまわる" 世の中は複雑すぎる。愛するサン・ロレンゾ一の美女モナが、世界中のありとあらゆる水を氷に変えてしまう〈アイス・ナイン〉が、柔和な黒人教祖ボコノンが、カリプソを口ずさむわたしのまわりをめぐりはじめる――独自のシニカルなユーモアにみちた文章で定評のある著者が、奇妙な登場人物たちを操り、不思議な世界の終末を描いた長篇。
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猫のゆりかご
2021/07/19 21:24
私の大好きな好きな作家、久しぶりにこの作品を読んでみた
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヴォネガットという作家は自分がSF作家と呼ばれることをひどく嫌っていたという。私が読んだことのある作品の中では確かに「タイタンの妖女」や「ガラパゴスの箱舟」などは小説の範疇でいえば、SFなのであろうが、そうゆうくくり方をヴォネガットは嫌っていたのだと思う。これは日本の小説でも言えることで、たまに「筒井康隆氏はもともとSFを書いていた人だが、純文学に舞台を移したようだ」という評論を見かけることがあるが、筒井氏ファンである私に言わせると「彼は何も変わっていない、世間がようやく筒井氏に追いついただけなのだ」。ヴォネガット氏に話を戻すと、この作品の主人公は原爆が投下された日にあなたは何をしていたかを作品として仕上げようとしていたが、どういうわけか全く違った方向に話は進んでいく、確かにSFらしい話だけど、そういう括りは無意味だ
猫のゆりかご
2019/07/23 16:12
世界の終わり
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
危機的状況でも理不尽な行動に走る人間の描写に妙にリアリティがあってすごく怖い。ヒーローがいない。普通の人の活躍もない。淡々とした「わたし」語り口が社会に存在するもの全てに意義を見いだせてない感じが出てて、読んでて正直ツラかった。でもこれが、カート・ヴォネガット流の優しさなんだよなぁ。
作者が苦しんでいたことが私にも少しだけ分かると思う。私自身も苦しんでいたこと、今なら分かると思う。
2022/11/11 21:38
世界は滅ぶのに、妙な安堵感
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投稿者:しゅんじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「実は読んでいなかった本」読破計画第一弾。そういえばヴォネガットは長編は『スローターハウス』しか読んでなかった。若い頃の作品だと思うが、このシニカルなテイストは変わんないのかな。今、読んでもほとんど古びてない、トランプが出てきても違和感ないくらい。ボコノン教は知っていたけど、いいねえ。タイトルがあやとりのことだとは知らなかった。まあ、表紙に書いてあるんだけどね。良かった。